ぜんぶ雪のせいだ…ジロ・デ・イタリア第13Sは大サンベルナール峠通行不能

ジロ・デ・イタリア第13ステージ(5月19日開催)は、大会最高峰の標高2469mに位置するグランサンベルナール峠が想定外の大雪と雪崩の危険性があるとして、トンネルを通過するルートに変更することを余儀なくされた。

これによって距離は当初の207kmから199kmになった。大会最高峰のチマコッピは第19ステージのゴール、トレチメディラバレドに変更された。

2014ジロ・デ・イタリア ©Fabio Ferrari – LaPresse

ジロ・デ・イタリアは2019年も第16ステージのコース一部を悪天候予報によって変更している。標高2618mで、大会の最高峰チマコッピに指定されていたガビア峠を迂回した。

第13ステージの修正プロフィールマップ

本来の峠が雪に埋もれ、トンネル通行を余儀なくされたのがアルプス山脈のグランサンベルナール峠。スイスとイタリアの国境にあり、日本の地図帳には「大サンベルナール峠」と表記されたりする。近くのフランス・イタリア国境には「小サンベルナール峠」も存在する。英語読みするとセントバーナード。峠の修道院で飼われていた遭難救助犬で有名。

第13ステージの修正コース

ジロ・デ・イタリアは降雪変更で王座の行方に影響したことも

自転車レースの山岳ステージというとアルプスやピレネーを走るツール・ド・フランスのワンシーンを思い浮かべる人も多いだろう。しかしジロ・デ・イタリアの山岳ステージはこれとはちょっと雰囲気が違う。バカンス時期の7月に開催されるツール・ド・フランスは世界中からさまざまな国籍の観光客が押し寄せ、夏休みだから家族連れも多い。それに対してジロ・デ・イタリアが行われる5月はまだまだ夏に遠い。天候が崩れれば標高の高いところは雪が降るのは当たり前だ。

2019ジロ・デ・イタリア第13ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

ツール・ド・フランスのアルプスとピレネーも壮大な景観に目を見張るものがあるが、ジロ・デ・イタリアの勝負どころであるドロミテ山塊はそれを上回る。針のように屹立した大岸壁。そして初夏にもほど遠い季節だけに残雪がいたるところに目撃される。天候が崩れれば降雪することもひんぱんにある。

1988年に米国選手として初優勝したアンディ・ハンプステンは女性のようにきゃしゃなボディをした伏兵だったが、雪に見舞われたガビア峠で逃げて総合1位に躍り出た。1989年に優勝したフランスのローラン・フィニョンは天気予報をみて翌日の難関区間が雪で中止になることを見込んで、その前日に勝負を仕掛けてマリアローザを獲得した。翌日は予想通りに荒天で中止になり、ものの見事に総合優勝を決めたのである。

まさにイタリア北部の修羅場。標高2500m超の山岳で繰り広げられる死闘。選手も観客もときに命がけだ。