ポガチャルがUAEツアー第3S優勝…惜敗のイェーツは総合2位へ

UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が2月23日に行われたUAEツアー第3ステージで、前年の覇者アダム・イェーツ(英国、イネオス・グレナディアス)をタイム差なしで制して優勝。総合成績でも首位を守った。

ポガチャルがUAEツアー第3ステージで優勝 ©LaPresse – Fabio Ferrari

この日はジャバルハフィート州立公園に駆け上がる山岳ステージで、ポガチャルは2020年に続いてこのアップヒルを制した。これまでにスペインのアレハンドロ・バルベルデが2018、2019年に2連勝して以来の記録。

「チームメートが厳しい横風から守ってくれて感謝している。アダム・イェーツは上り坂に強いので、勝負の瞬間まで体力を保持する必要があった。だからアダムの後輪についていった。彼は何回かアタックしたけど、逃がすことはなかった」とポガチャル。

リーダージャージを着るポガチャルと、それをけん引するUAEエミレーツ勢 ©LaPresse – Fabio Ferrari

イェーツはステージ勝利を逃したものの、前日の総合5位から43秒遅れの総合2位に浮上した。強烈な横風で集団が分断された第1ステージで、イェーツはポガチャルとともに先頭集団に残ったが、得意ではない第2ステージの個人タイムトライアルで1分近くも遅れ、総合5位に甘んじていた。

UAEツアーの勝負どころ、ジャバルハフィートを上る ©LaPresse – Fabio Ferrari
アダム・イェーツのアタックに反応するタデイ・ポガチャル(右)とセップ・クス ©LaPresse – Fabio Ferrari
ポガチャルがイェーツを制して優勝。総合成績でも首位を守った ©LaPresse – Gian Mattia D’Alberto
UAEツアー第3ステージ優勝のポガチャル ©LaPresse – Gian Mattia D’Alberto
UAEツアー第3ステージで首位を守ったポガチャル ©LaPresse – Gian Mattia D’Alberto

🇦🇪UAEツアー関連ニュース
UAEツアーでワールドシリーズ33戦開幕…コロナ禍でどうなる?(2021年2月21日)
ファンデルプールがUAEツアー第1ステージで優勝(2021年2月22日)
アルペシン・フェニックスがUAEツアーから撤退(2021年2月22日)
世界チャンピオンのガンナがUAEツアーのTTステージ優勝(2021年2月23日)
●UAEツアーのホームページ

UAEツアーでワールドシリーズ33戦開幕…コロナ禍でどうなる?

自転車ロードレースの2021シーズン到来。UCI(国際自転車競技連合)ワールドツアー全33レースの緒戦として、2月21日から27日まで中東のUAEでUAEツアーが開催される。ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトが大会運営し、放送権はIMGが統括。日本では有料インターネットチャンネルのGCN+で生中継される。スタート記念キャンペーンの50%引きを適用すると年間2750円。

2021UAEツアーに参戦する有力選手 ©LaPresse – Fabio Ferrari

コロナ禍と若手台頭、昨季はこの大会がすべての始まりだった

2020年2月23日に開幕した7日間のステージレースの主催者は大会6日目の早朝、参戦していたUAEエミレーツのチームスタッフ2人が感染したとして、残る2ステージをただちに打ち切った。

出場中だった新城幸也(当時バーレーン・マクラーレン、現バーレーンビクトリアス)を含む全選手がホテルに長期隔離された。しばらくしてUAEエミレーツのスプリンター、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)の罹患が発覚。このあと、自転車競技界もコロナ禍に巻き込まれていく。

アダム・イェーツ ©LaPresse

5ステージで打ち切られた大会は、その時点で首位にいたアダム・イェーツ(英国)が総合優勝者となった。同選手は今季、母国のイネオス・グレナディアスに移籍し、今回のUAEツアーには連覇をかけて乗り込んでくる。

「トレーニングはいい感じでこなせたが、レースで同じような走りができるとは限らない。チームはボクをサポートしてくれるが、ツール・ド・ラプロバンスで勝ったイバン・ソーサもいるので、2つのオプションがある」とイェーツ。
「チームには強いクライマーもいるが、この大会は個人タイムトライアルもあるので、ボクにはそれが不利となりそうだ」

