世界一高いミヨー橋を1分半で渡り、カルカッソンヌで脱出に一苦労

ツール・ド・フランス取材者日記第15ステージ。中央山塊の田舎町でのんびりさせてもらい、乾いた大地と森林が地平線の彼方まで続くオクシタニー地域に突入。第15ステージはスタート後に世界で一番高いミヨー橋の下を通過します。このあたりは谷間に朝もやがたまることがあって、時間によっては雲海の上を走る道路に。ボクはきょう、この上をクルマで走るので、ドキドキ!

ミヨー橋。朝もやが谷間にかかると雲海の上を走る感じに

中央山塊は曲がりくねった道で高速道路は有料化するようなハイスピードルートじゃないんですが、オクシタニーに入ると地平線まで高速道路が延々と延びている光景に出くわします。フランスはAが高速道路となりますが、場所によって有料だったり無料だったり。ボクの経験では、一般道が並行して走っていたらオカネを払っても早く行きたい人のために有料化。もうその道しかなかったらだれでも通れるように無料にするという料金ルールだと思います。

ミヨー橋はA75高速でアプローチします。というかミヨー橋は高速道路です。近くなると乗用車は一律10.4ユーロの課金。料金所でオカネを払ってしばらく走ると、はるか彼方に白い橋梁が見えてきました。そのまま渡らず、橋の手前にあるサービスエリアに。

かなりの観光スポットなのでたくさんの人たちがいて、ツール・ド・フランス関係者も。広大な駐車場から丘の上までジグザグの道があって、それを上ると橋を一望できる展望台があります。フランスの小学生が見学に来ていました。

で、いよいよミヨー橋。走ってきました! 主塔の高さは東京タワーよりも高い343m。で、怖かったかというと、側道が広くて眼下はほとんど見えませんでした。全長2.5kmなので1分30秒で渡っちゃいました。

カルカッソンヌはオクシタニー地方なのでロックフォールチーズ

ゴールはカルカッソンヌ。「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」のカルカッソンヌです。旧市街は狭い碁盤の目のような一方通行路で、ツール・ド・フランスの到着に合わせて車両規制をしているので、脱出するのに一苦労。わずか5kmほどのホテルなのですが、とりあえず町の反対側に出てからバイパスを大回りで向かいました。

ホテルは質素ですが、システマチックなルーブルホテルズの格安「プルミエールクラス」。歩いてすぐのキリヤードにこの日優勝したアスタナチームが宿泊していて、さらに歩いて行ったところにスーパーマーケットがあったんですが、プルミエールクラスはチェックインに遅れてもなんとかなるという安心感から、結構遅くまで仕事をしていて、すでに閉店。

GPSで来々軒を見つけ、閉店時間の15分前に到着しましたが、余裕で店内に案内されました。フランスの来々軒はビュフェスタイルで、このお店は16ユーロ50でした。

ツール・ド・フランス取材仲間は、フランスにある中華料理屋を来々軒と総称しています

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中央山塊の激坂をなんとかしのいだのでこの日は自分にごほうび

ツール・ド・フランス取材者日記第14ステージ。中央山塊に突入しました。ゴールのマンドまでカーナビで検索してみると、距離175kmで所要時間3時間。フランス的な感覚ではこの距離なら1時間半でいけるかなという感じですが、中央山塊はA高速がなく、N国道も曲がりくねっているのでスピードが出ないんです。かつての山岳地帯で、意外と標高があります。

La Canourgueという町。渓流沿いに栄えた巡礼宿らしい

マンドは町の真ん中にサンドベージュ色の大きな教会があって、山の上にある飛行場までの激坂がツール・ド・フランスのコースになります。日本ならこんな急勾配は道路構造令で認可されないと思いますが、常識外れの急勾配です。おそらく朝から車両進入禁止で、観客は歩いて上っていましたが、3kmほどなので歩いた方が帰路は早いですね。観客のクルマは関係車両が降りるまで動かすことが許されないので。

