手持ちの愛車をワイヤレス電動化するXshifterはかなり使える!

ボタン操作で変速機が動く電動チェンジシステムは高嶺の花だったが、手持ちの愛車をワイヤレス電動シフティング化する商品「Xshifter(エックスシフター)」が新発売された。すべての調整はスマホアプリで行い、ロードでもMTBでも、さらに何段ギヤでも稼働する。輸入代理店のアクションスポーツで試乗してみた。

革新的ワイヤレス電動ユニットを指差すアクションスポーツの神田秀仁さん
まずは使用しているスプロケットのギヤ数を選択。写真のモデルは9段だ

「変速機や変速レバーを交換することなく、所有している自転車をワイヤレス電動シフト化することができたらいいなあ」

奇想天外な発想でこの「Xシフター」を開発したのが米国のポール・ギャラガー氏。エンジニアとしてハーレーダビッドソンに採用されている現在のブレーキシステム、自転車部品のスラム社のブレーキ部品を開発したスゴ腕だ。自転車を愛するサイクリストでもあり、自分のMTBに使われている既存の重くて高額なワイヤ式変速システムを、半導体技術を駆使した電動ワイヤレスシフト化するアイデアを考案。2018年4月に事業を立ち上げ、「軽量で、より速く、より正確で、より汎用性があるシフティングシステム」をその秋に作り上げてしまった。

フレームのチェーンステーに装着。MTBの場合はドロのかかりにくいフレーム上部につけるといいらしい
ブレーキ握り部にポッドを装備。ボタンはアップとダウンの2つ
Xshifterのパッケージ

従来型の変速機はハンドルにつけられたブレーキレバー一体型のシフトレバーを操作すると、金属ワイヤを介して変速機が動き、チェーンを次のギアに移動させるという仕組みだ。そして10年前、日本のシマノをはじめとした大手パーツメーカーがワイヤのない電動変速システムを開発。レバー式ボタンを押すと無線信号が送られ、バッテリーを駆動力とした変速機がリモートで動く。

新登場したXシフターは、自分の自転車につけられているワイヤ式変速機を無線化できるのが魅力。しかもUSB充電式のバッテリーがコンパクトで軽く、本体とボタンの合計で118gしかない。ポッドと呼ばれる2つのボタンがある部品をハンドルの握る部分に装着し、変速機を動かす本体をフレーム後部に着ける。ポッドは市販のボタン電池で半年から1年作動。本体は1充電で1万回変速する。

画期的なのはどんな変速機も動かせることだ。スマホの無料アプリを使って、まず手持ちの変速機の段数を入力する。続いて最大ギヤと最小ギヤの距離を覚え込ませる。計算式によってギヤ1枚ごとのピッチが算出されるのだが、より正確な変速性能のために、実際にギヤ変速しながらアプリで0.1mmごとにワイヤの引き具合を調整していく。

アプリは無償でダウンロードできる。電池残量もひと目で分かるのがいい
アプリで微細な変速調整ができるのがスゴい!
トップギヤとローギヤにチェーンをかけてその可動域をアプリ上で算出する

実際に乗ってみた。ブレーキを握る部分につけられたボタンをクリックすると瞬時に変速する。ダブルクリックすれば2段分動く。発表されたときはオモチャかなと思っていたが、かなりの高性能だ。この面白いアイデア商品に、日本の自転車ショップも相当注目していて、取り扱うアクションスポーツには引き合いが殺到しているという。

もちろんツール・ド・フランスでプロが使うようなものではないが、一般愛好家には十分だし、なにより楽しい。今回試乗したのは後ろ側変速ユニットだったが、前側変速ユニットも近日中に発売される予定。

ギヤ間の可動幅を詳細設定していく
ギヤの段数を入力し、トップ(最小ギヤ)とロー(最大ギヤ)の間隔を計測し、変速機の動く範囲を覚えさせる
変速性能を高めるためにギアごとの最適な変速機位置を決めていく。これで完ぺき!

●価格と問い合わせ
Xシフター ワイヤレス電動シフティングシステムの価格は4万2000円(税別)。アプリは無料配付。取り扱いはアクションスポーツ

荒川や彩湖沿いの拠点、ABCキュービック

アクションスポーツ社屋の一角にラン&バイクステーションの「ABCキュービック」がある。荒川や彩湖沿いのルートを走るときにいい。シャワー、ロッカー各300円、駐車料1日800円。レンタルバイクもあり。

ABCキュービックは荒川を走るときのベースステーション