初山翔が引退…今後の活躍も期待されるなかでの決断

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネに所属する初山翔が今シーズンをもって現役引退を決意した。現在31歳の初山は、U23時代をイタリアのアマチュアチームで過ごし、その後国内コンチネンタルチームでプロデビュー。2016年には伊豆大島で開催された全日本選手権ロードレースを制し、全日本チャンピオンに輝いた。そして、2018シーズンにイタリア籍のUCIプロコンチネンタルチームであるNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニに移籍し、再び活動の舞台をヨーロッパへと移した。

初山翔がジロ・デ・イタリアで獲得したマリアネーロは最下位ジャージだが、それと同時に完走の証しだ ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

2018シーズンは初めて出場するイタリアの名門クラシック・ミラノ〜サンレモ(UCIワールドツアー)で250kmにわたる距離を逃げ続け、その後のティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)でも逃げに乗るなど、世界のトップレースで活躍を続けた。

ジロ・デ・イタリアではマリアネーラ受賞

2019シーズンも序盤よりヨーロッパのトップレースを転戦し、5月には世界三大ツールの一つ、ジロ・デ・イタリアへ出場すると、第3ステージでは単独で144kmに渡り逃げ、世界最高峰の舞台でイタリアをはじめ全世界から大きな注目を集めた。その後、チームの区間優勝にも貢献しながら、3週間の過酷なレースを走破。個人総合成績最下位での完走だったが、初山の力走に敬意を表して、大会側からマリアネーラ(非公式、かつて存在した最下位の選手に贈られる黒色のジャージ)を贈呈されるシーンもあった。

欧州トップレースで健闘を続け、今後の活躍も期待されるなかでの現役引退となったが、感謝と「幸せな競技人生だった」という気持ちのもと新しいステップへと進む。

ジロ・デ・イタリアで単独アタックを決めてゴールを目指す初山翔 ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

初山翔のコメント

まずこのような時期まで皆様へのご報告が遅れたこと、大変申し訳なく思っております。来季の活動について皆様にお尋ねいただいたとき、うやむやな回答しかできずにとても心苦しかったです。ご容赦ください。しかし急遽決めたことではなく、時間をかけながら考え、決断したことです。ですので、とても前向きな気持ちでこのタイミングを迎え入れることができました。

特にこの2年間は選手を目指したときからの目標であった欧州プロチームの一員として活動することができました。幸せな選手生活であったと心から思っております。皆様のおかげです。到底ひとりではたどり着けない大舞台をいくつも経験させていただきました。今までご支援、ご声援いただいたすべての皆様に心から御礼申し上げます。また今後もサイクルスポーツは趣味として続けていければと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

初山翔 略歴

1988年8月17日生まれ(31歳)、神奈川県出身
U23時代をイタリアのアマチュアチームで過ごし、2011年に宇都宮ブリッツェンでプロデビュー。逃げや山岳を得意とするオールラウンダーで積極的な走りが持ち味。UCI通算3勝(UCIレース)

2011年 宇都宮ブリッツェン(日本、コンチネンタルチーム)加入
2013年 ブリヂストンアンカー(日本、コンチネンタルチーム)加入
               ツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)優勝
2016年 全日本選手権ロードレース エリートカテゴリー優勝
2017年 ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.1)山岳賞獲得
2018年 NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ
            (イタリア、プロコンチネンタルチーム)加入

初山翔

大門宏マネージャーのコメント

初山には「これからが人生の本場!これからも勇気を忘れず、覚悟して挑戦し続けろ」と言いたい。近年では、宮澤崇史、福島晋一、橋川健(NIPPOの出身選手ではなかったが)、ならびに日本人選手の成長に多大な貢献をしてくれたイタリア人ら外国籍選手の引退を割と近くで見届けた。初山も決して彼らに引けを取らないチャンピオンの1人。今後どのような道に進むにせよ、これからも自分の好きなことに没頭し続けて、人間としてさらに成長してほしい願っている。人生においては、選手としての“引退”よりもっともっと価値のある“節目”があるからだ。

