レッドブル・アイスクロス横浜でナーズとプラント優勝

レッドブル・アイスクロス横浜が2月15日、横浜市の臨港パーク特設会場で開催され、男子は米国のキャメロン・ナーズ(30)が2018年の第1回大会に続いて優勝した。日本勢は山内斗真が42位。7000人が熱いバトルに興奮した。

米国のキャメロン・ナーズ(左)がレッドブル・アイスクロス横浜大会で優勝 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

女子はカナダのマキシ・プラント(27)が優勝。日本勢は山本純子が11位。吉田安里沙が16位。

カナダのマキシ・プラントがレッドブル・アイスクロス横浜大会で優勝 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

アイスクロス世界選手権の歴代ワールドチャンピオンのうち、レッドブル・アイスクロス横浜に出場した選手は、2012年王者のカイル・クロクソール(カナダ=31)、2014年王者のマルコ・ダラーゴ(オーストリア=29)、2015年と2018年王者のスコット・クロクソール(カナダ=29、カイルの弟)そして2016年、2017年、2019年のチャンピオンで、前回の横浜大会でも優勝しているナーズ。

マルコ・ダラーゴは準々決勝で同じく強豪選手で弟のルカ・ダラーゴ(オーストリア=28)そしてスコット・クロクソールと対戦。スタート直後の混戦でスコットと接触。ここで転倒し、巻き返すことができずに敗退。そのスコットは準決勝で兄カイル、ルカ・ダラーゴと対戦。レース終盤まで 先行する兄とともに決勝進出かと思われたが、最終コーナー手前でルカに追い越され、思わず手を出してしまった。バランスを崩したルカはコーナーを曲がり切れずに壁に激突。2番目にゴールしたスコットはその行為で失格となり敗退した。

レッドブル・アイスクロス横浜大会 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

決勝戦の顔ぶれは、若手有望株のミルコ・ラティ(フィンランド=23)、明るい人柄で人気者のスティーブン・コックス(カナダ=29)、風格漂う往年のチャンピオンのカイル、そしてキャメロン・ナーズとなった。

スタートして最初のコーナーに先に突入したのはキャメロンだったが、後ろをピッタリと重なるようにコーナーを曲がるカイルの圧力に屈してバランスを崩し、危うく転倒するかと思われた。うまく体勢を立て直したが、その間を縫ってラティが先頭に躍り出た。そのラティもすぐにキャメロンに追いつかれると、足がキャメロンの足ともつれて転倒し、 優勝争いはキャメロンとカイルの一騎打ちとなる。

最終コーナー前までは1~2mほど差があった両者だが徐々にカイルが追いつき、ゴール手前のバンプを両者同時にジャンプ。つま先が先にフィニッシュラインを越えた選手が勝ちになるため、両者ともに足を投げ出し、ほぼ同時にゴール。写真判定の結果、スケート靴の刃の差でキャメロンが優勝した。

液体窒素が流れるホースを張りめぐらしてアイスコースを作る ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

女子決勝は、2016年に世界選手権が始まって以来ワールドチャンピオンを二分しているアマンダ・トルンゾ(アメリカ=30)とジャクリーン・レジェール(カナダ=28)、そしてマキシ・プラント(カナダ=27)とジュニアながら決勝に勝ち進んだジャスティン・ゾンネ(ラトビア=18)。

レースはプラントがスタートダッシュを決めると歴代チャンピオンたちの追随を許さず、そのまま独走してゴールした。2位争いは、最後の直線からブリッジの登りの間にレジェールを追い越したトルンゾがゴール手前のバンプでバランスを崩して転倒し、レジェールが2位でゴールした。

レッドブル・アイスクロス横浜大会 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

大会後キャメロン・ナーズは「再び横浜で優勝できてとても気分がいいです。これまでアイスクロス・ワールドチャンピオンシップはさまざまな地域で開催していますが、このようにアジアで開催されて、しかも 優勝を飾ることができてとてもうれしいです。ATSX 1000はポイントが高く、参加選手はポイント獲得のためにとても強い気持ちで来ています。また事前にそれぞれしっかりとした準備をしているので、力の差がなくなっていると感じています」とコメント。

初優勝を果たした女子のプラントは「大会に出場してから今回で6シーズン目ですが、これまでは小さな大会でしか優勝したことがありませんでした。今回のような大きな大会で優勝できてとてもうれしく思います」とコメント。

