23年連続でツール・ド・フランス全日程を完走しました

ツール・ド・フランス取材者日記。アリベ・ア・パリ! 23年連続でツール・ド・フランス全日程を完走できました。これも取材者日記を読んでいただき、SNSなどで激励のお言葉を寄せいていただいたみなさんのおかげです。

23日間お世話になったサルドプレスのスタッフに持ってもらおうと思ったら、「これはあなたの国のファンが作ったものでしょ」とボクが写真に撮られるハメに
シャンゼリゼの観戦時は身分証明書の提示と荷物検査がある

最終日のステージは今回いくつかの変更点がありました。その1つはサルドプレスの場所が変わったこと。これはありがたかったです。

これまでサルドプレスはパリの西外れ、ポルトマイヨにあって、コースまでのアクセスが大変でした。シャンゼリゼは人だかりで時間をかけないと歩けないので、裏道を使ってコンコルド広場に行きましたが、今回はセレブがパーティーするパビリオンガブリエルです。歩いてすぐにフィニッシュライン!

サルドプレスはパビリオンガブリエル。窓から見える緑の向こうがフィニッシュライン
ボーラ・ハンスグローエの選手はゴールしたらピザをお腹いっぱい食べたいらしい

もうひとつはスタート時間が18時30分とかなり遅くなったこと。こちらのほうは後述しますが、ちょっと難点がありました。

今回はtravel wifiを利用しましたが、想像以上に使い勝手がよく便利でした。ピックアップはパリの空港なら複数カ所にあるツーリストインフォメーションに行けば短時間で受け取れます。その場でwifiネットワークに接続して、暗証番号を入力して正常に動くかチェックできるので安心。

返却は同封されている袋に入れて、街中のポストへ。日本で借りるより半額以下で利用できました。

travel wifiの返却は街中のポストへ

一方、毎度のことですがツール・ド・フランス滞在中に体重増えました! タンパク質の多い食事なので筋トレしてないのに骨格筋量増えるんですが、今回は体脂肪率が上がっちゃいました。またNHKの筋トレ体操頑張んなくちゃ。

レースは例年よりもスタートが遅かったので、全選手がゴールして表彰式が始まるころには20時過ぎ。いくつかのメディア向けに予定稿は書き上げていましたが、ゴールを見届けてから最終確認して送稿。すでに夜遅く、23時にはほとんどのお店が閉まってしまったので、残念ながら打ち上げができませんでした。

コンコルド広場に到着。数日前は熱波のパリもこの日はもう秋の気配

それでは日本にドゥミツール

フランスで最初に覚えたのが「ドゥミツール」。交通規制などで進行方向が封鎖され、「Uターンしろ」と命じられるときに聞きます。ツールは一周、ドゥミは半分という意味で、レストランで「ドゥミ・シルブプレ」と注文すれば中ジョッキが出てきます。

今回のツール・ド・フランスはフランスの東半分に偏ったコース設定なので、「二分の一ツール」なんて新聞の見出しに評されていました。でも東側にはドイツ国境に近いボージュ山系やアルプス山脈があり、例年以上に過酷なコースでもありました。熱波やなだれ、大自然の驚異にさらされることになりましたが、それがなくても総合成績は同じ結果になったと感じています。

初取材から30年、東京中日スポーツ派遣記者として全日程を追いかけて23年。無事にパリにがい旋しました! それでは日本にドゥミツール。

夜遅く、メトロでパリ郊外のホテルに戻りましょうか…

●プレゼント当選者の発表
ちあさん 第1回のEルクレール・Tシャツ&カスケット
cocoさん 第2回のEルクレール・Tシャツ&カスケット
lisaさん ブリュッセルのカスケット2点とLCL銀行キャップ
ご応募のみなさんからあたたかいメッセージをいただきました。心より御礼申し上げます。メルシーボクー。

2019年の実走距離は4898kmでした

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ディレクション・パリ。戦いは最終日前日で終幕する

ツール・ド・フランス取材者日記。アルプスこそバカンスリゾート。毎年わずか2日ほどの滞在ですが、その気持ちよさを前進で満喫してきました。今回はなんと3泊も滞在することができ、そして最後の一夜を。30年もこの素晴らしい楽園を楽しむことができて幸せです。

