宇都宮ロードはトマ・ルバがキナンチーム最上位の4位

2019年の国内リーグ「Jプロツアー」第5戦、宇都宮ロードレースが5月11日に宇都宮森林公園を主会場に行われた。7選手で挑んだKINAN Cycling Teamは、トマ・ルバがチーム最上位となる4位でのフィニッシュ。レース序盤から集団コントロールに努めながら、残り2周で優勝争いに大きな変化を生み出すアタック。最後はライバルの先着を許したものの、強さをアピールする走りを見せた。

宇都宮ロードで4位になったトマ・ルバ(中央後方) ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

Jプロツアーは、この日から宇都宮ラウンドがスタート。初日はロードレース、翌12日はクリテリウムで構成される。まず、ロードレースは6.7kmのコースを14周回する93.8kmで争われた。毎年10月に開催されるジャパンカップサイクルロードレースと部分的に同じ箇所を走るルートは、「鶴カントリー」と「萩の道」の2つの登坂区間が勝負のポイントとなる。また、部分的にテクニカルなダウンヒルや、平地区間での巡航力も試されるコースセッティングとなっており、例年オールラウンダーによる優勝争いが展開されている。

このレースに向け、KINAN Cycling Teamは万全を期して臨んだ。招集された7選手は山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、雨乞竜己、トマ・ルバ、新城雄大。昨年のこの大会では山本元が9位、新城が10位となったが、今回はそれを上回り優勝することを目標に据える。

レーススタートから積極的に展開した選手たち。1周目から椿が動きを見せ、3周目にはトマが上りでアタック。山本元も前方に姿を現すなど、攻撃的な序盤戦となる。5周目から6周目にかけて2人が抜け出したことでメイン集団が落ち着いたが、KINAN勢は次なる展開に備え前方に位置取り。

しばらく続いた2人逃げは、9周目に入ったところで集団が吸収。その直後に山本大が飛び出しを図る。これをきっかけに、有力チームがそれぞれ選手を送り込んで新たな逃げグループを形成。すぐに集団に引き戻されることとなったが、ここからプロトンがより活性化していく。中間スプリントポイントが設定された10周目終盤には数人のアタックをトマがチェックに動き、その勢いのままトップでコントロールラインを通過。ポイント賞獲得を決めた。

それに前後して発生した数人単位の飛び出しには、椿が集団のペースをコントロールすることで対応。11周目には力のある3選手がアタックを決め、30秒ほどの開きとなったが、次の周回でトマの強力な牽引で吸収。激しい出入りの末に絞り込まれたメイン集団には、トマと山本大が残り、レース終盤を迎えることとなった。

12周目から13周目にかけて1人逃げの状況が生まれたが、メイン集団は労せずキャッチ。中盤以降連続したアタックの応酬だったが、この局面に変化をもたらしたのはトマのアタックだった。

集団のペースが緩んだ一瞬のタイミングを利用してトマがアタックを決めると、これに続いたのは4選手。各チームのエースクラスがそろい、後続とのタイム差を着実に広げていく。5人になった先頭グループはそのまま最終周回へ。優勝をかけた戦いは、周回後半の短い上りでのトマのアタックでさらに活発になる。

勝負が決したのは、フィニッシュまで約1kmのポイント。今村駿介(ブリヂストンサイクリング)のアタックが決まり、そのままフィニッシュラインへ。トマは追撃実らず4位でのフィニッシュとなったが、レース全体を通し終始見せ場を作っての上位確保。約1カ月半ぶりのレースだったが、しっかりとリザルトを残してみせた。

KINAN勢はそのほか、終盤まで前方に位置した山本大が17位、新城が33位でレースを終えている。

翌日の宇都宮クリテリウムは、3kmのコースを20周する60kmで争う。前節の東日本ロードクラシック終了時点でのチームランキングによって出場選手枠が決定し、KINAN Cycling Teamは最大人数より1人少ない5選手での出走となる。今回の招集メンバーから山本元、大久保、山本大、トマ、新城をセレクトし、ハイスピードバトルに挑む。

