ファンデルプールが北の地獄パリ〜ルーべで独走2連覇

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が4月7日にフランスで開催された第121回パリ〜ルーベで独走勝利した。2023年に続く優勝だが、今回は世界チャンピオンのアルカンシエルを着用してガッツポーズでゴールした。

世界チャンピオン、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)。2024パリ〜ルーべ ©A.S.O. Pauline Ballet

3分遅れの2位はチームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)で、同選手の2位も2年連続。3位はリドル・トレックのマッズ・ピーダズン(デンマーク)。

コンピエーニュをスタートする2024パリ〜ルーべ ©A.S.O. Pauline Ballet
距離259,7kmで争われた2024パリ〜ルーべ ©A.S.O. Pauline Ballet
パリ〜ルーべの難所アランベールを走るフレッド・ライト ©A.S.O. Pauline Ballet
2024パリ〜ルーべは快晴となり、砂埃が舞った ©A.S.O. Pauline Ballet
2024パリ〜ルーべ ©A.S.O. Pauline Ballet
ファンデルプールが2024パリ〜ルーべを走る ©A.S.O. Pauline Ballet
2024パリ〜ルーべ、石畳区間はチームカーが乗り入れられないのでチームスタッフが車輪を持って待機 ©A.S.O. Pauline Ballet
ファンデルプールが2024パリ〜ルーべで独走 ©A.S.O. Pauline Ballet
ファンデルプールがパリ〜ルーべを連覇 ©A.S.O. Pauline Ballet
2024パリ〜ルーべを制したファンデルプールを中央に、左が2位フィリプセン、右が3位ピーダズン ©A.S.O. Pauline Ballet
ゴール後のシャワー室で。ティム・ドクレルク ©A.S.O. Pauline Ballet
広告キャラバン隊ダイスキ! 2024パリ〜ルーべ ©A.S.O. Gautier Demouveaux

ファンデルプール北の地獄を制す…宿敵ファンアールトは痛恨のパンク

「北の地獄」と呼ばれる石畳の悪路が待ち構える伝統レース、第120回パリ〜ルーベが4月9日、フランスのコンピエーニュからルーベまでの257kmで行われ、アルペシン・ドゥクーニンクのマチュー・ファンデルプール(28)=オランダ=が独走で初優勝した。ライバルのワウト・ファンアールト=ベルギー、ユンボ・ビスマ=は先頭に立ちながら痛恨のパンクで3位に終わった。

勝負どころ、アランベールの石畳を走るファンデルプール(左)とファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

優勝候補ばかり7選手が北の地獄の終盤に結集

ファンデルプールがモニュメントと呼ばれる伝統あるワンデーレースでの強さを証明した。3月18日にイタリアで開催されたミラノ〜サンレモに続く優勝。2020年と2022年にはベルギーのツール・デ・フランドルを制していて、3つ目のタイトルを獲得した。

路面が荒れているほど観客が集まる ©A.S.O. Pauline Ballet

この日はファンデルプールの波状攻撃によってファンアールトや他の有力選手で構成された7人に第一集団が絞り込まれた。この中にチームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がいたこともファンデルプールにとってはラッキーだった。優勝候補のジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSM)は勝負を仕掛けた終盤の石畳区間でファンデルプールと接触して落車。

ファンアールト(先頭から2人目)はこの日好調だったが… ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンデルプールが後方を気遣っていたすきを突いてファンアールトがアタックした。ところがここで不運のパンクで失速。ファンデルプールがライバルを追い抜いてゴールまで独走した。

「最初はファンアールトがパンクしたとは知らなかった。でも、追い越した時はペースが遅くて、彼に問題があるのが分かった」というファンデルプール。

ファンデルプール(右)とファンアールト(中央)の両雄がバトル ©A.S.O. Pauline Ballet

「悪夢のようなパンクだったが、これも人生だ。自転車を交換してあきらめずに前を追ったが、ファンデルプールのような強い選手までの20秒を詰めるのは困難だった。今日は彼のアタックに反応できていたので、2人のゴール勝負になれば自信はあった」とファンアールト。最後はマークに付いたフィリプセンにもゴール勝負でかわされて3位になった。

