室内トレは精神的に疲れるが常に前向きな気持ちで…マルコス・ガルシア

KINAN Cycling Teamマルコス・ガルシアの地元スペインは世界の中でもとりわけ感染者数が多く、1カ月以上もの間厳格なロックダウン(都市封鎖)が施されていた。先日それが解除され、屋外トレーニングを再開。今回のインタビューではロックダウン開始から今までの生活、トレーニング、今後のビジョンについて聞いた。

マルコス・ガルシア

-Hola!(やあ!)久しぶり! 現在の生活拠点とロックダウン(都市封鎖)時の状況を教えてください
こんにちは、みなさん元気にしていますか? 私は元気です。私はマドリード州のサン・マルティン・デ・バルデイグレシアス(※)を拠点にしています。ロックダウン時もこの街で過ごしていました。※首都マドリードから西へ約80kmに位置する街

-最近のトレーニングは順調ですか? 屋内トレーニングがメインでしょうか?
1週間前に屋外でのトレーニングができるようになりました(※)。ただ、まだ集団でのトレーニングはできず、1人で走っています。※3月27日にマドリードやバルセロナといった大都市からロックダウンを開始。5月4日にマドリードや4つの島部から制限が緩和された

-ロックダウン期間中の屋内トレーニングはどのように行っていましたか?
ロックダウン期間中は、1時間から1時間30分のローラートレーニングを行い、その後は自宅にある器具で筋力トレーニングを行っていました。週に1日から2日は休息を取り入れて、心身をリフレッシュさせることにも努めていました。

-1日の過ごし方に大きな変化は出ていますか?
2人の子供たちと毎日を楽しんでいるので、退屈する暇はないですね。現在は午前9時から午後2時までをトレーニング時間に充てていますが、その後の時間は妻が家事などに励めるよう、私は子供たちとの時間を過ごしています。

-こうした状況下で、モチベーションはいかにして保っていますか?
難しい状況ですが、常にポジティブでいなければいけませんね。走りにおける基礎的な部分はマウンテンバイク(MTB)で養うスタイルですが、これからMTBを取り入れて戦える体づくりをしていきたいと思っています。100%とはいわず、200%の状態に仕上げてみせますよ!

-自転車に限らず、日々なにか楽しみを見つけていますか?
最近の楽しみは、家族と一緒に田舎道を散歩することですね。

マルコス・ガルシア

-「Stay Home」が叫ばれる中で、何か健康を維持する効果的な方法があれば教えてください
(外出が減り)体型を維持すること自体がとても難しいのではないでしょうか。ただ、屋内でのトレーニングに執着しすぎると、肉体的よりも精神的に疲れてしまいます。それよりは、いまは前向きな気持ちで過ごすことが最善ではないかと思います。

-レースに目を向けて、いま一度オーストラリアでのご自身のシーズン初戦について振り返ってみてください
オーストラリア(ヘラルド・サン・ツアー)では、レースで戦える下地が完全に整った状態ではありませんでした。ただ、ステージを経るごとに調子が上がっていく実感があり、レースを終えたときには満足感がありました。次の目標も定まり、軌道にも乗っていたので、シーズンの中断は正直残念に思っています。

-UCI通達により7月に入ってからのレースシーズン再開に向けた動きが出てきました。レースカレンダーは未確定ですが、短期的な目標としてはどのあたりを考えていますか?
次のレースがいつになるか分からないので、現時点での目標設定は難しいです。いま確実なのは、トレーニングを継続し、自転車を楽しむこと。この先のレーススケジュールが決まるのを期待しながら待ちたいと思います。

聞き手:KINAN Cycling Teamメディアオフィサー 福光俊介
インタビュー実施日:2020年5月19日

●キナンのホームページ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ総合優勝

マレーシアで行われてきたステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は10月19日に最終の第5ステージを行い、KINAN Cycling Teamはマルコス・ガルシアの総合リーダージャージを守り切ることに成功。すべてのステージを終えて、マルコスが個人総合優勝を達成し、山岳賞との個人2冠。さらに、チーム総合でもトップを堅守。個人・チームともに総合力の高さを誇示する結果となった。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラで総合優勝  ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日は今大会唯一の山岳ステージが設定され、序盤に形成された先頭グループに4人を送り込むことに成功。レースの主導権を握り、最後はマルコスが後続に大差をつけてステージ優勝。さらに、アシストでも大車輪の働きを見せたトマ・ルバが2位となり、ワン・ツー・フィニッシュを達成。マルコスは個人総合で首位となり、リーダージャージを獲得。2位以下に対して3分以上の総合リードを持つ。また、山岳賞でもマルコスが首位、チーム総合もトップに立ち、個人・チームともにレベルの高さを示している。

