自転車利用者のヘルメット着用努力義務が4月1日から全国で施行

改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から全国で自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化される。かぶらなくても違反ではないが、不幸な交通事故死や後遺障害を回避できる可能性が高くなるのでおすすめしたい。自転車用ヘルメットを初めて購入するときのポイント、正しい着用方法などを紹介。

ツール・ド・フランス出場経験のある今中さんもヘルメット着用をすすめる

着用しなくても罰則はない。そもそも一般自転車に似合わない!?

自転車レースの選手やサイクリング愛好家なら乗車時にヘルメットを着用するのはあたりまえ。軽量で通気性のいいスポーツタイプを愛用しているので、長時間かぶっていても快適だ。ところが町中を見る限り、通勤や買い物時に自転車を利用する人の多くはヘルメットなし。かぶらない理由として、着用しなくても罰則はないし、そもそも一般自転車に似合わないという意見が多い。

これまでも、保護者として13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないという規則はあった。子供乗せに座らせるときもキッズヘルメットをかぶらせることはかなり定着している。そのほうが安全であることを親として感じているからだ。今回の法改正は、だったら自転車に乗るすべての人がヘルメットをかぶることで、致命的な頭部損傷を回避し、命を守ろうというものだ。

スポーツモデルは軽量で通気性がいい

警視庁交通総務課のホームページによれば、自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に致命傷を負っているという。また、ヘルメットの着用状況による致死率では、着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較すると約2.3倍も高いという。今回の法改正は着用努力義務のため罰則などはないが、警察庁は大人も含めて着用を習慣化することで事故による被害を最小限に抑えていきたいとしている。

ヘルメットはもともと米国で普及が始まり、トライアスロンレースなどで着用が義務化された。欧州ではなかなか浸透しなかったが、五輪金メダリストのファビオ・カサルテッリが1995ツール・ド・フランスの下り坂でクラッシュ。ヘルメットなしの頭部を打ちつけて即死したことを契機に国際規定として着用義務化された。

国内最大手のヘルメットメーカー、カブトのカジュアルモデル

欧州では、一般道を自転車で走る市民がヘルメットをかぶっているとは現在も言い難い。ただしクルマとの接触機会が少ない道路構造整備をすることで事故を抑えようという政策が功を奏している。ところが日本、とりわけ東京などの大都会ではクルマと自転車などが同じ車線上でひしめき合う状態。これでは事故は必然的に起こるわけで、そのときにヘルメットの有無で生死が分かれることも簡単に想像できる。

おでこが露出しないように目深(まぶか)に着用することで頭部や顔面が守られる

自分だけは大丈夫と思う過信が最も危険

日本人プロとしてツール・ド・フランスに初出場した今中大介さんは、「自分だけは安全だというおごりがあったらダメ」という。また「ヘルメットは自分に適したサイズを正しく装着することも大事だ」とアドバイス。

購入時には試着してみて、自分の頭に合ったサイズを選ぶ。廉価モデルは1サイズ展開も多いが、調整ベルトが内装されるなどフィットさせる機能があるものを最低限選びたい。あごひもは指2本が入る程度のゆとりでしっかりと締める。きちんと締めていないと地面に倒れる前に頭部から外れてしまうので着用の意味がない。

また不注意で落としてしまうと、衝撃を緩和させる内部形状が損傷し、いざというときに機能しない。経年劣化などで使用限度は3年ほど。無傷でも新しいものに買い替えたい。

海外からも続々と個性的なヘルメットが入荷されている

自転車用ヘルメットはスポーツバイクには似合うが、ママチャリと呼ばれる一般用自転車にマッチしないと言われた。それでも近年は通勤・通学に使えるカジュアルモデルや、普段着に合うファッショブルなモデルもラインナップされる。ヘルメットを覆う帽子タイプのカバーも安価で用意されている。レース用ヘルメットは3万円前後するが、街乗り用なら5000円から1万円、キッズ用はさらに安い。

コメントを残す