ベレー帽はこうして作られる…バスク地方の伝統手法

2021ツール・ド・フランスの第18ステージ。18.7km地点にあるナイ村はバスクやベアルン地方のシンボルであるベレー帽の生産で有名。ベレー帽博物館が製造工程をガイドしてくれた。

細かいキズを表面につけることで手ざわりをよくする © Laulhère

Le béret(ベレー帽)の作り方

機械編みしたものを手作業で閉じる © Laulhère
染色工程の水質や温度はヒミツ © Laulhère
染色する時間もまたヒミツ © Laulhère
木型をはめて蒸気でしわを伸ばす © Laulhère
蒸気でウールのしっとり感がよみがえっていく © Laulhère
かつては手作業でひっかきキズを作ったという © Laulhère
剪断により均質な表面と、心地よく柔らかく、絹のような感触となる © Laulhère
加湿が終わったらいよいよ羽根飾りなどをつけながら成形へ © Laulhère
裏地をつける © Laulhère
裾の周りをクジラ革でステッチして成形 © Laulhère
不要な羊毛を取り除きながらトリートメントしてフィニッシュ © Laulhère
ナイ村の祭り。ベレー帽をかぶった村民が博物館入口に大集合 © Laulhère

●ベレー帽博物館のホームページ

プロバンスはオンもオフもサイクリングが満喫できるパラダイス

2021ツール・ド・フランス第11ステージは、いかにもプロバンスらしい風景が続くボークリューズ県。真っ白の単独峰モンバントゥーがある。

悪魔の棲む山モンバントゥー

このエリアは舗装路だけでなく、MTBコースが整備され、モンバントゥー、ダンテルドモンミライユなど、ボークリューズ山脈を行くコースがいくつもある。電動マウンテンバイクのレンタルショップも充実。家族連れの気楽なサイクリングから本格的なロードサイクル、MTBまで、タイプ別にいろいろなコースやレンタル業者を紹介するサイトもある。

モンバントゥー周辺をサイクリング ©HOCQUEL A – VPA

自転車巡りにうってつけスポットを厳選

約1800km。これは自転車愛好家がボークリューズにある、すべての難易度を合わせて41の自転車ルートすべてを制覇した場合の走行距離だ。自転車ルート「ビアブネッシア(Via Venaissia)」からダンテルドモンミライユの山並みをめで、オリーブオイルの搾油所を見つけたり、のんびりとぶどう畑を横切ったり、自転車ルート「カバロン(Cavalon)」を通ってリュベロンを散策したり。

©HOCQUEL A – VPA

もっと激しく(やる気全開で)走りたいなら、マウンテンバイクでボークリューズを横断するレース「Grande Traversée de Vaucluse à VTT」に使われたルートにチャレンジしてみよう。のどかな景色のかぐわしい空気をめいっぱい吸い込んで全身に行き渡らせれば、心も満たされ、かつてこの地を治めていた教皇たちの気分になれる。

モンバントゥーの下山路。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回下る

フォンテーヌ・ド・ボークリューズからプティット・ブニーズへ(21km)


エメラルド色の急流、ソルグ川は、フォンテーヌ・ド・ボークリューズ(Fontaine de Vaucluse)で湧き出し「小ベニス」とも呼ばれるイルドラソルグ(Isle sur la Sorgue)へと流れている。川と運河の流れに沿って造られた街には、毎週末300人もの古物商・骨董商たちが集まり、日曜には大規模なプロバンスの朝市が開かれる。自転車周遊ルートは街から川を源泉までさかのぼり、大きな果樹園や野菜畑へと抜けていく。

ラベンダーと古城 ©Alain-MAIGRE/La Drôme Tourisme
モンバントゥーの東麓。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回上る

自転車で巡るオークルの小道(15km ~ 51km)

リュベロンのオークルの小道( les Ocres )は、ルシヨン(Roussillon)からリュストレル(Rustrel)まで続く。かつて黄土色顔料の原料となる土を採掘していた場所は、赤色、朱色、黄色、黄金色とこの土地ならではのカラフルな景観を見せてくれる。

村々を結ぶ絵画のように閑静な小道はループに結ばれ、自転車ルートをどちらの方向から巡ってもこの景色に出会うことができる。

モンバントゥーは健脚サイクリストでいっぱい

ベゾンラロメーヌ周辺を走る(42km)