そしてマレー半島をめぐってきた戦いは最終日。第5ステージは151.4kmで争われ、前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が設定される。その他はおおむね平坦基調だが、数少ない登坂区間がレース展開にどう影響するかがポイントとなる。最後は首都クアラルンプール郊外のセティアワンサにフィニッシュ。KINAN Cycling Teamはマルコスの個人総合首位のキープを絶対的な位置づけとし、最後のステージに臨むことになった。

その意識通り、KINAN勢はレースを展開していくこととなる。リアルスタートから約1時間にわたって出入りの激しい流れが繰り返されたが、その間はライバルチームの逃げ狙いの動きを選別。危険なアタックに関しては、各選手がチェックに入るなど、集中したレースの入り。

そうした状況から、50kmを過ぎたところで5人の逃げが決まる。以降はKINAN勢を中心にメイン集団が統率され、レース全体が落ち着く。中盤までは新城雄大や山本大喜が前線に出てペーシングを担った。

おおよそ2分台で進行した先頭とメイン集団との差は、後半の山岳区間で徐々に縮まりを見せる。上りのペースメイクはトマに加え、椿大志やサルバドール・グアルディオラが務め、マルコスの総合固めに。長い登坂で集団の人数を減らしながら、先を急ぐ選手たちとのタイムギャップを安全圏内へと戻していった。

ハードな上りに、テクニカルなダウンヒルも続き、タフなコース設定がなされたレース後半だったが、KINAN勢はトラブルなくプロトンを統率し、そのまま終盤へ。結果的に2選手の逃げ切りを許すこととなったが、総合争いに関係しない選手の動きとあり、マルコスを確実にメイン集団でフィニッシュへ送り込むことを優先。ステージトップから14秒差で集団がフィニッシュし、この中にマルコスはもちろん、最後までケアに努めたサルバドールとトマも入った。

この瞬間、マルコスのツアー・オブ・ペニンシュラ個人総合優勝が決定。同様に首位で最終日を迎えていた山岳賞でもトップを守って個人2冠を達成。山岳での圧倒的な強さが生かし、5日間の戦いにおける王座を戴冠した。また、トマが個人総合8位としてトップ10圏内に。サルバドールも同12位とまとめた。チームが重視するUCIポイントの獲得は、今大会合計で187点。

さらに、各ステージのチーム内上位3選手の合算で競うチーム総合でも1位に。個人で勝利したマルコスにとどまらず、各選手のアシストとしての働きや、要所での効果的な動きが奏功し、チームとしての強さも示すことに成功した。

例年同様にアジアをメインに数々のレースを転戦してきたKINAN Cycling Team。シーズン終盤で迎えた今大会を最高の形で終えることができた。この勢いのまま、残る戦いへとフォーカスしていく。チームは今後、公式戦としては10月20日のジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC)と、11月10日のツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)に出場する。そのほかイベント参加なども控えており、活発なチーム活動に努めていく。

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
「とてもうれしい。調子がよく、秋のレースや日本で過ごした時期を経て、今回もよい走りができた。今日も多くの出来事があったレースだった。スタートからハイペースが続いたが、われわれはとても強く、レースをコントロールできた。多くのアタックがあったが、いずれもしっかりとチェックしながら、先頭グループとの差も3分以内にとどめることも心掛けた。最後は先頭とのタイム差を気にする必要がなく、ストレスを感じずに走り切ることができた。今年は3月のツアー・オブ・台湾、4月のツアー・オブ・タイランドとよい走りができ、5月のツアー・オブ・ジャパンでは悔しい結果に終わったが、調子を戻して今回の優勝に結びつけられた。いまはとても良いシーズンだったと思える」

