2023ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕地はバルセロナ

スペインのバルセロナが2023年に行われる第78回ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕地となった。初日はバルセロナの市街地でチームタイムトライアルが行われ、第2ステージのフィニッシュにもなる。チームプレゼンテーションなどのセレモニーも同地で行われる。

ブエルタ・ア・エスパーニャがバルセロナに最後に立ち寄ったのは2012年で、ステージのゴール地点となった。バルセロナでの直近の個人タイムトライアルは1978年。またバルセロナが首都となるあるカタルーニャ地方が開幕地となるのは1962年に続いて2回目。

2012年の第9ステージでバルセロナにゴールしたときは、アンドラをスタート。モンジュイックの丘がゴールとなり、ベルギーのフィリップ・ジルベールが優勝した。

バルセロナが開幕地となった1962年は、距離90kmの第1ステージが行われ、発着がバルセロナとなったた。スペイン・バスク地方出身のアントン・バルティアが優勝した。

1978年はモンジュイックで大会最後の個人タイムトライアルが行われた。フランス人のベルナール・イノーが優勝し、ツール・ド・フランス5勝、ジロ・デ・イタリア3勝に加え、ブエルタ・ア・エスパーニャ2勝という記録を樹立した。

2009年にはツール・ド・フランスも第6ステージでバルセロナ市内を通過し、ノルウェーのトール・ヒュースホウトが優勝。続く第7ステージではスタート地点となった。

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ポガチャル、ツール・ド・フランス、クラシック、世界制覇に挑む

世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランス2連覇中、東京五輪ロード銅メダルのタデイ・ポガチャル(23=スロベニア)がさらなる高みを目指して2022シーズンに挑む。自転車競技史上最強の選手と言われるエディ・メルクス(76=ベルギー)も初めて「自分を超える選手になるだろう」とお墨付きを与えた。

タデイ・ポガチャルが第20ステージで2019ブエルタ・ア・エスパーニャ3勝目 ©Photogómez Sport

グランツールだけでなくワンデーレースでも勝てる逸材

スロベニアはかつての社会主義国、ユーゴスラビアから1991年に独立した小国だ。しかし自転車界では一気に強豪国に。それをけん引するのがポガチャルだ。身長176cm、体重66kg。2019年に現在も所属するUAEエミレーツと契約。三大大会の1つ、ブエルタ・ア・エスパーニャに起用されて区間3勝、いきなり総合3位になった。まだ20歳だった。

近年の自転車レースは高速化と専門性が顕著になり、ワンデーレースで優勝をねらうタイプと2日以上の大会日程で総合優勝を争うタイプに分けられてきた。ツール・ド・フランスのように23日間の長丁場で頂点をねらうならワンデーレースは視野に入れず調整することが常套手段となった。ブエルタ・ア・エスパーニャ1回、ツール・ド・フランス2回の出場で、総合3位、1位、1位の成績を手中にしたポガチャルはまさに後者のタイプと思われていた。

2019ブエルタ・ア・エスパーニャで新人賞ジャージを着る ©Photogómez Sport

ところが2021年、ポガチャルはワンデーレースの伝統大会、春のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(ベルギー)、秋のイル・ロンバルディア(イタリア)で優勝。近年の傾向を完全に打ち破る成績を修めた。

ワンデーレースでも複数日レースでも暴れまくったのがかつてのメルクスだ。ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスで5勝、ワンデーレースの最高峰である世界選手権で4勝(アマチアロード含む)。春先に開催される伝統のレースも総ナメにして、その強さから「人食い鬼」とさえ呼ばれた。これまでメルクスは「自らと並び立つ現役選手は?」の問いに答えなかったが、イル・ロンバルディアの優勝後にポガチャルの名前を口にした。

そのコメントはポガチャル自身の耳にも入り、「彼がそう言うならボクは自転車競技の新たな歴史を作れるように頑張る」と意気揚々だ。

ポガチャルが2020ツール・ド・フランス第20ステージで首位に ©A.S.O. Pauline-Ballet

ツール・ド・フランスのみならずフランドルと世界選手権にも照準

チームは1月5日からスペインでキャンプイン。10日にはリモート取材に応じた。2022シーズンのポガチャル最大の目標は7月のツール・ド・フランスで3連覇を達成することだが、それ以外にも驚くべきターゲットを口にした。「ワンデーレースの女王」と言われる4月3日のツール・デ・フランドル(ベルギー)にプロ選手となってから初参戦することを表明。8月には得意とするブエルタ・ア・エスパーニャ、そして9月の世界選手権で世界王者のタイトル獲得を目指すという。

