2019ツール・ド・フランスを総力特集する全23ステージ情報を公開しました。スタートとゴールの町から提供された観光スポット画像をあますことなく掲載するとともに、主催するASOから提供された各ステージの地図と高低表を網羅。予想通過時間の詳細もダウンロードできます。
7月6日の開幕後は現地から連日にわたってレースレポート、フランスの旅情報満載の取材者日記、主催者提供のレースシーン画像を追加掲載していきます。
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2019ツール・ド・フランスを総力特集する全23ステージ情報を公開しました。スタートとゴールの町から提供された観光スポット画像をあますことなく掲載するとともに、主催するASOから提供された各ステージの地図と高低表を網羅。予想通過時間の詳細もダウンロードできます。
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イネオスのエガン・ベルナル(22)がコロンビア選手として初の総合優勝を達成した。ベルナルは得意とするアルプスの山岳ステージで果敢にアタック。第18ステージで1分30秒遅れの総合2位に浮上すると、翌19ステージにおいて荒天による打ち切りの直前に通過した峠のタイム差で首位に。最後の山岳となった第20ステージでその座を守った。総合2位は前年の覇者でチームメートのゲラント・トーマス(英国)。同チームは5年連続で総合優勝者を輩出した。
「ボクは幸せだ。まだなにが起こったのか理解できていない。グランツールに初優勝したということも信じられない」
最終日前日、最後の山岳ステージが終了し、ゴール地点で恒例の優勝者会見が行われた。
コロンビア選手がツール・ド・フランスに初参加したのは1983年。例外的にプロ・アマオープン化され、コロンビアのアマチュア選手らが「カフェドコロンビア」というチームを組んで出場した。高地で生まれ育った選手らは荒削りだったが、上りの強さには目を見張るものがあり、翌年に初のステージ優勝を挙げたルッチョ・エレラは国民的英雄に。コロンビアにロードレース人気が訪れ、レース参入する子どもたちが激増する。
「これはボクの勝利というだけでなく、コロンビアという国家の勝利だと感じている。コロンビア選手はすでにジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャでは勝っているけど、ツール・ド・フランスの総合優勝というタイトルがなかった。それをボクが達成したのだからとても名誉なことだ」
ベルナルの父も自転車のプロを目指していた。
「優勝が確実となったとき、父は泣きそうだった。父はもう話すことができない状態だったが、なんとかボクを祝福してくれた。ボクたち家族にとって、これは夢だった。ボクたちはコロンビアの家でツール・ド・フランスのテレビを見ていて、こんなスゴい領域に到達できないと思った。子供のころに『いつか出場できたら最高にカッコいいぞ』と思ったけど、その目標は遠くにかなたに見えた。でも、いまここにいる。とても感慨深い」
大会は地元フランス勢も決死の戦いを展開。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)は14日間もマイヨジョーヌを着用したが、打ち切りレースとなった第19ステージで首位陥落した。期待が高かったグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)も優勝争いに加わったが、大腿部を痛めて涙を流しながらリタイアした。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
最後の山岳ステージは大雨による土砂崩れの危険性が高い前半部分の山岳を回避。距離59.5kmに短縮されて行われ、前日に初めて首位に立ったイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)が17秒遅れの区間4位でゴールし、コロンビア選手として初の総合優勝を確実にした。前日まで首位だったドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)は大きく遅れ、総合5位に後退。第20ステージの優勝はバーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)。
大混戦となった2019年の大会は、最後の勝負どころであるアルプスで2日連続の予想外の事態が発生した。どちらも悪天候が原因。前日はレース中に最後のルートがカットされ、直前の峠を通過したタイム差が総合成績に反映された。その結果、マイヨジョーヌを獲得したのがベルナルだ。前年の覇者であり、チームメートであるゲラント・トーマス(英国)はその峠で遅れていたことからベルナルが総合優勝をねらうエースとなり、トーマスの連覇はその時点でほぼなくなった。