最後の山岳ステージを前にして首位エガン・ベルナルの自転車が入念に用意されていた

かつて、神戸の著名なパン屋さんで自転車マニアの方とツール・ド・フランスをご一緒したとき、やはり語学と味の知識が半端ないので、おいしいお店とメニューを外さないんです。これはかなわないなと思いましたが、ボクも昨晩はこれまでの経験を生かしてオーダー。おいしくいただきました。

標高1650mのスキーリゾートに宿泊。最後のアルプスでした

朝には日本の自転車イベントなどでチームを組んで仕事をしている2人が、わざわざホテルまで訪ねて来てくれました。初日はガリビエ峠で観戦。前日はゴール手前のティーニュで盛り上がる予定ですが、なんと打ち切りによってまさかの選手やって来ず。それでもツール・ド・フランスのスゴさを実体験したとのこと。

最後の、最後のアルプス。気持ちよさを全身に感じてスタート地点のアルベールビルに向かいました。本来ならホテルはコース序盤の途中にあって、午前10時30分には交通規制がかかる予定でした。コース途中というとスタートまでは逆走になるので、関係者ステッカーをフロントガラスに貼っていても認められません。

ホテル近くのお肉系レストラン、クルトパイユで

ところが予定されていたコース前半部分が悪天候予報により一部土砂崩落の危険があることでカット。距離を大きく短縮しての開催になりました。コースから外れたために逆走にはならず、あわてなくてもよかったんですが、とりあえず現場の混乱を確認するためにはやめにアルベールビルへ。

はアルベールビルに入っていて、情報を確認し、木陰で原稿を書いて時間をつぶしましたす。天候はくもり。レースそのものが中止になるのではという情報も錯綜しましたが、チームは普段のように準備に余念がなく、キャラバン隊も出陣していきました。

一番人気はサガン
前年の覇者ゲラント・トーマスもこの日はアシスト役だ

短縮コースではあるものの、予定通りにスタート。各チームの雰囲気は、この短距離レースで大逆転が起こるわけでもなく、すでにレースの大勢は確定している感があるといったおだやかな感じでした。 ただしボクにとっては最終日のパリまでに総括原稿を数メディアに分けて仕上げる必要があり、勝負の日です。すべての戦いが終わって、高速道路の標識で「PARIS」を目指します。この日はパリまであと280kmの地点で力尽きました。今日はこのへんで勘弁してやる!って感じで、高速インターを降りてすぐのところに予約したホテル入り。近くのチェーン系レストランで選手らの健闘に乾杯しました。

最後の山岳ステージをフィニッシュしてベルナル(左)はトーマスから祝福される ©ASO Alex BROADWAY

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国境越えでイタリアに行き、アルプス貫通トンネルで再び戻る

ツール・ド・フランス取材者日記。さすがにアルプスの朝晩は冷えます。前日に宿泊したキャンプ場のモーターホーム。日中は暑かったと管理者が言っていましたが、夜になると涼しくなり、室内のソファでくつろぎ、アルザス地方でもらった白ワインを飲みながら夕ごはん。生き返った思いがしました。

アルプスの中腹にあるシャンブルドット(民宿)

気持ちよく目覚めたこの日は冷え込んだ朝の空気のなか、大山脈を見ながらジョギング。最高に気持ちいいですが、ちょっと標高が高いので息切れします。

昼間は猛暑ですが、さすがに朝夕はセーターを着込むくらいに冷え込みます

マルセイユから小さなクルマで来たという若者2人が近くでテントを張っていて、ボクのクルマにツール・ド・フランスの記者ステッカーが貼ってあったので、「それはどうやったら入手できるの?」と聞きに来ました。1人はサッカーのオランピックマルセイユのユニを着ていて、酒井宏樹の写真を待ち受け画面にしているほどの大ファンとのことでした。

