KINAN Cycling Teamの2020年初戦、ニュージーランド サイクルクラシックが1月15日に開幕。同国の首都ウェリントン近郊のマスタートンを発着とする122kmで争われた第1ステージは、トマ・ルバがチーム最上位の19位。山本大喜も26位と続き、上位陣が見える位置でフィニッシュ。選手たちは終始前線が見える位置でレースを進めながら、この先のステージへとつなげている。
チームにとって2年連続となるニュージーランドでのシーズンイン。2019年のこの大会では、総合・ステージそれぞれで上位争いに加わり、最終的にトマが個人総合5位で終えた。2020年も前回同様に、長いシーズンを見据えて勢いをつけるべく、日本とは季節が反対の南半球でのスピードレース出場を選択。トマと山本大のほか、山本元喜、椿大志、中島康晴、新城雄大の6人で挑む。
大会は同国唯一のUCI(国際自転車競技連合)公認のステージレースで、2020年で33回目。過去にはロビー・マキュアン(オーストラリア)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、現ユンボ・ヴィズマ所属)といった世界的ライダーもこの大会で優勝を経験。レースカテゴリーはUCIオセアニアツアー2.2ながら、例年スピードと駆け引きに富んだレースとなるのが特徴だ。
今回は、同国北島に位置するマスタートンを拠点に、全5ステージで構成。第1ステージはこの街を発着とする122kmに設定された。スタートからしばらく北向きに進行し、山岳ポイントを含む周回をめぐってからは、行きとは進路を逆走。おおむね行って戻ってのルートだが、フィニッシュ前1kmから続く上りがこのステージのカギとなる。特に最終局面は道幅が狭いこともあり、ポジショニングも重要な要素となってくる。
こうして迎えたレースは、これまでと同様にリアルスタートから激しい出入りの連続。逃げのチャンスと見るや山本元や新城が乗じて、集団に対してリードを奪おうと試みる。なかなか決定打とはならずも、前方をキープして重要な局面に備えていく。
アタックとキャッチの繰り返しは1時間以上続き、44km地点に設けられた山岳ポイントをきっかけに10人以上の逃げが一度は決まることとなる。ここにトマが加わり、さらには山本大が集団からのブリッジに成功。強力な先頭グループが形成されたかに思われたが、メイン集団はこの状況を許さず。結局トマと山本大は引き戻され、その後3人の飛び出しを容認して、レースは落ち着きを見せた。
以降は逃げグループを2分程度の差にとどめつつ、スプリントを狙うチームがメイン集団をコントロール。徐々にその差を縮めながらフィニッシュに向けて各チームとも準備を進めていく。残り4kmで逃げる選手たちを捕まえると、いよいよ最終局面へ。
激しい主導権争いから残り1kmを切ってフィニッシュへと続く上り。最後はポジショニングとパワー勝負。メイン集団がいくつにも割れる中、KINAN勢はトマと山本大がトップから11秒差で、それぞれ19位と26位。その後も大差なく続々とステージを完了させて、続くステージへと駒を進めた。
まずはトラブルなく最初のステージを終えて、次へとつなげた選手たち。レース勘を戻して、さらに戦えるチーム状態へと整えていく。翌15日に行われる第2ステージもマスタートンを発着。今度は南に針路をとって、山岳・中間スプリント両ポイントを通過した後、同地へと向かってレース後半は北上。全体的には平坦基調で、ハイスピードの展開となることが予想される。レース距離は121kmに設定されている。
2020 ニュージーランドサイクルクラシック 第1ステージ(122km)結果
1 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) 2時間49分41秒
2 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +0秒
3 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1秒
4 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +3秒
5 エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)
6 ルーク・マッジウェイ(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー)
19 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +11秒
26 山本大喜(KINAN Cycling Team)
43 山本元喜(KINAN Cycling Team) +19秒
49 椿大志(KINAN Cycling Team)
53 新城雄大(KINAN Cycling Team)
78 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分1秒
個人総合
1 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) 2時間49分31秒
2 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +4秒
3 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +4秒
4 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +13秒
5 エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)
6 ルーク・マッジウェイ(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー)
19 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +21秒
26 山本大喜(KINAN Cycling Team)
44 山本元喜(KINAN Cycling Team) +29秒
50 椿大志(KINAN Cycling Team)
54 新城雄大(KINAN Cycling Team)
78 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分11秒
ポイント賞
1 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 11pts
山岳賞
1 マーカス・カリー(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) 6pts
チーム総合
1 ブラックスポークプロサイクリングアカデミー 8時間29分11秒
9 KINAN Cycling Team +33秒
山本大喜のコメント
「逃げはなかなか決まらないだろうと思っていたので、個人的には落ち着いてレースに入ることを心掛けた。上りでトマたちが飛び出していったのを見て、自分もブリッジを試みて合流することができた。そのまま逃げられる感触はあったが、強いメンバーがそろっていたこともあって思ったように協調することができなかった。ただ、あの動きを見逃していたら逃げ切られていた可能性もあったので、しっかり対応できたことはよかったと思う。
まずは気持ちよく1ステージを終えられた。上りも軽くて、走りの感覚はとても良い。総合成績を意識しているので、明日以降も無駄な動きをなくして、勝負どころでしっかり対応できるようにしたい」
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