ワイン好きならご存知、ケランヌ(Cairanne)とラストー(Rasteau のコート・デュ・ローヌのワイン畑を走る自転車散歩。古代・中世の遺跡が多く残るベゾンラロメーヌ(Vaison-laRomaine)を出発すると、自転車ルートはダンテルドモンミライユとモンバントゥーの山々を望む小道へと続き、ワインを作る村々を見つけることができる。

プロバンスの下界を臨む

ラベンダーの世界で(33km)

モンバントゥーの東、バルドソー(Val de Sault)は、石灰質の地層が昔ながらのたたずまいの村々を取り囲んでいる。村にはアーティストや職人たちが多く暮らしている。ラベンダー畑におおわわれたバルドソーは、澄んだ空気、景色の明度が並外れて高いことで知られている。

ボークリューズで採れるラベンダーとラバンディンの大半はソーが産地。道すがら、蒸留所、ヌガー工房、蜂蜜工房を訪ねてみよう。

モンバントゥー西麓からのアプローチ。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回下る

●プロバンスのサイクリング情報ページ
●レンタルサイクルの情報ページ

美しき南仏プロバンスには悪魔が棲むという山がある

ツール・ド・フランスで元世界チャンピオンが急死したストーリー

ツール・ド・フランスが訪れる7つの観光名所【ブルターニュ編】

世界屈指の観光大国フランスを一周する自転車ロードレース。ツール・ド・フランスはそれだけに現地の美しい観光スポットを数え切れないほど巡りながら一周する。そんなフランスの観光地を紹介。今回は開幕から4連続ステージが行われるブルターニュ半島編。

薔薇色花崗岩海岸、メアン・リュズ灯台 (第2ステージ) ©CRTB Thibault Poriel

🇫🇷第1ステージ ブレスト〜ランデルノー

第1ステージのスタート地点ブレスト、アトリエ・デ・キャプサンの展望台(第1ステージ) 
第1ステージの78km地点、カンペ―ル焼きの耳付きカフェオレボウル(ブルトンボウル) ©Atout France
くまモンが2019年にブルターニュを訪問した際に、ブルターニュ地方からプレゼントされた名入れカフェオレボウル ©Atout France

🇫🇷第2ステージ ペロギレック〜ミュールドブルターニュ

グラニット・ローズ(薔薇色花崗岩海岸)

カラフルな岩が詩情豊かな風景を見せてくれるグラニット・ローズ海岸。海岸線は思いがけない発見に満ち、まさに鳥たちとハイカーの天国だ。ここにはサメが、あそこにはウサギが、亀もいた。そして魔法使いも…と岩がさまざまなシルエットに見えるのがとても楽しい。

薔薇色花崗岩海岸、メアン・リュズ灯台 (第2ステージ) ©CRTB Thibault Poriel

岩の色はもちろんバラ色。日の光に輝く美しいサーモンピンクだ。松の木々の向こうには細かい砂の入江が見え隠れし、まるで数珠のように連なる小さな島々を正面に見つつ、グラニット・ローズ海岸はカーブを描きながらブレア島 île de Bréhat からトレブールデン Trébeurden まで続く。

ペロ・ギレック Perros-Guirec の沖合いにあるのは、海鳥の楽園であるセット・イル国立自然保護区 la réserve naturelle nationale des Sept-Îles。特にツノメドリやシロカツオドリ、ウがコロニーを形成している。

ブルターニュの海藻の恵み

水や海藻成分を使って治療や健康増進に役立てるというタラソテラピーは、ブルターニュ生まれ。海辺の気候がストレスや疲れをいやしてくれる。

🇫🇷第3ステージ ロリアン≫ポンタビー

ロリアンケルト民族フェスティバル Festival interceltique de Lorient

ブルターニュ半島の南側に位置するロリアン Lorient では1971年から毎年ケルト民族フェスティバルが開催されている。世界各地のケルト文化を伝承する国からアーティストが集まり、ともに音楽を奏でるイベントだ。

10日間にわたって行われるコンサートやイベントは他では見ることのできないものばかり。ガリシア地方からスコットランドまで、4500人ものミュージシャンやシンガー、ダンサーたちが集い、75万人もの観客を動員している。