山本大喜のコメント

「序盤からハイペースで、中盤以降もアタックが繰り返しかかっていたので、早い段階で勝負が決まることを想定して動きすぎてしまったあたりは反省点。展開をもう少し見極められたら勝負に絡めたのではないかと思うと、今日のレースは悔しい。自分も含めて終盤までに脚を使ってしまう形になり、結果的にトマさんに頼ってしまった。序盤からアシストしてもらっていただけに、自分たちで勝負できる状況を作り出せず申し訳ない。
昨年まではこの時期にナショナルチームでヨーロッパ遠征をしていたので、おのずとレース強度の高いものを経験できていたが、今年からチームでの活動により集中できるようになり、個人でのトレーニングの組み立てなど課題が見えてきている。前節の群馬で気づけた部分もあって、改善した成果が今日はある程度出せたと思う。
(クリテリウムに向けて)基本はスプリントで勝負していくことになるが、逃げる機会がめぐってきたら積極的にレースを進めていきたい」

トマ・ルバのコメント

「結果やレース内容については問題ないと思っている。レースプランに基づいて走って、必ずしも良いものではなかったが、ベストを尽くすことはできた。
(4月上旬の)ツアー・オブ・タイランドが終わってから2週間休養し、トレーニングもストップしていた。タイランドでの落車はしばらくダメージを残したものだったので、いまは少しずつ状態を上げている段階。
クリテリウムはスプリンターが主役。どんな戦術を組むかはみんなで話し合って決めたい」

フィジークが2019ジロ・デ・イタリア特別仕様シューズ

5月11日に開幕するジロ・デ・イタリアに捧げる「R1 INFINITO 19 19 Limited Edition」シューズをfi’zi:k(フィジーク)が発表した。過去と現在をつなぐグラフィックが特徴。4万6800円(税別)。

2019ジロ・デ・イタリアはオールイタリアンなレイアウト。プロトンは第9ステージにサンマリノ共和国にゴールする以外はすべてイタリア国内を走り、美しくも熾烈な戦いが繰り広げられる。

そしてfi’zi:kからは期待高まるジロ・デ・イタリア2019に捧げる特別なデザインを身にまとった「R1 INFINITO 19 19 Limited Edition(R1 インフィニート 19 19 リミテッドエディション)」が発表され、5月10日より予約の受付を開始した。

この希少なモデルは1919年と2019年、つまり過去と現在のコースをクロスオーバーさせた個性的なグラフィックが施されている。さらに1919年当時、日が沈んだ暗闇の中を駆け抜けた勇敢な選手たちからインスパイアされたフルリフレクション加工を身にまとい、他に類を見ないほど独創的でクールなルックスと夜間における圧倒的な安全性を併せ持っている。

足全体を包み込むようなフィット感が得られ、幅広のライダーにも対応するアッパーデザイン「ボリュームコントロールフィット」、つま先で「∞」を描きアッパー締め上げのポイントをより最適化した新しいケーブルルーティング「インフィニートクローサーシステム」、土踏まずの隙間をサポートする「ダイナミックアーチサポート」といった「R1 INFINITO(R1 インフィニート)」と同様のテクノロジーを持ち、最高のパフォーマンスを発揮するリアルレーシングシューズに仕上がっている。

この特別なシューズは、イネオスのサルバトーレ・プッチョ(イタリア)やディメンションデータのベルンハルト・アイゼル(オーストリア)など、ジロ・デ・イタリア2019に出場する多くのライダーの足元に輝きをもたらす。

NIPPOは白基調のジャージでジロ・デ・イタリアへ

5月11日から6月2日まで開催されるジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)、5月19日から26日までのツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.1)の2レース限定で、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネはホワイトを基調としたスペシャルジャージを着用する。

年に一度、スペシャルジャージを着用することがルールで認められいる。チームはこれまでも注目度やプロトンでの視認度を上げるために、ジロ・デ・イタリアやジャパンカップなどで着用してきた。

スペシャルジャージはオレンジ色を基調とすることが多くなっていたが、今季はオリジナルのジャージデザインとの差別化を図り、ファンにとっての“サプライズ”となるべく、斬新なホワイトを基調としたデザインに仕上げた。

