第107回ツール・ド・フランスは8月30日、ニースを発着とする距離186kmの山岳コースでドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)がマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)、アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)とのゴール勝負を制して優勝。
アラフィリップは総合成績でもトップに立ち、マイヨジョーヌを獲得した。
アラフィリップは2018年と2019年に各2勝していて、大会通算5勝目。2019年は14日間にわたってマイヨジョーヌを着用した。
大会最初の2日間はどちらもニースを発着とするステージだが、初日は平たん路、そしてこの日は内陸の山岳部を走る山岳コースだった。大会2日目に早くも厳しい峠が出現するというのが2020年の特徴だ。そんなハードコースの優勝候補はアラフィリップだ。レース終盤の峠で抜け出し、ゴールまで逃げ切るのが勝ちパターンである。
案の定、残り13kmの最後の峠でアラフィリップがアタック。これに新人のヒルシが反応し、イェーツも追従した。3選手は先頭を交代しながらゴールを目指し、残り1kmからは一転して、迫りつつ後続集団との距離を確認しながらのけん制合戦。息をのむような戦いをベテランのアラフィリップが制した。
「今シーズンはまだ1勝もしていなかったが、激しい練習は積んでいてその準備はできていた」とアラフィリップ。
「チームメートにレースを難しくするように頼んだ。だからアタックした時は先頭グループにもうライバルが残っていなかった。2カ月前に他界した父にこの勝利を捧げたい」
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEエミレーツ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)
【もの知りコラム】マイヨジョーヌが黄色になったわけ
複数の日程で争われるステージレースは、その日終わって各賞で1位となった選手にリーダージャージが与えられる。ツール・ド・フランスでは現在4つのリーダージャージがあるが、所要時間の合計で争う個人総合成績の1位選手が着用するのは、黄色いリーダージャージ、マイヨジョーヌだ。マイヨはジャージ、ジョーヌは黄色という意味。
マイヨジョーヌは1903年の第1回大会から存在したわけではない。
「集団のなかでも首位選手がすぐに見つけられるようにしてほしい」という取材記者の要望で、主催者が1919年に設定した。主催するスポーツ新聞のロト(現在のレキップ)の新聞紙の色が黄色だったことから採用された。パリ・シャンゼリゼの表彰台でマイヨジョーヌに袖を通した選手がその年の総合優勝者となる。
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