ロンドン五輪バドミントン混合ダブルス日本代表の潮田玲子さん、北京五輪トランポリン日本代表の外村哲也選手、元サッカー日本代表で、サッカーの普及活動や解説などで活躍する福田正博さんが、東松島市の小学校低学年の子どもたち95人にスポーツやカラダを動かす楽しさを伝えるイベントに参加した。
小野薬品工業とスポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構は東北3県の復興支援活動の一環として、子どもたちの心身すこやかなカラダづくりを応援するプロジェクト「すこやカラダ大作戦」を開催。5年目となる2019年は「すこやカラダ大作戦 in みやぎ」と題し、3月30日(土)に宮城県東松島市でプロジェクトのキックオフイベントを開催した。
岩手・宮城・福島の東北3県は小児肥満の傾向が全国の中でも高く、小児肥満の改善が課題となっている。「すこやカラダ大作戦」はその課題解消に向け、ゲストアスリートとともに「スポーツやカラダを動かす楽しさ」を子どもたちに伝え、継続的な運動を促進していくイベント。
イベントの始めのアスリートによるパフォーマンス披露では、潮田さんとサポートスタッフ井上選手とのラリーやジャンピングスマッシュが華麗に披露され、その速さにみんなが驚いた。井上選手のジャンピングスマッシュの打ち返しに果敢に挑戦する子どももいて、あと一歩で打ち返せそうな子どもに対し、観戦している子どもたちは「がんばれ!」「おしい!」といった声を上げていた。
サッカーでは福田さんの豪快なシュートとサポートスタッフのMaruco.(マルコ)さんの巧みなリフティングなどのパフォーマンスも。子どもたちの挑戦では、福田さんの「シュートしたい人?」の声に子どもたちの「はーい!(シュートしたい)」という元気な声が鳴りやまないほど。
トランポリンでは外村さんの得意技である約8m(ビル3階分)の高さもある3回宙返り、サポートスタッフとのシンクロナイズドといったハイレベルなパフォーマンスを間近で見た子どもたちは、その演技にくぎ付けだった。
3種目のスポーツレクリエーションでは、子どもたちがゲストアスリートとともに競技を体験。バドミントンでは、最初はラケットを使わずにシャトルを手で拾い、ネットの向こう側に投げる練習を行い、どちらのチームが多くのシャトルを投げられるかの勝負をした。潮田さんは子どもたちにラケットの持ち方や構え方をレクチャー。子どもたちは「(持ち方、構え方)あってる?」と潮田さんに聞く様子が見られた。
ゲストパフォーマンスでは、「すごい!速い!」と言っていたスマッシュに子どもたちも挑戦。潮田さんが高く投げたシャトルをスマッシュで懸命に打ち返していた。床に置いたシャトルケースにシャトルを当てた子どもに潮田さんも「ナイスショット~!」と声を上げていた。
サッカーでは、チームに分かれてミニゲームを実施。試合中の子どもたちには、コートの外の子どもたちが「がんばーれ!がんばーれ!」と元気よく応援していた。笑顔で練習していた子どもたちも試合中は真剣になって、サッカーに熱中していた。試合中転んでしまった子も、すぐに立ち上がり「勝つぞ!」と声を張り上げ、ボールを追いかけていた。ゴールを決めた子どもは、「ヤッター!」とチームのもとに戻り、サポートスタッフやチームメンバーとハイタッチする姿も。レクリエーションの終わりには福田さんは子どもたちに「サッカー好きな人、続けてください!」と声をかけていた。
トランポリンでは、外村選手とサポートスタッフの木幡さんが手取り足取り飛び方を教え、初めて体験する子どもたちも大きなトランポリンの上で大きなジャンプをしながら「すこやカラダポーズ」をするなど、どんどん新しいことを吸収していた。「難しい~!」という声もすぐになくなり、「楽しい!もっとやりたい!」といった声が上がっていた。
スポーツレクリエーション後、子どもたちはゲストアスリートに興味津々で、質問コーナーでは「質問ある人?」の問いに、次々と元気な手が挙がった。潮田さんへは、「どうやったらサーブがうまくなるの?」、「メダルは何個取ったの?」といった質問に対して、「何回も繰り返して練習することが大事! バックハンドサーブならおうちのなかでもできるよ!」、「小学生の時からだから100個、200個はあるよ!」と回答。