マルセイユからバカンスにやって来たフランスの若者と
こんな景色を見ながら朝のジョギング

この日はモンジュネーブル峠を上っていったんイタリアに行き、アルプス山脈を貫通する長いトンネルを走ってフランスに戻ります。トンネルに突入したら明るく見える度つきアイウエアに替えられるように手元に3タイプのオークリーを用意して運転しました。

オークリーは度付きタイプが2種類、通常のアイウエアも愛用

ブリアンソンからすぐ、モンジュネーブル峠は意外とたやすく上れる峠で、ブリアンソンがステージとなるときはここを上ってイタリアに行き宿泊します。本格的イタリア料理が食べられるのでそれが楽しみです。

しかしこの日は過酷。いったんイタリア入りしてから、長さ12.8kmのフレジュストンネルでアルプスを貫通してフランスに戻らないといけません。通行料金は6000円。ツール・ド・フランスのたいていの関係者は会社が出してくれると思いますが、ボクは自腹です。

暗いトンネルは圧迫感があるので敬遠しようかなと思ったんですが、制限スピードも遅く、規定の車間距離を開けなければいけないというルールがあるのでなんとかクリアしました!

速度制限は70km、車間を150m空けるのがルール
アルプスを貫通するトンネル。料金は高いですが、峠を上るよりも楽…、というかこのルートに峠越えの道はありません

ところでツール・ド・フランス取材時はほとんど運転しています。レースが佳境にならないとラジオ放送しないので、それまでは音楽専門のNRJ(エネルジーと読みます)を聞いているんですが、フランスで大ヒット中の歌手がAya Nakamura。どんな人でどんな曲かは検索してみてください。
●Aya NakamuraのTwitter

ようやくフランスに再入国し、サンミシェルドモリエンヌへ。このサボワ地方のおすすめはお蕎麦。サラザンって言うらしいですが、クルミが入っています。クルミもこのあたりの定番ですね。これを白ワインでいただきます。フランスはガレットとか、そば粉を使った料理が多いんです。日本人には親しみやすくて、同じ地方名物のフォンデュより口に合いますよ。

サボワ地方のおすすめはサラザンというお蕎麦

アルプス3連泊の2日目はシャンブルドット(民宿)。ふもとの町から急勾配の道を8km上ったところに集落があり、さらにクルマが1速でエンストしそうな激坂の先にありました。バスとトイレは共同でしたが、ボク以外に北欧の家族連れしかいなかったので、気兼ねなく利用できました。

目の前には稜線の頂点にお城が築かれたテレグラフ山、イタリア国境のモンジュネーブルやガリビエ峠は目の前に見える山岳のその奥にあるそうです。カウベルが家畜のヤギの首につけられているようで、かなりせわしなくカランカラン鳴っているのが、勇壮とは言いがたいですがそれほどイヤでもありません。谷の反対側の大岸壁にも家が点在していて、星のようにきらめいて幻想的でした。

サンミシェルドモリエンヌのサルドプレスに樽酒が

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バカンス客集まるキャンプ場でビジネスマンが1人浮く

ツール・ド・フランス取材者日記。「クリマティゼ=冷房付き」という看板を掲げているにもかかわらず、エアコンから風しか出ない南仏ニームのホテルを脱出。この日ははモンバントゥーの南麓を通ってのんびりとした一般道をメインに250kmの移動。

もうすこし見栄えのいいラベンダー畑を見つけたかったのですが、自分がドライフラワーになる前に自重した

思い出すのは2003年の猛暑です。朝夕が冷えて過ごしやすいフランスは冷房の普及率が低いんですが、そんな環境に熱波が襲来。あの年は体力のない高齢者など1万5000人が死亡したと言われています。その一方でワインとしては当たり年のようでした。

2003ツール・ド・フランスは暑さが弱点であるランス・アームストロングが唯一苦戦した年です。逆に寒さに弱いヤン・ウルリッヒがこの年とばかり肉薄。最終日前日の個人タイムトライアルで逆転の可能性があったんですが、朝起きたら冷たい雨が降っていて…。ランス、どこまで悪運強いのかと思いました。