主要スポンサーロゴは従来どおりだが、袖に大きくENEOSのロゴが配置され、新たにサイドにもNIPPOのロゴが入った。イタリアのトップブランド・サンティーニ製で、ホワイトを基調とするデローザのチームバイクともよりマッチするデザインになる。

イタリアでは5月9日夜(日本時間5月10日早朝)、ジロ・デ・イタリアのチームプレゼンテーションが開催され、スペシャルジャージが正式公開される。

🇮🇹2019ジロ・デ・イタリアの特集サイト

マルセル・キッテルがカチューシャとの契約返上…休みを取り今後のキャリア模索へ

カチューシャ・アルペシンとマルセル・キッテル(ドイツ)は、チーム契約をシーズン終わりを待たずに終了することに双方が同意。5月9日にチームがキッテルのコメントとともに発表した。

日本でも絶大な人気を誇るマルセル・キッテルだが…

「チームと私は相互とも、現在の契約の早期終了を決定した」とキッテル。
「人として、アスリートとしてどうしていきたいか、本当に重要なものについて自問自答した末の長いプロセスで決断した。

私はサイクリングを愛しているし、この美しいスポーツへの情熱は決して消えないが、そこで私が成功するためになにが必要であるかも知っている。

選手には長所も短所もあり、強くなったり成功するためにはチーム内でお互いに理解し継続的なプロセスが必要だと考えている。この2カ月間に、私は疲れ果てたような気がした。いま私は最高レベルでトレーニングし、レースすることができない。そんな理由から、私は休憩を取り、自分のために時間を取り、私の目標について考え、私の将来のために計画を立てることに決めた。

1年半にわたってサポートしてくれたチームに感謝したい。特にスタッフには心の底からお礼を́言いたい。私が今まで見た中で́最高の、最も困難な労働者であると断言できる。多くの勝利と結果で彼らの情熱をチャージさせられなかったことを申し訳なく思う。スポンサーやパートナーにも感謝したい。

この決断は、変化することが新しい道や機会につながるという私の経験に基づいて́いる。不安もあるが、私は最終的に新しいチャンスと課題を見つけることに自信を持って́いる。幸せや喜びとともに、私の将来を見つける方法を模索したい。なにが起こるのか非常に興奮して́いる。もう一度レースをして、この目標に到達できるような計画を立てていきたいと思う」

トロフェオパルマでシーズン初勝利を挙げたマルセル・キッテル @Justin Setterfield/Getty Images

11回目のライドライクキングはZwiftとSNSコンテスト

世界最大級の自転車メーカー、ジャイアント創業者のキング・リュー(劉金標)を発起人とする国際イベント「RIDE LIKE KING(ライドライクキング)」が5月24日(金)、25日(土)、26日(日)の3日間開催される。ライドライクキングは毎年一度、全世界のサイクリスト、ジャイアント販売店、ジャイアント社員が、それぞれの国や地域でライドするグローバルなイベント。

RLK × Zwiftライド。青いジャージがキング・リュー

「サイクリングで人生を楽しもう!」というキング・リューの理念とサイクリングへの情熱を分かち合うという主旨で2009年に始まった。その2009年に北京〜上海を走破するツール・ド・チャイナでキング・リューが発した「多くの人は窓を閉め切った車で高速移動していますが、自転車なら常に声をかけ合うことで人間関係を築き、平和な社会にもつながります」という言葉は、今ではイベントの骨子となっている。

11回目となる2019年のライドライクキングでは「RLK × Zwiftライド」と「SNSフォトコンテスト」を全世界で開催し、参加者の中から選ばれた人に素敵な賞品をプレゼントする。さらに日本国内では、全国のジャイアント/リブストアを拠点に「RLKライド」を開催。また、恒例の「RLKステッカー」も全国のジャイアント/リブストアで配布する。 キング・リューの理念に共感し、ZwiftやFACEBOOK、Instagramでライドをシェアしよう。

RLK x Zwift ライド

オンライン・トレーニングゲームのZwiftと提携したバーチャルライドは2018年にスタートした。キング・リューが参加した2018年は、世界で1300人以上がライドを楽しんだ。