昔から世界のトップレベルで挑戦させたくてもさせられなかった選手が多くいるなかで、10代後半から日本代表として、またイタリアのクラブチームで過ごしていた初山を、最後の2年間、この“奇跡的なチーム環境”で走らせることができて、本当にラッキーだったと思っている。ラッキーと言うのは単に運が良いと言うのは意味ではない。その真意は初山自身が誰よりも一番感じてるはずだ。

日本選手は実力があっても欧州チームが契約する理由がない

だからこそ、このレベルで走り続ける可能性をギリギリまで追い求めていたと思う。彼はプロのレースにおいてコミュニケーション能力も全く問題ないある意味“人気者”だったので、ステップアップの意味も込めてワールドチームを含む他のプロチームを本人と探したが、芳しい回答は得られなかった。プロチーム以上で走る続けることはヨーロッパ人にとっても物凄く厳しい世界だ。

余談だが、今回ワールドチームの現役監督、代理人にも初山の件を相談した。口々に言われたことは、「フランスでもベルギーでも自国の選手を最優先に選手を集める。日本人なら日本人選手に関心を持つNIPPOのような日本のスポンサーが現れない限り、たとえ実力があったとしてもヨーロッパのチームが契約する理由がない」だった。フランスのワールドチーム、プロチームの選手も約半数はまずフランス人だからと言う理由で契約できており、選手自身だって解ってる。それはフランスのスポンサーにとっても当然のこと。

そう言う“当たり前の事情”は、もう20年以上現地で聞き飽きているが、改めて日本のスポンサーの存在意義を痛感させられた。ヨーロッパのロードレース界を支えているスポンサーのように、企業の威信を掛けて本気で(10代後半からの育成を含めて)ワールドクラスで活躍する日本人選手に関心を抱くパトロンが日本にも求められている。チーム、選手側から“探す”と言うレベルではなく、かつて浅田監督(エキップアサダ)に惚れ込んで、スポンサーを自ら名乗り出た梅丹本舗の松本氏のように積極的に手を挙げる日本のスポンサーが現れない限り、今後このカテゴリーで日本人選手の発掘、強化に携わっていくのは無理だと断言したい。それは、決して我々(NIPPO)のサブスポンサー、または取って代わるスポンサーを求めてる、と言う意味ではなく、ヨーロッパの知人からの助言にもあるように“自国”のスポンサーが、世界中のレースを舞台に色々なチームに分散し、若手からベテランまで、それぞれのカラーで切磋琢磨できる環境が構築されていくことが理想だ。

●ジロ・デ・イタリアのホームページ

初山翔が最下位ジャージのマリアネーラを獲得

ジロ・デ・イタリアが6月2日に最終日を迎え、ベローナにて閉幕。NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネは第18ステージで区間優勝、ダミアーノ・チーマがフーガ賞を獲得。唯一の日本人完走選手となった初山翔にも国際的に大きな関心が寄せられ、個人総合成績最下位の証「マリアネーラ」が贈呈された。

初山翔が獲得したマリアネーラは最下位ジャージだが、それと同時に完走の証しだ ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

5月11日にボローニャで開幕した第102回目のジロ・デ・イタリアが、6月2日にベローナにて閉幕した。最終日となる第21ステージは17kmの個人タイムトライアルで、走り終えた選手たちは一人ひとり、ベローナの歴史あるアリーナの中央をパレードする演出がなされ、駆けつけた大勢の観客たちが、3週間におよぶ長いレースを走り切った選手たちへ声援を送った。

最終日のステージでは、個人総合成績で最下位(142位)となりながらも完走を果たした初山に、最下位を象徴する黒いジャージ「マリアネーラ」が贈呈された。現在は非公式の賞ながら、1946年から51年まで実際に存在し、そのユニークさから多くのイタリア人ファンに愛されている伝統的なジャージ。ステージでの演出は第3ステージに単独で逃げ、今大会で大きな注目を集めた初山をねぎらい、改めてスポットライトを当てるものだった。また5ステージで逃げに乗り、逃げた総距離(932km)でトップに立ったチーマはフーガ賞を獲得。ポイント賞ランキングでも3位をマークし、ジロ・デ・イタリア最終日の名誉あるポディウムに立った。

