ブエルタ・ア・エスパーニャが2021年8月14日から9月5日まで開催され、ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が総距離3417kmの激闘を制して大会3連覇を達成した。日本から唯一出場したバーレーンビクトリアスの新城幸也はチーム優勝に貢献。23日間の長丁場で行われる三大大会で15回目の完走を果たした。
ログリッチに始まりログリッチに終わった
強さと弱さが紙一重で同居する。そんなログリッチの強い一面がスペインでは見られる。まずは大会初日、東京五輪で金メダルを取った得意種目である個人タイムトライアルでトップタイムを記録した。第3ステージで伏兵に首位を譲ったものの、深紅のリーダージャージ、マイヨロホは常に射程。第6ステージで再び首位に。第10ステージでその座を失うが、翌日に今大会2勝目。そして終盤の勝負どころである第17ステージで独走勝利し、みたび首位に躍り出るともうその座は失わなかった。
「もちろん難しいレースで、困難な上り坂もある。でもライバルと競り合いをしている瞬間は楽しいよ」とログリッチ。建造800年のブルゴス大聖堂前で開幕した2021年の大会はログリッチで始まり、聖書に登場するシャコベオ(ヤコブ)の聖年を迎えた巡礼地サンティアゴデコンポステーラにゴールした最終日の主役もログリッチだった。最終日の個人タイムトライアルでもログリッチが優勝し、貫禄の総合優勝に花を添えた。
ログリッチは弱さを露呈させるときもある。2020ツール・ド・フランスでは初優勝に王手をかけながら最終日前日の個人タイムトライアルで同胞ポガチャルに逆転負け。2021年のツール・ド・フランスにはその雪辱を期して乗り込んだが、序盤に落車。ケガの回復に専念するため大会8日目にリタイアした。すでに32歳。チーム内では次世代選手の活躍が際立つ。今季後半戦のログリッチは背水の陣だった。
回復が遅れ、一時は東京五輪も絶望視された。7月24日に行われた五輪ロードレースでは案の定いいところがなかった。ところが日々体調が上向き、28日の個人タイムトライアルで金メダルを獲得。上り調子でスペイン入りした。こうなるとログリッチにかなう選手はいない。
ログリッチの活躍によりスロベニアでは自転車が盛んになり、強豪国になった。そんな立役者が次にねらうのは9月19日に開幕する世界選手権ロードだ。
プリモシュ・ログリッチ
1989年10月29日生まれ。8月末時点の世界ランキングは3位。2019・2020・2021ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝。2020ツール・ド・フランス総合2位、ジロ・デ・イタリア区間通算3勝。東京五輪タイムトライアル金メダル。元スキー競技ジャンプ選手。
新城幸也がグランツール出場15回にして15回目の完走
新城はチーム最年長のまとめ役として出場。最終成績は4時間42分59秒遅れの総合116位だが、チームメートを献身的にアシスト。総合成績の上位をねらったエースのミケル・ランダ(スペイン)は序盤でリタイアしたが、新城自身も初めてというチーム優勝を勝ち取った。さらにジャック・ヘイグの総合3位、ジーノ・マーダーの新人王にも貢献。ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアを加えた三大大会に15回出場し、全完走という安定感も見せた。
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