ホームチームのUAEエミレーツはポガチャルが雪辱を期す

2020年の大会で区間1勝と総合2位の成績を修め、一躍トップ選手の仲間入りを果たしたのが、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)だ。21歳の若手選手だったが、そのシーズンは2カ月延期されて開催されたツール・ド・フランスで総合いきなり優勝した。そのポガチャルが今季の緒戦として選んだのが、チームが拠点を置くUAEツアーである。ポガチャルと同じチームに電撃移籍したスイスのマルク・ヒルシも今大会に初出場する予定。

「ツール・ド・フランスで総合優勝したけれど、選手としては変わっていない。今年も同じモチベーション、同じ集中力、同じ目標を持っている」とポガチャル。
「UAEツアーはホームレースなので、チームにとって本当に重要なイベントだ。昨年はここで2位に終わったのは少し残念だったが、今回は再チャレンジとなる」

タデイ・ポガチャル ©LaPresse

イネオス・グレナディアスからイスラエルスタートアップネーションに移籍したクリストファー・フルーム(英国)にとっても感慨深い大会だ。2019年、ツール・ド・フランス最多の5勝目を目指したが、直前の大ケガで参加できず。懸命のリハビリを行い、カムバックしたのが昨季のUAEツアーだった。今季は南米合宿をこなして現地レースに出場予定だったが、現地の感染拡大により大会が中止になり、移籍チームでの初レースはこのUAEツアーになった。

「レースを楽しみにしている。自分の弱点を修正するために米国カリフォルニアでいい冬を過ごした。リハビリは間違いなく昨年の今ごろよりもいい」とフルーム。
「もちろん総合優勝をねらって出場するわけではないが、本来の調子を戻せるようなきっかけとなる走りがしたい」

クリストファー・フルーム ©LaPresse

個人タイムトライアルの世界チャンピオン、フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアス)は初出場。スプリンター勢はロット・スーダルのカレブ・ユアン(オーストラリア)、2020ツール・ド・フランスでポイント賞を獲得したドゥークニンク・クイックステップのサム・ベネット(アイルランド)、ボーラ・ハンスグローエのパスカル・アッカーマン(ドイツ)も出場。

フィリッポ・ガンナ ©LaPresse
アルペシン・フェニックスのマチュー・ファンデルプール(オランダ) ©LaPresse
トレック・セガフレードのビンチェンツォ・ニバリ(イタリア) ©LaPresse
サム・ベネット ©LaPresse
パスカル・アッカーマン ©LaPresse

そして2020年の大会で自転車選手として最初に罹患したガビリア。シーズン中に2度目の感染を経験したがカムバック。この大会に懸ける意気込みはだれよりも強い。

昨季はコロナ禍が若手台頭を後押し

コロナ禍で開催される2シーズン目。1月にオーストラリアで開催予定だったワールドツアー2大会が中止となり、そのためUAEツアーが開幕戦となった。欧州では依然として感染が落ち着く兆しはない。国際団体は大会日程を平時のものに戻したが、中止あるいは延期も想定される。昨季は後半に主要大会が凝縮され、そんな強行日程が若手台頭を後押しした。

有料インターネットチャンネルのGCN+はスタート記念キャンペーンの50%引きを適用すると年間2750円。

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UAEツアーにフルーム、ポガチャル、A・イェーツ参戦

2月21日から27日まで中東のUAEで開催されるUAEツアーが出場選手を発表した。前年の覇者アダム・イェーツ(英国、イネオス・グレナディアス)をはじめ、2020ツール・ド・フランス総合優勝のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)、イスラエルスタートアップネーションに移籍したクリストファー・フルーム(英国)らが参加する。

2020年はアダム・イェーツ(右)とタデイ・ポガチャルが激しく争った ©LaPresse – Fabio Ferrari

ポガチャルは2020年のUAEツアー総合2位。ポガチャルと同じチームに電撃移籍したスイスのマルク・ヒルシが初出場する予定。

クリストファー・フルーム ©LaPresse – Fabio Ferrari
2020UAEツアー総合優勝のアダム・イェーツ ©LaPresse – Fabio Ferrari
タデイ・ポガチャル ©LaPresse – Fabio Ferrari

個人タイムトライアルの世界チャンピオン、フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアス)はUAEツアー初出場。