単独アタックを決めてゴールを目指す初山翔 ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

今回のNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネはワイルドカード(主催者招待枠)を獲得し、2015、16年に次ぐ3年ぶり3回目の出場となった。UCIのルール改正により1チームあたりの選手数が9名から8名に減ってからは初めての参戦だったが、2人の日本人選手が出場メンバーに選ばれた。

ジロ・デ・イタリア出場選手
初山翔
西村大輝
マルコ・カノラ(イタリア)
フアンホセ・ロバト(スペイン)
イヴァン・サンタロミータ(イタリア)
ニコラ・バジョーリ(イタリア)
ダミアーノ・チーマ(イタリア)
ジョバンニ・ロナルディ(イタリア)
監督 マリオ・マンゾーニ、水谷壮宏、アレッサンドロ・ドナーティ

第1ステージのスタート台に立った西村大輝 ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

西村大輝がまさかの失格で不穏なスタート

大会初日は、ボローニャ中心部から郊外のサンルーカ聖堂へと向かう登坂区間が組み込まれた個人タイムトライアルで、大きな緊張やプレッシャーから西村大輝がスタート直前になり体調を崩してタイムアウトにより失格。誰もが想定しなかった波乱の展開から、チームのジロは始まった。西村はその後順調に回復し、現在トレーニングを積んでいるという。

第2ステージから通常のロードレースが始まり、雨に見舞われたボローニャをあとにし、一行はトスカーナ地方から南下していく。そして初日からチーマが7名の逃げに乗る活躍。初山とチーマに逃げに乗るように指示が出ていたもので、この日はチーマが作戦通りの走りをした。

初山翔が単独アタックを敢行!

翌第3ステージでは、今度は初山がスタート直後のアタックに成功して先行する展開に。通常であれば、他のチームの選手が追随して数名で逃げ集団を形成するところだが、この日はどういうことか、初山のアタックに反応する選手が現れず。また集団もこの動きを容認したために、初山と集団のタイム差が徐々に広がっていった。

第3ステージ翌日のガゼッタ・デロ・スポルト紙で初山翔の走りが大きく紹介された ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

これから始まる3週間のレースのことを考慮しながら一定ペースで走り続けた初山。しかし、単独でのエスケープは144kmにも及び、テレビ中継は3時間以上にわたって初山の姿を映し続けた。そしてレースを終えると、1人で果敢に逃げ続けた初山は一躍注目の存在に。初山が流暢なイタリア語を話すこともあり、ガゼッタデッロスポルト紙をはじめ多くのイタリアのメディアが取り上げ、この日を境に初山のもとには多くのファンが集まるようになった。また初山は第10ステージでも逃げに成功している。

ダミアーノ・チーマが第18ステージで劇的な逃げ切り勝利を挙げた ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019

チーム最初のトップ10リザルトは雨に見舞われた第5ステージ。危険な集団ゴールスプリントに挑んだプロ1年目、今季アジアで2勝した勢いをもってジロに挑むジョバンニ・ロナルディが区間9位でゴール。その後もスプリントで、第8ステージでマルコ・カノラが区間8位、第10ステージで再びロナルディが区間8位と格上チームを相手に健闘した。

最終日のベローナでフーガ賞の表彰を受けたダミアーノ・チーマ ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

しかし、レースが2週目に入ると、蓄積する疲労や長引く悪天候も影響して、体調を崩す選手が出始め、第13ステージにロナルディ、第16ステージにニコラ・バジョーリが相次いでリタイア。厳しい山岳ステージが続くなか、他のメンバーたちも体力と精神力の限界を超えて走り続ける。