中でも目玉となるイベントはグランド・パラード Grande Parade で、多くの人でにぎわう。津軽三味線デュオの吉田兄弟は2002年にフランス観光親善大使に就任し、このフェスティバルに参加した。

モルビアン湾

モルビアン湾 Le golfe du Morbihan。「Mor bihan」はブルターニュで話されるブルトン語で「小さな海」を意味する。海が陸地に入り込んできたのか、その逆なのか、判断がつきにくい場所。

まばゆい光、 無数の小さな島々、海沿いの美しい民家。それがモルビアン湾だ。ブルターニュ南部にある指定自然公園で、湾内には40ほどの小島が点在し、独特の風景を形成している。

モルビアン湾(第3ステージ) ©CRTB Loïc KERSUZAN – Morbihan Tourisme

船で簡単に渡れるモワンヌ島 île aux Moines やアルツ島 île d’Arz は特に有名。あらゆる曲がり角や、波をかぶるほど波打ち際にある花崗岩の家々が五感に響いてくる。刻々と移り変わる光は写真好きの人にとってはまさに天国。緑や青の色がこれほど多くのバリエーションで見られるところは他にない。

セネ湿地帯鳥類保護区 la réserve ornithologique des marais de Séné からリュイ半島 Presqu’île de Rhuy、ナバロ港 Port Navalo の先で蛇行しなが ら大西洋に注ぐオレー川 rivière d’Auray、ガブリニスの巨石 mégalithe de Gavrinis、ヨーロッパ最大級の潮流のあるジュマン島 La Jument など、この地方の魅力を存分に満喫しよう。

またカキ養殖の仕事ぶりを眺めたり、多くの船が停泊している小さな港や、モルビアン独特の漁船であるシナゴ Sinagot やゲパール Guépard といった船やヨットが踊るように揺れ動く様子を見るのも楽しい。

カルナックはシューズではなく巨岩(30km地点)

野原に4kmにわたって続くメンヒル(巨石)。 新石器時代に入念に並べられたメンヒルに、誰もが驚嘆の声をあげる。これらの石はなぜ並べられたのか? そのミステリーに興奮させられる。

カルナック(第3ステージ) ©CRTB Simon BOURCIER – Morbihan Tourisme

より詳しく知りたい人は、巨石会館 la maison des Mégalithes へどうぞ。展示のほか、フィルム上映、参加型のイベントなどが開催され ていて、さまざまな側面から巨石文化に光を当てている。ガイディングツアーに参加すれば複雑な遺跡の見学もスムーズに。子供たちは古代の日常生活を体験するコーナーがおすすめ。 日の出から日没まで、訪れる時間帯によって雰囲気が変化していくのも巨石遺跡の魅力。

カルナック(第3ステージ) ©CRTB Yvon BOELLE

ジョスラン城 Château de Josselin(180km地点)

重厚な塔をウスト Oust 川に映すジョスラン城は、ブルターニュの旧家であるロアン家 des Rohan が歴代の城主を務め、ジョスラン市のシンボル的な存在。現在も創健したロアン家の子孫が住んでいるこの城の歴史と街の歴史は密接に関わってきた。大公巡り街道 route des Ducs を行く際にも必ず訪れたい重要スポット。

ジョスラン城(第3ステージ) ©CRTB Emmanuel BERTHIER

フランボワイヤン・ゴシック建築で、封建時代そしてルネッサンス時代の様式をよく残しているのも非常に興味をひく。城の庭園も合わせてぜひ見学したい。ヴォー・ル・ヴィコント Vaux-le-Vicomte 城の庭も担った造園家アシル・デュシェーヌ Achille Duchesne による設計。

ジョスラン(第3ステージ) ©CRTB Rafa PEREZ

🇫🇷第4ステージ ルドン≫フジェール

ルドン、ドゥゲ・トルワン岸壁(第4ステージ) ©CRTB Teddy Verneuil
第4ステージでスプリントポイントが設定されたビトレ。写真はアン・バ通り ©CRTB Noé C. Photography