山本純子は「2回目の母国開催に大勢のお客さんが来場し、大会を盛り上げてくれたことをうれしく思います。日本の若い選手も出てきており、年々アイスクロスという競技が日本でも広まっていることを感じています」と語った。

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レッドブル・アイスクロス…どうやって優勝者が決まるかを解説

レッドブル・アイスクロス横浜は2月15日夜、横浜市の臨港パーク特設会場で決勝ラウンドが開催される。日本勢男子は山内斗真が、女子は山本純子吉田安里沙がファイナル進出を果たした。当日はどうやって優勝者が決まるか? 公式サイトにもあまり記述されていないのでご紹介。

LCQでも果敢な走りを見せる ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

エリート男子の決勝進出選手は64人

カテゴリーは男子、女子、ジュニアの3つ。レースは1ヒート4選手で行い、各ヒートの上位2選手が次のレースに勝ち進む。これがベースとなる。それではどうやって組み合わせが行われるのかを解説。

96選手が出場したエリート男子。まずは14日早朝に「タイムトライアル」を実施。出場選手が1人ずつスタートし、ゴールまでのタイムを計測した。1人は2回出走してその平均タイムを算出して順位づけ。32位までが決勝の1回戦となる「ラウンドオブ64」に自動的に進出。33位以下の選手が4人によるLCQ(Last Chance Qualifier)と呼ばれる敗者復活戦を行って、上位2選手が「ラウンドオブ64」に進出した。このLCQは14日夜に開催された。

「ラウンドオブ64」はこうして進出を果たした64選手が4人ずつ、16ヒートに分けて戦う。スタートダッシュが肝心なだけに4つあるゲートはタイムトライアルの上位選手、LCQの勝ち上がり順にゲートを選んでいく。

山内斗真が海外勢に一歩も引けを取らない滑りを見せる ©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

「ラウンドオブ64」での各ヒート上位2選手が「ラウンドオブ32」(合計8ヒート)に進出。各ヒートの1位選手からゲートを選べるので、1着か2着かも勝ち上がりに影響する。1着同士が次のラウンドで同一ヒートとなった場合はタイムトライアルの上位選手が先にゲートを選べる。

「ラウンドオブ32」での各ヒート上位2選手が「クォーターファイナル」(合計4ヒート)に進出。「クォーターファイナル」での各ヒート上位2選手が「セミファイナル」(合計2ヒート)に進出。

「セミファイナル」の3位以下選手が「スモールファイナル」に回り、5〜8位を争う。そして「セミファイナル」の上位2選手が「ビッグファイナル」に進出して、1〜4位を争う。

世界のトップ選手と一緒に滑る山本純子(後方の赤いジャージ) ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

女子の決勝進出選手は16人

横浜大会に出場した女子は23選手と少なかったため、通常の勝ち上がり方式を調整し、ローカルルールで開催された。まずタイムトライアルの上位8選手が「クォーターファイナル」に自動的に進出。LCQで勝ち上がった8選手が「クォーターファイナル」に加わった。以下は男子と同様となる。

●2月15日のタイムスケジュール
18:00 男子ラウンドオブ64
18:45 女子クォーターファイナル
19:10 男子ラウンドオブ32
19:35 男子クォーターファイナル
19:48 女子セミファイナル
19:55 男子セミファイナル
20:00 男子・女子ファイナル

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山内斗真、山本純子、吉田安里沙が決勝へ…レッドブル・アイスクロス

レッドブル・アイスクロス横浜は2月14日、タイムトライアルとLCQ(Last Chance Qualifier)と呼ばれる敗者復活戦が行われ、日本勢男子は山内斗真が、女子は山本純子と吉田安里沙が一般観客が来場する15日夜の決勝に進出した。大会は横浜市の臨港パーク特設会場で開催される。

世界のトップ選手と一緒に滑る山本純子(後方の赤いジャージ) ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

この競技での第一人者である山本はこの日早朝に行われたタイムトライアルで、出場23選手中の14位。女子は8位までが決勝に進出し、9位以下の選手がLCQに回ったが、山本は安定した走りで勝ち抜け、翌日の決勝に進出した。