チーマが悲願のジロ・デ・イタリア初勝利

そして、山岳ステージに挟まれた今大会最後の平坦ステージである第18ステージで、再びチーマが3名でエスケープ。多くのワールドチームが集団ゴールスプリントを狙っていたため、その展開が濃厚とみられていたが、レースが後半に差しかかると、詰まり切らないタイム差から逃げ切りの可能性が生まれ始め、先頭の3名はわずかなチャンスにかけて、ハイペースを刻み続けた。残り1km地点通過時、彼らに残されたアドバンテージは15秒ほど。一瞬でもひるんだら加速する大集団に飲み込まれるという状況下で、仕掛けどころを待って一気にラストスパートしたチーマが、僅差で集団を振り切り区間優勝。プロコンチネンタル体制5年目にして、チーム史上最大、夢にまでみた大きな勝利をつかんだ。

この勝利によりチームは再び強く団結。3週目を迎え、疲労の色が多くにじむなか、残りのステージに向けてモチベーションが高まる瞬間でもあった。そして第19ステージではイヴァン・サンタロミータとともに逃げに乗ったカノラが終盤にアタックを仕掛けて一時単独で先行するシーンも。フィニッシュが近づき、強豪選手たちに交わされたが、果敢に食らいつき区間7位の好成績でフィニッシュした。

最後の難関山岳ステージとなった第20ステージ。日本からも熱心なファンが応援に駆けつけた ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

チーム全員で協力しながら最後の難関山岳となる第20ステージも走破。初山を含む5選手が最終ゴール地点となるベローナのアリーナへと到達した。最後の個人タイムトライアルを走り終えると、スポンサーや関係者も集まり、この大会の成功を祝してチーム全員で乾杯。チームにとって素晴らしい結果を残し、また大きな達成感を得てのグランフィナーレを迎えることができた。

「3週間の長丁場、日本からも多くのご声援をいただきました。温かい応援が厳しいレースと向き合う選手たちの背中を押してくれました。日頃からサポートしていただいているスポンサーやファンに改めて、チーム一同、大きな感謝の意を伝えたいと思います」とチーム。

最終ステージを終えて、選手、監督、スタッフ、スポンサーで記念撮影 ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

初山翔のコメント

この3週間、これだけの長期間にわたってつらい思いをしたのは初めての経験。とはいえ、3週間を耐えきり、大きく体調を崩すこともなく走りきることができたことに自分でもびっくりしている。とくにローベレをスタートした第16ステージはきつかった。本当にリタイヤしたかった。監督から「リタイヤするか?」って聞かれたら「はい」って言っていたと思う。やめればラクになるけれど、その分、後味の悪さも残ると思った。スタートする前から「完走が目的じゃない」と言ってきたが、走り続けていると自分の完走を本気で応援したり、祈ったりしてくれる人がたくさんいた。それを裏切ってしまうことはできないと思った。新城選手や別府選手のように世界的に有名ではない自分のことを、ジロという大舞台で、HATSUYAMAコールが起こるくらいに応援してくれるというのは、言葉では言い表すことができない感情だった。

日本のファンやスポンサーの皆様には、まずは3週間、時差があるなか、応援いただいたことに感謝している。ワールドツアーとプロコンチネンタルの選手は合わせて世界で1000人しかいない。そこからチームがワイルドカード枠で出場権を得て、さらにチームからジロ・デ・イタリアのメンバーに選ばれた。出場できたことだけでもすごいと思っているが、それを真剣に応援してくれた人たちに対して、ありがたいという気持ちでいっぱいだ。

水谷壮宏監督のコメント

監督として初参戦した2019年のジロ・デ・イタリア。チームの目標を区間優勝とチームの存在感をアピールすることとし、スタート。 初日からチームとして厳しい条件下に追い込まれたが、それを跳ね返すかのように素晴らしい走りを見せた初山の逃げ、そしてチーマの劇的な区間優勝と立派に目標を達成した素晴らしいジロとなった。

私も監督として多く学ぶことがあり、この21ステージでの出来事は貴重な経験となった。特に3週間と言う長丁場でのレースは前半と後半では集団の動きが大きく走りが変わり、レース展開や作戦も違うことには興味を持った。そしてチーマの劇的な逃げ切りは特に、自転車レースはゴールするまで何があるかわからないことと、諦めない気持ちを持って走ることがいかに大事かを再認識した瞬間だった。

