ツール・ド・フランスを主催するASOが運営する中東のステージレース、ツアー・オブ・オマーンは2月13日に過酷な山岳がラストに待ち構える第3ステージが行われ、JCL TEAM UKYOの山本大喜が1分29秒遅れの34位になった。
灼熱の暑さと最後に待ち構えるヒルクライム
ツアー・オブ・オマーン第3ステージ。コースはマスカット郊外の山脈の裾野をなぞっていく レイアウト。スタートから45kmが緩やかな登り。その後下り基調を経て、93km地点のスプリントポイントを通過すると緩やかな上りとなるが、146km付近からはじまるラスト5kmは、ゴールに向けて一気に15%近くまで登り勾配が跳ねあがるプロファイル。
終盤の高いクライム能力が問われるコースで、総合上位が絞られる展開が予想された。この日は総合25位までの選手が総合トップの選手から15秒の僅差にいることもあり、総合リーダーを抱えるコフィディ スが終盤の登りまでコントロールすることが予想された。
JCL TEAM UKYOは総合成績に望みのある小石祐馬と山本を最終展開で前方へリードすることに徹するため、逃げをうたないで勝負を待つ戦略を選びスタートラインに並んだ。
この日スタートしてすぐに飛び出したのは5名の選手。この中で前日までの総合成績が最も高い選手はBINGOAL WBのジョアン・ミーンの1分24秒遅れ。そして、情報を得たリーダーチームのコフィディスは逃げを容認。ボーナスタイムのかかったスプリントポイントも93km地点と遠いことから、先行と3分のタイムギャップを保ちながらレースは淡々と進行していった。
そして、この日選手を苦しめたのは30度を越える気温。JCL TEAM UKYOも他チーム同様、補給所や車での給水とは別に先回りして選手に水分補給のフォローに向かうなど忙しくなる。レースも100kmを超えるとエスケープグループから2名がドロップし、3名でラスト6kmのスプリントポイントを通過。追走するプロトンは射程圏内に彼らを捉え、いよいよ最後の登りでの勝負が近づいてきた。
この動きに対応するため、JCL TEAM UKYOはレイモン・クレダーと武山晃輔が総合成績に可能性がある山本や小石、クライミングに優れたベンジャミ・プラデスをフォローし、集団前方のポジションをキープ。
登りに入ると一気にグループは絞られ40名ほどのトップグループとなる。ラスト2kmになると更に勾配はきつくなったが、ここで上位20名のポジションに山本が残る健闘をみせる。
山本の奮闘はラスト1kmまで続いたが、モビスターのマッテオ・ヨルゲンソンの強烈なアタックにトップグループは崩壊。彼はその勢いを崩さないままトップでゴールした総合リーダーであったヘースス・エラダがゴールで倒れこむほどの激闘で、多くの選手が苦悶の表情でレースを終えると、間もなく山本が現れた。
その差はトップから1分29秒差の34位。力を尽くした山本は、手ごたえを感じたこの戦いに表情は明るいものだった。さらにプラデスと小石が大きく遅れずにフィニッシュしたことでチームの総合成績は18チーム中11位とアップし、実りのあるステージとなった。
「自分の全ての力を出した結果なので納得しています。今の自分の力、そして未来の成長へ向き合える手ごたえを得ました。これからどんどん先にいきます」と山本。