トラックワールドチャンピオンズリーグ開幕…日本勢は上位ならず

UCIトラックワールドチャンピオンズリーグの第1戦が11月6日にスペインのマジョルカ島で開催され、男女それぞれ36選手が出場した。日本勢は太田りゆ、佐藤水菜、山崎賢人がスプリントリーグ、梶原悠未、窪木一茂がエンデュランスリーグに挑んだが、上位進出はならなかった。

UCIトラックチャンピオンズリーグ第1戦に参加した選手たち ©Alex Broadway/SWpix.com

五輪メダルの金10を含むのべ29個、世界チャンピオンのタイトルはのべ63となるほどの世界のトップスターが参加した第1戦。リーグは全5戦で行われる。

ドイツのエマ・ヒンツェが女子スプリント優勝 ©SWpix.com
ハリー・ラブレイセン(オランダ)が男子スプリントを制した ©SWpix.com
ケイティ・アーチボルド(英国)が女子エリミネーション優勝 ©SWpix.com
マギー・コールズリスター(カナダ)が女子スクラッチレース優勝 ©SWpix.com
ケルシー・ミッチェル(カナダ)が女子ケイリン優勝 ©SWpix.com
男子ケイリンを制したドイツのシュテファン・ベティヒャー ©Simon Wilkinson/SWpix.com

UCIトラックチャンピオンズリーグ
第1戦 11月6日 スペイン・マジョルカ島
第2戦 11月27日 リトアニア・パネベジース
第3戦 12月3日 英国・ロンドン
第4戦 12月4日 英国・ロンドン
第5戦 12月11日 イスラエル・テルアビブ

トラックチャンピオンズリーグで各クラスの首位選手にはリーダージャージが贈られた ©SWpix.com

●UCIトラックチャンピオンズリーグのホームページ

サガンがベルナルを制してジロ・デ・イタリアクリテリウム優勝

初開催となるジロ・デ・イタリアクリテリウムが2021年11月6日、エキスポ2020ドバイで開催され、5月のジロ・デ・イタリア本大会でポイント賞を獲得したペテル・サガン(スロバキア)が総合優勝のエガン・ベルナル(コロンビア)を制して優勝した。

ジロ・デ・イタリアクリテリウム優勝のサガン。左が2位ベルナル、右が3位マルク・ヒルシ ©Luca Bettini

「こんなユニークな場所で勝利できてうれしい。レースをコントロールし続けたチームメイトに感謝したい」とサガン。

「クリテリウムの前半戦は先頭あたりに位置していて、ポイント賞を獲得するためにスプリントを争おうとしたが、すぐにエリア・ビビアーニが今日の私よりも強いと気づいて戦術を変えることにした。とにかく高速レースだった。その後、ベルナル、ヒルシ、ブシャールがアタックしたので、それに反応したのは正解だった。そこからベルナルが再びアタックしたので、一緒に走り、ゴールラインでベルナルを打ち破ることができた」

ドバイエクスポのイタリア館前で ©Luca Bettini
エクスポ2020ドバイで行われたジロ・デ・イタリアクリテリウム ©Luca Bettini
マリアローザのエガン・ベルナルが先頭を走る ©Luca Bettini
サガンがベルナルを制してジロ・デ・イタリアクリテリウム優勝 ©Luca Bettini
エリア・ビビアーニがポイント賞を獲得 ©Luca Bettini
2022ジロ・デ・イタリア開幕地ハンガリー出身のアッティラ・バルテルが敢闘賞 ©Luca Bettini
最速ラップ賞のフィリッポ・ガンナ ©Luca Bettini

●エキスポ2020ドバイのホームページ

サイクルフォトグラファー辻啓の写真展がLa route編集部で開催

サイクルフォトグラファー辻啓の写真展が2021年は関東と関西の2会場で開催される。東京会場は狛江市にある自転車ウェブメディア、La route編集部で開催されることになった。いずれも入場無料。

2021ツール・ド・フランス ©辻啓

通常はオフィス仕様だが、期間中は写真展仕様に模様替え。初日の11月23日(火・祝)と27日(土)、28日(日)はLa routeメンバーもいる。
 

写真展の開催場所はウェブメディアLa routeの編集部オフィス。平日は12時から19時まで、土曜日と日曜日は10時から19時まで。期間中は辻が常時在廊していて、2022年度の壁掛けカレンダー「Greatest Cycling Race by Kei Tsuji(税込3000円)」を販売する。

