ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は、1月26日に第4ステージを実施。今大会最難関ステージとなったこの日はトマ・ルバが5位でフィニッシュ。個人総合でも5位につけ、順位アップに成功している。
この大会の開幕以降、スプリントや要所でのアタックで存在感を示してきたKINAN Cycling Team。プロトン(集団)内での位置取りも含め、他チームからも一目置かれる立場となっていることをチーム全体が実感している。
そして迎える第4ステージは、難所のマウンガカワ・ヒルの頂上に設けられたフィニッシュを目指す143.8km。おおむね平坦基調の前半を経て、中盤からは起伏の激しい区間へ。74.5km地点にこの日最初の山岳ポイントが設けられて、その後は次々とアップダウンがやってくる。107.3km地点で1回目のマウンガカワ・ヒルを上り終えると、約36kmの周回へ。そして、最後に2回目のマウンガカワ・ヒル登坂が待ち受ける。登坂距離は約3km。平均勾配が6%で、頂上に近づくにつれて急勾配になっていく。
この大会のクイーンステージに臨むにあたってKINAN Cycling Teamは、好調のトマで勝負することを確認。残る4人のメンバーがアシストに従事し、重要局面でトマを前方へと送り込む役割を務める。
レースは、リアルスタートから20kmを過ぎたタイミングで数人が上りを利用して飛び出し、やがて8人による逃げグループを形成する。KINAN勢はこの動きに乗じず、メイン集団に待機。5選手がまとまって集団前方に位置し、重要な局面に向けて態勢を整えていく。この間、逃げグループとメイン集団は、最大で3分ほどのタイム差で推移した。
この日最初の山岳ポイントを迎えるあたりから、逃げと集団との差は縮小傾向に。逃げメンバーの協調体制が保たれず、追撃姿勢を見せ始めた集団とのタイム差は縮まっていく一方。これに合わせるかのように、KINAN勢も集団内でのポジションを固めて、次なる展開へと備えていく。
そんなメイン集団の情勢に変化が生まれたのは、100km地点を目前としたタイミング。繰り返しやってくる急坂区間に、人数が絞り込まれていく。KINAN勢もトマを前方へと送り出してアシストの役割をまっとう。序盤から逃げていた選手たちは吸収され、個人総合で首位に立つアーロン・ゲート(ニュージーランド、エヴォプロサイクリング)を含む2人が新たに先頭へ。トマは単騎となって第2グループで1回目のマウンガカワ・ヒルを上った。
フィニッシュを目指して進む約36kmの周回では、逃げる2人に対して14人ほどのメイン集団が追う構図。人数をそろえるチームが主に集団を牽引し、KINAN勢で1人残ったトマは虎視眈々とチャンスをうかがう。先を急ぐ先頭2人に対し、集団はわずかながらタイム差を縮めていく。そして、マウンガカワ・ヒルの上りに入って集団から数選手のアタックが生まれる。
この変化に懸命に食らいつき、前を目指すトマ。勢いに勝るライバルの先行こそ許したが、粘って上位戦線にとどまる。先頭では、集団から飛び出した選手が逃げていた2選手をパス。そのままフィニッシュへと向かっていった。
トップまではわずかに届かなかったトマだが、最終盤の絞り込みでしっかりと上位進出を固め、最後は5位でフィニッシュ。ステージ1位との差は12秒だった。
このステージでの結果が総合成績に大きく反映され、トマは個人総合でも5位に浮上。首位を守ったゲート選手との総合タイム差は1分31秒だが、同2位以降トップ10圏内は数秒単位の僅差となっており、最終結果が出るまでは予断を許さない状況が続いている。
なお、トマの上位進出を支えた大久保陣、山本大喜、中島康晴、新城雄大の4人もフィニッシュラインを通過。問題なく次のステージへと進出する。
ニュージーランド伝統のツアーは、残すところ1ステージ。大会の拠点都市であるケンブリッジを発着とする143.3km。スタート後、1周8kmの第1周回を8回まわり、進路をケンブリッジ方面へと戻しつつ同じく8kmの第2周回へ。ここも8周回して、ケンブリッジのフィニッシュ地点を目指す。平坦基調の1日は、スプリント勝負になる可能性が高い。KINAN Cycling Teamは、トマの総合成績を確定させることを大前提としつつ、大会を通じて調子を上げてきた大久保を軸としたスプリントにもトライしていく姿勢だ。
トマ・ルバのコメント
「ステージ優勝を狙って臨んだ。終盤は14人がリーダージャージを含む2人の逃げを追う展開となり、消耗を避けながら勝負どころを見極めていった。大事な局面でライバルのアタックを許してしまったのは自分のミス。
シーズン初戦の結果としては悪くない。ベストコンディションではないし、チームとしての動きについてもまだまだ話し合う必要がある。今後も連携を深めていきたい。明日もハードで、平坦ステージとあって自分向きではないが、できるだけのことはやって大会を終えたい」
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