チームタイムトライアル3位のイネオスグレナディアーズ、プラップがまさかの首位に

中東を舞台とした唯一のUCIワールドツアー大会、UAEツアーは2月21日に第2ステージとしてチームタイムトライアルが行われ、世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー)をエースとするスーダル・クイックステップが優勝した。大会は7区間で26日まで。

UAEツアー第2ステージを走るイネオスグレナディアーズ ©LaPresse

総合成績では3秒遅れの3位でゴールしたイネオスグレナディアーズのルーク・プラップ(オーストラリア)が首位に立った。前日に区間勝利してリーダージャージを着用していたスーダル・クイックステップのティム・メルリール(ベルギー)は、終盤にチームメートの隊列から脱落。

UAEツアー第2ステージはチームタイムトライアル ©LaPresse©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

プラップが選手生活で初めての総合トップに躍進

プラップは前日の第1ステージで中間スプリントポイントで合計5秒のボーナスタイムを獲得していて、5秒遅れの総合3位につけていた。そのアドバンテージがあって、2日間の所要時間の合計でプラップが首位になった。

スーダル・クイックステップ。赤いジャージを着用するのがティム・メルリール ©LaPresse

「これは私のキャリアの最初のリーダーのジャージだ。素晴らしいことだけど、このレースにはまだ長い道のりがある。できる限り守るつもりだが、レムコ・エベネプールは間違いなく本命だ。彼が世界チャンピオンなのには理由がある。私にとってはこのあとの上りでできるかぎりのことをして対抗するだけだ」とプラップ。

「この日のタイムトライアルはチームとして、前半はハードに攻めていなかったし、結局ステージ優勝もできなかった。最後はギリギリの4選手でフィニッシュしたけど、それは常に危険なことだった。結局のところ、これがサイクリングレース。ギャップはごくわずかだけど、タイム差が多かれ少なかれ総合成績で1番を守りたい」

スーダル・クイックステップは首位のメルリールを切り離して4人でゴール ©LaPresse
ルーク・プラップが第2ステージで首位に ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

メルリールが写真判定でユアンを撃破…UAEツアー第1ステージ

ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトが運営するUAEツアーが2月20日に開幕。第1ステージはベルギーチャンピオンのティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)がカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・デスティニー)を写真判定の末に僅差で破って優勝した。大会は7区間で26日まで。

UAEツアー第1ステージ ©LaPresse

メリリールは総合成績でも首位に立った。

UAEツアー第1ステージ ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

「この勝利に本当に満足している。私は最近父親になり、それが私に多くのモチベーションを与えてくれた」とメルリール。

「ハードなレースだった。レースが厳しい時は、ゴール勝負になれば最強の1人だし、勝てると思う。私たちはチームとして、そして総合成績のためにもいい仕事をした。今日はレムコ・エベネプールのためのレース運びもこなした。彼は最強で、チームの勝利に導いた。昨年はティレーノ〜アドリアティコまでシーズン初優勝を待たなければならなかったけど、今シーズンはすでにロードとシクロクロスの2勝を挙げている」

UAEツアー第1ステージで3位になったマーク・マーク・カベンディッシュ ©LaPresse
UAEツアー第1ステージ ©LaPresse
世界チャンピオンのエベネプールがUAEツアー第1ステージを走る ©LaPresse
メルリールがUAEツアー第1ステージで首位に ©LaPresse

カベンディッシュ、ビルバオ、フルーネウェーヘン…UAEツアー参戦へ

ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトが運営するUAEツアーが2月20日から26日まで開催され、2022年の総合3位ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーンビクトリアス)、大会通算7勝のマーク・カベンディッシュ(英国、アスタナ)らの出場が決まった。

アスタナのマーク・カベンディッシュ©Wilier Triestina

UAEツアーは世界選手権のスプリント勝負によく似ている(カベンディッシュ)

「今シーズン、アスタナ・カザクスタンという新しいチームにいる。いい冬を過ごし、チームメイトと知り合いになった。今のように幸せなときはいい結果を出せると分かっている」とカベンディッシュ。

