せっかくなので2020東京のレガシー大会にスポーツ紙として参戦

2020東京五輪のレガシーとして、環境に優しく健康にもいい自転車をさらに身近なものにするため、東京都が企画したGRAND CYCLE TOKYOプロジェクト。その一環として市民が気軽に参加できるイベントが12月2〜3日、調布市の味の素スタジアムとその周辺で開催された。東京中日スポーツチームとして「80分サイクルマラソン」に挑戦した。

味の素スタジアムの外周路を走るレース

女性を助っ人に迎えた混成チームでまさかのクラス4位

参加したのは80分という制限時間内に、チーム内で交替しながら周回数を競うレース。いわゆるエンデューロだ。過去にも本欄担当の記者と庶務部の田中秀行らでチームを編成し、可もなく不可もない順位でゴールしている。今回は女性を加えた混成チームにすべく、自転車チームに所属して本格的に走っている深海美保さんを紅一点のエースとして起用。混成カテゴリーで上位を狙うという作戦だ。

1周2分30秒、書くのが本業の山口は苦戦

こういったエンデューロでは選手交替のためのピットインや計測器の脱着がタイムロスとなる。そのため出走はそれぞれ1回ずつ。山口、田中が25分ずつ走り、エースに最後の30分を任せようという計算だ。これがズバリと的中。結果としてはまかさのクラス4位だった。

「チームを組んで走るのはいつものサイクリングとは違ってとても楽しかったです」と深海さん。ツール・ド・フランスの1区間を走る海外レースにも夫婦で参戦した経験があって、長距離は得意。今回は30分に全力を尽くす走りだったが、「最初の10分は苦しかったけど、ペースをつかんでからは調子がよくなって、あともう少し行けたかな」と笑顔を見せた。

1周2分15秒、クラス4位の立役者となった深海

環境保護と健康維持・増進が目的のイベントだ。だからここでケガをするなんてことは本末転倒。安全性を確保するため、主催者が最善の策を講じていることがひしひしと分かった。本欄の安全走行教室に登場してくれた自転車コーチの安藤隼人さんがレース運営を担当。同じく、元プロ選手でサイクリングガイドとして紙面を飾った平塚吉光さんらがレース中にセーフティーライダーとしてコースを周回。参加者に的確な声がけをして不慮の事故を回避する役目を担った。

1周2分の速さで順位を大きく浮上させた田中

また、最後の着順争いで無理をして落車することを防ぐため、同一周回のチームはすべて同順位という特別ルール。そのため優勝は複数チームとなったが、バルセロナ五輪代表の藤田晃三さんとシドニー・アテネ・北京五輪出場の飯島誠さんのチームも大人げない走りで1位の表彰状を獲得していた。スタートのピストルを打ったのはバルセロナ五輪代表の藤野智一さんだった。

「多くのスタッフを走らせ、参加者への声がけや子供のそばで一緒に走るなど、特に安全面に気をつけていた。そのため走り慣れない参加者も安心して走れた」と田中。

この日は、プロ選手が走行テクニックを教えてくれるスクール、サポートライダーが最終周回まで牽引してくれるガイド付きショートレースもあった。自転車レースという転倒の危険を伴うスポーツを、いかに安全を担保しながらうまく走れるかに焦点を当てた、これまでにないイベントだった。

田中、深海、山口が混成チームとして臨んだ

2020東京のレガシー大会は今後も継続的に開催予定

GRAND CYCLE TOKYOは東京五輪・パラリンピックを開催した東京都がプロジェクト。1年目の2022年はレインボーブリッジを封鎖したサイクリング大会を行い、2023年はそれに加えてTHE ROAD RACE TOKYO TAMAとして本格的なロードレースを初開催。コースは2020東京に加え、1964東京五輪で使用された部分も。国内トップ選手の多くが参戦した。