辻啓写真展

辻啓のコメント
「2年ぶりとなる写真展を、La route編集部の皆様のご厚意により、東京都狛江市にて開催させていただくことになりました。現在、フォトグラファーとしての仕事を始めた10数年前には考えられないほどネット環境が整い、すぐ簡単にどこでもスマホなどのデバイスで写真を見ていただける時代になりました。しかし、やはり、紙に大きく印刷したプリントにしか出せない迫力や臨場感があると感じています。今回は最大A0サイズまで、今年のツール・ド・フランスで撮影した写真パネルを合計20枚用意しました。コルナゴの日本総代理店アキボウ様のご厚意により、ツールを制したコルナゴV3-RSも展示しています。毎日在廊していますので、混雑状況にもよりますが、時間の許す限り質問などにも答えることができるかと思います。ご来場お待ちしております(平日が空いてます)」

最寄り駅は小田急線の和泉多摩川駅で、駅からは徒歩1分。会場は1階で目の前に自転車は止められるが、管理は各自で。

辻啓写真展

【東京・狛江会場】
期間:11月23日(火祝)〜28日(日)
時間:水/木/金:12時〜19時、火/土/日:10時〜19時
会場:ハーモニクス株式会社(La route編集部)オフィス
住所:〒201-0014 東京都狛江市東和泉3-9-6-103

【兵庫・六甲会場】
期間:12月11日(土)〜19日(日)※定休日の13日(月)を除く
時間:11時00分〜18時30分
会場:六甲山サイレンスリゾート カフェ併設ギャラリー
住所:〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町南六甲1034

●La routeのホームページ

スペシャライズドの最新eMTB、リーボSLを試してみた

電動アシスト機能を搭載したスポーツ系自転車をeバイクと呼ぶことが定着したが、山の中を走るMTBに取り付けたのがeMTBだ。その進化が止まらない。山に向かう舗装路を汗もかかずに上っていけて、林間部で豪快なダウンヒルを楽しむ。これまで押して上った激坂だってアシストパワーで進んでいける。スペシャライズドの最新eMTB、リーボ(Levo)SLを実際に試してみた。

前後サスペンションが路面の衝撃を吸収し、テクニック不足を補ってくれる

安定感と軽快感、そしてなによりも漕ぐ力の2倍の電動パワー

リーボSLは軽さを重視して、俊敏で軽快な走りのなかにスゴいパワーを組み入れた最新モデル。これまで味わえなかった次元のオフロード遊びを体感するのに十分な機能がそろっている。トレイルと呼ばれる林間部の走行に慣れない人は1回走るのがやっとだったが、何回でも走れるようになるほどだ。

今回使用したモデルはリーボSLのコンプカーボンというグレードで、価格は85万8000円

eMTBが登場して10年ほどになるが、リーボSLはかなり進化している。モーターやバッテリーといった重い部品は車体下部に配置されていて、それが安定感を高めている。前後のサスペンションは乗っている人の体重や走り方に応じて沈み込み量や元の位置に戻る時間が自在に設定できる。それに加えて29インチという大きな径の車輪を装着しているので、木の根や岩といった障害物もクリアしやすい。全体として乗っている人のテクニック不足を補ってくれる性能が備えられているのだ。

舗装路で山の上を目指すときも電動パワーで息も切れずに進んでいける

電動アシスト自転車のデメリットは電池残量がなくなるととたんに重い金属の塊になってしまうこと。スペシャライズドはこの問題をクリアするために、スマホアプリと連動させ、残り距離に応じて消費電力を制御する機能を開発した。もっとたくさん走りたければ、走行可能距離を50%伸ばすレンジエクステンダーを購入すればいい。今回の試乗では激坂2つを含む30km㌔を走ったが、走り終わってのバッテリー残量は半分以上あった。

