ツアー・オブ・オマーンの前哨戦として、JCL TEAM UKYOがUCI1-1カテゴリーのワンデーレース、マスカットクラシックに参戦。石橋学が140kmにおよぶ単独の逃げを決めてトップチームや関係者からも評価された。
オマーンの首都マスカットをスタートし、80kmを過ぎてから10%強の急勾配の峠を5度越える山岳地帯に突入する。その山中は岩場を切通した激しいアップダウンとブラインドコーナーが連続する。オマーンに到着して最初のトレーニングでこのコースを下見したメンバーは、この難所を攻略するイメージをスタート前まで重ね続けたという。
前週にサウジツアーを走った選手たち。ハイスピードや距離への順応は感触がつかめているので、今回はレース中もメンバー同士がよりコンタクトをして勝負へ挑めるチームワークを目指してスタートラインに並んだ。
優勝候補として名高いUAEエミレーツのディエゴ・ウリッシや、アスタナに移籍したマーク・カベンディッシュなどと肩を並べ173.7kmのロードレースはスタートした。
正式にスタートが切られて最初に攻撃に出たのは石橋。サウジツアー同様プロコンチネンタル・コンチネンタルチームを誘導するモーションだったが、本人の意図とは裏腹に単独でのエスケープとしてプロトンは容認。あっという間に開いた5分差、厳しい登りを前に石橋がどれだけリードを伸ばしていけるかがポイントになった。
気温も30度近くまで迫った午後13時半、85km地点の山岳の頂上にトップで現れた石橋。その差は13分と大きくリードする力走。ケルンファルマが先頭を固めて追い続けるプロトンは急勾配の登りに入ると分裂、下りで合流を繰り返す状態。
その前方ではJCL TEAM UKYOのベンジャミ・プラデス、山本大喜、小石祐馬が残るなどハイペースのクライミングに対応。一方、石橋のリードは少しずつ差を埋められながらもなんと140km付近まで到達。レースの8割を単独で逃げ続けた。
やがてAG2Rラモンディアルが先頭を固めて急激に差を縮めて吸収すると、勝負は後半の山岳地帯へ。急坂で勝負がかかると途端に小さくなるプロトン。この展開の最前戦で戦うのは小石、ラスト20km付近での攻防をトップグループに食らいつく。
しかし、ここで取り残されたグループの後方をモビスターが追走に転じるとラスト数キロで先 行を吸収、レースを振り出しに戻した。そして目の前に現れた1km弱10%の上り坂、ゴールに向けた熾烈なペースアップの攻防にプラデスと山本が食らいつく。
レースはクライマックス、峠を越えて大きく下った先の登り返しでいよいよゴールスプリントへ。30数名が一気に広がりスプリントを開始、大きく手を開きゴールを獲ったのはアルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス。このスプリントでJCL TEAM UKYOはプラデスがタイム差なしの32位、山本は少し遅れて39位でゴールした。この日逃げ続けた石橋は11分遅れて86位、メンバー全員が完走を果たした。