ゴールのルーベ競技場で絶叫して喜びを表すファンデルプール ©A.S.O. Pauline Ballet

「これまでで最高の1日を過ごしたと思う。私は本当に強いと感じていて、数回の攻撃を試みたが、有力選手らを落とすのは困難だった。勝負どころの石畳区間は、デゲンコルプのクラッシュとファンアールトのパンクがあって、私は先頭に立っていることに気づき、フィニッシュラインまで全力で走った」とファンデルプール。

落車で勝利を逃したデゲンコルプがゴール後に倒れ込んだ ©A.S.O. Pauline Ballet

「フィニッシュラインまでファンアールトと一緒に行くことになれば、レースは違ったものになっていたかもしれない。彼の身にふりかかった不幸は残念だけど、それもレースの一部だ。パリ~ルーベで優勝するにはいい脚と幸運が必要なんだ」

優勝のファンデルプールを中央に、左が2位フィリプセン、右が3位ファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

新兵器エア調整システムが実戦使用された

DSMとユンボ・ビスマがパリ〜ルーベでタイヤ空気圧管理システムを使用した。ハンドルのリモートボタンを使用して、バイクに乗りながらタイヤの空気圧を増減できる。石畳と舗装路が交互に連続する同レースでは有利になる。

タイヤ空気圧を走行中に変えることができるスコープアトモス

ボタンを押すとワイヤレス信号により車輪ハブ部のバルブが開閉する。タイヤ内側にエアコンプレッサーがあって、走行中でも空気を抜いたり膨らませたりできる。路面状況に応じて最適なグリップ力と転がり抵抗にすることにより、選手は自信を持ってバイクを操作できるようになり、パフォーマンスと安全性が向上する。石畳ばかりでなく突然の雨でもメリットを発揮する。

すでに一般販売されていて、価格はこのシステムだけで約58万円。

ファンデルプールが北の地獄パリ〜ルーベで伝説的勝利

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が4月9日にフランスで開催された第120回パリ〜ルーベで独走勝利した。2位はチームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)、3位はユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)。

アランベールの石畳を走るファンデルプール(左)とファンアールト(右) ©A.S.O. Pauline Ballet

フランドル2勝とミラノ〜サンレモに続くクラシック3勝目

ファンデルプールは3月18日にイタリアで開催されたミラノ〜サンレモに続くモニュメント優勝。北のクラシックレースでは2020年と2022年にツール・デ・フランドルで優勝していて、3勝目となる。

2023パリ〜ルーベ ©A.S.O. Pauline Ballet

この日はファンデルプールの波状攻撃によってファンアールトやフィリプセンを含む7人の先頭集団が形成された。優勝候補のジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSM)は石畳区間でファンデルプールと接触して落車。

すかさずファンアールトが勝負を仕掛けたが、ファンデルプールがこれに反応。ファンアールトは運悪くパンクして、ゴールまでファンデルプールが独走した。

パリ〜ルーベ2023で先頭集団に加わって機をうかがうファンアールト(2番目) ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンアールトと一緒にゴールまで行きたかった

「これまでで最高の1日を過ごしたと思う。私は本当に強いと感じていて、数回の攻撃を試みまが、ライバルを落とすのは困難だった。勝負どころの石畳区間カルフールダルブルでは、デゲンコルプのクラッシュとファンアールトのパンクがあって、私は先頭に立っていることに気づき、フィニッシュラインまで全力で走った」とファンデルプール。

「最初はファンアールトがパンクしたとは知らなかった。でも、追い越した時はペースが遅くて、彼に問題があるのが分かった。フィニッシュラインまで一緒に行くことができれば、レースは違ったものになっていたかもしれないので、残念。とにかく、不幸はレースの一部だ。パリ~ルーベで優勝するにはいい脚と幸運が必要なんだ」

