石橋学がマスカットクラシックで140km単独エスケープ

ツアー・オブ・オマーンの前哨戦として、JCL TEAM UKYOがUCI1-1カテゴリーのワンデーレース、マスカットクラシックに参戦。石橋学が140kmにおよぶ単独の逃げを決めてトップチームや関係者からも評価された。

単独トップを走る石橋学 ©JCL TEAM UKYO

オマーンの首都マスカットをスタートし、80kmを過ぎてから10%強の急勾配の峠を5度越える山岳地帯に突入する。その山中は岩場を切通した激しいアップダウンとブラインドコーナーが連続する。オマーンに到着して最初のトレーニングでこのコースを下見したメンバーは、この難所を攻略するイメージをスタート前まで重ね続けたという。

マスカットクラシックに出定したJCL TEAM UKYO ©JCL TEAM UKYO

前週にサウジツアーを走った選手たち。ハイスピードや距離への順応は感触がつかめているので、今回はレース中もメンバー同士がよりコンタクトをして勝負へ挑めるチームワークを目指してスタートラインに並んだ。

アスタナのカベンディッシュ ©A.S.O. Pauline Ballet
石橋学が単独でトップを走る ©A.S.O. Thomas Maheux

優勝候補として名高いUAEエミレーツのディエゴ・ウリッシや、アスタナに移籍したマーク・カベンディッシュなどと肩を並べ173.7kmのロードレースはスタートした。

マスカットクラシックの補給地点 ©JCL TEAM UKYO

正式にスタートが切られて最初に攻撃に出たのは石橋。サウジツアー同様プロコンチネンタル・コンチネンタルチームを誘導するモーションだったが、本人の意図とは裏腹に単独でのエスケープとしてプロトンは容認。あっという間に開いた5分差、厳しい登りを前に石橋がどれだけリードを伸ばしていけるかがポイントになった。

石橋学が単独でやってきた ©JCL TEAM UKYO

気温も30度近くまで迫った午後13時半、85km地点の山岳の頂上にトップで現れた石橋。その差は13分と大きくリードする力走。ケルンファルマが先頭を固めて追い続けるプロトンは急勾配の登りに入ると分裂、下りで合流を繰り返す状態。

アルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス(ベルギー)が優勝 ©A.S.O. Thomas Maheux
アルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス(ベルギー)が優勝 ©JCL TEAM UKYO

その前方ではJCL TEAM UKYOのベンジャミ・プラデス、山本大喜、小石祐馬が残るなどハイペースのクライミングに対応。一方、石橋のリードは少しずつ差を埋められながらもなんと140km付近まで到達。レースの8割を単独で逃げ続けた。

マスカットクラシック ©JCL TEAM UKYO

やがてAG2Rラモンディアルが先頭を固めて急激に差を縮めて吸収すると、勝負は後半の山岳地帯へ。急坂で勝負がかかると途端に小さくなるプロトン。この展開の最前戦で戦うのは小石、ラスト20km付近での攻防をトップグループに食らいつく。

マスカットクラシック ©JCL TEAM UKYO

しかし、ここで取り残されたグループの後方をモビスターが追走に転じるとラスト数キロで先 行を吸収、レースを振り出しに戻した。そして目の前に現れた1km弱10%の上り坂、ゴールに向けた熾烈なペースアップの攻防にプラデスと山本が食らいつく。

マスカットクラシック優勝のビールマンスを中央に、左が2位ジョルディ・ワーロップ、右が3位アンドレア・ベンドラーメ

レースはクライマックス、峠を越えて大きく下った先の登り返しでいよいよゴールスプリントへ。30数名が一気に広がりスプリントを開始、大きく手を開きゴールを獲ったのはアルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス。このスプリントでJCL TEAM UKYOはプラデスがタイム差なしの32位、山本は少し遅れて39位でゴールした。この日逃げ続けた石橋は11分遅れて86位、メンバー全員が完走を果たした。

サウジツアーに引き続いての中東レース ©JCL TEAM UKYO

サイクルモードライド大阪2023の出展ブランドと会場マップ公開

サイクルモードライド大阪2023が3月4日~5日に大阪・万博記念公園で開催されるが、その出展ブランドと会場マップが公開された。国内外の有名自転車関連ブランドが大阪に集結する。

自転車をより楽しめる企画コーナーもあって、公式サイトでチェックできる。サイクルモードと言えばアップダウンのある長い試乗コースが定評あり、人気ブランドの最新バイクを思う存分体験することができる。人気のマウンテンバイクなどオフロード車を楽しめるオフロード専用試乗コースもあり、オンロード、未舗装路どちらもカバーする大満足の試乗エリアが万博記念公園に登場する。

