マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ総合優勝

マレーシアで行われてきたステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は10月19日に最終の第5ステージを行い、KINAN Cycling Teamはマルコス・ガルシアの総合リーダージャージを守り切ることに成功。すべてのステージを終えて、マルコスが個人総合優勝を達成し、山岳賞との個人2冠。さらに、チーム総合でもトップを堅守。個人・チームともに総合力の高さを誇示する結果となった。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラで総合優勝  ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日は今大会唯一の山岳ステージが設定され、序盤に形成された先頭グループに4人を送り込むことに成功。レースの主導権を握り、最後はマルコスが後続に大差をつけてステージ優勝。さらに、アシストでも大車輪の働きを見せたトマ・ルバが2位となり、ワン・ツー・フィニッシュを達成。マルコスは個人総合で首位となり、リーダージャージを獲得。2位以下に対して3分以上の総合リードを持つ。また、山岳賞でもマルコスが首位、チーム総合もトップに立ち、個人・チームともにレベルの高さを示している。

そしてマレー半島をめぐってきた戦いは最終日。第5ステージは151.4kmで争われ、前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が設定される。その他はおおむね平坦基調だが、数少ない登坂区間がレース展開にどう影響するかがポイントとなる。最後は首都クアラルンプール郊外のセティアワンサにフィニッシュ。KINAN Cycling Teamはマルコスの個人総合首位のキープを絶対的な位置づけとし、最後のステージに臨むことになった。

その意識通り、KINAN勢はレースを展開していくこととなる。リアルスタートから約1時間にわたって出入りの激しい流れが繰り返されたが、その間はライバルチームの逃げ狙いの動きを選別。危険なアタックに関しては、各選手がチェックに入るなど、集中したレースの入り。

そうした状況から、50kmを過ぎたところで5人の逃げが決まる。以降はKINAN勢を中心にメイン集団が統率され、レース全体が落ち着く。中盤までは新城雄大や山本大喜が前線に出てペーシングを担った。

おおよそ2分台で進行した先頭とメイン集団との差は、後半の山岳区間で徐々に縮まりを見せる。上りのペースメイクはトマに加え、椿大志やサルバドール・グアルディオラが務め、マルコスの総合固めに。長い登坂で集団の人数を減らしながら、先を急ぐ選手たちとのタイムギャップを安全圏内へと戻していった。

ハードな上りに、テクニカルなダウンヒルも続き、タフなコース設定がなされたレース後半だったが、KINAN勢はトラブルなくプロトンを統率し、そのまま終盤へ。結果的に2選手の逃げ切りを許すこととなったが、総合争いに関係しない選手の動きとあり、マルコスを確実にメイン集団でフィニッシュへ送り込むことを優先。ステージトップから14秒差で集団がフィニッシュし、この中にマルコスはもちろん、最後までケアに努めたサルバドールとトマも入った。

この瞬間、マルコスのツアー・オブ・ペニンシュラ個人総合優勝が決定。同様に首位で最終日を迎えていた山岳賞でもトップを守って個人2冠を達成。山岳での圧倒的な強さが生かし、5日間の戦いにおける王座を戴冠した。また、トマが個人総合8位としてトップ10圏内に。サルバドールも同12位とまとめた。チームが重視するUCIポイントの獲得は、今大会合計で187点。

さらに、各ステージのチーム内上位3選手の合算で競うチーム総合でも1位に。個人で勝利したマルコスにとどまらず、各選手のアシストとしての働きや、要所での効果的な動きが奏功し、チームとしての強さも示すことに成功した。

例年同様にアジアをメインに数々のレースを転戦してきたKINAN Cycling Team。シーズン終盤で迎えた今大会を最高の形で終えることができた。この勢いのまま、残る戦いへとフォーカスしていく。チームは今後、公式戦としては10月20日のジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC)と、11月10日のツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)に出場する。そのほかイベント参加なども控えており、活発なチーム活動に努めていく。

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
「とてもうれしい。調子がよく、秋のレースや日本で過ごした時期を経て、今回もよい走りができた。今日も多くの出来事があったレースだった。スタートからハイペースが続いたが、われわれはとても強く、レースをコントロールできた。多くのアタックがあったが、いずれもしっかりとチェックしながら、先頭グループとの差も3分以内にとどめることも心掛けた。最後は先頭とのタイム差を気にする必要がなく、ストレスを感じずに走り切ることができた。今年は3月のツアー・オブ・台湾、4月のツアー・オブ・タイランドとよい走りができ、5月のツアー・オブ・ジャパンでは悔しい結果に終わったが、調子を戻して今回の優勝に結びつけられた。いまはとても良いシーズンだったと思える」

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