先頭からファンデルプール、ファンアールト、シュテファン・キュング ©A.S.O. Pauline Ballet
ファンデルプールがパリ〜ルーベを制した直後に絶叫 ©A.S.O. Pauline Ballet
落車で最後は優勝争いから脱落したジョン・デゲンコルプ ©A.S.O. Pauline Ballet
パリ〜ルーベ優勝のファンデルプールを中央に、左が2位フィリプセン、右が3位ファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンデルプールが62年前の祖父に続くミラノ〜サンレモ独走勝利

イタリア語で春という意味の「プリマベーラ」と呼ばれている伝統大会、第114回ミラノ〜サンレモが3月18日に開催され、アルペシン・ドゥクーニンクのマチュー・ファンデルプール(28)=オランダ=が初優勝した。62年前に祖父のレイモン・プリドール(フランス)が勝利した時と同じような独走シーンだった。

ミラノ〜サンレモを初制覇したファンデルプール ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
レイモン・プリドール氏。2018年撮影、2019年逝去 © A.S.O. Thomas Maheux

最長距離となる300kmは国際ルールの規定を超える

イタリア北部の大都市ミラノから地中海岸のサンレモを目指すレース。距離294kmは国際規定の上限を超えるが、伝統大会として特別に容認されている。しかもミラノのスタート後に非競技区間があって、これを加えると選手は300km超を走る。現在行われている国際大会としてはもちろん最長距離だ。

ミラノ〜サンレモ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ミラノを出発したレースは中盤までロンバルディア平原を南下した。144km地点でトルキーノ峠を越え、地中海のリビエラ海岸に突入。この日は東からの風が選手にとってはフォローウインドとなり、メイン集団を加速させた。スタート直後から逃げていた選手を265km地点で吸収して、レースは終盤で振り出しに戻った。

地中海リビエラ海岸を西に進む ©Fabio Ferrari/LaPresse

勝負は残り5.5km地点を頂上とするポッジオ・ディ・サンレモに持ち込まれた。UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)がこの上り坂でアタック。これにファンデルプール、ユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)、イネオスグレナディアーズのフィリッポ・ガンナ(イタリア)が反応。4人の先頭集団が形成された。

ポッジオの上りで仕掛けた(先頭から)ポガチャル、ガンナ、ファンアールト、ファンデルプール ©POOL GETTY/DEWAELE/LaPresse

ファンデルプールが勝負に出たのは頂上手前だ。ここでわずかに2番手以降と差が開いた。危険に満ちた下り坂をクリアすればゴールまでは平坦路だ。

最後の丘で2番手以降にわずかな差をつけたファンデルプール

「下り坂であえてリスクを冒さなかった。もしクラッシュしていたら自分を許すことはできなかったけど、仮に捕まってもゴールスプリントで勝てる」と冷静さを失わなかったファンデルプール。ゴールとなるサンレモのローマ大通りで独走状態に。「特別なレースでの特別な勝利だ」と最後は両手を挙げた。それはまさに祖父のウイニングポーズとそっくりだった。

ポッジオ・ディ・サンレモの頂上でわずかにリードしたファンデルプール ©Fabio Ferrari/LaPresse

1週間前に行われた7日間のステージレース、ティレーノ〜アドリアティコでは活躍を期待されながら、いいところがなかった。

「ティレーノ〜アドリアティコで隠れていたわけではなく、ベストな体調ではなかった。そのレース後にチーム全員と素晴らしいトレーニングの週を過ごしたし、彼らは僕のためにミラノ〜サンレモでいい仕事をしてくれた。チームとして今回の勝利を祝いたい」

残り200mで勝利を確信したファンデルプール ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

1961年大会で独走優勝した祖父プリドール。1962年から1976年まで14回ツール・ド・フランスに出場して、総合2位3回、3位5回。ポディウムと呼ばれるパリでの表彰台に8回上っているが、総合優勝できなかっただけでなく首位のマイヨジョーヌを獲得したこともない。

ローマ通りを独走したファンデルプール ©Tano Pecoraro/LaPresse

祖父プリドールと同じ勝利に「優勝を誇りに思う」

ツール・ド・フランス最多の5勝を挙げたジャック・アンクティル(フランス)と時代を同じくしてしまったという不運があり、同選手が引退すると同じく最多勝を挙げる怪物エディ・メルクス(ベルギー)が立ちはだかった。新聞では「万年2位」と書かれたが、フランスでは一番人気があった。