2019年もライドライクキングの期間中、3つのタイムゾーンでRLK x Zwiftライドを開催する。また2019年はメイン開催に先駆けて、RLKトレーニングライドが5月12日(日)より開催される。

ライドは「グループワークアウト」で構成され、すべての参加者は特別に設定された「RLKジャージ」、「GIANT TCR」、「Liv LANGMA」を使用し、世界中のライダーと一緒に走ることができる。またメインイベント参加者の中から、抽選で各日5名にキング・リューのサイン入りRLKジャージ、全参加者の中から1名に2020年モデルのGIANTまたはLivロードバイクをプレゼント。

ジャイアントTCR
リブ・ラングマ

開催日時(日本時間)
【RLKトレーニングライド】
5/12(日)~
【RLK メインイベント】
5/24(金)19:00
5/25(土)21:00
5/26(日)8:00
RLK x Zwift ライドの詳細ページ

SNSフォトコンテスト

SNSフォトコンテスト

楽しいライドの写真をハッシュタグ「#RideLikeKing」をつけて、FacebookやInstagramに投稿するだけでエントリー完了。素敵な投稿の中から、抽選でRLKジャージを10名にプレゼント。投稿後は、ハッシュタグ「#RideLikeKing」検索で、世界各地のライド写真が閲覧できる。
開催期間 : 2019年5月24日(金)~26日(日)

日本国内イベント概要

1. RLKライド
全国のジャイアント/リブストアが、各店おすすめのコースアレンジでライドイベントを開催。だれでも参加可能(バイクメーカー不問)で、定員数や走行距離などはストアによって異なる。参加者には、RLKステッカーをプレゼント。

2. RLKステッカー配布
全国のジャイアント/リブストアに来店した人にRLKステッカーをプレゼント。RLKの期間中は、ステッカーを愛車に貼ってサイクリングを楽しもう。なくなり次第配布終了。

開催日程 : 2019年5月24日(金)~26日(日)
開催場所 : 全国のジャイアント/リブストア(一部店舗を除く)
ライドイベントの開催については各店舗のホームページを確認

旭⽇中綬章を受賞した劉⾦標(左)

キング・リュー(劉金標:りゅう・きんひょう)
キング・リューはGIANTの創始者としてビジネスに人生の多くを費やしてきたが、2007年、73歳で総走行距離927kmにおよぶ台湾一周サイクリング(=環島/ファンダオ)を達成した。それ以降は、ヨーロッパ、中国、日本とさまざまなエリアでロングライドに挑戦し、人々の健康や環境保護につながるサイクリングの魅力を発信し続けた。
キング・リューは走るばかりでなく、各地のサイクリストや政治家、行政担当者らと自転車インフラやスポーツサイクル文化の発展について議論を交わすことで、サイクリング文化を盛り上げてきた。80歳となった2014年には自身2度目となる台湾一周を完遂。そして2016年末をもって創業から44年間舵をとり続けてきたGIANTの会長職を引退。
2017年、日本の地方自治体と自転車による地域振興を推進したことを評価され、旭日中綬章を受賞。現在も自転車新文化の象徴としてさまざまな分野への働きかけを続けている。

初山翔と西村大輝がジロ・デ・イタリア初参戦…日本勢として3年ぶり8、9人目

イタリアが世界に誇る世界三大ツールの一つ、ジロ・デ・イタリア(2. UCIワールドツアー)に、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネが、2016年以来3年ぶりに主催者招待枠(ワイルドカード)を獲得して出場する。

ジロ・デ・イタリアに参戦するNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネの8選手

ワイルドカードでの出場となるNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネは、区間優勝を目標とした布陣で挑む。チームの軸となるのは2014年のジロ・デ・イタリアで区間優勝の経歴をもつマルコ・カノラと、長年トップチームで活躍してきたフアンホセ・ロバト。勝負勘に優れる2人のオールラウンダーがエースとして貪欲に勝利を目指す。また急成長を遂げる若手ニコラ・バジョーリの活躍にも期待が高まる。

そしてベテランクライマーのイバン・サンタロミータ、今季アジアで2勝している若手スプリンターのジョバンニ・ロナルディ、アシストの要としてダミアーノ・チーマが選考された。

