カネに糸目をつけないツール・ド・フランスVIP観戦ツアー

想像を絶する規模で開催されるツール・ド・フランス。主催者はそれを商材としてさまざまなサービスを提供している。特別待遇で観戦できるVIPツアーは民間企業の接待にも使える内容。一方で競技の底辺拡大のため、開催地からの協力金を得て、子どもたちが無料で楽しめるイベント会場も用意する。

空の上からツール・ド・フランスを観戦しよう ©A.S.O. Thomas MAHEUX

ヘリコプターツアー

交通規制エリアを通行できる関係車両でも、ツール・ド・フランスを追うのはとても大変だ。一般車などの大渋滞があり、チームカーさえ動くことができないケースも多い。だからヘリコプターに乗って上空からレースを見ようというVIPツアーを主催者が用意している。

まずはスタート地点に設営された関係者用施設「ビラージュ」でひとときを過ごす。協賛各社がブース出展し、フランス経済の社交が演じられる特別のエリアだ。地元特産物がふるまわれ、「ご当地ワイン」コーナーではワインも味わえる。選手が顔を出すこともある。

ヘリコプターを使ってツール・ド・フランス観戦 ©A.S.O. Alex BROADWAY

スタート後はオフィシャルカーに同乗。お昼時にはレースからフルスピードで先行し、快適な木陰に陣取って後部トランクに積み込まれたランチトレーを味わう。ゲスト用のシャンパンやワインも用意されているはずだ。そしてコース途中に待機していたヘリコプターに乗り込み、約20分のフライトで上空からレースを追う。

最後はゴール地点に設営された特別エリアでゴールシーンを特等席から観戦。1ステージにつき3人限定。気になる料金はおみやげ付き、6500ユーロ(約85万円)。

ゴール地点には特別観覧席が用意されている

ルレ・エタップ

真夏のフランスは乾燥して暑い。そのためコース途中には「宿場町」という意味の「ルレ・エタップ」という憩いの場を主催者が用意している。こちらも大会協賛社やVIP用。

提供されるのは車両駐車証で、これには同乗者として3人までお客さんを連れてきていいという。

ルレ・エタップに到着したらまずアペリティフ(食前酒)が提供され、着席形式のランチが用意される。選手の1時間間にやってくる広告キャラバン隊から優先的なもてなしを受け、最優先席から選手らが走ってくるのを観戦することができる。

企業単位での申し込みが想定されているようで、料金は10人1セットで3000ユーロ(約40万円)、全日程をカバーする場合は10人1セットで6000ユーロ(約80万円)。どちらもおみやげ付き。

シャンゼリゼの特別観覧席

シャンゼリゼにはさまざまな観覧席が設けられている ©A.S.O. Pauline BALLET

最終日のパリはさらに豪華だ。7月14日のフランス革命記念式典の時にマクロン大統領が着席した特設スタンド「エリゼ」の座席も販売されている。最終日のフィニッシュラインの真横で、これほどの特等席はない。シャンゼリゼの反対側には大型映像スクリーンが設置され、レース展開も把握できる。入場時間は午後3時から9時までなので、表彰式も観覧可。10人1セットで2800ユーロ(約37万円)。

シャンゼリゼにはこれ以外に有名レストランで100人規模のランチパーティー付き観戦など多様なツアーがあり、どれも華やか。チームスポンサーなどがスペースを貸し切って来年の契約交渉などを行う場として利用されるようだ。

ファンパークは無料

ファンパークはウキウキしちゃう ©A.S.O. Pauline BALLET

一方で、地元の子どもたちが気軽に自転車に乗る楽しさを味わえるような仕掛けも用意されている。今年は開幕地のブリュッセル、休息地のアルビとニームで「ファンパーク」が限定オープン。開催時期は3日間。自転車に乗って凹凸のある走路に挑戦したり、テレビ連動の固定式ローラー台のペダルを回して出場選手の視野をVR体験したり。こちらは無料開放。

VR(フランス語ではRV) ©A.S.O. Alex BROADWAY
パンプトラックで自転車の推進力を体感する ©A.S.O. Thomas MAHEUX
大人がデモ体験していますがキッズ用です ©A.S.O. Thomas MAHEUX

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