2021リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのゴール勝負を制して初優勝。左から2人目 ©A.S.O. Aurelien Vialatte

ツール・ド・フランス最多となる5勝を記録した選手は過去に4人いるが、5勝目はいずれも30歳前後。22歳で2勝を挙げた選手は皆無だ。ポガチャルにはまだ相当の時間がある。メルクスを超える最強選手となるのか? キーとなるのは2022シーズンだ。2月20日から26日までチームのおひざ元で開催されるUAEツアーが初戦。4月はツール・デ・フランドルを皮切りに、連覇をねらう24日までのリエージュ〜バストーニュ〜リエージュまで伝統レースを毎週末こなす。

総ナメにするようなことがあればメルクスの再来を疑う余地はない。

2021ツール・ド・フランス、2年連続で黄色のマイヨジョーヌを着用してパリにがい旋 ©A.S.O. Aurelien Vialatte

2022ブエルタ・ア・エスパーニャのコースが明らかに

2022年8月19日にオランダのユトレヒトで開幕する第77回ブエルタ・ア・エスパーニャのコースが発表された。2020年にオランダで開催する予定だったが、新型コロナウイルス第1波の感染拡大により断念。大会を延期するとともにスペイン国内に限って開催したという経緯がある。

2022ブエルタ・ア・エスパーニャのコースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャがオランダで開幕するのは13年ぶり

開幕地は75回大会計画と同様にオランダのユトレヒト。同大会がオランダで開幕するのは2009年のアッセンに続く2回目。海外開幕は1987年のリスボン(ポルトガル)、2017年のニーム(フランス)を含めて4回目となる。

ユトレヒトは2010年にジロ・デ・イタリア、2015年にツール・ド・フランスの開幕地を務めたこともあり、7年ぶりのグランツール開幕地となる。

2022ブエルタ・ア・エスパーニャはオランダのユトレヒトで開幕する ©Unipublic

2022ブエルタ・ア・エスパーニャ日程
8月19日(金) 第1ステージ ユトレヒト(オランダ)=チームタイムトライアル 23.3km
8月20日(土) 第2ステージ ゼルトゲンボス(オランダ)〜ユトレヒト 175.1km
8月21日(日) 第3ステージ ブレダー〜ブレダー(オランダ) 193.2km
8月22日(月)移動日
8月23日(火) 第4ステージ ビトリアガステイス〜ラグアディア 153.5km★
8月24日(水) 第5ステージ イルン〜ビルバオ 187.0km★
8月25日(木) 第6ステージ ビルバオ〜アセンシオン・アル・ピコハノ 180.0km★★★
8月26日(金) 第7ステージ カマルゴ〜ソスティエルナ 190.1km★★
8月27日(土) 第8ステージ ラポラ・ラビアナ〜コラウファンクアヤ 154.5km★★
8月28日(日) 第9ステージ ビリャビシオサ〜レ・プラエレス 175.5km★★★
8月29日(月) 休養日
8月30日(火) 第10ステージ エルチェ〜アリカンテ=個人タイムトライアル 31.1km
8月31日(水) 第11ステージ エルポゾアリメンタシオン〜カボデガタ 193.0km
9月1日(木) 第12ステージ サロブレーニャ〜ペナスブランカス 195.5km★
9月2日(金) 第13ステージ ロンダ〜モンリティリャ 171.0km
9月3日(土) 第14ステージ モントロ〜シエラデラパンデラ 160.3km★★★
9月4日(日) 第15ステージ マルトス〜シエラネバダ 148.1km★★★
9月5日(月) 休養日
9月6日(火) 第16ステージ サンルカル・デ・バラメダ〜トマレス 188.9km
9月7日(水) 第17ステージ アラセナ〜モナステリオ・デ・テンテュディア 160.0km★
9月8日(木) 第18ステージ トルヒーリョ〜アルトデルピオルナル 191.7km★★★
9月9日(金) 第19ステージ タラベラデラレイナ〜タラベラデラレイナ 132.7km★★
9月10日(土) 第20ステージ モラルサルサル〜プエルト・デ・ナバセルラダ 175.5km★★★
9月11日(日) 第21ステージ ラスロサス〜マドリード 100.5km
★は難易度