西村大輝

日本人選手はチーム史上最多となる2選手、西村大輝と初山翔がメンバー入り。チーム加入2年目、24歳の西村は、チームに所属する日本人選手のうち最年少。今後のキャリアを見すえ、アシストとして一つでも多くの経験を積み上げることがミッション。現在30歳、2016年の全日本チャンピオンである初山は、2018年のチーム加入以後、ヨーロッパのハイレベルなレースで経験を積み、今季もシーズン序盤よりジロ・デ・イタリアのメンバー候補として、エース選手のかたわらでレースを重ねてきた。

また今季よりチームに加入した水谷壮宏監督が第二監督として、日本人監督初となる3週間フル参戦し、ベテラン監督のマンゾーニとともに、選手を率いて長く厳しい戦いに挑む。他に、メカニック研修生の南野求とマッサージャー研修生の森井章人も3週間帯同し、スタッフとしても数えられるほどの日本人しか経験していないグランツールで本場の仕事を学ぶ。

2019年のジロ・デ・イタリアはおもにイタリア国内を巡るコースレイアウトで、5月11日(土曜日)にイタリア中部ボローニャでの個人タイムトライアルで開幕し、トスカーナ地方を通過しながら南下。その後、チームスポンサーのファルネーゼヴィーニ社が本社を構えるアブルッツォ州に立ち寄ったのち、アドリア海側を北上。そして2週目からはフランス国境に近いアルプス山脈や北部のドロミテ山塊で山岳決戦が繰り広げられ、6月2日(日曜日)に美しいベローナでの個人タイムトライアルでフィナーレを迎える。

3週間、全21ステージでの総走行距離は3518.5km、総獲得標高は4万6500mに達し、山岳ステージは世界屈指の厳しさを誇る。

初山翔

ジロ・デ・イタリア出場選手
初山翔
西村大輝
マルコ・カノラ(イタリア)
フアンホセ・ロバト(スペイン)
イバン・サンタロミータ(イタリア)
ニコラ・バジョーリ(イタリア)
ダミアーノ・チーマ(イタリア)
ジョバンニ・ロナルディ(イタリア)
監督 マリオ・マンゾーニ、水谷壮宏、アレッサンドロ・ドナーティ

ツアー・オブ・ジャパン出場予定選手
5月19日(日曜日)〜26日(日曜日)※メンバー変更の可能性もあり
伊藤雅和
吉田隼人
中根英登
イメリオ・チーマ(イタリア)
フィリッポ・ザッカンティ(イタリア)
ジョアン・ボウ(スペイン)
(リザーブ)ルーベンダリオ・アコスタ(コロンビア)
監督 バレリオ・テバルディ

西村大輝のコメント
「この上なく大きな舞台に立てることに対し、使命感や緊張などさまざまな感情があふれてくるが、まずは自分を起用してくれたチームへの感謝の気持ちを忘れず、ステージごとに与えられる役割に対し全力で取り組んで、少しでも多く役に立てる走りがしたい。 応援よろしくお願いします」
西村大輝
西村大輝(にしむらひろき) 略歴
1994年10月20日生まれ(24歳)
ジュニアカテゴリーで好成績を残し、将来の活躍が期待されていた2013年に腰を痛め、手術を繰り返し回復までに約2シーズンを費やす。しかし、現役復帰を諦めることなく長く苦しいリハビリを続け、2017年に完全復活。2018年より本チームに加入し、活動の場を世界へと移し、世界のトップレースで貴重な経験を積む。登りを得意とするオールラウンダー。