●キナンのホームページ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ペニンシュラ優勝に王手

マレーシアのステージレース「ツアー・オブ・ペニンシュラ(Tour of Peninsular、UCIアジアツアー2.1)」は大会4日目の10月18日、アジア屈指の超級山岳キャメロンハイランドの頂上フィニッシュが設定さた第4ステージが行われ、KINAN Cycling Teamのマルコス・ガルシアとトマ・ルバがワン・ツーフィニッシュ。椿大志と新城雄大からのホットラインも完全に機能し、同国が誇る名峰をチーム全体で征服した。

マルコス・ガルシアが名峰キャメロンハイランドで優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は後半戦へと突入。ここまでの3ステージはいずれも平坦コースだったが、いよいよ大会の最難関ステージを迎える。

89.5kmとショートステージながら、スタート直後から上り基調となり、中盤から本格的に山岳区間へ。78km地点で1級山岳リングレットを越えると、向かうは超級山岳のキャメロンハイランドへ。標高1440mの頂上にフィニッシュラインが敷かれるが、その手前5kmは細かな変化があり、まさに選手たちの脚を試す難度の高い舞台。今大会の総合争いの形勢を明確にする最も重要な1日となる。

KINAN Cycling Teamはここまで3ステージをクリアし、このステージで勝負をかける。マルコス、トマ、サルバドール・グアルディオラのクライマーたちを中心に、椿大志、山本大喜、新城雄大の登坂力とスピードを備える選手たちがレースを構築していく。上位進出が至上命題となる。

その狙い通り、KINAN勢がスタート直後から攻撃的な走りを展開する。まずマルコスと椿が加わった逃げ狙いの動きに、新城とトマが追随。上りと下りを繰り返す間に先行する選手たちとメイン集団とのタイム差は広がっていき、やがて約20人の先頭グループとして固まる。KINAN勢はそのまま4選手がレースをリードする形になった。

先頭グループは主要チームの多くが選手を送り込んだこともあり、順調に貯金を増やしていく。4人を送り込んだことでレースの主導権を握ったKINAN勢は、個人総合で上位が見える位置を走るマルコスを軸に、トマ、椿、新城がペースメイク。これが奏功し、距離を追うごとに先行メンバーの人数を減らしていく。

こうした流れから、62km地点に設置されたこの日2つ目の中間スプリントポイントでマルコスが上位通過を狙って加速。新城のリードアウトも利き、マルコスを2位通過させることに成功。ボーナスタイム2秒を獲得した。

レースが残り25kmを切ると、いよいよ本格的に山岳区間へと入っていく。依然KINAN勢のペースメイクが続き、椿の牽引で次々とライバルを振り落としていく。椿が役目を終えると、満を持してトマがコントロールへ。さらに人数が絞られていき、1級山岳リングレットを通過する頃には、先頭にはトマとマルコスを含む4人となっていた。

いよいよ、残すは頂上にフィニッシュが敷かれるキャメロンハイランド。上りを迎えると4人の形成に変化が見られ、ここまでトマのペーシングで脚を残していたマルコスがついに動き出す。他選手の厳しいチェックもありながら、残り6kmで一気のスピードアップ。完全に独走態勢に持ち込むと、追う選手たちとの差はあっという間に広がっていく。マルコスの後ろでは、トマが他選手の抑えに回り追撃の芽を摘み取っていく。

終始レースを掌握したKINAN勢。勝負を託されたマルコスは最後までスピードを緩めることなく、単独でフィニッシュへ。キャメロンハイランド頂上に集まった多くの観衆からの祝福を受けながら勝利の瞬間を迎えた。

マルコスの歓喜から50秒後、大車輪の働きを見せたトマがこちらも単独でフィニッシュラインへ。他選手を振り切り、2位を確保しワン・ツーフィニッシュを達成した。さらに50秒遅れて3位争い、メイン集団でレースを進めた選手たちの多くは、マルコスから3分以上のタイム差でレースを終えることとなった。

