東京マラソン2023が3月5日に東京都内で開催され、4年ぶりに従来の定員数3万8000人のランナーが参加した。大会は16回目。
エリートレースでは国内のトップ選手が集結し、白熱した戦いとなった。マラソン男子はエチオピアのデソ・ゲルミサが、女子はケニアのローズマリー・ワンジルが優勝。車いす男子はスイスのマルセル・フグ、女子はマニュエラ・シャーがともに大会記録で優勝。
男子はアフリカ勢がハイレベルな争いで大混戦
マラソン男子はゲルミサがモハメド・エサ(エチオピア)との激しい競り合いを制し、2時間5分22秒で初優勝した。2位のエサは同タイム。
ゲルミサは「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」の大会で初制覇となり、「東京で走ることは夢だった。神のご加護もあって、優勝できることができた」と喜びを噛みしめた。
ペースメーカーの外れた30kmから先頭集団はけん制し合い、少しペースを落とした展開になった。集団は37km付近で一気にペースアップし、10人程度から6人に絞られた。ラスト1kmを切っても大混戦の6人のままで、残り500mで4人となり、最後の曲がり角では三つどもえの大接戦に。
直線に入り、ゲルミサとエサのデッドヒートとなり、ゲルミサがわずかにリードし、フィニッシュした。
「競り合いは非常に激しいものでした。エサにはスピードがあると知っていた。簡単なことではなかった」と振り返り、「また東京に戻ってきて走りたい」と笑顔で語った。
ツェガエ・ゲタウェウ(エチオピア)が2時間5分25秒の3位。2時間3分36秒の自己記録を持つシサイ・レマ(エチオピア)は25km過ぎで途中棄権した。
山下一貴(三菱重工)が日本勢トップの2時間5分51秒で7位に
日本勢は2選手が2時間5分台をマークするハイレベルなレースとなった。3度目のマラソンとなる山下一貴(三菱重工)が日本勢トップの2時間5分51秒で7位に入った。40km過ぎに大迫傑(Nike)を引き離し、日本歴代3位となる好記録をマーク。
「最後の角を曲がるときに時計があって、2時間5分30秒と見えたので、これは5分台を出せるなと思って頑張りました」とトレードマークの笑顔を浮かべた。
其田健也(JR東日本)も日本歴代4位となる2時間5分59秒の8位でフィニッシュ。「順位としては満足していませんが、自己ベストを更新できたので、最低限の走りはできたと思います」と好記録にも日本勢2番手となり、悔しさをのぞかせた。
また、東京2020オリンピックの後、一度は現役を退き、国内で約1年7カ月年ぶりのマラソンとなった大迫は2時間6分13秒の9位。パリ2024オリンピックの日本代表選考会として開催されるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得した。
女子は青森山田高出身のワンジルが世界歴代6位
女子はワンジルが世界歴代6位となる2時間16分28秒で初優勝した。前半からハイペースを刻み、ハーフを1時間8分14秒で折り返した。後半になってもペースは変わらず、自己記録を1分32秒上回った。両手を挙げて満面の笑みでフィニッシュし、その後も両膝を突いて、お辞儀を繰り返し、全身で喜びを表現した。
日本にはなじみが深く、青森山田高を経て、2022年まで実業団の「スターツ」に所属していた。第二の故郷で見事な走りを見せ、レース後は日本語で記者会見に臨んだ。
「このタイムで走れるとは思わなかったです。30kmからも調子がよかった」と振り返り、「走っているとき、すごい応援をしてくれていた。本当にありがとうございました」と声援を送った日本のファンに感謝した。
ツェハイ・ゲメチュ(エチオピア)は世界歴代8位となる2時間16分56秒の好タイムで2位。3位はアシェテ・ベケレ(エチオピア)で2時間19分11秒。
松田瑞生が因縁の一山麻緒を破るも日本新が果たせず悔し涙
日本勢では、日本記録の更新を狙った松田瑞生(ダイハツ)が2時間21分44秒の6位に終わり、フィニッシュの後、「悔しい」と涙を流した。記者会見では「これからも挑戦し続ける姿を見せられるように、努力を続けたい」と今後も日本記録に挑む姿勢を示した。
細田あい(エディオン)は2時間22分8秒の7位、一山麻緒(資生堂)は2時間31分52秒の14位。
東京マラソン2024は2024年3月3日に開催される予定。
●東京マラソンのホームページ
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