スペシャライズドの最新eMTB、リーボSLを試してみた

電動アシスト機能を搭載したスポーツ系自転車をeバイクと呼ぶことが定着したが、山の中を走るMTBに取り付けたのがeMTBだ。その進化が止まらない。山に向かう舗装路を汗もかかずに上っていけて、林間部で豪快なダウンヒルを楽しむ。これまで押して上った激坂だってアシストパワーで進んでいける。スペシャライズドの最新eMTB、リーボ(Levo)SLを実際に試してみた。

前後サスペンションが路面の衝撃を吸収し、テクニック不足を補ってくれる

安定感と軽快感、そしてなによりも漕ぐ力の2倍の電動パワー

リーボSLは軽さを重視して、俊敏で軽快な走りのなかにスゴいパワーを組み入れた最新モデル。これまで味わえなかった次元のオフロード遊びを体感するのに十分な機能がそろっている。トレイルと呼ばれる林間部の走行に慣れない人は1回走るのがやっとだったが、何回でも走れるようになるほどだ。

今回使用したモデルはリーボSLのコンプカーボンというグレードで、価格は85万8000円

eMTBが登場して10年ほどになるが、リーボSLはかなり進化している。モーターやバッテリーといった重い部品は車体下部に配置されていて、それが安定感を高めている。前後のサスペンションは乗っている人の体重や走り方に応じて沈み込み量や元の位置に戻る時間が自在に設定できる。それに加えて29インチという大きな径の車輪を装着しているので、木の根や岩といった障害物もクリアしやすい。全体として乗っている人のテクニック不足を補ってくれる性能が備えられているのだ。

舗装路で山の上を目指すときも電動パワーで息も切れずに進んでいける

電動アシスト自転車のデメリットは電池残量がなくなるととたんに重い金属の塊になってしまうこと。スペシャライズドはこの問題をクリアするために、スマホアプリと連動させ、残り距離に応じて消費電力を制御する機能を開発した。もっとたくさん走りたければ、走行可能距離を50%伸ばすレンジエクステンダーを購入すればいい。今回の試乗では激坂2つを含む30km㌔を走ったが、走り終わってのバッテリー残量は半分以上あった。

フォレストバイクでeMTBの乗り方や楽しみ方を教えてもらう

サドルの高さがハンドルについたレバー操作で走りながら変えることができるのもいい。上りはペダルが回しやすいようにサドルは高めにしたいが、下りでは腰を沈めて安定感を確保するためにサドルを低くしたい。かつては、そういったケースではいったん停車して、工具でサドルを上げ下げしていたが、それが走りながらできるというのが画期的だ。聞けばこのあたりは、今では常識の機能なのだという。

五輪MTBクロスカントリー種目に2大会出場した小田島梨絵さんも現在はeMTBで楽しく走る

変速ギアは最近のトレンドとして前側が1枚、後ろが12枚。コースのアップダウンに応じてハンドルの右側に付いた変速レバーを操作するというシンプルさは、走りに集中できるのでとてもいい。

制動力のあるディスクブレーキなので初級者も舗装路の高速下りを楽しめる

注目の電動アシスト力は極めてパワフルだ。日本では時速24kmを超えるとアシスト力がゼロになるように制御されているが、トレイルの上りでそんなスピードは出ない。だからeMTBこそ電動アシストの恩恵が感じられる。力任せにペダルをグッと踏み込まず、軽くペダルを回すだけでモーターが稼動してグググッと激坂を上ることができる。パワーは3段階に調節できて、舗装路のアプローチも難なく上れる。試しにスイッチをオフにしてみると急に重い塊になるから、電動の恩恵は相当なものだ。

最新モデルを解説してくれたスペシャライズド・ジャパンの(左から)益田大貴さん、小田島さん、板垣響さん、板垣奏男さん

そんな最先端の戦闘力を備えたeMTBだが、実際にどんなサイクリングが楽しめるのか。都内からのアクセスもいい小田原で、次回はeMTBを使った1日サイクリングを紹介。

早川漁港にて

コメントは受け付けていません。