並木が強烈な太陽光を遮断してくれる
ガップのサルドプレスはいつもおいしいが、外で食べていると倒れそうなくらい暑い

年齢を重ねるほど経験値が高まるためか楽しく取材できてきたと思っていましたが、今回はツラいです。体力は年々向上しているはずなのに、精神的に疲労困ぱい。ホテルの荷物忘れによる320kmの移動。3日間におよぶ視察団のアテンド。多少の要因はあるかも知れませんが、熱波による高温が激しい疲労感を誘発しているようです。

年齢的にも。30年前の初取材時は900人の記者の中でボクが一番の駆け出しでした。時を経て現在、ボクよりも年齢が高く、経験がある記者は両手ほどの数になっています。フランス社会は60歳の定年を迎えるとキッパリと仕事を辞める人が多いんです。さすがに60代でこの仕事は厳しすぎることもあるでしょう。

言い換えるとボクもあと4年で終わり方を考えなくちゃ、などと運転しながら弱音のひとつも言いたくなります。ただしアルプスに逃げ込めば快適すぎて、やめるなんて誰が言ったのさと考え直す気もしていましたが…。

原稿に取りかかる前にサルドプレスで休憩。室内は快適です

ゴールはアルプスとプロバンスのちょうど中間、ガップです。いつものサルドプレスに到着するとホッとします。エアコンをかけてクルマを運転しているのにどれだけ水を飲んだかな、というくらい水分を必要とする1日。自転車選手はホントに大変でしょうね。サルドプレスは必要以上にエアコンが効いているのでいったんクルマに戻って長袖と長ズボンに着替えてきました。

ガップはホテル数が少なく、いつもかなり遠いところまで泊まりに行きます。そしてアルプスとイタリアとプロバンスと地中海の十字路となる盆地で、いつもゴール後は大渋滞します。そのためそそくさと退出。それでもちょっと渋滞に捕まりましたが、あとから出た取材陣は思いっきり巻き込まれていました。

アルプス3連泊の初日はモーターホームだ。家族全員でも1人でも90ユーロ

今夜のお宿は山の中にあるキャンプ場のモーターホームです。「プールもあるから入っていいわよ」だって。いずれにしてもバカンス家族の中にビジネスマンがひとり浮いています。悪い予感がしたので夕食と朝食は買い込んできましたが、花火を買うのを忘れました。

キッチンに冷蔵庫、トイレとバスが別、ベッドルームと子ども部屋がある
子ども部屋も快適だ。大人でも3人でシェアできるだろう
さすがに朝晩は涼しいのでプールはご遠慮した

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ツール・ド・フランスはまさかの降雪でベルナルが逆転王手

第106回ツール・ド・フランスは7月26日、第19ステージがアルプスの山岳ステージとして開催されたが、突如の降雪で危険な状態となり、レース打ち切り。直前の峠を通過したタイムが総合成績に反映されることになり、前日まで1分30秒遅れの総合2位の位置にいたイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)が首位に立った。

2019ツール・ド・フランス第19ステージでマイヨジョーヌを獲得したエガン・ベルナル ©ASO Pauline BALLET

【ティーニュ(フランス)山口和幸】アルプス2日目はイズラン峠からの下り坂が突如の降雪で危険な状態となり、レース打ち切り。89km地点のイズラン峠頂上を通過したタイムが総合成績に反映されることになった。前日まで1分30秒遅れの総合2位の位置にいたイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)が、頂上で首位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)に2分以上の差をつけていて、初めて首位に立った。

選手がやってくる直前にまさかの雪崩が道路をふさぐ

大波乱の1日。そしてフランス中が失意のどん底に。前日までベルナルから15秒しか遅れていなかった総合5位のグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)が左太もものケガでレース途中にリタイア。涙を流しながら自転車から降り、チームカーに乗り込んだ。