フジェール城 Château de Fougères

結晶片岩でできた岩山に建つフジェール城は12世紀から15世紀にかけて建てられた防御用の城塞で、その迫力には圧倒される。2ヘクタールもの広大な敷地には13もの塔があり、かつては水が張られた堀に囲まれていた。城は全て完全に修復され、観光を心ゆくまで楽しむことができる。

フジェール城の城壁(第4ステージ) ©CRTB Clara Ferrand Wild road & Vanessa Martin Cashpistache

城壁の上を行く巡視用の通路を、城壁や庭園などを眺めながら散策するのも楽しい。ビデオ上映やさわれる模型、子供のためのオーディオガイドなどの設備も充実。見学がより一層楽しいものとなるよう、歴史を感じさせる演出やさまざまなツールでの工夫がなされている。

●フランス観光開発機構のホームページ

辻仁成が2021年のフランス観光親善大使に就任

フランス在住の作家・ミュージシャンの辻仁成が2021年度フランス観光親善大使に任命された。フランス国家唯一の観光推進機関であるフランス観光開発機構(アトゥー・フランス、本部パリ)が2021年5月28日に任命した。

任命状を手にする辻仁成 ©Kô ODA

フランス観光親善大使のタイトルは2000年、フランス観光開発機構の前身であるフランス政府観光局が創設し、フランスに縁のある著名人の個人的な視点からフランスの魅力を発信してもらうことを目的にこれまで45人を任命している。

新しく就任される観光親善大使には、駐日フランス大使、フランス観光開発機構総裁の署名入りの任命状が渡される。2021年はフィリップ・セトン駐日フランス大使、フランス観光開発機構カロリーヌ・ルブシェ総裁による任命状が、機構パリ本部でカロリーヌ・ルブシェから手渡された。

任命状を手渡すカロリーヌ・ルブシェフランス観光開発機構総裁(左)、辻仁成 ©Kô ODA 

パリから常にポジティブな言葉を発信

辻は2000年度初頭よりパリ在住。ブログやSNS、自身が立ち上げたウェブマガジン Design Stories を通じ、フランスでの日常生活のほか、コロナ禍にある世界やフランス情勢についても、未来を見すえポジティブな視点から精力的に発信を続けている。その高い発信力を評価し、フランス観光開発機構は2021年度フランス観光親善大使の任を辻に依頼することを決定した。

任期中の活動
任期の間、辻はフランス観光開発機構やその協力先の各地方観光局と連携し、フランス各地の見どころについて発信していく。発信の場は主にウェブマガジンDesign Storiesで、フランス観光開発機構の公式サイト France.fr 内に設けるフランス観光親善大使特設サイトと連携。

セーヌ川クルーズライブ中の就任報告
就任から2日後となる5月30日、辻はセーヌ河のクルーズ船からオンラインコンサートを配信するという初の試みに挑戦。演奏の合間にフランス観光親善大使への就任を報告し、エッフェル塔やオルセー美術館などパリの名所をガイドするなど、就任後初の自身のイベントを観光プロモーションにつなげ、観光親善大使としての存在感を十二分に発揮した。

就任の抱負を語る辻仁成 ©Kô ODA

辻仁成のコメント

大変光栄なことにフランスの親善大使に任命されました。
パリに暮らし始めて20年が経ち、僕の息子もここで生まれ、来年は大学生になろうとしています。フランスに育ててもらったというのもあり、なにかフランスに恩返しができたらと思っていました。最近パリと田舎を行き来する中で今まで知らなかったフランスのよさに気づき、それを日本の人に伝えたいと思っていた矢先の親善大使のお話でしたので、これはちょうどいい僕の仕事だと使命感に燃え、オファーを請けさせていただきました。日本の皆さんにフランスの素晴らしさ、この国が持っている文化と教養、そして心のやさしさをすべて僕なりに解釈してお伝えできればと思っています。

カロリーヌ・ルブシェ(フランス観光開発機構 総裁)コメント
フランス観光親善大使の任命状を辻様にお渡しできて非常に光栄です。彼は才能豊かで、その感性をフランスの国民と分かち合い、とくに日本とフランスを結ぶ分野である文化、歴史、食、フランス流の暮らしを敏感に感じ、日本の皆様に伝えておられます。このような方に親善大使をお願いできるのは大変嬉しく光栄なことで、我々にとり大きなチャンスであります。氏を通して日本の皆様がフランスの文化、歴史、史跡、食を知り、この国やその多様な風土と人への理解が深まること、氏の著作や取材によりフランスについて良き反響が起こることを願ってやみません。

