わずか20日で国際大会…IOCバッハ会長が世界選手権を絶賛

「イタリアはオリンピックの新記録を樹立した。記録的な時間で世界選手権大会を組織した。これは奇跡であり、イタリアのスポーツシステムの効率を示している」と、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が2020年のUCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権を開催したイタリアのイモラ・エミリアロマーニャ大会を絶賛した。

男子ロードの世界チャンピオン、ジュリアン・アラフィリップと記念写真に収まるバッハ会長(右) ©Isolapress ©Bettiniphoto – Imola2020

2020年の世界選手権は当初スイスのエーグル・マルティニーで予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大によりスイス政府がイベント制限措置を通告。UCIが替わりの開催地を模索していた。

UCIは代替会場として4都市からの招致を受け、スイスと同じくらい壮観でタフで要求の厳しいロードコースであること、現在のパンデミック中に最大の安全性を確保するために不可欠な最先端の施設があることを重点に、F1サーキットとしても実績があるイモラに決定した。

「イモラでのUCIロード世界選手権は、サイクリングが大好きで、このスポーツで歴史を作ったチャンピオンの発祥の地であるエミリア・ロマーニャにとって快挙だ。世界選手権開催を私たちは誇りに思う」と同地域のステファノ・ボナッチーニ会長が先頭に立って、わずか20日という準備期間で国際的スポーツイベントの開催を実現させた。

IOCのバッハ会長が世界選手権ロードをコメント ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2020

スポーツイベントのトップパーソナリティであるバッハ会長は、新型コロナウイルス感染拡大に直面した状況でまずはじめに開催される世界選手権ロードを中止させることは絶対にならないと厳命。1カ月足らずで組織された主催者をサポートした。

「非常に短い準備時間とウイルスによって課せられた使命はインポッシブルだったという。しかしイモラ主催者はなにごともなかったかのように大会を完了させた」

イベントの成功は、現地入りしたバッハ会長自身が確認した。

©Isolapress ©Bettiniphoto – Imola2020

「一人一人がミッションを情熱的にクリアしたことは、この大会のみならず将来のスポーツイベントのベンチマークとなった」と、バッハ会長は2021年に開催を目指す東京五輪の成功を肌で感じたという。

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サイクリングアプリ「ツール・ド」がジャパン・ツーリズム賞

自転車・サイクリングを活用して観光振興を目指すサイクルツーリズム事業を展開する一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンが第6回ジャパン・ツーリズム・アワードの「デジタル活用賞」を受賞した。

次世代観光サイクリング地図アプリ「ツール・ド」を使った地方誘客の取り組みが評価された。(アワードは公益社団法人日本観光振興協会、一般社団法人日本旅行業協会、日本政府観光局が開催するツーリズムEXPOジャパンの主催イベント。

■受賞概要
・受賞名:デジタル活用賞 (デジタル・テクノロジーを活用して観光振興を進めている取り組みを表彰)
・受賞取り組み名:次世代観光サイクリングMAPアプリ「ツール・ド」を活用した地方誘客
・評価ポイント:近年サイクリングに対する関心が高まっているなか、スポーツ目的ではな く観光目的に重点を置いたアプリにより地方誘客を行う優れた取り組みである。観光サイクリ ングという新しいジャンルを仕立て上げた点を評価した。(ツーリズムEXPOジャパンより)
・過去の受賞歴:2019年の第5回同アワードにおいて、「全国サイクルツーリズムプロジェク ト『ツール・ド・ニッポン』」が入賞。

ジャパン・ツーリズム・アワードとは

ツーリズムの発展・拡大に貢献し、「ツーリズムEXPOジャパン」とのシナジー効果に寄与、または国内・海外の団体・組織・企業の持続可能で優れた取り組みを表彰。受賞取り組みを広く社会に知らしめることで、ツーリズムへの理解を進めると同時に、モデルとしてさらなるツ ーリズムの発展に寄与することを目的とする。
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次世代観光サイクリングMAPアプリ「ツール・ド」とは?