2012年 アジア選手権ロードレース ジュニアカテゴリー優勝
2013年 シマノレーシングチーム(日本、コンチネンタルチーム)加入
2017年 全日本選手権ロードレース エリートカテゴリー5位
              NIPPOヴィーニファンティーニ(イタリア、プロコンチネンタルチーム)へトレーニーとして加入
2018年 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ 正選手として加入
2019年 ツアー・オブ・タイランド(UCIアジアツアー2.1)個人総合成績9位
初山翔のコメント
去年からジロ・デ・イタリア出場の可能性があることを伝えられており、少なからず意識していた。このモンスター級にどデカイ規模のレースで3週間という長丁場。不安がないわけではないが、参加できることをありがたく思い、毎日しっかりと走りたい。 スマートでなくても泥臭くても、自分を選んでくれたチームに後悔されないような走りがしたい。
初山翔
初山翔(はつやましょう) 略歴
1988年8月17日生まれ(30歳)
アンダー23時代をイタリアのアマチュアチームで過ごし、2011年に宇都宮ブリッツェンでプロデビュー。逃げや山岳を得意とするオールラウンダーで積極的な走りも持ち味。2018年に初出場したクラシックレース・ミラノ〜サンレモでは250kmほど逃げ続けた。2016年全日本チャンピオン。今季はシーズンインよりヨーロッパツアーを転戦。

2011年 宇都宮ブリッツェン(日本、コンチネンタルチーム)加入
2013年 ブリヂストンアンカー(日本、コンチネンタルチーム)加入
      ツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)優勝
2016年 全日本選手権ロードレース エリートカテゴリー優勝
2017年 ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.1)山岳賞獲得
2018年 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニに加入
水谷壮宏監督のコメント
今回のジロ・デ・イタリア参戦について、本当に心の底から嬉しく思い、そしてここまで協力して下さった方々に対しての感謝の気持ちで一杯。 選手時代に目標だったツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアへの参戦、しかし夢への道のりは険しく達成できなかったことを悔やんでいたが、監督としてフル参戦する任務を頂けたことに感謝している。

監督としてジロ・デ・イタリアに参戦することは、多くのプレッシャーに耐え、各選手のパフォーマンスを最大限に引き出し、チームを目標とする区間優勝へと導くこと。言うのは簡単であるが、容易ではないことは確か。まず自分として21ステージあるこの大会でどのように対応を行うかが一番の課題で、疑問も数多くある。自分が経験した他のステージレース同様、単に期間が長く疲労が蓄積するだけなのか、それともフル参戦しないとわからない自分の想像を遥かに超える何かが待ち受けているのか? とても楽しみでありながら不安要素もある。しかし選手も同様に感じているので焦ることはなく、期間中は優秀なスタッフと選手でチームワークを活かし、目標に向かっていきたい。特に第一監督マリオの言うことをしっかりと聞き、サポート出来るように心務めるのが今回のキーポイント。

期間中はワールドツアー勢の動きをレース内側から見られるので、たとえば、いつどこで超級エース勢がアタックするか、どのあたりでグルペットが形成されるか、各選手のペース配分など、各チームの戦略やレース前後のチームスタッフの動きなどを、実戦を通して多く学び、今後に繋げたいと思う。

今回、ジロ・デ・イタリア出場が決まった初山選手と西村選手には全力でサポートし、この大会を走ることにより大きく成長してもらいたい。グランツールは特別であり、極限まで肉体と精神を追い込み完走さえも困難となるが、活躍して選ばれた日本人選手であることを世界に向けてアピールし、今後さらに強い選手になってほしい。そして彼らの熱い走りが日本の自転車競技界に刺激を与え、将来、さらに多くの日本人選手とスポンサーがグランツールで活躍できるように力になれれば最高です。
 
大門宏マネージャーのコメント
ジロ・デ・イタリアは、2015、16シーズンと2大会経験したが、当時と大きく違う点はスタート人数が各チーム9人から8人に減ったこと。レベルも明らかに上がっている。クネゴからも良く聞かされたが、近年のグランツールは以前のようにに中ダルミ(優勝候補選手にとっても息抜きのような)ステージはなく、毎日スタートから速い。誤解を恐れずに言うなら、完走ギリギリの選手(アシスト要員やピュアスプリンター)に対してのレギュレーションも以前と比べて厳しくなっている。