「いつものようにUAEツアーに出場することに興奮している。コースはよく知っているし、多くの勝利を達成したレースだ。これはスプリンターの世界選手権にちょっと似ているので、きちんと始めることが肝心」

バーレーンビクトリアスのペリョ・ビルバオ(左) ©LaPresse – Fabio Ferrari

ジェイコ・アルウラーのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)、イネオスグレナディアーズのエリア・ビビアーニ(イタリア)らスプリンターも春先の中東レースに出場する。

イネオスグレナディアーズのエリア・ビビアーニ ©Roberto Bettini/SprintCyclingAgency©2023
ジェイコ・アルウラーのディラン・フルーネウェーヘン ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

●UAEツアーのホームページ

ロレックスからスピンアウトしたチューダーがジロ・デ・イタリア公式時計に

スイスの時計メーカー、チューダーが2023年からジロ・デ・イタリアとその姉妹レースのオフィシャルタイムキーパーとなった。2月16日にイタリアのミラノで発表され、UAEツアー(2月20〜26日)から活動を開始する。

2022ジロ・デ・イタリアの個人タイムトライアル ©Marco Alpozzi/LaPresse

チューダーはスイスのファビアン・カンチェラーラが指揮するUCIプロチーム、チューダーサイクリングのスポンサーとしても知られる。その指導哲学はスイスらしさを取り入れた人間中心のアプローチで、スイスの企業や組織と提携してチームを強化していく。次世代のチャンピオンを生み出すために開発チームを立ち上げている。

時計メーカーとしてのチューダーは、1930年代にロレックスの創始者ハンス・ウィルスドルフが立ち上げたディフュージョンブランド(廉価ブランド)。80年以上にわたるチューダーの技術と哲学が込められているダイバーズウォッチが人気。

●チューダーのホームページ

石橋アタック、山本と小石がUCIポイント獲得…ツアー・オブ・オマーン

中東を舞台とした5日間のステージレース、ツアー・オブ・オマーンは最終日となる2月15日に第5ステージが行われ、JCL TEAM UKYOの山本大喜が6分07秒遅れの総合32位、小石祐馬が。7分57秒遅れの総合38位でフィニッシュした。

ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

ツアー・オブ・オマーン第5ステージ。山脈の麓をスタートし、標高500m前後をアップダウンを繰り返す152.5km。ゴールまでの5.7kmは10%超えのクライムが続くレイアウト。JCL TEAM UKYOは第4ステージを終えてトップから2分4秒遅れの総合29位に山本。

ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux

最終日となるこの日、最後の山での走りが総合成績に大きな影響を与えることもあり、終盤 に至るまでの山本のポジションを守ることを最優先に考えた作戦でスタートに並んだ。

レースはスタートして間もなく、石橋学を含めた7名のエスケープが形成された。一気に2分のタイムギャップが開く。これはこのグループに総合を脅かす順位の選手がいないこと、コース後半に2度のスプリント賞が設置されていることもあり、僅差で総合優勝を争うリーダーチームとしては逃げを前半に容認して後半勝負に持ち込みたい思惑によるものだ。

石橋学がツアー・オブ・オマーン第5ステージでアタック ©A.S.O. Pauline Ballet

こうして3分以上の差がつかないように続いたコントロールは終盤まで続くことになる。石橋を送り込んでいるJCL TEAM UKYOはこれで有利な状況となる。プロトン内で終盤に備え、補給やいいポジションをキープして山本をフォローした。

残り20km、エスケープグループは人数を減らし5名となるが、石橋も粘る。いよいよレースは終盤、コースは山岳へと進路を変え、6kmで600m登るヒルクライムに入った。麓で1分を切っていた差は途端に縮み、レースは振出しに戻った。

ツアー・オブ・オマーン第5ステージでリーダージャージを着るマッテオ・ヨルゲンソン ©A.S.O. Thomas Maheux

そして、総合上位のエース級の選手たちがレースの最前線に現れる。一気に14名に絞られたグループからも、さらに4名がスパートしたことで崩壊。ハイペースの厳しい登りにバラバラになり、各々の力が登りのポジションとなる。山本、小石も30位~40位のポジションで必死にペダルを踏み続ける。