福田さんへは、「ボールを上げてシュートするのはどうするの?」という質問に対して、「とにかく、たくさん練習してください。そのためにも、しっかりごはんを食べてたくさん寝て体力をつけることが大切!」と笑顔で答えた。
外村さんには、「三回宙返りはどうやるの?」という質問があり、「こんな上手な選手になりたいといったイメージを思い浮かべて練習することが大切!三回宙返りするにはまず、二回宙返りをうまくならないといけないし、二回宙返りをうまくなるためには一回宙返りをうまくならないといけない」と子どもたちのキラキラした目を見て、まっすぐに答えていた。
イベントの最後に行われたミニ運動会では、チーム対抗の「玉入れ」で子どもたちとゲストアスリートが参加。チームごとに作戦会議をして、「がんばるぞー!」と円陣を組み、みんなで玉を籠に向かって投げ入れ、カウントの時にはみんなでワクワク結果を見守り、チームでの一体感が生まれていた。
昼食時には、保護者向けに生活習慣病に関する専門医(東北大学医学系研究科 藤原幾磨教授)による健康セミナーも開催された。セミナーでは、簡単にできる子どもたちの健康習慣の改善に関するアドバイスが行われ、熱心に講義に耳を傾ける参加者の姿があった。また、食育の一環として地元の高砂味噌などを使った温かいとん汁の炊き出しを行い、こちらも人気となっていた。
雪がちらつく寒い1日だったにも関わらず、朝から元気な子どもたちの声やアスリートのかけ声、笑顔にあふれ、会場内はその寒さを吹き飛ばす盛り上がりをみせた。この日開催した「すこやカラダ大作戦 in みやぎ」のキックオフイベントが、子どもたちだけでなく、その保護者や地域の指導者にとっても、生活習慣の意識向上のきっかけになったようだ。
「すこやカラダ大作戦 in みやぎ」では6月まで計4回のプログラムを開催予定。
潮田玲子さんのコメント
みんながニコニコしてバトミントンに取り組んでくれたのでうれしかったです! スポーツじゃなくてもいいので、夢に向かって頑張ってください。アスリートのみんなすごかったでしょ? いっぱい練習してすごく上手になったので、みんなも負けないように頑張ってください!
福田正博さんのコメント
自分のいいと思う人の真似をしたり、 いいものを見たりしてみてください。仲間と乗り越え、自分の好きなことに向かって情熱を傾けていってください! これからもその笑顔を忘れず楽しんでください。今日はありがとうございました!
外村哲也さんのコメント
みんなと一緒にトランポリンができて楽しかったです! 心のパワーがあれば夢をかなえられます。オリンピックにも出られます! トランポリンじゃなくても、スポーツでなくてもいい、どんな夢でもいいです。心のパワーを持って、みんなの夢をかなえてください!
小野薬品工業取締役 専務執行役員 佐野敬業務本部長
東日本大震災以降、なにか役に立てることはないかとずっと考えていました。震災の影響で子どもたちの運動環境が変わったことによって、肥満傾向の子どもが増加しているということを聞き、そうした課題を解決するためにも、子どもたちに運動することの楽しさを覚えてもらうとともに、保護者の方に食生活を見直してもらえればと考え、このすこやカラダ大作戦を実施させていただくことになりました。今後も東北に住む子どもたちに運動する機会を継続的に提供していきたいと思います。
東松島市 渥美巖市長
今回のすこやカラダ大作戦の企画にとても感謝しています。なぜなら、子どもたちに夢と希望を与える絶好の機会だからです。2020年には東京オリンピックがありますが、聖火がギリシャから一番最初に来るのが東松島です。今回の企画以降も、スポーツに関心を持ってもらい、汗をながしてもらいたいです。東松島も被災地のひとつですが、笑顔を持って一体となって、健康づくりに励んでほしいと思います。今日は子どもたちにとっては初めて体験する種目ばかりで、子どもたちのキラキラした目を見て非常にうれしく思います。
ヨガインストラクター 坂本佳那さん
震災から8年が経ち、街の景色も変わってきました。ここからは心の復興が大事になってくると思います。子どもたち一人一人の心と体のすこやかな健康そして保護者の皆様の心と体も選手たちのパワーをいただいて、とても心にパワーがわいたと思います。こんな素晴らしいイベントに参加させていただきありがとうございました。引き続き事後プログラムがありますが、自分の好きなことやできることに気づける場になってもらえたらうれしいです。
コメントを投稿するにはログインしてください。