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グランツール24回出場のロッシュが17年間の選手生活に終止符

アイルランドのニコラス・ロッシュ(37)がプロ生活17年のキャリアを2021年シーズン終了とともに終えることを明らかにした。間を過ごし、最後となる3年間の所属先となったチームDSMが10月5日(日本での日付)に発表した。

2019年、ロッシュが6年ぶりにブエルタ・ア・エスパーニャで首位に ©Photogómez Sport

ニコラス・ロッシュは1987年にジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、世界選手権の三冠を、エディ・メルクスに続いて達成したステファン・ロッシュの息子。2005年にプロに転向し、最高峰の舞台で17年を過ごした。

ブエルタ・ア・エスパーニャのステージ勝を含む12勝を挙げた。グランツールはツール・ド・フランス10、ジロ・デ・イタリア5、ブエルタ・ア・エスパーニャ9の合計24回出場し、このうち22回完走した。ブエルタ・ア・エスパーニャでは総合5位と6位に、さらにツール・ド・フランスを含めるとトップ15に何度となく食い込んだ。

最高の思い出はブエルタ・ア・エスパーニャのリーダージャージ

2019ブエルタ・ア・エスパーニャ、マイヨロホを着用するニコラス・ロッシュ ©Photogómez Sport

2019年にチームDSMに加わると、ロッシュはブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージで、2013年以来となるリーダージャージを獲得。チームDSMでの3年間を通じてチームのライダーと豊富な経験を共有し、2020ツール・ド・フランスではチームメートのステージ勝利の立役者となった。2021年を最後のシーズンとして、アシスト役に徹し、ツール・ド・アルプスやジロ・デ・イタリアで各ステージのトップ3の表彰台入りを果たした。

「17年間に1270以上のレースデーを過ごしたことは、多くの素晴らしい思い出となった。引退し、新しい地平線に目を向けるときとなった。最後のレースは、自宅から友人や家族に激励されて向かったアイルランド選手権となった」とロッシュ。

2020ツール・ド・フランス。ヒルシが独走状態になると、追走集団でニコラス・ロッシュが抑え役を務める ©A.S.O. Pauline Ballet

「サイクリングは私の人生であり、それは長年にわたって私に多くをもたらした。信じられないほどの人々と会って働き、この地球上で最も遠く、素晴らしい場所のいくつかに旅行することができた。チームと一緒に多くのことを学び続け、まるで兄弟のような関係で楽しんだ。

2019年のブエルタ・ア・エスパーニャで赤いリーダージャージとともに4日間を過ごしたことは、特別な思い出になった。サイクリングキャリアの間に受けた信じられないほどのサポートがあり、すべての人に感謝したい。ありがとう」

ニコラス・ロッシュ ©2021 Team DSM

ログリッチ3連覇、新城幸也チーム賞に貢献…ブエルタ・ア・エスパーニャ

ブエルタ・ア・エスパーニャが2021年8月14日から9月5日まで開催され、ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が総距離3417kmの激闘を制して大会3連覇を達成した。日本から唯一出場したバーレーンビクトリアスの新城幸也はチーム優勝に貢献。23日間の長丁場で行われる三大大会で15回目の完走を果たした。

巡礼地サンティアゴデポンポステーラの大聖堂前に立つログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2021

ログリッチに始まりログリッチに終わった

強さと弱さが紙一重で同居する。そんなログリッチの強い一面がスペインでは見られる。まずは大会初日、東京五輪で金メダルを取った得意種目である個人タイムトライアルでトップタイムを記録した。第3ステージで伏兵に首位を譲ったものの、深紅のリーダージャージ、マイヨロホは常に射程。第6ステージで再び首位に。第10ステージでその座を失うが、翌日に今大会2勝目。そして終盤の勝負どころである第17ステージで独走勝利し、みたび首位に躍り出るともうその座は失わなかった。