マンドは猛暑になると大変だなと覚悟していたら、この日は気温20度。みんな防寒具を着てシゴトをしています。短パン・Tシャツもいるけどそれは無視しました。下山路がひとつしかないマンドなので、ゴール後はそれなりに大渋滞。チームバスとチームカーが最優先で下山します。そして選手到着前からゴールの奥の原っぱに缶詰状態の広告キャラバン隊も解放されます。それからその他の関係車両がもう混沌とした状態で一斉に下山します。

マンドのゴールは飛行場の滑走路。この日は終日離発着不可だ

マンドは下山まで相当時間がかかると予想していたので、この日の宿は22時までチェックイン可能のホテルを予約。チェーン系の格安ホテルだと午後9時にはフロント係が帰宅してしまい、自動チェックイン機でインするんですが、それが壊れていたらどうするんでしょうね。

この日は60km離れた宿に午後9時過ぎに到着。ロジドフランス登録ホテルなので、併設レストランがあることから午後9時に人がいなくなることはまずありません。到着直後にレストランの厨房に行って部屋のキーをもらい、「ごはん食べたい」と言ったら、「まだレストランは空いてるけど10分は待てない」というので顔だけ洗ってテーブルへ。マンドからの渋滞に耐えた自分にごほうびのため、ビエールのドゥミ(中生)を2杯と水差しワイン(25c)をお願いしてみました。

ロジドフランスは地元料理を用意したレストランを併設したホテルの協会です。行ってみたらミュラン掲載店だってこともかなりの確率であります。この日も夜遅く到着してもおいしいご飯が食べられました。ツール・ド・フランス取材の旅は気兼ねないチェーン店、夕食が食べられるロジなど適材適所で選択するのが賢いやり方です。

Hôtel Le Portalou。ホテルの併設レストランで夕食をとってから散策

フランスの田舎にありがちな街並み。朝になってジョギングで探索してみると、この町はビルエタップって書いてあるから巡礼宿なんですね。この渓流沿いにいくと、きょうは日曜日なので通行止になって、隣町でのみの市をやっていました。こんなきれいな町がフランスにはゴマンとあります。

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レストランがないときはカフェテリアで安価にやりこなす

ツール・ド・フランス取材者日記第13ステージ。大移動で心身ともに疲れ果てたときはお気遣いのメッセージをたくさんいただきました。ボクは最高に快適なアルプスで3日間も過ごしたのですっかり回復。きょうも朝のランのあとシャワーを浴び、格安ホテルなんですが朝食を屋外に持ち出しておいしくいただきました。日本のみなさんのほうが猛暑に気をつけて!

前夜に入ったホテルはグルノーブル近郊のユニベルシテという地域。こういったエリアがあるのはかつてから知っていて、ラルプデュエズへのアプローチもいいのでイビスホテルなどに泊まったこともあります。でもユニベルシテの意味が、グルノーブル・アルプ大学だというのは朝のジョギングで初めて認識しました。

開放的で広々とした学園都市で、歩道と自転車道が整備されているのでジョギングをしている人も多かったです。緑の中を6kmほどのジョグはとても気持ちよかったです。

この日のゴールまでは意外とアクセスがよくて、正午にはバランスへ。プロバンスにも近いので気温は高めでしたが、それでも30度ほど。日本から持ってきたUSB起動のノートブック型扇風機が威力を発揮します。

ホテルは数kmの近さなので、しっかりとサルドプレスで仕事して、この日に送らなければいけない原稿はすべて送信。ボクの仕事はこうして毎日完結型なので、翌日に原稿をスライドすることなくこなせばやりきった感いっぱいでホテルに入って飲みに行けるんです。

テーブルの上にバケツが置いてあるけど、海水浴していたわけじゃなくて、ムール貝のカラを入れてねって渡されたもの

この日はフランス最低ランクのF1ホテル。あまり部屋にいると気が滅入るので、最寄りのスーパーまで夕ごはんを食べに行きました。ホテルの近くにレストランがないときはスーパーのカフェテリアに行くのがオススメです。ワインはカラフ(水差し)の大きさを選んで、栓をひねって自分で注ぎ込みます。サラダは大中小のお皿を選んで、目いっぱい盛りつけます。メインにつけあわせのレギューム(野菜)が取り放題でついてくるので、サラダのお皿はいらなかったかな。