フォレストバイクでeMTBの乗り方や楽しみ方を教えてもらう

サドルの高さがハンドルについたレバー操作で走りながら変えることができるのもいい。上りはペダルが回しやすいようにサドルは高めにしたいが、下りでは腰を沈めて安定感を確保するためにサドルを低くしたい。かつては、そういったケースではいったん停車して、工具でサドルを上げ下げしていたが、それが走りながらできるというのが画期的だ。聞けばこのあたりは、今では常識の機能なのだという。

五輪MTBクロスカントリー種目に2大会出場した小田島梨絵さんも現在はeMTBで楽しく走る

変速ギアは最近のトレンドとして前側が1枚、後ろが12枚。コースのアップダウンに応じてハンドルの右側に付いた変速レバーを操作するというシンプルさは、走りに集中できるのでとてもいい。

制動力のあるディスクブレーキなので初級者も舗装路の高速下りを楽しめる

注目の電動アシスト力は極めてパワフルだ。日本では時速24kmを超えるとアシスト力がゼロになるように制御されているが、トレイルの上りでそんなスピードは出ない。だからeMTBこそ電動アシストの恩恵が感じられる。力任せにペダルをグッと踏み込まず、軽くペダルを回すだけでモーターが稼動してグググッと激坂を上ることができる。パワーは3段階に調節できて、舗装路のアプローチも難なく上れる。試しにスイッチをオフにしてみると急に重い塊になるから、電動の恩恵は相当なものだ。

最新モデルを解説してくれたスペシャライズド・ジャパンの(左から)益田大貴さん、小田島さん、板垣響さん、板垣奏男さん

そんな最先端の戦闘力を備えたeMTBだが、実際にどんなサイクリングが楽しめるのか。都内からのアクセスもいい小田原で、次回はeMTBを使った1日サイクリングを紹介。

早川漁港にて

京都産業大の小出樹は2022シーズンにキナンに加入

京都産業大自転車競技部所属でEQADS準所属の小出樹(こいでいつき)が2022年シーズンからKINAN Cycling Teamに加入することとなった。11月5日にチームが発表した。

小出樹 ©Syunsuke FUKUMITSU

アマチュア版ツール・ド・フランスで日本勢唯一の完走

小出は大学・アンダー23といった年代別カテゴリーにとどまらず、UCI公認国際レースでも数々の好成績を残してきた。大学2年時の2019年に出場したツール・ド・北海道では個人総合7位に入ったほか、2021年のツアー・オブ・ジャパンでは第2ステージでKINANチーム所属の山本元喜らとステージ優勝争いを展開して4位に。また、「若手の登竜門」として世界へのきっかけともなるレースであるツール・ド・ラブニール(フランス)では、2021年の大会で日本勢唯一の完走。ミニ・ツール・ド・フランスとも呼ばれるレースで一定の成果を挙げた。

2021ツール・ド・ラブニール完走を果たした小出樹を抱きかかえる(左から)山田拓海、川崎三織、留目夕陽、蠣崎優仁、平井光介

同年代では国内外のトップライダーと肩を並べて走る経験に富んでいることや、サイクリストとしてさらなる向上を図っていく姿勢、そしてなによりクライマーとしての潜在的な能力・実力がKINANチームにとって大きなプラスに働くとの観点から、2022年シーズン以降の戦力として加入することになった。

現在は大学4年生で、2022年3月の卒業後にプロライダーとして自転車競技をメインとした生活を送ることになる。

「KINAN Cycling Teamでエリートという新たなステージに挑戦できることを大変光栄に思います。より一層がんばりますので、応援よろしくお願いいたします」と小出。

小出樹 ©Syunsuke FUKUMITSU

小出 樹(こいで いつき)/Itsuki KOIDE
1999年10月22日生まれ 長野県松本市出身
身長163cm・体重52kg O型
脚質:クライマー
2021年所属チーム:京都産業大自転車競技部(EQADS準所属)

●主な実績 
2019年 全日本大学対抗選手権自転車競技大会ロードレース 2位 
2019年 ツール・ド・北海道 個人総合7位
2021年 ツアー・オブ・ジャパン 第2ステージ 5位(個人総合13位)
2021年 ツール・ド・ラブニール(フランス) 個人総合73位