任命状 ©Kô ODA

辻 仁成(つじ・ひとなり)
作家1989年『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞を受賞。97年『海峡の光』で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として唯一受賞。映画監督として、1999年、第三回ドーヴィル・アジア映画祭コンペティション部門で監督作品「ほとけ」が最優秀イマージュ賞受賞。同作品でベルリン映画祭。監督作品「千年旅人」でベネチア映画祭、監督作品「アカシア」で東京国際映画祭にノミネート。ミュージシャンとしては80年代にECHOESを結成、作詞作曲した「ZOO」がミリオンセラーに。さまざまな分野で活動を続ける。現在は拠点をフランスに置き、日仏を行き来しながら創作に取り組んいる。帝京大学・冲永総合研究所特任教授。Webマガジン「Design Stories」、 デザイン&アートの新世代賞を主宰。
●WebマガジンDesignStories

観光親善大使の就任を祝って乾杯する辻仁成(右) ©Kô ODA

●歴代のフランス観光親善大使・フランス広報大使
2017年:くまモン(熊本県キャラクター)、リカちゃん(着せ替え人形)
2016年:中村江里子(アナウンサー)、新城幸也(自転車選手)
2015年:大地真央(女優)、森田恭通(デザイナー)
2014年:高見沢俊彦(ミュージシャン)、池田理代子(劇画家)
2013年:川島なお美(女優)、鎧塚俊彦(パティシエ)
2012年:竹中直人(俳優)、蜷川実花(写真家)
2011年:寺島しのぶ(女優)、平野啓一郎(作家)
2010年:小山薫堂(放送作家)、諏訪敦彦(映画監督)、知花くらら(モデル)
2009年:市川團十郎・海老蔵(歌舞伎俳優)、夏木マリ(ディレクター)
2008年:滝川クリステル(キャスター)、假屋崎省吾(華道家)
2007年:城之内ミサ(音楽家)、佐藤陽一(ソムリエ)、櫻井寛(フォトジャーナリスト)
2006年:黒柳徹子(女優)
2005年:石坂浩二(俳優)
2004年:柴俊夫(俳優)、真野響子(女優)
2003年:貴乃花光司(元横綱)、野際陽子(女優)
2002年:阿川佐和子(エッセイスト)、檀ふみ(女優)、吉田兄弟(津軽三味線奏者)
2001年:東儀秀樹(雅楽師)、林真理子(作家)、藤野真紀子(料理研究家)
2000年:石川次郎(編集者)、市川染五郎(歌舞伎俳優)、岸惠子(女優)、高田万由子(女優)、藤本ひとみ(作家)、細川護煕(元首相)、山本容子(版画)

●フランス観光親善大使特設サイト

王家ゆかりのランスに2泊すればシャンパーニュ1本贈呈

フランス北東部のグランテスト地方にあり、フランス歴代王が戴冠した古都として、またシャンパーニュの産地として有名なランス(Reims)の観光局は、この夏観光でランスに滞在した人先着3000人にシャンパーニュを贈呈するキャンペーン「ロイヤル・サマー:シャンパーニュ!(UN ÉTÉ ROYAL : CHAMPAGNE !)」を2020年7月15日より開始。

ランス大聖堂前のテラスカフェで © Cyrille Beudot – Office de Tourisme du Grand Reims

シャンパーニュ巡りの拠点として人気の都市ランスでは、シャンパーニュの高貴なイメージと、フランス王が戴冠した場所という歴史をロワイヤル(royal)の一語をかけ、この夏だけの特別キャンペーンを実施している。

シャンパーニュ地方の集落はどことなく美しく落ち着いている © Cyrille Beudot

キャンペーンの仕組みはシンプルで、ランスに2泊以上観光で滞在した人先着3000人が、滞在の最後にランス観光局の窓口でシャンパーニュ1本をもらえるというもの。もらえるシャンパーニュは、ブドウ栽培者による醸造の「シャンパーニュ・ド・ヴィニュロン」。

