第107回ツール・ド・フランスは9月1日、システロン〜オルシエール・メルレット間の160.5kmで第4ステージが行われ、ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が主力選手をゴール勝負で制して優勝。2017、2018年の区間勝利に続く大会通算3勝目を挙げた。
総合成績ではドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が首位を守った。
ツール・ド・フランスの前哨戦とも言えるクリテリウム・デュ・ドーフィネで、ログリッチは圧倒的な強さを見せた。しかし総合1位で迎えた最終日前日にクラッシュ。大きなケガを負った。とっさに考えたのは、「このレースの総合優勝を捨てても、ツール・ド・フランスのためにケガの回復に専念すること」。ログリッチは最終日に出走しなかった。
幸いなことに回復は順調で、このレースの開幕を迎えた。
「最初の山岳である第2ステージで十分走れる感触をつかんでいた。今日のレースはハイペースだったが、アシストに援護されていたから最後に余力が残っていた」
この日は6選手が序盤から飛び出し、最大で4分差をつけた。ログリッチやアラフィリップら主力選手は後方の大集団で待機。残り7.5kmで逃げ続けた選手をすべて吸収し、ゴールの上り坂へ。ワウト・ファンアールト(ベルギー)がログリッチをけん引し、最後はログリッチがスパートして両手を挙げてゴール。総合成績で7秒遅れの3位に浮上し、「マイヨジョーヌはまだ着ていないが準備はできている」と語った。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
【もの知りコラム】レース中に折れたフレームを溶接した伝説
レース中に自転車が壊れたら後方を走るサポートカーの屋根に積んであるスペアバイクと交換する。今でこそあたりまえだが、100年前はどうしたか? 1913年にピレネーのツールマレー峠で今も語り継がれる伝説が生まれた。
その日は距離326km。前年の総合2位、フランスのウジェーヌ・クリストフが峠の下りで自転車のフロントフォークが折れるというアクシデントに見舞われた。14kmをひたすら歩いて、たどり着いたのがサントマリー・ド・カンパンという村。鍛冶屋に飛び込んで溶接道具を借りると、自らの手で折れたフォークを直し、先行していたライバル選手を追いかけていった。
村の鍛冶屋は民家となっているものの現存し、建物の壁に伝説の舞台となったことを示すプレートが埋め込まれている。
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