サイクリングMAPアプリ「ツール・ド」は、全国のおすすめサイクリングコースが検索でき、選んだコースMAPをスマホで確認しながらサイクリングを楽しめる、サイクリング観光に特化したアプリ。途中の「ご当地スポット」へのチェックイン機能、オリジナルフォトフレームでの記念写真機能、ゴール後の完走特典表示機能などを備えている。2018年10月のローンチ以来多くのサイクリストが利用し、そして多くの地方自治体が誘客施策として導入している。

【アプリ「ツール・ド」ダウンロード情報】
[iOS]
[Andoroid]

【アプリ「ツール・ド」実績】2020年9月現在
・掲載コース数 350コース
・展開エリア:23都道府県(宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、千葉、長野、山梨、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、広島、愛媛、沖縄)
・総ダウンロード数:iOS 13,088:android 6,960

フランスのジュリアン・アラフィリップが世界チャンピオンに

フランスのジュリアン・アラフィリップが9月27日にイタリアのイモラで開催された世界選手権エリート男子ロードで、残り10kmから独走して初の世界チャンピオンになった。2位は24秒遅れの4人の争いを制したベルギーのワウト・ファンアールト、3位はスイスのマルク・ヒルシ。

最終周回でアタックしたアラフィリップ ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2020

フランス勢の世界選手権優勝は1997年のローラン・ブロシャール以来となる23年ぶり8人目。

●フランス勢の世界チャンピオン
1936 アントナン・マーニュ
1954 ルイゾン・ボベ
1959 アンドレ・ダリガード
1962 ジャン・スタブリンスキ
1980 ベルナール・イノー
1994 リュック・ルブラン
1997 ローラン・ブロシャール

エリート男子ロードは距離258.2kmで争われた ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2020

日本から唯一出場した新城幸也はスタート直後に形成された7人の先頭集団に加わり、国際映像に積極的な走りを映し出された。4人に絞り込まれてもその中に残ったが、2選手に先行され、ゴールまで77kmの地点でメイン集団に吸収された。

ベルギー、ポーランド、イタリアなどの強豪国がレースをコントロールしようとした ©Ilario Biondi/BettiniPhoto©2020

最終周回の最後の上りでアラフィリップがアタック

今季はF1も開催されるイモラサーキットを基点として2つの上りが含まれる周回コースを9周する。序盤から新城を含む7選手が先行するが、終盤になってメイン集団がこれを吸収。残り2周で、1週間前にツール・ド・フランスで総合優勝したばかりのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が単独で抜け出したが、後続のメイン集団に捕らえられた。

地元イタリアのビンチェンツォ・ニバリがアタックすると、スペインのミケル・ランダら優勝候補がマーク ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2020

最終周回の最後の上りまで各国のエースはメイン集団に残ったが、残り10km地点でアラフィリップがアタックすると、わずかにその差がついた。

独走でゴールを目指すアラフィリップを追って、ファンアールト、ヒルシ、ポーランドのミハウ・クビアトコウスキー、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ、デンマークのヤコブ・フルサンが追走。しかし10〜15秒の差が詰まらず、アラフィリップを捕らえられなかった。

ジュリアン・アラフィリップが世界チャンピオンに ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2020

「この感情を説明する言葉がない。今日は自分のキャリアの中で最大の目標を達成した」と目に涙を浮かべるアラフィリップ。

「これまでもうなにも残すことなく、多くの犠牲を払ってきた。チームメイトに感謝しなければならない。まだ夢を見ているような気分で、ボクたちフランスチームが達成したことを確認する必要がある」

アルカンシエルを着用したジュリアン・アラフィリップを中央に、左が2位ワウト・ファンアールト、右が3位マルク・ヒルシ ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2020

「最後の上りでは、ピークを越えてからの下りで数秒のリードを得るために全力で行った。考えることをすべてやめて、ひたすらペダルをこいだ。ゴールまで200mで、もう捕まえられないと分かって、夢がかなったと思った。とても幸せだ」

アラフィリップは9月30日に開催されるにフレッシュワロンヌで世界チャンピオンの称号である5色の虹色ジャージ、アルカンシエルを着てデビューする。

●世界選手権エリート男子ロード結果
1) ALAPHILIPPE Julian (France) km 258.2 in 6:38:34 (average speed 38.869 kph)
2) van AERT Wout (Belgium) +24
3) HIRSCHI Marc (Switzerland) +24
4) KWIATKOWSKI Michal (Poland) +24
5) FUGLSANG Jakob (Denmark) +24
6) ROGLIC Primoz (Slovenia) +24
7) MATTHEWS Michael (Australia) +53
8) VALVERDE Alejandro (Spain) +53
9) SCHACHMANN Maximilian (Germany) +53
10) CARUSO Damiano (Italy) +53
リタイア 新城幸也(日本)

アルカンシエルを手中にして天を仰ぐアラフィリップ ©Ilario Biondi/BettiniPhoto©2020

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