横浜で中学生がSDGs…自らの将来を意識しながら学びを深める

横浜でSDGsに取り組む企業・施設を小中高校生が訪問して学ぶ「横浜SDGs探究学習ガイド」に、2021年12月11日(土)、横浜市立南高附属中の中学生22人が参加した。SDGsについて理解を深めるだけでなく、自分の意見を整理したり、新しい発見ができるプログラムは、公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューローにより全国の修学旅行生にも機会が提供されている。

現場で見たことをふまえて将来に向けたそれぞれの宣言を考えてみる

横浜・八景島シーパラダイスを訪れた中学生たちは1年生から3年生までさまざま。4〜5人編成のグループ5組が作られ、この日を迎えるまでに2日間の事前学習を行っている。生徒たちは授業時間外にも自宅などで訪問先のことなど調べごとを進め、SDGsについて自らの意見を出し、グループで環境問題への解決策を話し合ってきた。

発表の場であるこの日はプロジェクターを使っての本格的なプレゼンテーションから始まった。まずは現状の課題を提起し、その解決に向けたプロジェクトを提案。環境・経済・社会においてその提案がどれだけ貢献するかを推測。さらに実現可能かを客観的に分析していく。

生徒たちが環境問題の解決に向けてのプレゼンテーション

SDGsを学ぶなら横浜へ!

「横浜SDGs探究学習ガイド」は旅行会社・教育機関向けに企画された、探究型学習のサポートプログラムだ。一方的に企業の取り組みの話を聞き、体験する従来型とは異なり、生徒の自発的な学習を促しながら、実際に社会で行われているSDGsの取り組みを学ぶことで、自らの将来を意識しながら学びを深める機会を提供する授業である。

横浜市ではSDGsに取り組むさまざまな企業が、この日のような探求学習の機会提供に協力している。今回は地元中学生徒が体験したが、全国から首都圏を修学旅行で訪れる際の校外活動プログラムとしての活用も想定されているという。

八景島シーパラダイスの飼育員が環境問題の解決に向けた取り組みを紹介する

グループでの発表後は、横浜・八景島シーパラダイスの飼育員とともに実際の現場でどんな取り組みが行われているかを見学。海藻のアマモが、海水の中に酸素を供給する役割を担うなどの説明を受けた。普段なら飼育員に直接質問できる機会はないが、疑問に思ったことなどをその場で聞くこともできた。こうして現場の声を聞き、気づいたことがたくさんあった。見学後には新たな発見をワークシートに書き込んで整理し、グループ内でさらに話し合う時間が持たれた。

飼育員が現場を案内。生徒たちは気楽に直接質問できる雰囲気だ

VRゲームを作って、魚の目になって泳ぐことで海の中のプラ問題を真剣に考えようと提案したグループが発表した「自分事としてとらえる」という言葉には、八景島の飼育員も「キーワードとしてとてもいいなと思った」と講評を送った。

「企業への提案として考えたことは出せたので、この日の経験をふまえてどんな行動をしたらいいかを継続的に考えていきたいです」とVRゲーム提案グループの中学3年生女子。

プログラムに参加した横浜市の中学生たち

ペーパーレスのチケットシステムを提案したグループの中学3年生女子は、「コストが現実的ではないと思っていましたが、企業は初期コストが多大でも導入するメリットは大きいと話してくれました。この言葉を持ち帰って自分たちがさらにやるべき課題を考えていきたいです」と感想を語った。

「SDGs取り組みのとっかかりは学校でも取り入れているので、自主的に調べたりして生徒なりのイメージは持ってこの日に臨みました。でも実際の企業は生徒たちの上を行くレベルで取り組んでいます。そういった現場を見て知ることで、自分たちにできることはなんだろうと先に進む。その経験はこれからさまざまなところで生かせると思います」と引率の中学生教諭。

生きている牡蠣を手でさわってみる

この日は午前中の3時間ほど中身の濃い時間を過ごし、生徒それぞれが描いていた考えを実現するためになにが必要なのかを学ぶことができた。さらにもう1日、グループで集まって再検討し、望む姿を実現するために自分がどんなアクションをすべきかを決意。その宣言は、将来自分の目指す道ともリンクするはずだ。