タイムトライアルの世界チャンピオン、フィリッポ・ガンナ ©Fabio Ferrari/LaPresse

スプリンター勢はロット・スーダルのカレブ・ユアン(オーストラリア)、2020ツール・ド・フランスでポイント賞を獲得したドゥークニンク・クイックステップのサム・ベネット(アイルランド)、ボーラ・ハンスグローエのパスカル・アッカーマン(ドイツ)、UAEエミレーツのフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が出場。

カレブ・ユアン ©LaPresse – Fabio Ferrari
ボーラ・ハンスグローエのパスカル・アッカーマン ©LaPresse – Fabio Ferrari

UCIプロチームのアルペシン・フェニックスはマチュー・ファンデルプールを起用する。

マチュー・ファンデルプール ©LaPresse – Marco Alpozzi

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アラフィリップがペナルティで首位陥落…ツール・ド・フランス第5S

第107回ツール・ド・フランスは9月2日、ガップ〜プリバ間の183kmで第5ステージが行われ、ユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)がゴール勝負を制し、2019年に続く区間2勝目を挙げた。

2020ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)は残り20kmを切ってから規則違反のボトル補給を受けたため20秒のペナルティ。前日まで4秒遅れの総合2位につけていたミッチェルトン・スコットのアダム・イエーツ(英国)が首位に浮上。初めてマイヨジョーヌを着用した。

パレード区間を終えて「km0地点」を通過したところで正式スタートの合図が振られた ©A.S.O. Alex Broadway
マイヨジョーヌのアラフィリップは「長くて退屈なステージだった」と余裕のコメントだったが… ©A.S.O. Alex Broadway

この日は序盤から走行速度が遅く、飛び出そうとする選手もいなかった。連日の激しいレースで疲れを見せる選手たちの気持ちが「今日はみんなでゆっくり行こう」という意思で統一されたのだ。その間隙を縫ってアシスト役のファンアールトが勝利をものにした。

山岳賞ジャージを着るブノワ・コズネフロワ ©A.S.O. Alex Broadway

2019年は第10ステージで勝ったが、第13ステージで落車して負傷リタイア。2020年8月に復帰したばかりだった。

「ここまで回復できるとは思わなかった。チームエースのログリッチとデュムランは調子がいいので、ボクはこのあとはしっかりと仕事をしたい」とファンアールト。

2020ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Alex Broadway

アラフィリップは集団の中でゴールし、首位を守ったかに見えたが、残り17kmで沿道にいたチームスタッフから規則違反のボトル補給。20秒のペナルティを加算され、総合16位に陥落。イェーツが首位に浮上した。

ワウト・ファンアールト(ベルギー)がツール・ド・フランス第5ステージ優勝 ©A.S.O. Alex Broadway

「ゴール後にチームバスでシャワーを浴びてホテルに向かう準備をしていたが、表彰式に出るようにと迎えがきた。こんな感じで初めてマイヨジョーヌを着るのはイヤだったが、獲得したものは守りたい」とイェーツ。

アダム・イェーツがツール・ド・フランス第5ステージでマイヨジョーヌ ©A.S.O. Alex Broadway

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)
マイヨベール(ポイント賞)サム・ベネット(アイルランド、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ブノワ・コズネフロワ(フランス)(フランス、AG2Rラモンディアール)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2020ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Pauline-Ballet

【もの知りコラム】国別対抗戦だった時代もあった

ツール・ド・フランスの参加形態は、いくつかの変遷を繰り返して今日に至る。基本的には現在と同じチーム単位での参加だが、個人参加も認めた時代もある。1930年にようやくルールが明確化。じつはその年からナショナルチームとしての参加に変更された。1938年には完全に個人参加がなくなった。翌年には活性化の意味で、フランス地域選抜も加わる。

さらに1962年、チーム単位の参加に変更。1967~1968年にナショナルチーム形式に戻したのはサッカーW杯のようにナショナリズムをあおるのが目的だった。ようやく現在のプロチーム単位の参加となったのが1969年。世界190カ国に報道されるレースだけに、スポンサーで成り立っているプロチームは、ツール・ド・フランスに出場することが最優先となる。

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🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

アダム・イェーツがUAEツアー第3S優勝で一躍首位に

ミッチェルトン・スコットのアダム・イェーツ(英国)が2月25日に開催されたUAEツアー第3ステージで後続に1分03秒差をつけて独走勝利。総合成績でも首位に立った。