KINAN勢は6選手がいずれもこのステージを完了。メイン集団でレースを進めたサルバドールが14位とまとめ、アシストとして機能した山本、椿、新城も走り終えている。

これらの結果から、総合成績で大きな変動が発生。このステージを制したマルコスが狙い通りにリーダージャージを確保。個人総合首位に立ち、残る1ステージへと進むことに。2位との総合タイム差は3分2秒としている。あわせて、山岳ポイントも大量に稼いだことから山岳賞のレッドジャージも手にしている。さらに個人総合では、トマが7位、サルバドールが12位に浮上。チーム内ステージ上位3選手のタイム合算で競うチーム総合でも首位となり、最重要ステージで個人・チームそれぞれの強さを発揮した。

大会は最終日へ。最後を飾る第5ステージは、クアラリピスからセティアワンサまでの151.4km。レース前半に4級、後半に2級とそれぞれカテゴリー山岳が控えるほかはおおむね平坦。この2カ所の山岳ポイントがレースに変化をもたらすかが見ものとなる。KINAN Cycling Teamはマルコスのリーダージャージキープを最優先に、タイトルを賭けた運命の1日を迎えることとなる。このステージで見せた連携面をさらに機能させることが求められる。

マルコス・ガルシアのコメント
「早い段階で4人が先頭グループに入ることができたのが一番の勝因。そして、みんなが素晴らしい働きをしてくれたことで勝利を手にできた。みんなの働きに心から感謝している」

トマ・ルバのコメント
「力のあるチームが序盤から競り合う展開だったが、しばらくして私を含む4人が先頭に立つことができた。それからは全力で働くことを意識した。
個人的にはよいコンディションでこの大会を迎えられた。ピーク時と比較すると少し落ちてはいるものの、好感触で走ることができている。それだけに、今日の結果とマルコスの勝利はとてもうれしい。
最後の1日については、もちろん改めてタイム差や他チームの動向を確認する必要があるが、われわれは強いチームで今大会に臨んでいる。椿やサルバといった経験豊富なライダーに加え、(山本)大喜と(新城)雄大は昨年のツアー・オブ・ジャパンでマルコスのリーダージャージを守る素晴らしい経験がある。その点では心強いし、最後まで戦い抜くつもりだ」

マルコス・ガルシアが逃げで積極的に展開…ジャパンカップ

アジア屈指のワンデーレースであるジャパンカップサイクルロードレースが10月21日、宇都宮市森林公園周回コースで行われた。キナンサイクリングは、スタート直後の古賀市林道の上りでアタックを決めたマルコス・ガルシアが逃げグループで展開。頂上に設けられた山岳ポイントを1位通過し、山岳賞を獲得した。また、チーム最上位はトマ・ルバの18位。優勝争いへはあと一歩届かず、ビッグタイトル獲得は来シーズン以降へと持ち越された。

山岳賞の表彰を受けるキナンのマルコス・ガルシア ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

19日のチームプレゼンテーションに始まり、20日には38.25kmで争われたクリテリウムに臨んだキナン。上位進出こそならなかったが、スプリント勝負までの選手間連携に手ごたえを得て、レースを終えている。

そして迎えたのが、アジア圏で開催されるワンデーレースとしては最上位のHCクラスに位置付けられる大会のメインレース。10.3kmのコースを14周回する144.2kmに、国内外の21チームが挑んだ。キナンは山本元喜、マルコス・ガルシア、山本大喜、サルバドール・グラルディオラ、トマ・ルバ、新城雄大の6選手が出走した。

レースのポイントとなるのは、標高差185mを一気に駆け上がる古賀志林道の登坂。特に終盤は、有力選手の攻撃が活発となる区間だ。また、登坂後のダウンヒルや平坦区間も見もので、上りで仕かけた選手たちと、それを追う後続選手たちとの激しい攻防が見られることが予想される。なお、3・6・9・12周回目の古賀志林道頂上には山岳ポイントが設定される。2017年は冷雨で周回数・レース距離が短縮された中で、ルバが山岳賞獲得1回を含む5位入賞。今回はそれを上回る好成績を目指した。