「決勝では同じ実力の選手たちばかりなので、あとはハートだけ。明日は練習でいくつかのポイントを確認し、いい感触をつかんで本番に臨みたい」と山本。

吉田安里沙が15日の決勝に進出
スタート台からのシーン

吉田もLCQを突破して翌日の決勝へ。「楽しく滑れるようになったのが収穫です。明日の決勝も頑張りたい」と喜びを見せた。

滑るたびに実力がついてきたことを感じると吉田安里沙
男子で唯一の決勝進出を果たした山内斗真

男子で唯一の決勝進出を果たした山内は、「ボクしか残っていないので、やりきるしかない」と闘志を見せた。

山内斗真 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
LCQでも果敢な走りを見せる山内斗真 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool
山内斗真が海外勢に一歩も引けを取らない滑りを見せる ©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
鈴木雅仁(後方)。「スポーツは勝たないといけないので」と敗北を認めた

ベテランの鈴木雅仁は決勝進出ならず。
「自分がヘタなだけ。情けないです」という第一声。「いろんな人にサポートしてもらってここに立てているので」と、決勝進出は最低限の目標だったという。

「経験としては積めたけれど、スポーツは勝たないといけないので。もうちょっとだったとかの言い訳は通用しない」

36歳という年齢でも挑戦できることもあるが、このスポーツは16歳から本格的に始めることができるので、若い世代がこのスポーツの魅力を感じ取ってくれるような育成をしたいと言葉を続けた。

安床武士。「リベンジ一心でここに来たけれど」と痛恨の予選敗退

インラインスケートのスーパースター、安床武士も決勝進出を阻まれた。
「インラインスケートをやめてアイスクロスに集中すればレベルアップは確実にできるけど、自分はインラインスケートを一生の仕事としてやっていくのだから、本筋は譲れないという弱さがあるんです」とコメント。

女子の佐藤つば冴も決勝には進めず。
「いつになったら楽しめるんでしょうか?」と語る一方で、タイムトライアルの1本目はこれまで以上にうまく滑ることができ、失意の中でも少しの自信がついたことが収穫だという。
「一番大事なことはブレないことですね。これからもこの競技を続けていきたいと思います」


2月15日(土)一般公開日
08:30〜11:00 トレーニング
15:00 開場
18:00〜20:30 決勝

18:00メンズ Round of 64
18:45ウィメンズ 準々決勝
19:10メンズ Round of 32
19:35メンズ Round of 16
19:45ウィメンズ 準決勝
19:55メンズ 準決勝
20:05ウィメンズ 決勝
20:15メンズ 決勝
20:30授賞式
決勝進出を逃した佐藤つば冴

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レッドブル・アイスクロス横浜開幕…その見どころは?

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、スキークロスやスノーボードクロスの要素を取り⼊れたアイスクロス競技の最高峰、レッドブル・アイスクロス横浜が2月15日(土)に横浜市の臨港パーク特設会場で開催される。

横浜を象徴するビル群を背に猛スピードで駆け抜ける選⼿たち © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

一般入場は15日のみだが、競技に向けたトレーニングは13日から、組み合わせを決めるタイムトライアルと予選は14日に行われる。15日の決勝を興味深く観戦するため、一般非公開の2日間の流れを紹介。


レッドブル・アイスクロス横浜の大会日程

2月13日(木)
16:00〜19:00 トレーニング(女子、ジュニア、男子の順)

2月14日(金)
11:00〜13:30 タイムトライアル(1人ずつ出走)
18:15〜20:00 予選(4人で走行)
20:15〜21:00 ジュニアカップ、フリースタイル

2月15日(土)一般公開日
08:30〜11:00 トレーニング
15:00 開場
18:00〜20:30 決勝

18:00メンズ Round of 64
18:45ウィメンズ 準々決勝
19:10メンズ Round of 32
19:35メンズ Round of 16
19:45ウィメンズ 準決勝
19:55メンズ 準決勝
20:05ウィメンズ 決勝
20:15メンズ 決勝
20:30授賞式
レッドブル・アイスクロス横浜の特設コース

2着以内が先に進めるノックアウト方式

アイスホッケーやモトクロスのプロテクターを付けた恐れ知らずの選手たちが、コース途中に設置されたヘアピンカーブやバンクコーナー、連続バンプや段差などの障害物をかわしながら高低差のある氷の特設コースを滑り降りる。横浜大会の全長は350m。

コースは自然の地形やスキー場に設営されることもあるが、最高カテゴリーの大会は街中に特設会場を設置して、多くの観衆がアクセスしやすいようにしている。横浜大会が開催される臨港パークはみなとみらい駅からすぐ、JR桜木町駅からも歩いて行ける。

