日本では実店舗撤退のデカトロンだがネット販売戦略転換で要注目

フランス発のスポーツ用品チェーン「デカトロン」は、低価格かつ高品質な商品で世界的に人気を博している。日本市場では近年、実店舗の撤退が相次いだが、ネット販売で新たな注目を集めている。コスト削減を徹底し、母国フランスよりも安価なスポーツ用品が日本で手に入る逆転現象が起きている。

スポーツ量販店のデカトロンにチームレプリカジャージが展示されていた

実店舗撤退の背景

デカトロンは1976 年にフランスで設立され、フランスの大きな都市には郊外型大型店舗としてよく見る。日本で実店舗展開を始めたのは2019年。幅広いスポーツジャンルの商品を驚くほどの低価格で提供してきたが、全国にわずかに点在した店舗が次々と閉店した。合理的な店舗運営を継続するフランスとは異なり、日本では公式オンラインストアを強化することになった。

ネット販売へのシフト―格安の秘密

実店舗撤退後も、デカトロンはネット販売が格安価格を実現している理由は、店舗運営コストの排除だけでなく、流通の効率化、独自ブランドによる企画・製造・販売の一貫体制などが挙げられる。中間マージンを極限まで削減し、消費者にとって本当に必要な機能や品質を追求したアイテムのみをラインアップ。これにより、他の大手スポーツ用品店と比べても圧倒的なコストパフォーマンスを維持している。

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消費者へのメリットと課題

ネット販売へのシフトによって、全国どこからでもデカトロンの商品を手軽に購入できるようになった。アウトドア用品やフィットネスウエア、サイクリンググッズなど、ジャンルごとの専門アイテムも充実。価格の安さだけでなく、レビューを参考にした商品選びや、公式サイトによるキャンペーン、ポイント還元なども魅力だ。

ラン用タイツは2990円。ネットで即座にポチッと…

一方で、実店舗で実際に商品を手に取って選ぶ体験ができない点や、サイズ感や質感に不安を感じる消費者も少なくない。返品・交換制度の充実や、オンラインでの情報発信力強化が今後の課題となってくる。ただしネットを通じてより多くの人に届ける仕組みは、消費者にとっても大きなメリット。今後のデカトロンの動向に注目が集まる。

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