今後の情報公開はSNSやサイクルモード公式ホームページでアップデートされていく。

お得な前売り券販売開始

前売り券の販売を開始した。当日会場で購入するよりもお得に購入が可能。前売り券は入場日別オンラインチケットのみの販売となる。詳細は公式サイトを確認。

▼チケット情報(全て税込み・公園入園料260円含む)
1.前売券:1,000円
※4日(土)、5日(日)券あり ※オンライン限定で販売

2.当日券:1,300円
※オンラインもしくは当日会場でも購入可能

▼無料入場について
中学生以下=学生証(中学生のみ)、公園入園料80円が必要
2022年度チームキープレフト会員=会員証と免許証などの本人確認用証明書(別途公園入園料が必要)

●サイクルモードライド大阪2023の出展ブランド

シクロクロス世界選手権で小川咲絵23位、柚木伸元39位、

オランダのホーヘルハイデで2月3日から5日まで開催された2023 UCIシクロクロス世界選手権で日本代表選手が参戦。エリート女子で小川咲絵(AX cyclocross team)が23位で完走した。監督は三船雅彦。

2023シクロクロス世界選手権のジャパンチーム

小川は足切りとなる周回遅れを免れてファイナルラップに入り、6分41秒遅れの23位で完走。 女子エリートレースでの日本人選手完走は2018年以来。同クラスはオランダ勢が1位から3位までの表彰台を独占した。

U23男子の柚木伸元(三重・朝明高)は39位、副島達海(大阪産業大)は40位でともにフルラップを走ってゴールした。

男子U23で追走をする柚木伸元

U23女子の石田唯(早稲田大)はフルラップを完走して、2020年大会(ジュニア31位)に続く2度目の完走。大蔵こころ(早稲田大)は完走できず順位としては32位。

エリート男子の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)はレース序盤の落車の影響もあり、必死の追走もかなわずラップアウト。順位としては35位。

自転車利用者のヘルメット着用努力義務が4月1日から全国で施行

改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から全国で自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化される。かぶらなくても違反ではないが、不幸な交通事故死や後遺障害を回避できる可能性が高くなるのでおすすめしたい。自転車用ヘルメットを初めて購入するときのポイント、正しい着用方法などを紹介。

ツール・ド・フランス出場経験のある今中さんもヘルメット着用をすすめる

着用しなくても罰則はない。そもそも一般自転車に似合わない!?

自転車レースの選手やサイクリング愛好家なら乗車時にヘルメットを着用するのはあたりまえ。軽量で通気性のいいスポーツタイプを愛用しているので、長時間かぶっていても快適だ。ところが町中を見る限り、通勤や買い物時に自転車を利用する人の多くはヘルメットなし。かぶらない理由として、着用しなくても罰則はないし、そもそも一般自転車に似合わないという意見が多い。

これまでも、保護者として13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないという規則はあった。子供乗せに座らせるときもキッズヘルメットをかぶらせることはかなり定着している。そのほうが安全であることを親として感じているからだ。今回の法改正は、だったら自転車に乗るすべての人がヘルメットをかぶることで、致命的な頭部損傷を回避し、命を守ろうというものだ。

スポーツモデルは軽量で通気性がいい

警視庁交通総務課のホームページによれば、自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に致命傷を負っているという。また、ヘルメットの着用状況による致死率では、着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較すると約2.3倍も高いという。今回の法改正は着用努力義務のため罰則などはないが、警察庁は大人も含めて着用を習慣化することで事故による被害を最小限に抑えていきたいとしている。

ヘルメットはもともと米国で普及が始まり、トライアスロンレースなどで着用が義務化された。欧州ではなかなか浸透しなかったが、五輪金メダリストのファビオ・カサルテッリが1995ツール・ド・フランスの下り坂でクラッシュ。ヘルメットなしの頭部を打ちつけて即死したことを契機に国際規定として着用義務化された。

国内最大手のヘルメットメーカー、カブトのカジュアルモデル

欧州では、一般道を自転車で走る市民がヘルメットをかぶっているとは現在も言い難い。ただしクルマとの接触機会が少ない道路構造整備をすることで事故を抑えようという政策が功を奏している。ところが日本、とりわけ東京などの大都会ではクルマと自転車などが同じ車線上でひしめき合う状態。これでは事故は必然的に起こるわけで、そのときにヘルメットの有無で生死が分かれることも簡単に想像できる。

おでこが露出しないように目深(まぶか)に着用することで頭部や顔面が守られる

自分だけは大丈夫と思う過信が最も危険

日本人プロとしてツール・ド・フランスに初出場した今中大介さんは、「自分だけは安全だというおごりがあったらダメ」という。また「ヘルメットは自分に適したサイズを正しく装着することも大事だ」とアドバイス。