さらにレースは思いもよらぬ事態に襲われる。標高2770mのイズラン峠で波乱があった。前年の覇者でベルナルとダブルエースを組むゲラント・トーマス(英国)が急加速。たまらずアラフィリップが脱落すると、ベルナルがアタック。トーマスや先行していた選手らを追い抜き、イズラン峠をトップ通過したのはベルナルだ。トーマスらの有力選手は50秒遅れ、アラフィリップは2分07秒遅れてこの頂上を通過した。

ベルナルらが下り坂を全力で走っているときに、その先のコースが冠雪。みぞれが雪崩のように路面になだれ込んだことで、レースディレクターが安全上の理由でレース中止を決定。ステージ優勝者はなしとし、総合成績はイズラン峠を通過したタイム差を反映することを全チームと関係車両に無線で通告した。

この結果、ベルナルがアラフィリップを逆転して首位に。チームメートのトーマスは1分03秒遅れの3位となった。

冠雪がなければ、レースは下り切ってもうひとつの山岳を上っていた。アラフィリップが下りを利用して差を詰めたか、最後の坂でさらに差をつけられるという2つの可能性があった。またトーマスが最後の上りでどんな走りをしたかマイヨジョーヌの着用者が変わっていた可能性もあった。

優勝候補として最も注目されたベルナルがこんな異例の事態でマイヨジョーヌを獲得したのだ。
「なにが起こっているのかまったく分からなかった。無線でレースが終わったと言われ、立ち止まったら監督からマイヨジョーヌだと言われた」と感激で涙ぐむベルナル。

「明日は短いステージなので最後まで全力で行く。もしコロンビアで初めての総合優勝者となったらそれは快挙だよ」

●エガン・ベルナルのTwitter

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熱波のニーム。選手も大変だけど観客や警備員も心配なほど

ツール・ド・フランス取材者日記。この日はニームを発着とするステージでしたが、選手たちは首筋やヘルメットの中に冷却用の氷を入れるなどしてなんとか過酷なレースをしのぎきりました。この暑さの中を走るなんて人間業(わざ)ではありません。

ニームでのランチタイム

記者もカメラマンも関係者も本当に暑さとの戦い。サルドプレスは屋根の高い見本市会場ですが、こっちのそれというのは空調もなにもない倉庫のようなところです。ボクが一番入りしたときはまだ記者が少なかったので、なんとかここで仕事できるなと思ったんですが、ゴールが近くなってその数が多くなると、熱気と湿気がこもって気持ち悪くなりそうに。

近くのホテルに連泊しているという記者にお願いして、エアコンの効いた部屋に転がり込んだが、そこまでの日なたの道路を歩いて行くだけで倒れそうになりました。部屋に着いて、冷えたフロアに直接横になり、精神的に安定するまでちょっと時間がかかりました。

年齢を重ねるほど経験値が高まるためか楽しく取材できてきたと思っていたんですが、2019年はツラいです。体力は年々向上しているはずなのに、精神的に疲労困ぱい。ホテルの荷物忘れによる320kmの移動。3日間におよぶ視察団のアテンド。多少の要因はあるかも知れませんが、熱波による高温が激しい疲労感を誘発したかも。

ニームのサルドプレス。人が増えると蒸し暑くて仕事に集中できなくなった

30年前の初取材時は900人の記者の中でボクが一番の駆け出し。時を経てボクよりも年齢が高く、経験がある記者は両手ほどの数に。フランス社会は60歳の定年を迎えるとキッパリと仕事を辞める人が多いんです。さすがに60代でこの仕事は厳しすぎることもあります。

言い換えるとボクもあと4年で終わり方を考えなくちゃ。ただしアルプスに逃げ込めば快適すぎて、やめたくないなと考え直す気もするんですが…。

ニームのペルマナンス(大会本部)。移動オフィスだが観葉植物は欠かせない

暑さにやられてちょっとおつかれなので、来々軒へ。嗅覚で探しました。平日は2000円ほどで食べ放題なのがフランスの来々軒のデフォルト。

すべてのツール・ド・フランス関係者にとって過酷な日が続きます。日なたに長時間立っている警備員とか倒れないんだろうか? 翌日の高速を使った迂回路は280kmですが、ボクはモンバントゥーの南麓を通ってのんびり下道で行きますね。

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