午前10時にスタートが切られると、すぐにやってくる古賀市林道で早速レースが動いた。オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)のアタックにガルシアが反応。一気の動きに、あっという間に逃げグループが形作られる。さらに1人を加え、3人がレースをリードすることとなった。メイン集団は地元・宇都宮ブリッツェンがコントロール。先頭の3選手とのタイム差を約1分30秒として進行していく。

3周回目に入り、この日最初の山岳ポイントへ。頂上を1位通過した選手に山岳賞が贈られるが、これをガルシアが狙って動く。先に仕掛けたプジョルを追い、頂上目前でパス。トップでの頂上通過を果たし、山岳賞獲得が決定した。

その後も先頭交代のローテーションを繰り返し、快調に進んでいくガルシアら3選手。6周回目に設けられた2回目の山岳賞は、ともに逃げていたクーン・ボーマン(オランダ、ロットNLユンボ)が獲得。以降も態勢に変化はなく、着々と周回数を減らしていった。

レースの流れが変化したのは、9周回目。3回目の山岳賞を目指し飛び出したボーマンがそのまま独走を開始。ガルシアはプジョルを引き離し、ボーマンを1人で追走するが、11周回目でロットNLユンボ勢がメイン集団のペースを急激に上げると、ガルシアら先行していた選手たちは吸収され、さらには集団の人数が絞り込まれた。

こうした動きの中、前方でレースを進めたのがルバ。16人となった先頭グループにチームでただ一人残り、勝負どころを意識しながら走る。数十秒の差で追う第2グループにグラルディオラらキナン勢も含まれ、懸命に前を目指した。

12周回目の後半で、先頭グループにさらなる変化が発生。2選手の飛び出しをきっかけに、さらに4選手が追って、そのまま新たなトップグループへ。ルバがこの動きに乗り遅れ、やがてグラルディオラが入った追走グループがジョイン。そのまま6選手が後続との差を広げていき、ルバとグラルディオラは約15人の第2グループで終盤を迎えた。

第2グループは前との差を縮めることができず、上位フィニッシュ狙いの態勢に。優勝争いから2分26秒後、フィニッシュへとやってきた。ルバ、グラルディオラともにスプリントで上の順位を目指したが、それぞれ18位、19位で終えた。

その後、残るキナン勢4選手もフィニッシュラインを通過。山本大と山本元は、ともに第3グループでレースを終え、それぞれ36位と39位。HCクラスの上位40選手に付与されるUCIポイント圏内を確保した。

2017年以上の好成績を視野にレースに挑んだキナンだったが、優勝争いには届かず、選手たちを悔しさをにじませた。一方で、スタート直後から積極性を見せたガルシアが山岳賞を獲得。登壇を決め、多くの観客の前で山岳ジャージに袖を通した。次への期待と、巻き返しを誓って今大会を終えることとなった。

シーズンのうちでも大きなウエイトを占めていたレースプログラムを終え、チームは新たな目標を設定して走る続けることになる。今後はホストレースの「KINAN AACA CUP」やイベント出演に励んだのち、11月11日のツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)で2018年の公式戦を終える予定となっている。

ジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC、144.2km)結果
1 ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 3時間44分0秒
2 アントワン・トールク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +0秒
3 マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +40秒
4 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム)
5 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +42秒
6 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +2分2秒
18 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +2分26秒
19 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
36 山本大喜(KINAN Cycling Team) +5分9秒
39 山本元喜(KINAN Cycling Team)
60 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +8分42秒
61 新城雄大(KINAN Cycling Team)

山岳賞
1回目(第3周回)マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
逃げグループでレースを展開することが理想だと考えていた。3人の逃げグループとなったこともイメージ通りだった。山岳賞は私にとってボーナスのようなもの。それ以上に、長い時間先頭で走ることを重視していて、そのまま勝負できる状況にできれば最高だと思っていた。それだけに、逃げ切りができなかったことだけは残念だった。
好調でこの大会に臨むことができ、全力を尽くすことができた。走りそのものは満足している。今後のレースでは、より落ち着いて、冷静なレース運びを心がけていきたい。