購入時には試着してみて、自分の頭に合ったサイズを選ぶ。廉価モデルは1サイズ展開も多いが、調整ベルトが内装されるなどフィットさせる機能があるものを最低限選びたい。あごひもは指2本が入る程度のゆとりでしっかりと締める。きちんと締めていないと地面に倒れる前に頭部から外れてしまうので着用の意味がない。

また不注意で落としてしまうと、衝撃を緩和させる内部形状が損傷し、いざというときに機能しない。経年劣化などで使用限度は3年ほど。無傷でも新しいものに買い替えたい。

海外からも続々と個性的なヘルメットが入荷されている

自転車用ヘルメットはスポーツバイクには似合うが、ママチャリと呼ばれる一般用自転車にマッチしないと言われた。それでも近年は通勤・通学に使えるカジュアルモデルや、普段着に合うファッショブルなモデルもラインナップされる。ヘルメットを覆う帽子タイプのカバーも安価で用意されている。レース用ヘルメットは3万円前後するが、街乗り用なら5000円から1万円、キッズ用はさらに安い。

ファンアールトがゴール勝負でファンデルプールに敗北…シクロクロス世界選手権

ベルギーのワウト・ファンアールトは、オランダのホーヘルハイデで開催された2023 UCIシクロクロス世界選手権で地元オランダのマチュー・ファンデルプールとのゴール勝負に負けて2位になった。

シクロクロス世界選手権はファンアールト(左)とファンデルプールのマッチレース ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは、2014年のホーヘルハイデ、2016年のフースデンゾルデル、2017年のベルボー、2018年のファルケンブルグに続く4つ目の世界タイトル獲得ができなかった。

ライバルのファンデルプールは2015年、2019年、2020年、2021年に4つのエリート世界タイトルを獲得し、2012年と2013年に2つのジュニア世界タイトルを獲得している。今回もオランダのライバルであるファンデルプールとの一騎打ちとなった。

シクロクロス世界選手権は2022年のワールドチャンピオンである英国のトム・ピドコックがロードシーズンに照準を当てたため出場回避。レースはラルス・ファンデルハールがオランダ勢の前線に立ち、ファンデルプールを牽引。ファンアールトはそれに追従した。

ファンアールトがシクロクロス世界選手権を走る ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンデルプールとファンアールトは1周目には16秒飛び出し、ベルギーのゲルベン・カイパーズとマイケル・ファントーレンハウトがこれを追走するという展開に持ち込んだ。

3周目と4周目では完全に2選手の一騎打ちとなり。5周目にファンデルプールが板越えのセクションでわずかに優位に立つものの、両者は譲らず、さらに4周にわたって後続選手らに18 秒の差をつけて先頭を走り続けた。

ベルギーのワウト・ファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは最終ラップの林間部を抜け、ファンデルプールが板越えで主導権を握る前に勝負に出た。ファンアールトがわずかにリードを取り、下り坂を下って最後のストレートに入ったが、ここでファンデルプールが力強くライバルを追い越して勝利した。3位にはベルギーのエリ・イーゼルビットが入った。

シクロクロス世界選手権で2位になったファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

28歳のファンアールトについて、5度目の世界チャンピオンになったファンデルプールは次のようにコメント。

「多くの人はシクロクロスレースで以前にも同じような勝負を見たことがあるよね。もう10年以上も彼との戦いは続いている。それはボクたちが書いている非常にクールな進行形の物語だ。でもここで終わりではない。まだロードシーズンがあり、必ずまたファンアールトと勝負することになるだろう」

シクロクロス世界選手権エリート男子の優勝者

2015マチュー・ファンデルプール
2016ワウト・ファンアールト
2017ワウト・ファンアールト
2018ワウト・ファンアールト
2019マチュー・ファンデルプール
2020マチュー・ファンデルプール
2021マチュー・ファンデルプール
2022トム・ピドコック
2023マチュー・ファンデルプール

世界チャンピオンのエベネプールがUAEツアーに参戦決定

世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が2月20日から26日まで開催されるUAEツアーに参戦することが決まった。同大会は中東で開催される唯一のUCIワールドツアーレース。

レムコ・エベネプール @woutbeel

UAEエミレーツに移籍した英国のアダム・イェーツも参戦。2016年には英国選手として初めてツール・ド・フランスで新人賞を獲得した。

アダム・イェーツ ©Photo Fizza

オーストラリアのカレブ・ユアンはUCIプロチームのロット・デスティニー(ベルギー)に所属。主催者推薦によりチームが出場できることになり、平坦ステージでの優勝を目指す。

カレブ・ユアン(右) ©Face Peeters

ボーラ・ハンスグローエのサム・ベネット(アイルランド)はスプリンター。2020ツール・ド・フランスではポイント賞を獲得している。

サム・ベネット

●UAEツアーのホームページ