優勝のファンデルプールを中央に、左が2位ガンナ、右が3位ファンアールト ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
ツール・ド・フランスではレイモン・プリドール人気は今も衰えない ©A.S.O. Pauline Ballet

そんな祖父が幼児期からレース会場に連れてきたのがファンデルプール。2021ツール・ド・フランスでは6日間にわたってマイヨジョーヌを着用し、そしてこの日プリマベーラを制して肩を並べた。

「勝つのは最も難しいレース。祖父の優勝から62年経った今、ここで優勝したことを誇りに思う」

イタリアに春の到来を告げるミラノ〜サンレモ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ファンデルプールとファンアールトはどっちが強い? どちらも強い!

2023シクロクロス世界選手権がオランダのホーヘルハイデで2月3〜5日に開催され、マチュー・ファンデルプール(オランダ)とワウト・ファンアールト(ベルギー)が一騎打ちの展開に。抜きつ抜かれつの激闘はファンデルプールが最後にライバルを制して5回目の世界チャンピオンになった。2人のデュエルはこの後、ロードレースに舞台を移して引き続き行われる。

シクロクロス世界選手権はファンアールト(左)とファンデルプールのマッチレース ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

彼との戦いは10年続く。でも終わりじゃない。必ずまた勝負することになる

2人は幼少期からのライバルで、常に世界タイトルを争ってきた。今回のレースでもスタートしてすぐに2人が後続選手に差をつけて先頭を走る展開に。立て板を飛び越えるセクションでファンデルプールがわずかに優位に立つものの、走破力があるファンアールトが先行を許さない。勝負は最終周回へ。ファンアールトはライバルが板越えで主導権を握る前に勝負に出た。ファンアールトがわずかにリードを取り、ゴールを目指したが、ファンデルプールが必死に食らいつき、最後のコーナー手前で追い越して勝利した。

祖父レイモン・プリドールがなし得なかったマイヨジョーヌを獲得したファンデルプール ©A.S.O. Charly Lopez

5度目の世界チャンピオンになったファンデルプールがレース直後にコメントした。

「多くの人は以前にも同じような勝負を見たことがあるよね。もう10年も彼との戦いは続いている。でもこれで終わりではない。まだロードシーズンがあり、必ずまたファンアールトと勝負することになるだろう」

シクロクロス世界選手権の優勝者

●ジュニア
2012ファンデルプール2位ファンアールト
2013ファンデルプール②U23でファンアールト3位
●U23
2014ファンアールト3位ファンデルプール
●エリート
2015ファンデルプール3位ファンアールト
2016ファンアールト
2017ファンアールト②2位ファンデルプール
2018ファンアールト③3位ファンデルプール
2019ファンデルプール②2位ファンアールト
2020ファンデルプール③
2021ファンデルプール④2位ファンアールト
2022ピドコック
2023ファンデルプール⑤2位ファンアールト
丸数字は複数優勝回数
2022ツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを着用するファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

宿命のライバル。ともに28歳。どちらも身長185cm前後と自転車選手としては大きい。2022年のシクロクロス世界選手権、ファンデルプールは東京五輪マウンテンバイクでの落車で痛めたケガにより欠場。ファンアールトもロードシーズンでのタイトル獲得のために出場を見送った。両雄不在のレースで英国のトム・ピドコックがチャンピオンになったが、今回は2人の圧倒的実力を目にしてピドコックが早々に連覇を断念。ロードシーズンに照準を当てるため出場しなかった。こうして2年ぶりに、2人のデュエルが実現した。

ファンデルプールの父はロードやシクロクロス界の有名選手。母はツール・ド・フランスで万年2位と呼ばれなからも人気があったレイモン・プリドールの娘だ。地元オランダで開催された今回のシクロクロス世界選手権のコース設計は父がした。それだけにライバルに負けるわけにはいかなかった。

