室屋義秀がレッドブル・エアレースで開幕から2連勝

レッドブル・エアレース2019シーズン第2戦カザン大会が6月15、16日にロシアの同地で開催され、日本の室屋義秀が開幕戦に続いて2連勝を飾り、総合首位を守った。週末を通じて8万人のファンが集まった。

室屋義秀がレッドブル・エアレース第2戦カザン大会で優勝 ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

室屋に続く2位に入ったのは優勝候補のひとりに常に数えられているマット・ホール(オーストラリア)で、3位には室屋のライバル、現ワールドチャンピオンのマーティン・ションカ(チェコ)が入り、ともにライバルとタイトルを射程にとどめることに成功した。

92レース目となったカザンでのレッドブル・エアレースは、ときおりの雨と頻繁に変化する風向きが難しいコンディションを作り出していたが、ファイナル4は日光が差し込む中で行われた。その中で誰よりも強く輝いたのが、2017シーズンワールドチャンピオンの室屋義秀だった。

室屋義秀の優勝を喜ぶチームファルケン ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

ラウンド・オブ8でミカ・ブラジョー(フランス)を下してファイナル4に進出していた室屋は1番手でフライトして1分3秒496の好タイムをマーク。2番手に登場したションカは1分4秒234に終わり、2016シーズン以来のファイナル進出を果たした3番手のフランソワ・ルボット(フランス)はペナルティに泣いた。この結果、室屋が優勝するかどうかは過去3回総合2位を経験しているベテラン、マット・ホールのフライト次第となった。 

ホールは会場の盛り上がりにふさしいフライトを披露した。最初のスプリットで室屋に迫ったホールはその後0.5秒ほど遅れを取ってしまうが、最後のハイGターンで猛追してフィニッシュ。あわやかと思われたが、最後は0.185秒差で室屋が勝利した。

レッドブル・エアレース第2戦カザン大会のションカ ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

今回の勝利で室屋は英国のレジェンドパイロット、ポール・ボノムと並び「シーズン開幕2連勝を記録したパイロット」となった。

2019シーズンは全4戦となったため、第2戦カザンはシーズン折り返しとなった。カザン終了後の総合順位は室屋が53ポイントで首位を守り、2位には室屋から9ポイント差でションカが立っている。また、3位には36ポイントのホールが新たに入った。しかし、優勝で25ポイント、予選トップ3にもポイントが与えられるため、タイトルの行方はまだ分からない。室屋、ションカ、ホールは油断することなく1カ月後にハンガリーで開催される第3戦バラトン湖へ向かい、他のパイロットたちと全力フライトに挑むはずだ。

2016シーズンのワールドチャンピオン、マティアス・ドルダラーは予選でパイロンヒットを記録した際にウイングレットを破損し、決勝レース日までに修理が間に合わないことが分かったため、ラウンド・オブ14を欠場した。

2019シーズン第3戦はハンガリーの観光地ザマールディ市に位置するバラトン湖で7月13日・14日に開催される。

室屋義秀のコメント
「カザンは最初から好感触を得ていました。今日は風が変わっていたので、正しいラインを見つけるのに苦労しましたが、タクティシャンのベン(フリーラブ)が助けてくれました。チームはうまくまとまっています。全員がハードワークをしてくれているので、リラックスできています。ロボットのように飛ぶだけです。機体は非常に速く仕上がっていますし、自分の仕事をするだけです。今日は接戦でしたし、ポイント差も詰まっているので、次のレースも気を抜けません。バラトン湖でも勝利を狙っていきます」

室屋義秀がレッドブル・エアレース第2戦カザン大会で優勝 ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

●チケットを含むRed Bull Air Raceの最新情報

2019シーズン第2戦カザン:マスタークラス 最終結
1位:室屋義秀(日本)
2位:マット・ホール(オーストラリア)
3位:マーティン・ションカ(チェコ)
4位:フランソワ・ルボット(フランス)
5位:ベン・マーフィー(英国)
6位:クリスチャン・ボルトン(チリ)
7位:ニコラス・イワノフ(フランス)
8位:ミカ・ブラジョー(フランス)
9位:ピート・マクロード(カナダ)
10位:マイケル・グーリアン(米国)
11位:フアン・ベラルデ(スペイン)
12位:カービー・チャンブリス(米国)
13位:ペトル・コプシュタイン(チェコ)
14位:マティアス・ドルダラー(ドイツ)

ワールドチャンピオンシップ総合順位(第2戦カザン終了後)
1位:室屋義秀(日本)53ポイント
2位:マーティン・ションカ(チェコ)44ポイン
3位:マット・ホール(オーストラリア)36ポイント
4位:ニコラス・イワノフ(フランス)30ポイント
5位:ミカ・ブラジョー(フランス)26ポイント
6位:マイケル・グーリアン(米国)25ポイント
7位:フランソワ・ルボット(フランス)21ポイント
8位:フアン・ベラルデ(スペイン)16ポイント
9位:ベン・マーフィー(英国)15ポイント
10位:クリスチャン・ボルトン(チリ)13ポイント
11位:カービー・チャンブリス(米国)13ポイント
12位:ピート・マクロード(カナダ)10ポイント
13位:ペトル・コプシュタイン(チェコ)5ポイント
14位:マティアス・ドルダラー(ドイツ)3ポイント

レッドブル・エアレース第2戦カザン大会、予選でトップタイムをマークしたブラジョー ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

Red Bull Air Race 2019シーズン レースカレンダー
6月15日・16日:カザン(ロシア)
7月13日・14日:バラトン湖(ハンガリー)
9月7日・8日:千葉(日本) 

Red Bull Air Raceについて 
Red Bull Air Race World Championshipは、スピード・精度・スキルのコンビネーションが求められる究極の3次元モータースポーツシリーズで、世界一速くて俊敏な高性能レース機体に乗り込むパイロットたちが、世界的に有名な景勝地の水上と地上に設置されるレーストラックの上で激しい戦いを繰り広げる。このスポーツに求められる高速低空飛行と操縦テクニックは、世界最高と評価されるひと握りのエースパイロットだけが手にできるものだ。

地面・水面からわずか数メートルの高さを飛ぶ14人のマスタークラスパイロットは、航空業界最高レベルの精度とスキルが求められる状況下で最高時速370kmを記録しながらタイムを競い合う。また、最大12Gを受けながら空気注入式パイロンが設置されているテクニカルなレーストラッを攻略しなければならない彼らには、フィジカルコンディションを常にピークに保つことも求められる。

2003年に創設されたRed Bull Air Raceは国際航空連盟(FAI)公認のモータースポーツで、これまでに5大陸で90レース以上が開催されてきた。世界最先端の航空チャレンジとして知られるマスタークラス部門、Red Bull Air Race World Championshipへの参戦は、エリートパイロットの間で最高の栄誉として考えられている。2014シーズンには下位部門チャレンジャークラスが創設された。