あと初山は今回のジロをただ完走しただけではなく、自らアタックし、挑戦した140kmの独走劇のおかげでイタリア全土、いや世界的に一躍注目される選手となった。この逃げで掴んだファンの心が彼への声援と変わり、毎ステージ勇気付られたはず。全21ステージ完走した彼の身体は一回り絞られ、また一段と風格ある選手に代わっていたことが大変に嬉しかった。

NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネは、総合優勝争いには加われなかったが、毎ステージ誰かが逃げに乗って活躍する走りが出来たことも素晴らしかった。このグランツールで活躍することは偉大であり、今回このような環境で走らせてもらっている大門マネージャーや日本のメインスポンサーであるNIPPOの方々、またすべてのスポンサーの方々のおかげであり感謝の気持ちで一杯。この素晴らしい体制があることを、今の日本自転車競技界の皆様に多く知っていただきたい。そしてこのチームへの加入が本場ヨーロッパで走りたいと願う選手たちの憧れになることを願っている。私自身、アマチュアからワールドツアーまでの道が繋がっている限り、選手育成に協力し、日本自転車競技界全体が盛り上がるように努力したい。

最後に、今回のジロで一番印象に残ったことは、チーマが勝ったステージで補給が終了するラスト15キロ直前で、チーマに最後のボトルとジェルを渡し「ALLEZ CIMA! FULL GAS!!」と言い渡して離れたことでしょうか。

大門宏マネージャーのコメント

ワイルドカード枠で参加したチームの中で、最も存在感を発揮できたという意味では、主催者からの期待に応えられ、チームに関わった多くの方々にとって、今後を占う意味でも大変関心深いグランツールだった。 ファルネーゼ社と共にメインスポンサーの一角を担うNIPPOとしては、将来を見据えて日本人監督をはじめ日本人スタッフに経験を積ませることも、選手を派遣すること以上に重要なミッションだったが、期待以上の成果は得られたと確信している。

チームの運営予算が我々と比べて10倍前後あるワールドチームを相手に、良くぞココまで善戦したと思う。 西村選手の初日の失格に関しては、日本のロードレースファンの方々にも多くの心配を掛けたが、西村選手は今年に入って最も成長を遂げていたメンバーの1人。今後のレースで必ず期待に応えてくれると考えてるので特に心配はしていない。 本人には「人生は長く、生きてれば『穴が有ったら入りたい』と思う恥ずかしい経験は誰もがしてること。人間なら誰でも2度と振り返りたくない大失敗は付き物。ただしお前のケースは国際放送…大物の証だ!」と慰めたことが今となっては遠い昔の出来事だったように感じる。応援しがいのある素晴らしいキャラクターでもあるので、国際レベルでの活躍が期待される若手日本人選手の1人として、引き続き温かく見守ってほしい。

一方の初山選手は、連日大きな注目を浴びて本人が最も戸惑っていたと思うが、欲を言えばもう数回グランツールを走るような選手に成長してほしいと思っている。 グランツールを初めて走った選手にとって、周囲から色々と実感を探るのは無理があると思っている。 特に実際グランツールを経験している日本人選手が稀な国内だとなおさらだ。 もちろん僕自身だってグランツールは未体験ゾーンで、経験した選手との交友が多い指導者の1人に過ぎない。

5年後に2人に再開できるチャンスに恵まれれば、2019年のジロ・デ・イタリアへの参加以降、どのような選手人生を辿ったかを是非聞いてみたい。 そこで初めてグランツールを走った意味について、遠慮なく語り合えると思っている。 特に西村選手に関しては、初日の出来事が笑い話になるような立派な選手に成長してくれていることを心から願っている。

今後のレーススケジュール(予定)
6月7日〜9日   Hammer Limburg(オランダ、UCIヨーロッパツアー2.1)
6月9日    Gran Premio Città di Lugano (スイス、UCIヨーロッパツアー1.1)
6月13日  Grosser Preis des Kantons Aargau(スイス、UCIヨーロッパツアー1.HC)
6月12日〜16日    Tour de Korea(韓国、UCIアジアツアー2.1)

