中根英登が夢先生…夢を持つことの素晴らしさ、努力することの大切さ

中根英登が夢先生として豊田市立東広瀬小学校の5年生を対象に「夢」をキーワードに授業を7月上旬に行った。JFA(日本サッカー協会)が開催しているJFAこころのプロジェクト「夢の教室」活動の一環。

夢を叶るために頑張る子供たちへの特別授業

「夢の教室」では、過去にはサッカー元日本代表の澤穂希さんや、現サッカー日本代表監督の森保一さん、元メジャーリーガーで現在は広島東洋カープでプレーする秋山翔吾さん、元F1ドライバーの中嶋一貴さんらさまざまな種目で実績を残す現役・OG/OBのアスリートらが夢先生として、小学5年生や中学2年生を対象に「夢を持つことの素晴らしさ、それに向かって努力することの大切さ」などを、自身の経験をもとに子どもたちに伝えている。

当日は、前半ではレクリエーションを通じて「協力すること」「思いやりの心」「全力で取り組むこと」「ルールを守ること」などの大切さを伝え、後半では中根本人がサッカーから自転車競技への転向した際の経験やヨーロッパへの挑戦時の経験を交えながら、その時々で抱いていた「夢」や「夢を叶えるために取った手段」「困難が立ちはだかった時にどう対処したのか」といった内容で、これから夢を叶えていくであろう子供たちへ授業を行った。

「自分が子供の頃に憧れていたのは海外で活躍するサッカー選手。当時の中村俊輔氏や中田英寿氏に強烈な憧れを持っていました」と中根。

「あるキッカケで自転車ロードレースへ競技転向をし、大学卒業時に将来についていくつか考えていた選択肢の中で選んだのが自転車ロード選手でした。自転車ロードレースに挑戦したことでたくさんの国へ行き、世界のトップレベルで走ることができ、海外に住んだりと、挑戦し頑張り続けることで新たな夢が生まれ、次の道へ進んで行くことができました。

夢はいくつあってもいいし、途中で夢が変わってもいいし、もし今は夢がみえないなら無理に描かなくてもよくて、好きな事が自然と将来の夢になるかもしれない。

自分も最初の夢とは違うことに挑戦することで人生も夢も変化していったこと、より極めたい・強くなりたいという一心で日本を飛び出してからも諦めることなく頑張り続けられたこと、家族の支えや応援してくれる人たちがいてくれたことも大きな原動力となったこと、そんなことを思い出しながら子供たちとコミュニケーションを取りながら貴重な時間を共有できました。子供たちの純粋な言葉や授業中に聞いた将来の夢の内容にいつのまにか自分が心を奪われていました。

今回の授業で夢について考えるほかに自転車ロードレースを知ってもらうキッカケとなってくれればうれしいですし、今回授業を行った小学校は地元・愛三工業レーシングチームのトレーニングコース近くにあるので、トレーニングをする選手たちと遭遇した時には応援してもらえるようになればうれしいです」

「JFAこころのプロジェクト」とは

「JFAこころのプロジェクト」は、子どもの心身の健全な成長に寄与することを目的に取り組んでいる活動で、Jリーガーやなでしこジャパン、日本代表として活躍している新旧選手が「夢先生」として小学校の教壇に立ち、「フェアプレー精神」や「夢を持つことの素晴らしさ」、「それに向かって努力することの大切さ」、「失敗や挫折に負けない心の強さ」を子どもたちに伝えている。

このプロジェクトがスタートして、これまで数多くの子どもたちが夢先生とともに「夢」について考え、スポーツの素晴らしさや夢を持つことの素晴らしさ、それに向かって努力することの大切さを学んできた。“夢先生”もサッカーの枠を超え、野球、バレーボール、陸上、水泳、モータースポーツなど、多くのアスリートがこのプロジェクトに参加している。

また、企業、自治体、団体からも支援をいただき、プロジェクトは海外を含め、全国47の自治体で開催する。

「Dream~夢があるから強くなる」。私たちはこの言葉を多く子どもたちと共有し、このプロジェクトを通じて子どもたちの健全な成長を後押ししていきたいという。

「夢の教室」の概要

JFAこころのプロジェクトは、さまざまな競技の現役選手/OB/OGなどを「夢先生」として学校へ派遣し、「夢を持つことや、その夢に向かって努力することの大切さ」「仲間と協力することの大切さ」などを「夢の教室」で伝えている。

夢の教室は、【ゲームの時間】、【トークの時間】と、夢先生と子どもたちがメッセージのやり取りをする【夢シート】で構成されている。

対象=小学校5年生、中学校2年生
将来について考えるきっかけとなればという考え方から小学校5年生。また、より具体的に将来をイメージする機会にしてもらいたいという考え方から中学2年生を対象としている。

ゲームの時間(35分)
体育館で、夢先生と子どもたちが、協力してさまざまなゲームを行う時間。
みんなで体を動かすことにより緊張をほぐしながら、クラス全体に「協力すること」、「思いやりの心」、「全力で取り組むこと」「ルールを守ること」などの大切さを伝える。

トークの時間(55分)
教室で、夢先生が「夢曲線」を黒板に描きながら、自身が困難を乗り越えて夢に挑戦した体験を話し「夢を持つことの素晴らしさ、それに向かって努力することの大切さ」などを子どもたちに伝える。

夢シート
トークの時間では、夢先生の話を聞くだけでなく「夢シート」を使って、子どもたちの「いま好きなことや得意なこと」、「将来の夢(〇〇になって、〇〇したい)」や、「そのためにできること、やってみようと思うこと」を記入し発表する時間を設けている。

自分の「将来の夢」を文字で書くこと、言葉にすることで夢に向かう子どもたちを後押しする。

夢の教室終了後には、夢先生が一人ひとりへ思いを込めて夢シートに返事を書く。メッセージを受け取った子どもたちは、改めて夢について考える時間を持つことができる。

中根英登プロフィール

2012年より大学在学中にTeam Nippoでヨーロッパでの活動を開始。大学を卒業した2013年より同チームや愛三工業レーシングチームに所属し、アジアやヨーロッパのUCIレースを中心に活動。2017年からはUCIプロコンチネンタルチーム(現UCIプロチーム)に所属、2021年にはEFエデュケーション・NIPPO(現EFエデュケーション・イージーポスト)に移籍し、日本人選手として6人目となるUCIワールドチーム所属選手となる。また、日本代表としてアジア大会や世界選手権に出場し、特にアジア大会ではチームメイトの銀メダル獲得をアシストしながら自身も5位入賞を果たす。2022年末に選手を引退し、現在は愛三工業レーシングチームで上級アドバイザーを務めながら、ライドイベントやレース解説活動、また地元愛知で若手選手へのトレーニングサポートや競技普及活動に取り組む。

●JFAこころのプロジェクトのホームページ