そろそろ来々軒(フランスの中華料理店)もいいかなと思ったんですけど、金曜と土曜は料金が高いのでやめました。フランスの来々軒は単品料理を注文するのではなく、ビュフェ料金を支払う食べ放題形式に変わりました。日本料理と称するものもあります。経営者は中国やカンボジアやタイの人が多いですね。

ところで、この日は庶民が憩いとするカフェテリア。カフェテリアはレギュームにライスと熱々のカレースープがあるので、メインを頼めばタダでカレーライスが食べられます。料金は一般的なレストランの2分の1から3分の1ですみます。

ワインはカラフ(水差し)の大きさを選んで、栓をひねって自分で注ぎ込む

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ツール・ド・フランス現地観戦に行くならラルプデュエズでしょ!

ツール・ド・フランス取材者日記第12ステージ。アルプスの4つ星ホテルの快適な部屋を満喫するために、11ユーロなんていうぼったくりな値段のラザニアをピザ屋で温めてもらい、そんな部屋飲みを客観的に考えたときに、ものすごいさみしさを感じてふて寝してしまいました。真夜中に米国テレビドラマでよく聞くような雷鳴がとどろいていた気がしますが、目を開けるさみしさを再確認しそうなので無視しました。

ラルプデュエズは聖地。広告キャラバン隊もいつもと違って隊列を整えて進む

午前7時に自然に起床して、ちょっとパソコンなどをいじっていたので遅くなっちゃいましたが、標高1800mのスキーゲレンデでトレイルラン。この日のために用意したサロモンのトレランシューズを引っぱり出して、斜面を登り始めたんですが、標高が高いので息が切れてしまい走れず。でもガーミンデバイスにすべてのデータが記録されちゃうので、下りはそれなりに走りました。

こんな心地よいお部屋はもっとのんびり過ごしたいものですが、シャワーを浴びて、いつものようにバッグをひっくり返して整理しながらすべてを収納するというルーティーンをやって出発。下山した町がスタート地点でしたが、この日はやはりラルプデュエズでしっかりと時間を過ごしたいという気持ちがあったので、スタートを無視してゴールへ。

もしみなさんがツール・ド・フランスに行こうと思ったら、ラルプデュエズを訪ねることをオススメします。クルマを使うか。自転車を持っていくか。歩きがベースなのでテレキャビンで上るか。いろんな手段があるんですが、たぶんどんな条件でもアドバイスできると思います。

悪魔おじさんはゴールよりもちょっと離れたところに出現。前夜に到着して駐車しやすいからだとか。

これまでラルプデュエズはゴール地点にあらゆる手段を駆使して宿を確保していたんですが、それはそれで大変で。今年は60km離れたグルノーブルに予約。なんと下山はたった35分。2時間たらずで宿へ。いまはカバのキャラで知られるイポーという肉チェーン店のテラス席。お店のWiFi 使ってます。

さすがにイノー時代は知らないんですがフィニョン時代のラルプデュエズは知っているので、観客が半減したのは実感してます。でもこれ、自転車人気の低落じゃなくて、さまざまな要因があるんですよ。そのあたり、どこかのコラムにさりげなく書いています。探してください。

ホテル前のパーキング。ホコリだらけのボクのクルマだけどなかなかイケてる

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●ラルプデュエズのツーリストフィンフォメーション

アルプスになつかしさが持てる…これもツール・ド・フランス取材の恩恵

ツール・ド・フランス取材者日記第11ステージ。2連泊したラ・クルーズの「オテル・モンターニュ」をあとにして、60kmほどのアルベールビルへ。谷沿いの道路はもう何度も通ったことがあり、ムーティエなどいくつかの町は滞在した思い出もある。アルプスになつかしさが持てるなんて、日本人でそんなにいないと思うのでとてもありがたいです。

