田中希実、廣中璃梨佳の活躍にも焦らず身につけたレース運び…鈴木優花MGC優勝

2024パリ五輪マラソン日本代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が10月15日、東京の国立競技場を発着として都心部を走る42.195kmで行われ、女子は鈴木優花(第一生命グループ)が優勝、一山麻緖(資生堂)が2位となり、ともにパリ五輪行きの切符をつかんだ。

鈴木優花(第一生命グループ)がMGC女子優勝 ©東京マラソン財団

レースは激しい雨の中、中盤から一山と細田あい(エディオン)が抜け出した。これに対して鈴木は終盤にその差を詰めていき、最後は逆転。「リラックスして走れていたので最後は集中できた」と勝因を語った。

MGC女子レース ©東京マラソン財団

「このレースで2番以内になればパリ五輪の出場権は取れるけれど、国内で一番を取らなければいけないと思っていたので、最後はしっかりと勝ちに行く走りに徹した」という。

東京五輪のときは同級生の田中希実、1歳下の廣中璃梨佳が活躍して、「自分はまだ低い位置にいるな」と痛感。「ネガティブ思考から脱却しなくちゃ」という思いを強くした。覚悟を決めてからは勝負するために練習を積み重ねてきた。

前田穂南は前半戦で先頭を走ったが、最後は失速 ©東京マラソン財団

「練習ではひたすら前を追って無心に走った。無心になることで実力の積み重ねができた。一番変わったのは思考回路。高校駅伝のときは前を行く選手全員を追い抜いてやろうと必死になったけど、今は冷静に走ることができている」。

パリ五輪出場を決めた、左から一山麻緖(資生堂)、鈴木優花(第一生命グループ)、小山直城(ホンダ)、赤崎暁(九電工) ©東京マラソン財団

この日はその冷静さが結実。無理にペースアップをせず、先行する細田、そして一山が落ちていくのを見計らった。「潜むようなレース運び」を身に着けた最年少24歳の優勝だった。

一山麻緖(資生堂)が東京に続いてパリ五輪の出場権を獲得 ©東京マラソン財団