兄弟対決は弟アダムが兄サイモンを制し、総合成績で首位に
第110回ツール・ド・フランスは大会初日の7月1日、スペインのビルバオを発着とする距離182kmの第1ステージが行われ、UAEエミレーツのアダム・イェーツ(英国)が初優勝。2020年の4日間に続いて首位に立ち、マイヨジョーヌを獲得した。
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この日は残り7.5kmから双子のイェーツ兄弟が抜け出し、ジェイコ・アルウラーの兄サイモンを弟アダムが制した。アダムは2016年新人王。サイモンは2019年のツール・ド・フランスで区間2勝している。
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このまま行っていいか、無線で確認して兄と走った
「エースのポガチャルを牽引する動きをしていたら兄と2人になってしまった」というアダム。兄弟はチームが異なるが仲がよく、アダムは無線で監督に2人でゴールを目指していいのかを確認。双子の一騎打ちを制した。
「ボクはあくまでもポガチャルのアシスト。これからも仕事をこなすよ」とアダム。
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●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イェーツ(英国、UAEエミレーツ)
■マイヨベール(ポイント賞)アダム・イェーツ(英国、UAEエミレーツ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
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iPhoneのシャッター音が欧州対応となり、いつものように自動で消える
ツール・ド・フランスの全日程を単独で回ったのは1997年が最初。コロナ禍で現地入りを断念した2020年と2021年を除いて、現場取材はそれ以前10年間の自転車雑誌時代を含め30回以上になります。
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若いころはどんな挑戦が待っているんだろうとワクワク感しかありませんでしたが、いまはどんなアクシデントに遭遇するのかと心配しかありません。2023年は大移動がないので関係者としては難しくないルートだというのに。
とりあえずストレスをお金で回避すべく、往路のアムステルダム行きは追加料金8万円でビジネスクラスに昇格。フライトの30時間前から席に空きがあれば、わずかなプラス料金で快適な座席に移ることができるんです。
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今回はアムステルダムを経由して、その日のうちにフランスのボルドーへ。外国人特権でフランス車を免税で購入できるシステムの陸送受け取り場所がボルドーくらいしかないからです。
トランジットのアムステルダムのハイネケン330ml缶が1000円することをチラ見しました。物価高騰と円安のダブルパンチは目をつむるしかありません。不注意でホテルをダブルブックするとかミスで無駄金を払うなどのことがなければ、必要な出費はもう仕方ないと考えるようにしています。ビールが必要な出費なのかはわかりませんが…。
あ、iPhoneのシャッター音が欧州対応となり、いつものように自動で消えました。
アムステルダムからフランス入りする飛行機が遅れて、ボルドー空港に到着したのは日本時間としてはすでに日にちが変わっていました。しかしこれは想定できたので、出国ロビーから歩いて行けて、24時間フロント対応のホテルに現地時間で午前1時着。
渡欧初日はベッドに横になれる瞬間がたまらないですが、今回は180度フルフラットのビジネスクラスで来てしまったので、それほどの感激がなく、バタンキューとはいかず。そして3時間ほど深く眠ると、さすがに日本時間としてはお昼となってしまったので寝ていられず午前5時から朝ごはん。大きな空港の近くのホテルは早朝に旅立つ人も多いですからね。
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そしてボルドーから自分名義の新車、シトロエンC3エアクロスを受け取って、陸路スペインへ。高速道路は全エリアで無料Wifiが利用できます。そして大会公式オランジーナで水分補給。フリースを着込まないと寒いです。
日本を離れた翌日には、ようやくツール・ド・フランスの現地入り。まずは米国の女性カメラマン、ベスに10年ぶりに遭遇。そして「あらー、髪の毛が随分グレーになったわね」との言葉をもらい、久しぶりとなる関係者にもごあいさつ。
この日から2日間はビルバオから20kmほど離れたムンギアという町の宿を確保していました。宿泊予約サイトのホテルドットコムから「この夜は祭りがあって騒音で眠れないから、キャンセルをおすすめします」というメールが来ていたのは知っていましたが、他ホテルを探すのも面倒なので読み飛ばしたままでした。
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で、ホテルを訪ねるとスペイン語しか話せない主人と翻訳ソフトでのやり取りとなりました。
「眠れないからと、予約サイトに頼んでメッセージを英語で送ったのに」
「ボクの部屋はないの?」
「あるけど…、とにかく朝7時まで眠れないと思う」
「大丈夫。窓を占めるから」
と、なんとかキーをもらいました。この町に到着したのは午後5時前後ですが、すでに始まった祭りは凄まじいことに。男たちがホテル1階のバーで楽器とともに合唱し、隣の広場に集まった若い女性たちが音楽に合わせて深夜から合唱する。
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それが朝7時まで続くんです。どんな体力をしているんでしょう。喧騒は壁や床を突き抜けて耳まで届く。バスク人の合唱をなめてはいけないと後悔するばかりでした。
ホテル近くに駐車場がないので、地面に水たまりのある未舗装地にクルマを停めておいたら、見事に泥だらけ。新車なのにカンベンしてください。そしてステッカーを盗まれたので、ゴールのペルマナンスに行ってもらわないと。こういのは経験値でカバーでき、あまり動揺しません。無駄に歳は取っていないですからね。
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いやはやの初日。無事にパリまでたどり着けるのでしょうか?
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