カテゴリーは男子、女子、ジュニアの3つ。レースは1ヒート4選手で行い、各ヒートの上位2選手が次のレースに勝ち進む。つまり準々決勝は4ヒートの合計16選手、準決勝は2ヒートの合計8選手。決勝レースはそれまで2着以内で勝ち上がった4選手で競われる。

決勝以外は2着に入ればその先に進めるということだが、1着選手からスタートゲートを選択していいので、準決勝までも着位は極めて重要だ。

国内の注目選手

●山本純子
日本にも楽しさを伝えたい! レッドブル・クラッシュドアイスに挑む山本純子
●安床武士
消えていく世界チャンピオンの後ろ姿は忘れない…安床武士ファイナルで敗退
●鈴木雅仁
あとに続く道を作っておきたい…レッドブル・クラッシュドアイスに挑んだ鈴木雅仁
●吉田安里沙
吉田安里沙17歳。レッドブル・クラッシュドアイスは第1章が終わったばかり
●佐藤つば冴
このままでは終われない! 佐藤つば冴、クラッシュドアイスに継続参戦


出場選手の多くはすでに2月12日に現地入り。13日から試走が始まる。PRESSPORTSでは観客が入場できないタイムトライアルや予選の結果も紹介していきます。
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アイスクロスの冬季五輪入り…日本がリーダーとなる必要性

昨今話題のアイスクロス競技だが、その日本人パイオニアである猿渡亮が、2月2日に長野県小諸市の高峰高原にあるスキーリゾート、アサマ2000パークで開催されたATSX100長野大会に出場。選手としての活動を終えて、今後はアイスクロス競技の発展のために尽力したいと語った。

猿渡亮。2012年のオランダ大会でのシーン ©Sebastian Marko/Red Bull Content Pool

2009年、早稲田大4年生のときにレッドブル・クラッシュドアイスのケベック(カナダ)大会にアジア選手として初出場を果たしたのが猿渡だ。学生時代からアイスホッケーやアルペンスキーの競技選手として活動し、氷の上をダウンヒルするという新種目に魅了された。2012年は、ワールドツアー全4戦(米国、カナダ、スウェーデン、オランダ)に出場。最高成績はベスト24。2012年スウェーデン戦のタイムトライアルでは5位をマークした。

「世界的にも貴重ですね。アイスクロスの練習ができるのは」と、長野のスキーリゾートに設営したアイストラックを見ながら感慨深げに語り始めた。
「2012年にオーストリアを拠点として活動して。そのときはかなり成績がよかったですから」

山内斗真(左)が果敢に滑る。その背後は鈴木雅仁 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

暖冬の影響もあって、日本でアイスクロス大会を開催するのは苦労が多い。2019年も大会を企画したが、気温が高く氷作りができなかった。

「今回もこの暖冬。それでも昨年の失敗を生かして、そして鈴木雅仁選手たちの力もあってコースができてうれしい。これまでの努力が救われました」

シーズン前半に積極的に海外転戦してきた鈴木雅仁

駅至近の横浜大会こそ醍醐味が味わえる

気象変動が影響を及ぼしている環境ではあるが、それでも大観衆が集まる横浜大会を開催する意義は大きいと語る。

「アイスクロスの会場は2タイプあるんです。今回の長野大会のような大自然の中で作るのと、横浜のような場所と。気温が高くても枠組みを作って冷却チューブを敷いて氷を作る。その装置があればどんな都市でもできる。これを最初にやったのがケベックです。世界遺産の町並みの中で戦った。当時で6万人の大観衆、現在は10万人が集まるイベントになりました。大都市とか世界遺産の中で、何万人の観客の中で滑る刺激がこの競技の1つの醍醐味なんです」

出場選手たちがアイスコースを設営し、補修も協力しながら行う

長野大会には出場したが、じつは今シーズンは選手としては出ないつもりだったという。だから横浜大会にも出場しない。選手という立場を離れてやるべきことがあるからだという。

「冬季五輪の正式種目採用に向けて、国際協会はそれを視野に入れて動いている。五輪種目になるには競技レベルの向上、地域性の拡大などをクリアしていく必要がある。それを日本はアジアのリーダーとなってやっていくべきなんです。今は選手たちが中心になって大会運営をしていますが、今後は選手として現場を経験した人が運営側に回りながら、中長期的に競技発展のために見ていかなければ。選手がこれだけ集まるという基盤が見えてきたので、世界協会との連携を積極的にやっていきたい。競技を育てていく運営側として勉強していきたいんです」