もちろん今回もツアー・オブ・ジャパンのメンバーと共に目標とバランスを考慮して選考したことは言うまでもない。オリンピックに向けてUCIポイント獲得を最優先させるために主要メンバーをツアー・オブ・ジャパンに選考するのでは? という見方もあるとは思うが、我々にとってポイント対象レースは11月まで多くプログラミングされている。そこまで傾倒することはチームのフィロソフィーにも反するし、チームの一番の目標ではない。それよりも最優先させなければならないのは、メインスポンサーをはじめ、日本のスポンサー、ファンの方々のお膝元で魅力溢れるレースを披露できるか否かに尽きる。

オリンピックの代表選考に関しては「欧米の強豪の中でどれだけ戦えるか」がナショナルチームから求められている焦点。アジアから離れると簡単なレースなど1レースも存在しない。エースとアシストが明確なハイレベルのレースにおいて、たとえ数ポイントでも獲得するのは決して簡単なミッションではないが、シーズンを通して正攻法で挑んでいきたい。

我々のような若いメンバーが主体のチームにとってグランツールは、まさに「当たって砕けろ」が参加するコンセプトとして最も相応しく、挑戦の修羅場だと捉えている。主催者からも連日エスケープにメンバーを送り込む積極的な姿勢がワイルドカードのチームに求められるが、チームの思惑としてはやはりステージ優勝が大きな目標となる。

チームの二本柱はカノラとロバト。もちろん当初はモゼールも当確メンバーであったが、体調不良からの回復が遅れ、メンバーから外すことを余儀なくされたのは、スポンサーを含むイタリアの首脳陣にとっては大きな誤算だった。

期待を担う3人目は若手の筆頭バジョーリ。決してステージレース向きの選手ではないが、チームの陣営から見て正直、イタリア国内でも実績のある彼をを外す理由はどこにも見当たらなかった。

アシストの要はチーマ兄弟の兄、ダミアーノ。当初から不可欠なメンバーとして監督陣営からも信頼され認識されていた。勝ってるとは言え、まだ弱冠20才のロナルディは、当初ジロ・デ・イタリアのメンバー構想には全く入ってなかったが、モゼールの欠場の穴を埋めるだけでなく、トルコでも見せ場を演出したようにロバトのアシストを期待してのメンバー入りとなった。

サンタロミータは、グランツールに6回出場するなど最も豊富なキャリアを有し、今回のメンバー構成にとって必要不可欠であったが、4月に3回クラッシュに巻き込まれ大ケガを負った。本人にとっても万全とは言えず、不安材料は多いと思うが、ワールドツアーチームに10年以上在籍した圧倒的な経験で今回のメンバーを支えてくれることを期待している。

西村大輝は昨年と比べて日本人の中でも最も成長したメンバー。だからといってジロ・デ・イタリアのメンバーとして相応しいか?と問われれば「NO」だが、たとえ21日間走り切れなくても、エースからの要求を果たしながらグランツールを経験することが彼の新たなモチベーションに繋がり、日本の同世代の若者や子どもに勇気と希望を与えるキャラクターに成長することを期待している。

初山翔は、昨シーズン、的確で積極的な走りで春先のティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモ等のビックレースでチームに大きく貢献し、今年はシーズンインの頃からジロ・デ・イタリアのメンバーとして有力視されていた一人。昨年と比べてもパワーアップした自覚、自信が周りにも伝わっていたが、シーズンイン当初からクラッシュをはじめとする不運に見舞われ、幸先の悪いシーズンに苦しんでいた。4月に入りリズムを取り戻す兆しが出て来たところで、予定されてたツアー・オブ・クロアチアが直前にキャンセルになり、重要なプログラムを前に評価される対象レースを失ったことは、本人の気持ちを思えば思うほど残念な状況だった。それぞれのキャラクターを活かした8名のメンバー構成を考えると、同じ脚質タイプのサンタロミータとオゾリオのケガからの回復次第というある意味、本人にとっては困惑させられる立場だった。出場有力候補として見守って来ただけに、結果的に8人のメンバーに選ばれ、本人の気持ちを聞く前に今はホッとしている。本来のパフォーマンス的には実力さえ発揮できればエースからも信頼が厚く、若い西村より優れている点が多いのは間違いない。各ステージで監督から与えられたミッションに応えながら、エースの傍らで「初山の持ち味」を精一杯アピールし貢献してくれることを期待している。