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
序盤はマルコスの逃げをフォローでき、その後はメイン集団でレースを進めた。ジャパンカップはいつでもハイレベルの戦い。全力のパフォーマンスを見せないといけないし、19位というリザルトも受け入れるつもりだ。
今シーズンでも特に重要なレースを戦い終えることができてうれしい。新しいチームでのシーズンはとても素晴らしく、みんなが家族のような存在に思える。私自身、ベストパフォーマンスを続けられたのは、誰もが優しく接してくれたことに尽きると感じている。

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
終盤の判断ミスがリザルトに響いてしまった。6選手が先行したときに対応できていれば、違った結果になっていたと思う。今年から126選手と出走人数が増えたが、レースの流れはこれまでと変わらない印象だ。それだけに自らの結果に対する言い訳にはできない。

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパンで初の総合優勝

2015年の初出場から4度目の挑戦で、キナンサイクリングが初の個人総合優勝者を輩出。チームにとってシーズン最大目標の1つであるツアー・オブ・ジャパンで、マルコス・ガルシアが初めて総合優勝を挙げた。リーダージャージを守り抜き、最高の栄誉を勝ち取ってチーム総合でも1位を堅守。個人・チームともに頂点に立ち、力をもって今大会の主役であることを証明した。

ツアー・オブ・ジャパン東京ステージでグリーンジャージのガルシアを援護してゴールを目指すキナンサイクリング ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会をとおしてキナンは各選手がそれぞれに役割をまっとうし、個人・チームともに存在感を発揮してきた。大阪・堺で5月20日に開幕して以来、同日の堺国際クリテリウムで中島康晴が3位に入ったのを皮切りに、南信州での第5ステージでトマ・ルバが、富士山ヒルクライムの第6ステージでガルシアがステージ優勝。ルバの勝利以降、チームにグリーンのリーダージャージがもたらされ、翌日にはガルシアへと引き継がれた。加えて、第5ステージ以降チーム総合でも首位に立ち、選手層の厚さも示した。

前日の26日に伊豆で行われた第7ステージは獲得標高が約4000mと山岳ステージに匹敵する難コースで行われたが、アシスト陣の好走もあり終始レースをコントロール。終盤はガルシアが自らライバルの攻撃を封じ、個人総合優勝に王手をかけた。このステージを終えた時点での総合成績では、トップのガルシアだけでなくルバが個人総合3位に続いている。

ファイナルを飾る第8ステージは日比谷シティ前をスタートし1.2kmのニュートラル走行を含むワンウェイルートを経て、大井埠頭のサーキットコースへと入っていく。1周7kmを14周回。レース全体では112.7kmで争われる。コースはオールフラットで、スピード感あふれるダイナミックなレースが展開される。勝負はスプリントに限らず、逃げ切りが決まるケースもあり、あらゆる展開を想定して臨むことが求められる。

キナンはガルシアのリーダージャージをフィニッシュまで運ぶことが絶対的なミッション。残りの5選手がライバルチームの動きを見ながら、ガルシアの個人総合優勝、同時に首位に立つチーム総合での1位に向かって進んでいくことになる。

緊張感の中でスタートが切られたレースは、序盤からキナンにとってねらい通りの展開となる。サーキットコースに入るとともに3選手がアタック。いずれも総合成績に関与していない選手とあり、この動きを容認。キナン勢がメイン集団の統率を図り、それ以上の飛び出しは許さない。序盤はサルバドール・グアルディオラを中心にペーシングを図り、タイム差は約3分とする。

こうして淡々と進行していくが、レース中盤を前にスプリントフィニッシュをねらう数チームがアシストを出し合い、逃げグループとのタイム差を少しずつ埋めていく。キナン勢としては、他チームにコントロールを任せられる好状況へと変化。集団前方で隊列を組みながら、ライバルチームの動きのチェックに終始する。この状況は後半に入っても続いた。約1分30秒差と逃げを射程圏内にとらえつつも、一気にペースアップする流れではなかったこともキナン勢にとっては幸い。総合成績にかかわるような動きは見られず、ガルシアを安全に走らせることに集中しながら、フィニッシュまでの残り距離を減らしていった。

結局、逃げは最終周回に入る直前で吸収。代わってカウンターアタックを仕掛ける選手が出たものの、これも労せず捕まえ、レースは定石通りスプリントにゆだねられることに。キナン勢はガルシアの危険回避を図りながら、メンバーが近くに固まってフィニッシュを目指した。