そして大会最後の山岳ステージはカテゴリー超級とは言え、35kmの上り坂を有するバルトランスのみとなった。しかも当日はバルトランスの気象状況を憂慮して、一時はステージ打ち切りの可能性もあったという。幸運にもレースは短縮コースで行われることになった。
2019年の総合成績をほぼ確定させる最後の山岳では、これまでマイヨジョーヌを守り続けてきたアラフィリップがたまらず脱落。前日の総合2位から5位に陥落し、パリの表彰台を取り逃がした。
意地を見せたのは2014年の総合優勝者ニーバリ。前半前でマイヨジョーヌ争いから脱落していたが、この日は35kmの上りはじめからアタック。ゴールでは単独となり、4年ぶり6度目の区間優勝を果たした。
「区間勝利から遠ざかっていたから、これはその日々へのリベンジ。最後に勝利できてホッとしている」とニーバリ。
ニーバリから17秒後にベルナルと、そのアシスト役に回っていたトーマスが一緒にゴール。トーマスはベルナルの肩をたたいて祝福し、チームとして総合優勝を継続できることを喜んだ。
最終日となる第21ステージは慣例的な凱旋パレードとなり、総合成績の上位が変動することはほとんどない。南米選手初のマイヨジョーヌが誕生する瞬間をシャンゼリゼの観客が目撃するのみだ。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
アルプス2日目はイズラン峠からの下り坂が突如の降雪で危険な状態となり、レース打ち切り。89km地点のイズラン峠頂上を通過したタイムが総合成績に反映されることになった。前日まで1分30秒遅れの総合2位の位置にいたイネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)が、頂上で首位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)に2分以上の差をつけていて、初めて首位に立った。
大波乱の1日。そしてフランス中が失意のどん底に。前日までベルナルから15秒しか遅れていなかった総合5位のグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)が左太もものケガでレース途中にリタイア。涙を流しながら自転車から降り、チームカーに乗り込んだ。
さらにレースは思いもよらぬ事態に襲われる。標高2770mのイズラン峠で波乱があった。前年の覇者でベルナルとダブルエースを組むゲラント・トーマス(英国)が急加速。たまらずアラフィリップが脱落すると、ベルナルがアタック。トーマスや先行していた選手らを追い抜き、イズラン峠をトップ通過したのはベルナルだ。トーマスらの有力選手は50秒遅れ、アラフィリップは2分07秒遅れてこの頂上を通過した。
ベルナルらが下り坂を全力で走っているときに、その先のコースが冠雪。みぞれが雪崩のように路面になだれ込んだことで、レースディレクターが安全上の理由でレース中止を決定。ステージ優勝者はなしとし、総合成績はイズラン峠を通過したタイム差を反映することを全チームと関係車両に無線で通告した。
この結果、ベルナルがアラフィリップを逆転して首位に。チームメートのトーマスは1分03秒遅れの3位となった。
冠雪がなければ、レースは下り切ってもうひとつの山岳を上っていた。アラフィリップが下りを利用して差を詰めたか、最後の坂でさらに差をつけられるという2つの可能性があった。またトーマスが最後の上りでどんな走りをしたかマイヨジョーヌの着用者が変わっていた可能性もある。
優勝候補として最も注目されたベルナルがこんな異例の事態でマイヨジョーヌを獲得したのだ。
「なにが起こっているのかまったく分からなかった。無線でレースが終わったと言われ、立ち止まったら監督からマイヨジョーヌだと言われた」と感激で涙ぐむベルナル。
「明日は短いステージなので最後まで全力で行く。もしコロンビアで初めての総合優勝者となったらそれは快挙だよ」
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
モビスターのナイロ・キンタナ(コロンビア)が残り19kmを頂点とする最難関のガリビエ峠でアタックし、ゴールまで独走して1年ぶり3度目の区間優勝を飾った。首位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)は有力選手の集団から一時脱落したが、下り坂で追いついてマイヨジョーヌを死守した。総合2位はイネオスのゲラント・トーマス(英国)に代わってチームメートのエガン・ベルナル(コロンビア)になった。
