東海地区を転戦するサイクルロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」2019年シーズン第3戦が、3月2日に岐阜県海津市の国営木曽三川公園長良川サービスセンター内の特設コースで開催された。90人もの選手が参戦した最上位カテゴリーの1-1クラスは、国内トップチームを中心としたハイレベルの戦いに。残り2周で逃げグループから抜け出したマトリックスパワータグ勢がワンツーフィニッシュ。シリーズ初参戦のオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ)が優勝した。
今節は第1戦以来となる長良川開催。前節の新城(2月10日)はクリテリウム形式でスピード域の高いレースだったが、今回は国内シーンの本格的なシーズンイン間近でもあることから、102kmにレース距離を設定。この時期特有の北からの季節風「伊吹おろし」も展開に大きく左右することが予想された。
シリーズのホストチームであるKINAN Cycling Teamからは、山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、雨乞竜己、新城雄大、荒井佑太に加え、競輪が本職の福田真平がKINANジャージを身にまとっての初レース。8選手がエントリーした。さらに今節は、ベストメンバーを配したマトリックスパワータグをはじめ、国内有力チームが多く参戦。90選手がスタートラインに並ぶ注目の一戦となった。
5.1kmの周回を20周するレースは、このシリーズの特徴でもあるアクチュアルスタートからのアタック合戦で幕開け。1周目には山本元と岸本伊織(ロードレース男子部)が飛び出し、それをきっかけにプロトンが活性化するなど、調子を上げる選手たちが次々と攻撃的な姿勢を見せる。KINAN勢とマトリックス勢、どちらかが動くともう一方がチェックにシーンや、両チームの動きをマークする選手たちが同調する場面が繰り返し発生。出入りが何度もありながら、前半戦を消化していった。
その均衡が破られたのは9周目。佐野淳哉らマトリックス勢を中心とした動きに続いた7人が、メイン集団とのリードを広げることに成功。一瞬対応が遅れたKINAN勢は、椿が先頭グループに加わったものの、他の選手たちが続くことができず、メイン集団からの追撃にシフトすることとなった。
やがて先頭は6人で落ち着く。メンバーは佐野、アウラール、ホセビセンテ・トリビオのマトリックス勢が3人、中里仁(Rapha Cycling Club)吉岡拓也(Team Eurasia – IRC Tire)、そして椿。なかでも、佐野による長時間の牽引が目立つ。追いつきたいメイン集団は20秒から30秒のタイム差で続くが、力のある選手たちがそろった逃げグループにはそう簡単に迫ることができない。残り周回が減っていくにつれて、逃げ優位の状況が形作られていった。
役目を終えた佐野が下がってからも、マトリックス勢が主導権を握る流れは変化せず。そして、決定的な局面は残り2周でやってくる。周回後半の追い風区間でアウラールがアタック。中里や椿が懸命に追うが、強力なスピードアップへの対応に苦しむ。この2人の状態を見るや、トリビオがカウンターで飛び出しアウラールに合流。マトリックスの2選手が後続との差を引き離しながら、最終周回へと入っていった。
協調を続ける先頭の2人は、最後の最後まで快調な走り。最終コーナーを抜けると、あとはフィニッシュラインまでウイニングライド。両者並んでフィニッシュしたが、公式記録はアウラールの優勝に。ホセ選手が2位となり、マトリックスパワータグによるワンツーが達成された。
今シーズンから日本のチームで活動するアウラールは、ベネズエラ代表として2017年のロード世界選手権にも出場経験のある若手。同シリーズ初参戦にして、鮮烈なインパクトを残す走りを見せた。
なお、ホストとして臨んだKINAN Cycling Teamは、終盤追い上げたメイン集団でのスプリントに挑んだ大久保陣の4位が最高だった。
キッズスクールやAACA選抜トライアウトも実施
KINAN AACA CUPでは、参加選手のレベルやスキルに合わせた1-1から1-4までのカテゴリー、個人タイムトライアルのほか、キッズレースも実施。エリートレースさながらの熱戦が繰り広げられた。
また、小学生を対象としたキッズスクールも行われ、今回は椿が講師を務め安定したストレート走行やコーナーリングをレクチャー。KINAN Cycling Teamの選手たちもサポートとして加わり、プロ選手たちと一緒に走る貴重な時間を過ごした。
また、このほどツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2、5月30日~6月2日)への出場が発表されたAACA選抜チームのメンバー入りを賭けたトライアウトも実施中。すでに今節好走した選手に鈴木新史監督がヒアリングを行うなど、続々と注目選手が集まっている。次節・4月14日の第4戦(三重県いなべ市・農業公園梅林公園内特設コース)までがトライアウト対象レースで、23歳未満の選手たちの中から熊野路を走るメンバーが選出されることになる。
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