そして、ついに歓喜のときがやってきた。スプリント勝負が繰り広げられた後方で、キナンメンバーがガルシアの個人総合優勝を喜び合いながらフィニッシュラインを通過。ガルシアも近くにいたメンバーと手を取りながら、王座確定の瞬間を迎えた。

チーム創設4年目、これまで手が届きそうで届かなかった国内最大級のツアータイトルをようやく獲得。終わってみれば、ステージ2勝に、個人・チームともに1位を獲得。個人総合においてはガルシアの優勝に続き、ルバも3位の座を守った。ガルシアにとってステージレースの個人総合優勝は、2017年9月のツール・ド・北海道以来2回目となる。また、チーム総合の表彰ではメインスポンサー「キナン」角口賀敏会長もゲスト登壇。活躍した選手たちとともに会場に集まったファンから大きな祝福を受けた。

今大会のキナンは順位的には目立たなかったステージも含め、予定していたとおりにレースが運び、ねらっていたステージできっちりと結果を残したことが、最高の成果につながったといえる。また、難コースに多くの選手が苦しめられた中、キナンは6人全員が完走。チーム加入1年目の山本大喜と新城雄大も十二分に機能し、ライバルチームに対して数的優位な状況を作り出したことも、勝因の1つとして挙げられそうだ。

チーム登録における上位カテゴリーの、UCIワールドチーム、同プロコンチネンタルチームから強豪も参戦し、いつになくハイレベルな戦いだった2018年のツアー・オブ・ジャパン。キナンにとっては目標達成にとどまらず、今後のビッグレースでの戦い方やチーム力の指標となる価値あるシリーズとなった。力のある選手がそろうチームにあって、今回の結果が出走メンバーだけでなく、メンバー外となった選手たちも含めた全体の底上げにもつながることだろう。

5月に入り、上旬のスリランカTカップに続くUCI公認国際レースでの立て続けの勝利。この波に乗って、たちまちやってくる次の戦いに挑むことになる。5月31日からはツール・ド・熊野が開幕。チーム本拠地である熊野地域での年間最大のチームイベント。2018年は第20回記念大会。ねらうはもちろん個人総合優勝だ。なお、この大会に臨むロースター(出場選手)は一両日中に発表する予定となっている。

ツアー・オブ・ジャパンを制したガルシア(中央)とチーム優勝のキナンサイクリング ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ツアー・オブ・ジャパン第8ステージ結果(112.7km)
1 マルティン・ラース(エストニア、チームイルミネイト) 2時間23分12秒
2 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +0秒
3 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
4 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
5 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
6 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
28 中島康晴(KINAN Cycling Team)
29 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
31 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
34 新城雄大(KINAN Cycling Team)
35 山本大喜(KINAN Cycling Team)
37 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)

ツアー・オブ・ジャパン個人総合時間
1 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 19時間57分25秒
2 ヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +35秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +53秒
4 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分27秒
5 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分40秒
6 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分55秒
17 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5分0秒
54 山本大喜(KINAN Cycling Team) +48分11秒
57 中島康晴(KINAN Cycling Team) +52分21秒
65 新城雄大(KINAN Cycling Team) +1時間5分28秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 110pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 41pts
19 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 18pts
26 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 13pts
46 新城雄大(KINAN Cycling Team) 6pts

山岳賞
1 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24pts
4 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 15pts
17 新城雄大(KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 KINAN Cycling Team 59時間58分13秒

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
最終ステージについては、チームとしてよいプロトンコントロールができたと思う。逃げの3人をよいタイミングで行かせることができ、ねらっていたとおりのレース展開にすることができた。そしてなにより、個人総合優勝を果たせたことがとてもうれしい。(第5ステージでの)トマのステージ優勝に始まり、翌日の富士山では自分が勝つことができた。チームとしてはこれ以上ない出来になった。この勝利はチーム全員の働きがあったからなしえたもの。ライバルチームの動きをしっかりと読んで動いてくれたことにありがとうと言いたい。クイーンステージと考えていた伊豆(第7ステージ)でのみんなの働きは本当に素晴らしく、心から感謝している。

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