ログリッチが第17ステージで優勝し、総合成績でも首位に ©PHOTOGOMEZSPORT2021

「もちろん難しいレースで、困難な上り坂もある。でもライバルと競り合いをしている瞬間は楽しいよ」とログリッチ。建造800年のブルゴス大聖堂前で開幕した2021年の大会はログリッチで始まり、聖書に登場するシャコベオ(ヤコブ)の聖年を迎えた巡礼地サンティアゴデコンポステーラにゴールした最終日の主役もログリッチだった。最終日の個人タイムトライアルでもログリッチが優勝し、貫禄の総合優勝に花を添えた。

左から山岳賞のストーラー、総合優勝のログリッチ、ポイント賞のヤコブセン、新人賞のマーダー ©PHOTOGOMEZSPORT2021

ログリッチは弱さを露呈させるときもある。2020ツール・ド・フランスでは初優勝に王手をかけながら最終日前日の個人タイムトライアルで同胞ポガチャルに逆転負け。2021年のツール・ド・フランスにはその雪辱を期して乗り込んだが、序盤に落車。ケガの回復に専念するため大会8日目にリタイアした。すでに32歳。チーム内では次世代選手の活躍が際立つ。今季後半戦のログリッチは背水の陣だった。

回復が遅れ、一時は東京五輪も絶望視された。7月24日に行われた五輪ロードレースでは案の定いいところがなかった。ところが日々体調が上向き、28日の個人タイムトライアルで金メダルを獲得。上り調子でスペイン入りした。こうなるとログリッチにかなう選手はいない。

ログリッチの活躍によりスロベニアでは自転車が盛んになり、強豪国になった。そんな立役者が次にねらうのは9月19日に開幕する世界選手権ロードだ。

深紅のマイヨロホを着るログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2021

プリモシュ・ログリッチ
1989年10月29日生まれ。8月末時点の世界ランキングは3位。2019・2020・2021ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝。2020ツール・ド・フランス総合2位、ジロ・デ・イタリア区間通算3勝。東京五輪タイムトライアル金メダル。元スキー競技ジャンプ選手。

総合優勝のログリッチを中央に左が2位エンリク・マス、右が3位ジャック・ヘイグ ©PHOTOGOMEZSPORT2021

新城幸也がグランツール出場15回にして15回目の完走

新城はチーム最年長のまとめ役として出場。最終成績は4時間42分59秒遅れの総合116位だが、チームメートを献身的にアシスト。総合成績の上位をねらったエースのミケル・ランダ(スペイン)は序盤でリタイアしたが、新城自身も初めてというチーム優勝を勝ち取った。さらにジャック・ヘイグの総合3位、ジーノ・マーダーの新人王にも貢献。ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアを加えた三大大会に15回出場し、全完走という安定感も見せた。

チーム優勝はバーレーンビクトリアス。右端が新城幸也 ©PHOTOGOMEZSPORT2021

2021ブエルタ・ア・エスパーニャ出場176選手

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ログリッチがブエルタ・ア・エスパーニャ最終日も制して3連覇

第76回ブエルタ・ア・エスパーニャは最終日となる9月5日、パドロン〜サンティアゴデコンポステーラ間の33.8kmで第21ステージとして個人タイムトライアルが行われ、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)がトップタイムで優勝。今大会4勝目、大会通算9勝目を挙げるとともに、大会3連覇を飾った。

巡礼地サンティアゴデポンポステーラの大聖堂前に立つログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2021
東京五輪金メダル仕様のタイムトライアルバイクで優勝。今大会4勝目を挙げたログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2021
巡礼地サンティアゴデポンポステーラの大聖堂 ©PHOTOGOMEZSPORT2021
左から山岳賞のストーラー、総合優勝のログリッチ、ポイント賞のヤコブセン、新人賞のマーダー ©PHOTOGOMEZSPORT2021
総合優勝のログリッチを中央に左が2位エンリク・マス、右が3位ジャック・ヘイグ ©PHOTOGOMEZSPORT2021

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マイヨルナレス(山岳賞)マイケル・ストーラー(オーストラリア、DSM)
□マイヨブランコ(新人賞)ジーノ・マーダー(スイス、バーレーンビクトリアス)

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チーム優勝はバーレーンビクトリアス。右端が新城幸也 ©PHOTOGOMEZSPORT2021

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