アダム・イェーツがUAEツアー第3ステージで優勝 ©LaPresse – Fabio Ferrari

「早い段階で攻撃したのは、自分の脚をテストしたかったから。このレースが私にとってシーズンの最初だったので、誰がどんなコンディションでいるのかを知るのは難しかった」とイェーツ。

UAEツアー第3ステージ ©LaPresse – Fabio Ferrari

「アタックしたのはちょっと早すぎたと思ったけど、最終的にいい感じだった。1分のアドバンテージは大きいが、もう1つ山岳ステージがあって、私の脚はそんなによくはならないと思う。明日は横風が吹くかもしれないと聞いたので、総合優勝の道のりはまだ遠い」

アダム・イェーツがUAEツアー第3ステージで独走する ©LaPresse – Massimo Paolone
アダム・イェーツがUAEツアー第3ステージを終えて首位に ©LaPresse – Massimo Paolone

THE STAGES
(クリックするとステージの記事に飛びます)
Stage 1: Marjan Island Stage (158km), Zabeel Park – Marjan Island
Stage 2: Dubai Municipality Stage (203km), The Pointe – Hatta Dam
Stage 3: Sharjah Stage (198km), Sharjah – Rafisah Dam 
Stage 4: Dubai Stage (171km), Dubai Design District – Dubai City Walk
Stage 5: Al Ain Stage (162km), Al Ain – Jebel Hafeet 
Stage 6: ADNOC Stage (158km), Al Ruwais – Al Mirfa
Stage 7: Abu Dhabi Stage (127km), Al Maryah Island – Abu Dhabi Breakwater

●UAEツアーのホームページ

ログリッチェが最終日に1秒差逆転優勝…ティレーノ〜アドリアティコ

イタリア半島を横断する7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコが最終日となる3月19日に第7ステージとして個人タイムトライアルが行われ、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)がミッチェルトン・スコットのアダム・イェーツ(英国)を1秒差で制して総合優勝した。

ティレーノ〜アドリアティコで総合優勝したプリモシュ・ログリッチェ ©LaPresse/Fabio Ferrari

距離10.1kmと短い距離での戦いとなったが、ログリッチはトップタイムから13秒遅れの11位と好タイムでフィニッシュ。前日までの総合成績で2位のログリッチェを25秒リードしていたイェーツは39秒遅れの48位。わずか1秒差でログリッチェが首位となり、大逆転で総合優勝を決めた。

スロベニア選手が同大会で総合優勝したのは初めて。

ティレーノ〜アドリアティコ最終日を走るプリモシュ・ログリッチェ ©LaPresse/Fabio Ferrari

総合時間のコンマ以下は切り捨てられる規定だが、実際には1位ログリッチェと2位イェーツとの差は100分の31秒。2001年の1位ダビデ・レベッリンと2位ガブリエレ・コロンボの100分の27秒に次ぐ僅差となった。

「ティレーノ〜アドリアティコはシーズン序盤での最大の目標だった。それを達成できたのでうれしい」とログリッチェ。
「スタート前に勝てる自信はあった。でも走ることだけに集中した。アダムのタイムを気にすることなく、100%のパワーで走るだけだった。できるだけ早くゴールすることを心がけ、うまくカラダも動いてくれた。ボクにとっては大勝利だ。ジロ・デ・イタリアはもっと高い山があるので今回とは違うストーリーになると思う。でも高地トレーニングを積んで、高いモチベーションを持ってイタリアに戻ってきたい」

第2ステージから首位を守ってきたアダム・イェーツだが、最終日に逆転される ©LaPresse/Fabio Ferrari

「全力は尽くした。最後のタイムトライアルを迎えて、25秒差では足らないと思っていた。実際にその通りになったが、ボクとしてはいいタイムトライアルをしたと思う」とイェーツ。
「まったくボクに向いたコースではなかった。だからできることもできなかった。でもこれだけ大会レベルにある選手がそろうのが自転車レースさ。来年はもっと強くなってこのレースに再び挑戦して、総合成績で勝ちたいと思う」

第7ステージの個人タイムトライアルでトップタイムを出したのはロット・スーダルのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)。

ヴィクトール・カンペナールツが第7ステージでトップタイム ©LaPresse/Fabio Ferrari