【ツール・ド・フランス現場雑感】マイヨジョーヌを失う覚悟の奇襲作戦

第109回ツール・ド・フランスは2022年7月7日、バンシュ(ベルギー)〜ロンウィー間の今大会最長距離となる220kmで第6ステージが行われ、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が優勝。

マイヨジョーヌのファンアールトがまさかのアタック ©A.S.O. Pauline Ballet

マイヨジョーヌのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)は序盤からかく乱作戦として先行したが、最後に捕まると大きく遅れた。総合成績でポガチャルが首位に立ち、はやくもマイヨジョーヌを着用した。

2022ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

ポガチャルはベルギーの英雄エディ・メルクスの後継者なのか?

ポガチャルが少人数のゴール勝負を制して今大会初優勝。大会通算7勝目。総合成績でも首位に立ち、大会3連覇に向けて好調ぶりを見せつけた。

2022ツール・ド・フランスがベルギーに足を伸ばしたところで同国の新旧スーパースターが顔を合わせた。左がエディ・メルクス、右がファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

この日はファンアールトがアタックして単独で先行した。ポガチャルを擁するUAEエミレーツ勢を消耗させ、チームエースのビンゲゴーに有利な状況を作るためだ。ファンアールトは残り10kmで集団に吸収されると大きく後退。マイヨジョーヌを失ってもいい覚悟でかく乱作戦を展開したが、ポガチャルの異次元の強さにはかなわなかった。

2022ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
2022ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Aurélien Vialatte

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ユンボ・ビスマの奇襲作戦にも慌てず、チームメートに牽引されるポガチャルが前方をうかがう ©A.S.O. Pauline Ballet

美観地区のホテルはクルマがアクセスできないので疲れる

第4ステージが終わった後のカレー、第5ステージのバランシエンヌ、そしてこの日のメス、ついでに明日のブザンソンと街のど真ん中のホテルを予約してしまいました。鉄道旅行やツアーなら街歩きができて最高なんですが、ツール・ド・フランス取材はクルマがあるのが基本なので、街の真ん中で駐車スペースを探すっていうのが意外と大変なんです。

ユネスコ文化遺産に登録されている巨大人形が練り歩くお祭りで知られるベルギーのバンシュ

とにかく街のど真ん中は駐車場が少ない。あっても有料となり、宿泊費以外にお金がかかります。このためツール・ド・フランス関係者は郊外にあって、広大な無料駐車場を持つホテル群(サントルオテリエ)をよく利用します。こちらの方のデメリットは、場所によっては夕食を食べるところがないということです。

街全体が大振りな石畳の道で、ホントに歩きにくい

この日はかなり大きな都市であるメスの中心部、その名もオテルドサントル(センターホテル)。午後8時までフロントが開いているというので安心しきっていました。

バランシエンヌのホテル。朝食会場の窓辺より

途中のスーパーマーケットを探して併設するガソリンスタンドへ。驚いたのはレギュラーガソリンより軽油のほうが高いことでした。

フランスではルクレールやカルフール、アンテルマルシェ、シュペールUなどの大手スーパーマーケットにはガソリンスタンドがあります。こういったスーパーのガソリンスタンドは市中よりかなりお安く、しかも24時間営業なのでツール・ド・フランス取材時は大助かりです。

2022年は燃料高騰が続き、軽油でも1リッター300円。レギュラーガソリンはそれよりわずかに安いんですが、やはり高いです。自転車で済ませることができたらクルマを使いたくないです。5000kmを移動する必要があるツール・ド・フランス取材では、エコ運転で乗り切っていくしかないです。

欧州は軒並み燃料高に見舞われている

ますますホテルのチェックインが遅くなる

スーパーに入る前にマクドナルドを発見したので、夕食を買い出していこうというアイデアに気づきました。ところがフランスの環状交差点は、日本人としてはグルグル回るので方向感覚を失いやすく、慣れていないとなかなか目的地にたどり着けず。

そのうち遠くまで回され、目標がわからなくなる状態に。それでも今夜はマックをお部屋で食べてくつろごうと決めてしまったので、何回かアタックしてようやく到達。そしてオーダーシステムがちょっと変わっていて、また時間ロス。

メスの美観地区にあるホテルより夕方の道路を見下ろす

かなり時間を費やしてしまってメスに着きましたが、ホテルはクルマが進入できない美観地区。しかたなくかなり手前に駐めていちばん大事な機材バッグとお財布だけ持ってホテルにたどり着いたらすでに8時を過ぎて玄関ドアが閉まっていました。

従業員に電話して玄関コードを教えてもらって、ボクの名前が貼ってあるキーを確保。

序盤戦のツール・ド・フランスで疲れてはいけないんですが、疲れ果てました。でもどんなに疲れていても、飲む前に路駐しているクルマをどこかに停めにいかないと。

メスの美観地区にあるホテルより夜の道路を見下ろす
ポガチャルが第6ステージでマイヨジョーヌを獲得 ©A.S.O. Pauline Ballet

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