アルベールビルの市庁舎もツール・ド・フランスを大歓迎

よく晴れて、日差しの強いアルベールビルのスタート地点へ。選手のスタートを待たずに出発する「プレスアバン」と、迂回路を行く「オーコース」のアクセス&待避ルートがコースを走らなくていいので、いつもより短時間でスタートに到着することができました。そして手間なくゴールを目指すことができます。

ところで、スタート地点にアクセスするのにはコツがあります。それは広告キャラバン隊の出発にひっかからないこと。彼らは数百台が待機していた駐車場から隊列を組んでコースインするんですが、この20分ほどはキャラバン隊が最優先でチームカーでさえ止められます。だからチーム関係者は広告キャラバン隊が出発したあとを見計らってスタートの町に着くようにしています。ボクたち取材陣はキャラバン隊出発の前までにアクセスするのが、余裕が持てるのでよく取る方法です。

けさのゆでたまごは我ながら完ぺき。2泊目なのでゆでたまごマシンの性能が把握できている

この日のホテルはレザルクというスキーリゾートで一夜を過ごすことに。レザルク1600とか1800とか2000とか標高のついたホテル郡が点在していて、ボクはレザルク1800の4つ星ホテル。ホテル予約サイトで安価に取れました。欧州の人たちがバカンスを過ごす滞在型ホテルなので、1週間単位の予約が基本なんですが、その間隙でポッカリと空いた1日がネットで売り出されることもあるようです。ちなみに1部屋9000円。ボクはシングルユースですが、2人で泊まれば半額の勘定になります。

ボクの部屋は1階で、テラスから大草原にそのまま出て行けます。乾いた空気と草のにおい。イタリア国境に真っ白なモンブランが見えます。ふもとの町から20km上ってきたので、下山する気持ちはなく、レザルク1600まで降りてスーパーとピザ屋で部屋飲みグッズを調達。テラスで気持ちよく「ジェネピービール」をいただいております。

冬は部屋からスキーで滑り出せるんだね

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これがリゾートっていうものです…アルプスは最高に気持ちいい!

ツール・ド・フランス取材者日記第10ステージ。乾いた空気と草原のにおい。アルプスはさすがに気持ちいいです。山小屋風のホテルは水回りなどが清潔で、レストランはテラス席も用意されているので、防寒具を着込んで外で食事をするのもオススメです。

この日のゆでたまごはまあ成功かな

この日の朝はジョギングに出発したとたんに雨が降ってきてしまい、わずか1kmでホテル戻り。やることがなくなったので、すぐ近くの修理工場にクルマを回して、空気入れを1ユーロで使わせてもらったら、なんと「気圧が高すぎる」というオチに。ちょっと安心したというか、新たな疲れが感じられたというか、とても微妙でしたが、このころには青空も広がって、晴れ晴れとした気分でツール・ド・フランス取材に。

ラ・クルーザにあるホテルはコース上で、実はコースが大きく迂回しているのでゴールのル・グランボルナンまで6kmでたどり着きました。途中で女子レースのラクルス・ツール・ド・フランスがやって来たのでプロカメラ機材を初めて取り出して撮影。終わったらもう何度も訪れているル・グランボルナンのサルドプレスへ。

早朝からツール・ド・フランス公式ブティックが沿道に出現

ここは町の人たちが地元の特産物を用意してもてなしてくれます。前夜もサボワ料理でハムやサラミにちょっと食傷気味でしたが、それでもオススメを聞いて皿に盛ってもらい、そしてもちろんサボワ地方のワインを味わってみることに。サボワは赤も白もロゼも生産されているんですね。

サルドプレスには午前中に到着していたので、しっかりと原稿もフィニッシュ。帰路はもう勝手知ったるルートで、ここで渋滞するとか完ぺきに把握できていて、連泊のためすでにキーを持っているホテルへ。宿が確保されているというのが安心感になり、落ち着いていい原稿を書く秘けつです。

グリエール高原の未舗装路を走る © ASO

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