序盤から30選手が第1集団を形成。この中に総合成績で9分30秒遅れ、2013年と2015年には総合2位になっているキンタナが加わっていたため、後続の有力選手らも決定的な差がつかないようにペースをコントロール。メイン集団の先頭にイネオスが並んで第1集団を追った。
先頭集団から徐々に脱落する選手が増え、勝負どころのガリビエ峠中腹でキンタナがアタックを決めると、誰も追走できなかった。単独になったキンタナはガリビエ峠を越え、ゴールまでの19kmを独走してトップフィニッシュした。
「中盤戦のピレネーでは落車してしまったので、その回復を今日まで待つ必要があった。アルプスは標高が高いからボクたちコロンビア勢には有利だ。タイミングをはかってアタックした」とキンタナ。
一方の総合優勝争いは大混戦だ。ガリビエ峠でイネオスは総合3位につけていたベルナルをアタックさせた。さらに総合2位のトーマスが先行する。この動きをきっかけに有力選手がバラバラに。アラフィリップがついにここで遅れを取り、ガリビエ峠ではわずかに差をつけられて通過した。
「あらゆるリスクを犯した」というアラフィリップは下り坂を全開で走り、先行していたトーマスらに合流。ベルナルには届かなかったが、マイヨジョーヌを死守することに成功した。ベルナルはこの日32秒を稼ぎ、総合成績で1分30秒遅れの2位に浮上。
「トーマスがレースを動かすためにアタックしろと声をかけてくれた。まだ勝負どころが2区間ある。目標を失わず、今日のようにうまくいくレースがしたい」とベルナル。
マイヨジョーヌを守ったアラフィリップは、「下りでリスクを負ってまで前方を追った。まだあきらめるわけにはいかない」と語った。
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
欧州チャンピオンジャージーを着用するミッチェルトン・スコットのマッテオ・トレンティン(イタリア)が独走し、5年ぶり3度目のステージ優勝を果たした。同チームはこれで区間4勝目。首位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)、1分35秒差の総合2位ゲラント・トーマス(英国、イネオス)らは20分10秒遅れのメイン集団でゴールし、総合成績の上位に変動はなかった。
翌日からは総合優勝をかけたアルプス3連戦。最終日のパリはスプリンターのものだ。区間勝利をねらうのはもうこの日しかない。山岳ステージの決戦に備えた有力選手は動かないとみた一発勝負師たち34選手が5km地点から第1集団を形成した。トレンティンもこの中にいた。
「第10ステージが終わって、ボクが勝つとしたら今日しかないと思っていた。翌日からの山岳3区間はあまりにも厳しいからね」と満を持して第1集団に加わったトレンティン。すでに脚は疲労の塊だったが、精神的なモチベーションが奮い立たせた。
残り14kmでトレンティンが抜け出し、ゴールまで独走する。トレンティンはゴールスプリントにも定評があるが、この日は確実に勝利をつかむために早めに動いたことが功を奏する。
「まさか単独になるとは思わなかったが、自分のペースを維持してゴールまで逃げ切ろうと思った」
トレンティンは2013年のリヨン、2014年のナンシーに続き、久々に区間優勝。欧州選手権は近年になって始まったレースで、その優勝者は1年間チャンピオンジャージーを着用する。ツール・ド・フランスで欧州チャンピオンが勝ったのは2017年のペテル・サガン(スロバキア)、2018年のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)に続いて3年連続となる。
欧州チャンピオンとしてプロ選手を代表する存在でもあり、イタリアプロサイクリスト協会の副会長も務める。母国イタリアでは自転車が巻き込まれる交通事故が欧州で最悪なことを憂慮し、欧州議会に改善要望書を提出し、受理された際の中心選手となった。
「これまでの2勝はスプリント勝利だったが、今日はまた違ったパターンで勝てたから、一番思い出に残ると思う」
●4賞ジャージ
■マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
■マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
●マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)エガン・ベルナル(イネオス、コロンビア)
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