●レッドブル・アイスクロス横浜大会のホームページ

山本純子がアイスクロス長野大会優勝…佐藤つば冴は2位

アイスクロスのATSX100長野大会が2月2日に長野県小諸市の高峰高原にあるスキーリゾート、アサマ2000パークで開催され、長野県出身の山本純子が女子クラスで優勝した。地元長野県の軽井沢を拠点とする佐藤つば冴が2位になった。

日本の第一人者山本純子(左)と佐藤つば冴 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、スノーボードクロスの要素を取り⼊れたアイスクロス競技。2001年に誕生したこの競技は、世界選手権のRed Bull Ice Cross World ChampionshipとしてATSX主催で開催されている。大会は規模と獲得ポイントでATSX100、ATSX250、ATSX500、ATSX1000の4クラスに分かれる。長野大会はATSX100、また2月15日に開催される横浜大会は最上級カテゴリーのATSX1000だ。

山本純子がATSX 100長野大会の女子クラス優勝 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

今シーズンは2019年12月28日(土)にオーストリアのユーデンブルクで開催した ATSX500 を皮切りに、2020年1月11日にフランスのプラルー、そして1月18日に米国ウィスコンシン州モンデュラックで3戦続けてATSX500を開催している。

そしてATSX250を2月1日にペルセ(カナダ)、ATSX100を2月2日に長野で開催。2月8日に再びATSX500 をラウタランピ(フィンランド)で開催した後、2月15日に横浜でATSX1000の大会を開催する。

山内斗真(左)が果敢に滑る。その背後は鈴木雅仁 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool
シーズン前半に積極的に海外転戦してきた鈴木雅仁

「アイスクロスが好きですという若い女性も参加してくれるようになり、とてもうれしいです」と第一人者の山本は自らの優勝よりも新たに参加してくれた競技者が誕生したことに笑顔を見せた。

「欲をいえば女性選手がもっと増えてくれたら。フィギュアスケートやスピードスケートを含めたスケート人口は日本でもあるわけで、アイスクロスの競技者が増える基盤はあるはずです」

出場選手たちがアイスコースを設営し、補修も協力しながら行う

反省点を挙げ、これからの課題とすることも忘れない。今回は、「アイスクロスの大会がここで開催される」ということを伝えきれなかったという。積極的に発信できなかったわけは、コースがきちんとできるのかが不安だったという要因もあったはずだ。前年は温暖化でアイススロープの設営がかなわず、大会中止となっていたからだ。今回は出場選手総出で見事なアイススロープを作り上げた。

「女子選手のカテゴリーがあって、スケート靴と防具があればだれでも滑れるということを発信していきたい。アイスクロスをやってみたいと思っている人はいるはずです。女子選手層を増やすのは、女子選手である私がやることなんだと思います」

佐藤つば冴がATSX 100長野大会に挑む

札幌が冬季五輪開催に名乗りを挙げたことも追い風にしたい

2018年12月に日本で初めて横浜大会が行われたことで、山本選手が地元北海道の苫小牧に帰ったときに、子どもたちがその存在を認知してくれていたことに喜びを隠さない。さらに2026年冬季五輪誘致に札幌市が乗り出したこともビッグニュースだ。アイスクロスは冬季五輪の正式種目入りを目指しているからだ。

「具体的な話は出てきていないんですが、アイスクロス国際団体のATSXや各国の競技団体が最終目標としているのが冬季五輪。だから私も、アイスクロスの普及につながることは全部やっていきたいです」

ATSX 100長野大会優勝の山本純子(中央)。左が2位の佐藤つば冴

2月15日の横浜大会は、2回目だけにとても楽しみにしているという。

「前回はたくさんの人たちがフェンス際で応援してくれました。来場してくれた人たちに盛り上げていただいて、その中で私たちもいいレースができれば、このスポーツはさらに広がっていくと思います。その中で表彰台、そして優勝できるように頑張っていきたいです」

ATSX 100長野大会の男子表彰台は外国勢が独占した
マット・カワハラ(米国)がATSX 100長野大会を制した ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

●レッドブル・アイスクロス横浜大会のホームページ