2021ツール・ド・フランスのファンデルプール ©A.S.O. Charly Lopez

ロード選手としてもスーパースターだ。2021ツール・ド・フランスでは第2ステージで優勝して首位に。祖父も着用できなかった黄色いリーダージャージー、マイヨジョーヌを6日間にわたって獲得した。

ツール・ド・フランスであらゆる勝ち方を見せたファンアールト

一方のファンアールトもツール・ド・フランスで通算9勝を挙げている。特に21年は山岳、個人タイムトライアル、そして平坦ステージの最終日パリと変幻自在に勝利を量産。昨年は大会2日目にマイヨジョーヌを獲得すると、第4ステージで独走勝利。その後はエースのビンゲゴーのアシスト役に徹し、初優勝の立役者となった。

冬場の自転車種目であるシクロクロスはこの世界選手権を最後にシーズン終幕。このあとはロードレースが週末ごとに欧州各地で開催されていく。春はミラノ〜サンレモ(イタリア)、ツール・デ・フランドル(ベルギー)、パリ〜ルーベといったワンデーレースが注目される。

ツール・ド・フランスで大活躍のファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

「ライバルとの戦いはこれからだ」。オランダとベルギーの威信をかけて戦う両者の言葉が一致した。

ファンアールトがゴール勝負でファンデルプールに敗北…シクロクロス世界選手権

ベルギーのワウト・ファンアールトは、オランダのホーヘルハイデで開催された2023 UCIシクロクロス世界選手権で地元オランダのマチュー・ファンデルプールとのゴール勝負に負けて2位になった。

シクロクロス世界選手権はファンアールト(左)とファンデルプールのマッチレース ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは、2014年のホーヘルハイデ、2016年のフースデンゾルデル、2017年のベルボー、2018年のファルケンブルグに続く4つ目の世界タイトル獲得ができなかった。

ライバルのファンデルプールは2015年、2019年、2020年、2021年に4つのエリート世界タイトルを獲得し、2012年と2013年に2つのジュニア世界タイトルを獲得している。今回もオランダのライバルであるファンデルプールとの一騎打ちとなった。

シクロクロス世界選手権は2022年のワールドチャンピオンである英国のトム・ピドコックがロードシーズンに照準を当てたため出場回避。レースはラルス・ファンデルハールがオランダ勢の前線に立ち、ファンデルプールを牽引。ファンアールトはそれに追従した。

ファンアールトがシクロクロス世界選手権を走る ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンデルプールとファンアールトは1周目には16秒飛び出し、ベルギーのゲルベン・カイパーズとマイケル・ファントーレンハウトがこれを追走するという展開に持ち込んだ。

3周目と4周目では完全に2選手の一騎打ちとなり。5周目にファンデルプールが板越えのセクションでわずかに優位に立つものの、両者は譲らず、さらに4周にわたって後続選手らに18 秒の差をつけて先頭を走り続けた。

ベルギーのワウト・ファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは最終ラップの林間部を抜け、ファンデルプールが板越えで主導権を握る前に勝負に出た。ファンアールトがわずかにリードを取り、下り坂を下って最後のストレートに入ったが、ここでファンデルプールが力強くライバルを追い越して勝利した。3位にはベルギーのエリ・イーゼルビットが入った。

シクロクロス世界選手権で2位になったファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

28歳のファンアールトについて、5度目の世界チャンピオンになったファンデルプールは次のようにコメント。

「多くの人はシクロクロスレースで以前にも同じような勝負を見たことがあるよね。もう10年以上も彼との戦いは続いている。それはボクたちが書いている非常にクールな進行形の物語だ。でもここで終わりではない。まだロードシーズンがあり、必ずまたファンアールトと勝負することになるだろう」

シクロクロス世界選手権エリート男子の優勝者

2015マチュー・ファンデルプール
2016ワウト・ファンアールト
2017ワウト・ファンアールト
2018ワウト・ファンアールト
2019マチュー・ファンデルプール
2020マチュー・ファンデルプール
2021マチュー・ファンデルプール
2022トム・ピドコック
2023マチュー・ファンデルプール