丸の内クリテリウムを断行したJCLが2本柱のさらなる戦略

東京駅丸の内中央口と皇居前を結ぶ行幸通りを舞台とした自転車ナイトレース「丸の内クリテリウム」が2月18日夜に開催された。仕掛け人は、自転車ロードレースのプロリーグ、ジャパンサイクルリーグ(JCL)の片山右京チェアマン(59)。自転車活用によって市民のクオリティオブライフ向上に成功した英国ロンドンやフランスのパリに追いつけという、東京都の計画が同イベントに垣間見られた。

東京駅舎を背景に全力疾走するロードレーサー

大使任命式の馬車が通る荘厳な道路が自転車サーキットに

東京五輪・パラリンピックで自転車全競技の運営責任者を務めた片山チェアマンが、レインボーブリッジを封鎖して行われたサイクリング大会「グランドサイクル・トーキョー」の一環として、東京都の後援を受けて実施した。同チェアマンがチーム代表を務めるJCL TEAM UKYOも中東遠征からこのイベントに間に合うように帰国させた。

都心部で初開催されたエキシビションだけに熱心なファンは日没前から沿道に詰めかけた

会場となった行幸通りは普段は閉鎖された都道で、皇室行事や各国大使信任状捧呈式の馬車列が通る時などに使用される。3月5日開催の東京マラソンのゴールでもあって、都の重要なイベント時に舞台となる。片道190mで、この日は行幸通りにステージや選手ピットが設置され、その側道に往復約400mのサーキットを設定。国内チームから選抜されたロードレーサーが60周するエキシビション(模擬レース)が行われた。

JCLの冠スポンサーである三菱地所のお膝元でもある。同社はJCLとともに「全世界から注目される丸の内エリアでの国際レース開催」を目指し、それに向けた第一歩となるイベントがこの日行われたものだ。

サーキットは意外と暗いのでカメラマン泣かせ ©JCL

JCLとしての狙いは世界に飛び出すこと。日本国内リーグという限定された運営団体の殻を破って、国際レースを開催していけるほどの体力強化を目指している。ひとつの手段としては海外で開催されている有名レースとの連携。新たな国際大会を日本で開催することと、いまある日本のレースを国際化することの2本柱を展開していく計画だ。

プロデューサーでありながら会場で解説も務めた片山チェアマン

この日は前日までの寒さが過ぎ去り、日没後も春を思わせるような暖かな空気に恵まれた。ナイトレースは仮設照明と駐車したサポートカーのヘッドライトで照らし出された。出場選手は自転車の前後にライトを、車輪には華やかなイルミネーションライトを装備。それでも昼間のレースとは違って、走行している選手を特定するのは難しいほどの暗さだ。まずは幻想的な雰囲気を楽しむのがいいという印象を受けた。

1周400メートルなのであっという間に選手がやってくる ©JCL

自転車イベントに積極的な東京都の力強いバックアップ

週末のオフィス街でもあり、沿道に詰めかけた観衆はそれほど多くなかったが、買い物や食事のために丸ビルや新丸ビルを訪れた人たちが、これまで見たこともない自転車ナイトレースに足を止める光景も見られた。

優勝はクリテリウムを得意とする宇都宮ブリッツェンの小野寺玲(左) ©JCL

東京都は、環境にやさしく、健康にもよい自転車をさらに身近なものとするため、さまざまな自転車イベントを積極的に開催している。自転車安全利用の促進も常にテーマとなる。模範例は2012年に五輪を開催したことが契機となり、地球温暖化抑制と市民の健康増進に効果をもたらせたロンドン。またパリも五輪開催に先駆けて、市内の自転車通行安全対策を実施し、注目されている。

ツール・ド・フランスならばこの場所はいわば大統領府エリゼ宮もあるパリ・シャンゼリゼに相当する。いつの日かこんな場所で模擬ではないマジレースが開催されることになれば、日本の自転車界も世界に誇れるレベルに到達するのかも。

JCL TEAM UKYOのアフターパーティーも丸の内で行われた ©JCL

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