ぶどうの収穫 © Cyrille Beudot

キャンペーン参加方法は

次の3種類の観光消費をランス都市圏(グランランス)で行い、それを証明する書類をキャンペーン特設サイトからアップロードする。

l  認可された宿泊施設(家具付きの部屋貸しは除く)で、2泊以上続けて予約し支払いをする

l  レストランで食事をする(少なくともメイン一品に加え、前菜、デザートまたは飲み物のどれかを取ること。ファストフード店は除く)

l  レジャー分野の有料アクティビティを行う(観光または文化アクティビティ)

シャンパーニュで乾杯しなくちゃ © Cyrille Beudot

上記の観光消費はすべて、ランス都市圏(グランランス)で行われること。ランス都市圏外であればランス観光局のパートナー団体のサービスであることが条件となる。

キャンペーン参加者は特設サイト(www.un-été-royal.fr)からフォームに必要事項を記入し、観光消費を証明する書類をアップロードする。滞在の終わりに、大聖堂近くにあるランス観光局にてシャンパーニュが受け取れる。

秋の朝もやに立つシャンパーニュのシャトー © Cyrille Beudot

このキャンペーンでは、コロナ禍の後、ランスで旅行者の受入れを再開できることを祝い、通常とは異なる特別なPRを行うことを目的としている。また、新たな顧客層にアプローチし、ランス観光局のパートナー団体であり現在厳しい状況下に置かれるブドウ栽培家によるシャンパーニュ醸造メーカーの支援にもつなげたいという。

●ロイヤル・サマーシャンパーニュ!の詳細ページ(フランス語)
●ランス観光局のホームページ

2020年7月13日現在、一般の人が日本からフランスへ観光目的で渡航するのは現実的ではないものの、フランス国内で実施される観光復興キャンペーンの事例を紹介しました。

シャンパーニュ地方のぶどう畑 © Cyrille Beudot

ツール・ド・フランスは2カ月延期でも開催できるのか?

フランス政府は新型コロナウィルス感染症対策として、6月2日より制限解除第2段階に移行する。レストラン・カフェが営業再開し、美術館も再開する。ツール・ド・フランスは当初予定から2カ月遅れ、8月29日(土)から9月20日(日)までに大会日程を変更したが、果たして無事に開催されるのか?

厳しい外出制限令によってフランスの感染者数は確実に減少している

エドアール・フィリップ首相は5月28日の会見で、6月2日から始まる新型コロナウィルス感染症対策の制限解除第2段階について発表。さらに6月22日以降を第3段階とする。

フランスの衛生状態は大きく改善したものとし、会見内で公表された衛生状態を示す地図では、ほぼ全域が状況が良好の「緑」ゾーンに分類された。パリを含むイル・ド・フランス地方、海外領土のマイヨット、ギアナは注意を要する「オレンジ」ゾーンとし、他の地域より慎重に解除が進められる。

5月上旬はフランス北東部全域に蔓延していたが、5月末には海外領土のマイヨットとパリの北にあるバルドワーズ県をのぞき収束に向かっている

移動制限の解除

居住地より100kmを超える移動の制限は6月2日をもって廃止する。これまで必要だった例外的な移動理由を示す証明書なしでフランス全土(海外領土を含む)を移動できるようになる。フランス本土と海外領土の間の移動については2週間の隔離措置が続けられる。

国境封鎖の解除

首相は、EU域内、シェンゲン協定域内および英国とのフランス国境について、衛生状態が良好であれば隔離措置なしで6月15日以降に封鎖解除することに賛成の意を表した。隔離措置、または国境封鎖を継続する国があれば、フランスはその国に対し同様の措置をとる用意があるという。

医療現場のひっ迫した状況も現在は脱している

EU外への国境封鎖の解除はEU加盟国との協議を経てから決定する。少なくとも6月15日までは封鎖が続けられる。

レストラン、カフェ、バーの営業再開

「緑」ゾーンでは、バー、カフェ、レストランの営業再開が、衛生上の配慮を満たすという条件付きで6月2日からの営業再開が可能になる。テーブルの間隔を1m以上開ける、テーブルあたりの着席人数を10人までとする、従業員も客も移動の際にマスクを着用するなどの配慮が求められる。「オレンジ」ゾーンではテラス席でのみ営業が許可される。