そして、勝負は総合トップのモビスターのマッテオ・ヨルゲンソンと総合3位のマウリ・ファンセベナント(スーダル・クイックステップ)の一騎打ちに。10%強の登坂を駆け抜けトップでゴールに現れたのはファンセベナント。ゴールのボーナスタイムであわや逆転という展開だったが、ヨルゲンソンがゼロ秒差で後ろに付き切り、1秒差という僅差で総合リーダーの座を守った。

ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

第3ステージ同様、続々とゴールに辿り着いた選手たちがバタバタと倒れていくなかに小石が現れた。順位はトップから3分43秒差の37位、そして山本もゴール、苦しみに空を仰ぎ力を出しつくした様子だった。

しばらくしてアシストを終えたメンバーたちに続き、この日130km以上逃げ続けた石橋もゴール。UCI 2-PROクラスのステージレースで全員完走を果たした。小石の好走の結果、総合40位以内に加算されるUCIポイントを2名が獲得し、JCL TEAM UKYOの今回の一つの目標を達成する結果となった。

ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

全5ステージ 830kmのレースは1秒差で総合優勝が決まる熾烈な戦いとなった。サウジツアー、ツアー・オブ・オマーンを経験し確実に成長を遂げた選手たち。これから本格化するレースシーズンに大きな刺激を与えてくれた中東遠征となった。

ジェオフリー・ブシャール。ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux

「1戦1戦チームらしくなってきました。今日もみんなが守ってくれて、 最後もいい位置で山に入れました。日に日によくなる自分のコンディションに大きな期待を賭けて挑みましたが少し順位を落としてしまいました。小石が近くにいてくれたのは心強かったです。この力を次の レースにぶつけていきたいです」(山本)

小石祐馬。ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©JCL TEAM UKYO

「サウジツアーの不調から徐々に調子も上げてこれました。この経験を来年のこのレースに向けてまた準備し、いい結果を目指していきたいです」(小石)

山本大喜。ツアー・オブ・オマーン第5ステージ ©JCL TEAM UKYO

「石橋の逃げはチームに有利な状況を作ってくれました。僕らコン チネンタルチームの戦い方をしっかりと大会に表現できたと思います。 厳しいレースの中で小石と山本がUCIポイントを獲得したことは大きな価値があると思っています」(清水裕輔監督)

ツアー・オブ・オマーンを戦ったJCL TEAM UKYO ©JCL TEAM UKYO

サイクルベースあさひ多治見店…修理・点検などの各種サービスも

快適な自転車ライフを提供するあさひが2023年2月16日、岐阜県多治見市に「サイクルベースあさひ多治見店」をオープンさせた。

サイクルベースあさひ多治見店サイクルベースあさひ多治見店

多治見店ではシティサイクルをはじめ、幼児・子供用、電動アシスト自転車など幅広い自転車を取り扱い、買い物に「わくわく」「安心」「便利」を届ける。修理・点検などの各種サービスを提供する。

店舗は、適切な新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、地域の人の快適な自転車ライフを支えいきたいという。

多治見店のオープンを記念して2月16日(木)から3月21日(火/祝)までの期間、電動アシスト自転車やスポーツサイクルなどがお得に購入できるオープニングセールを開催。セールは、サイクルベースあさひ公式アプリに登録した人を対象とする。

サイクルベースあさひ多治見店
住所:〒507-0053 岐阜県多治見市若松町1-22-1
営業:11時~20時(土日祝/10時~20時)
※2月21日から5月20日の期間の営業時間は平日も10時~20時
定休日:年末年始、棚卸日(2月と8月に、各1日)
※2023年2月20日(月)は棚卸のため定休日
TEL:0572-28-1120
駐車場:あり
アクセス:
電車:JR中央本線、太多線「多治見」駅から徒歩約15分
車:国道248号線(志野もみじ街道)沿い「音羽町」交差点から北へ約200m
●サイクルベースあさひ多治見店のホームページ