異次元のような空間に迷い込んだことはありませんか? しかも身近なところで。鎌倉の釈迦堂口がまさにそこでした。5年前のまさに3月10日、鎌倉の北陵からいったん朝比奈の街道に下りてその南にある衣張山へ。円形に開けた見晴らしに出ると眼下に材木座海岸が見えるので、ここから海まで行けるルートがあるんじゃないかと推測できました。
開けたところの南西に踏み跡があって海に行ける!
そこでこのあたりにくわしい女性植木職人に問い合わせてみると、「見晴らしの南西あたりに踏み跡があるので、そこを下りていくと大町に出られます」とのこと。翌日の3月11日にはさっそく確かめに行きましたよ。道中で震災10年のあの時刻になったので手を合わせた記憶があります。
ただし、衣張山の「円形の見晴らし」って2カ所にあるのです。たまたまもうひとつの見晴らしにも南西に踏み跡があったので迷うことなく急傾斜のルートへ。誰かが取りつけたロープもありました。しばらくして廃墟のような茶室が出現。もしかしたら私有地かなと思いましたが、崖が急なのでもはや引き返せず。
さらに進むと朽ち果てる直前の朱塗りの太鼓橋があり、人工の階段を降りていくと場違いに広大な広場が出現。三方が岩盤で、やぐら(土地が狭い鎌倉では平地に死者を埋葬するのは禁止で、岩盤を掘って墓地にたそうです)がいたるところに。山を降りたらこんなところに来てしまったので、もう後ろめたさしかありませんでした。
釈迦堂口遺跡は今後、公開の可能性も
現在、この釈迦堂口遺跡が特別公開されていて、ツアーもあると聞いたので奇しくも5年後に行ってきました。鎌倉時代は処刑者の火葬場だったことが調査で明らかになったとのこと。近代になって国際自動車(複数の個人ブログに国際興業のものとありますが間違いです)の別荘となり、その後は不動産会社の手に渡って開発される計画でしたが、近隣住民の反対により鎌倉市が管理する発掘調査エリアに。
今後は崩落防止などの安全対策を取って、一般公開する計画もあるということでしたが、できれば観光客が圧倒することなく、ひっそりとたたずんでいる一角であり続けてほしいです。
この遺構の直下には鎌倉七口の釈迦堂口切り通し(いわゆる素掘りの峠あるいはトンネル)があります。かつてボクが歩いていたときは新聞配達のバイクもくぐっていましたが、2010年に巨岩が崩落。さらに2011年の東日本大震災で損傷して通行止めの状態に。現在は復旧作業がほぼ終わり、2026年度中に再開する予定のようです。
ボクが友だちを誘って鎌倉トレイルを始めたきっかけは、東日本大震災。震災後にみんなが重苦しく過ごしていたので、アウトドアで発散しようよとお誘いして、いまでも冬場に継続しています。この時期に異次元の世界を再訪できたことがちょっと不思議でなりません。
釈迦堂口切通も2026年度に通行再開予定
大町釈迦堂口遺跡の史跡指定範囲内に存在するトンネル部分(通称釈迦堂口切通)は2010年に崩落。さらに2011年3月11日の東日本大震災でも損傷し、ながく通行止めが続いた。復旧対策は2023年7月に完了。通行再開は2026年度を予定しているという。