KINAN Cycling Teamのホームページ

アブダビ首長国がアジア初のUCI公認バイクシティに

アブダビ首長国は、国際的な自転車競技の統括団体である国際自転車競技連合(UCI)から「バイクシティの認証を授与された。これは 中東・北アフリカ・アジア地域の都市で初めて。ノルウェーのベルゲン、デンマークのコペンハーゲン、フランスのパリ、カナダのバンクーバー、英国のヨークシャーとグラスゴーと肩を並べた。 

今回の発表は、世界中の人々が自転車を移動手段やレジャー、スポーツとして日常生活に取り入れ、よりアクティブで健康的かつ持続可能なライフスタイルを促進させることを目的とするUCIの「Cycling for All=すべての人のためのサイクリング」戦略へのアブダビのコミットメントを明らかにするもの。

このバイクシティの認証によって、アブダビ首長国がUCIの主要な自転車競技大会の理想的な開催地であるということが再確認された。世界級の自転車競技のハブとなっているアル・フダイリヤット島で行われた特別式典で「バイクシティ」の認証が発表された後、アブダビが2022年、2024年のUCIアーバンサイクリング世界選手権と2028年のUCIグランフォンド世界選手権の開催地になったことが明らかになった。

これはアブダビスポーツ評議会とRCSスポルトとのパートナーシップ契約が最近更新されたことを受けたもので、UAEツアーの今後3回の開催は、世界を代表するプロサイクリストにとって重要な日となる。 

UCIのデビッド・ラパルティエント会長は、「バイクシティの認証はUCIの主要な自転車イベントを開催することだけでなく、プログラムやインフラを通して自転車競技の発展のために投資する都市や地域を支援するものです。 アブダビがこのリストに入ったことを発表することができ、うれしく思います。この地が中東・アジア初の自転車都市に指定されたことは、アブダビ首長国全体で自転車の普及と、サイクリングへの参加促進のためにさまざまな取り組みがなされているということを示すものです。アブダビには、コミュニティ全体でサイクリングを推進し、誰もがこのスポーツに親しめるための明確なビジョン、そしてマスタープランと戦略があります」とコメント。

アブダビスポーツ評議会事務総長のアレフ・ハマド・アル・アワニ閣下は「UCIのバイクシティの認証を得たことは、私たちがスポーツやレジャー、そして移動手段としての自転車の普及をさらに促進するために、自転車用トラックやグループ、イベント、アクティビティといった既存のネットワークを拡大させ、首長国全体でサイクリングを奨励する取り組みを行っていることが認められた」と語った。

アブダビ政府は、これまでの名誉あるバイクシティの成功を元に、長期的な目標であったアブダビを世界的なサイクリングハブとして発展させ、スポーツやレジャー、交通手段としてサイクリングを日常の活動の中でさらに促進するためのプラットフォームとなる「バイク・アブダビ」を立ち上げた。 

バイク・アブダビの今後の取り組みには、同地にある既存の300kmにおよぶサイクリングネットワークを約1000kmに延長させることが含まれている。その一環として、アブダビの主要都市を結ぶ109kmの分離型「アブダビ・ループ」が整備される予定。また、アル・フダイリヤット島には、3500人収容のトラックレース用ベロドローム・フダイリヤットが建設され、市の主なサイクリングハブとして強化される。 

アブダビ首長国では、すでにサイクリングクラブのエコシステムが確立されていて、トップレベルの競技会や毎週行われるグループライド、そして娯楽のソーシャルライドまであらゆるレベルの人にサイクリングの機会を提供している。フルタイムで活動するアブダビサイクリングクラブはエリート級の大会やコミュニティイベントの企画・開催を行うアブダビスポーツ評議会の傘下で運営されている。 

また、アブダビにはアル・フダイリヤット島にある総延長28kmの水辺のサイクリングコースや、砂漠のアル・ワトバにある総延長40kmのサイクリングコースなど世界有数のサイクリング施設があり、あらゆるレベルのサイクリストに専用の施設を提供している。また、アブダビのサイクリングコミュニティは、ヤス島にある世界的に有名なヤス・マリーナ・サーキットのF1トラックで週2回、無料でトレーニングを行うことができるだけでなく 最近拡張・改良された都市部のサイクリングネットワークを無制限に利用することもできる。 

環境にやさしい交通手段としてサイクリングを推進するアブダビの計画は、2023年のCOP28開催に向けたアラブ首長国連邦の持続可能性への取り組みに沿っている。