文化施設、モニュメント、レジャー施設など

緩和の第1段階では小規模な美術館・博物館とモニュメントの営業再開が認められていたが、6月2日以降はすべての美術館・博物館とモニュメントの再開がフランス全土で可能になる。

レジャーパークや自然公園の再オープンは5000人を超えない範囲で「緑」ゾーンで6月2日から、「オレンジ」ゾーンで6月22日から可能。劇場やスペクタクル会場の再オープンも上に同じ条件で「緑」ゾーンは6月2日から、「オレンジ」ゾーンは6月22日から可能。映画館はフランス全土で6月22日から営業再開が可能。ディスコとカジノは少なくとも6月21日までは営業禁止。

キャンプ場、バカンス村、集団宿舎については、宿泊者の受け入れに必要な措置を講じた上で、「緑」ゾーンでは6月2日から、「オレンジ」ゾーンで6月22日から再オープンが可能。ホテルについては今後新しい衛生規定が設けられ、宿泊客が安心できる受け入れ条件を提供する。

公園と庭園はフランス全土で5月30日から開けられる。6月2日以降はビーチ、湖、水上スポーツエリアがフランス全土で再開する。

フランス本土ではパリのあるイルドフランスがオレンジゾーンだ

その他続けられる制限、行動様式

人の集まりは10人までとする規則は少なくとも6月21日まで続けられる。スポーツイベントは少なくとも6月21日までは禁止される。5000人を超えるフェスティバルや見本市は新たな令が出るまで禁止される。

リモートワークの推奨が続けられる。

アプリ導入

感染者とその恐れがある人を追跡するアプリ「STOP Covid」が導入される。アプリは無料で提供され、登録は自由意志に任せられる。

2020ツール・ド・フランスに関するこれまでの流れ

ツール・ド・フランスは無観客を想定して日程通りの開催か(2020年3月26日)
東京五輪の1年延期でツール・ド・フランスと日程重複する問題が(2020年4月2日)
ツール・ド・フランスは1カ月遅れのプランB開催が有力に(2020年4月8日)
ツール・ド・フランスは8月29日〜9月20日開催案が浮上か(2020年4月15日)
2020ツール・ド・フランスが大会延期。8月29日開幕(2020年4月15日)
「今年最大のスポーツイベントに」ツール・ド・フランス延期開催に期待(2020年4月16日)

ツール・ド・フランス開催可否は第3段階の内容により方向性が決まる?

第2段階で多くの制限が解除され、マスク着用やソーシャルディスタンスの励行を条件としながらも多くの市民が日常生活を取り戻しつつある。ただし5000人を超えるイベントは開催不可。少なくとも6月21日までスポーツイベントは禁止される。

現在は母国でトレーニングする選手たちが、果たしてフランス入りできるかという問題もある。フランス側は第2段階で、衛生状態が良好であれば隔離措置なしで6月15日以降に国境の封鎖も解除するという。ただし、フランスとの出入国禁止や14日間などの隔離措置を行う国に対しては、フランスも同様の措置を断行するという。

フランス政府は措置緩和の第3段階に移行する6月22日より前に、次のフェーズにおける措置を判断するというので、その直前の感染状況がツール・ド・フランス開催に大きく関わってくることは間違いない。


制限解除第2段階の発表を受け、フランス観光開発機構カロリーヌ・ルブシェ総裁は次のようにコメントした。
「フランスの観光業は6月15日のEU域内における国境封鎖の解除を心待ちにしています。観光従事者は政府とともに衛生対策を進め、最善の方法をもって旅行者と従業員双方の安全を守る努力を重ねております。ビーチ、内陸、山岳など散策やアウトドアスポーツに適したエリアや、レジャーパーク、文化施設や史跡、レストラン、宿泊施設は皆、日本からのお客様の来訪をお待ちしています。皆様がフランス流ライフスタイルに触れられる日が一日も早く戻りますように。カフェのテラスでコーヒーやクロワッサンの朝食をとったり、ご友人やご家族とフランス料理を囲みながら再会を喜び、美味なる食事とワインを心ゆくまで楽しまれることを願っております」

●フランス観光開発機構のホームページ