携帯が鳴りやまないくらいの反響に…初山翔が単独アタック【ジロ・デ・イタリア第3S】

ジロ・デ・イタリア第3ステージが5月13日に距離220kmで開催され、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネの初山翔がスタート直後にアタック。144kmにわたって単独で先行した。

単独アタックを決めてゴールを目指す初山翔 ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

5月11日にイタリア中部のボローニャで幕開けした第102回ジロ・デ・イタリア(2.UCIワールドツアー)はトスカーナ地方を南下し、13日の第3ステージはルネッサンスの巨匠レオナルド・ダヴィンチの生まれ故郷であるビンチから、ティレニア海沿いのオルベテッロまでの220kmのロングステージだった。

NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネは前日に引き続き、まずは逃げに選手を送りこむべく、この日は「逃げると決めていた」という初山がファーストアタックを仕掛けた。すぐに集団からリードを奪ったものの、追走を仕掛ける選手は現れず、スタート後2km地点から初山の長いソロエスケープが始まった。

独走を続ける初山翔 ©NIPPO-Vini Fantini-Faizane

いくつかの起伏や強い横風や追い風が吹くシーンがあったが、集団は落ち着いて走行。初山は最大で7分強のタイム差を稼いだが、中盤に差しかかると強い風に影響により、集団はややナーバスになりながらペースアップ。沿道の大声援を受けて力強く走っていた初山だったが、迫り来る集団の勢いにはかなわず、今大会最初の逃げは144kmで幕を閉じた。

その後も集団はハイペースを刻み、強い風もあって70名ほどに人数を減らし、やや小さくなった集団でのゴールスプリントの展開となり、NIPPO勢は新人スプリンターのジョバンニ・ロナルディが世界屈指のスプリンターに食らいつき、区間13位でレースを終えた。初山は最終的に3分14秒遅れの区間169位。総合成績では18分55秒遅れの171位に。

誰も来ず、これはもう一人で行くしかない

初山翔のコメント
監督のマリオからは「逃げに乗れ」と言われていた。昨日も同じオーダーが自分とチーマに出ており、昨日はチーマが乗ったので、今日はお前が行け!という感じだった。風もあったので集団にいてもラクではないと思っていたので、スタート直後からアタックを仕掛けた。誰も付いてこなかったので、タイム差が1分ほど開いたところで少し後ろを待ったが、誰も来ず、これはもう一人で行くしかないと思った。この状況で逃げ切りの可能性はないと思っていたが、できるかぎり逃げたい、ゴールから近い位置で捕まりたいと考えながら走り続けた。無茶に踏んでいっても、捕まることはわかっていたし、今日のゴールまでの展開や、まだ3週間レースが続くということも考慮して無理をしない程度に温存しながら走った。

今日、逃げに乗れたことは良かったと思う。携帯がなりやまないくらいの大きな反響をいただいていて嬉しい。明日からもエネルギーを温存できるところはとことん温存しながら、逃げなのか、何かできることをしたい。今日1日で3週間分の仕事をしたとは思っていないので、また明日からも引き続き頑張りたいと思う。

ジロ・デ・イタリア第3ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

ビビアーニ降格でガビリアが不服のV

大集団のゴール勝負となったこの日はドゥークニンク・クイックステップのエリア・ビビアーニ(イタリア)が1着でゴールしたが、危険走行により降格。2着のフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEエミレーツ)が区間勝者となり、2年ぶり5勝目を挙げた。

ガビリアは2017年にいきなり4勝を挙げ、コロンビア勢の区間最多記録としてルッチョ・エレラとナイロ・キンタナが持っていた3勝を塗り替えた。 コロンビア勢としては大会通算28勝目。
「最初にゴールした選手が勝利となるはずだ。このようにカーブを描いているゴールでまっすぐに走ることは無理。今日の勝利はビビアーニで、それにふさわしい走りだった」と、ゴール後に敗北を認め、ビビアーニに手を差し出していたガビリア。審判団の判定に不服の意を示し、区間勝者とポイント賞の表彰時に笑顔を見せなかった。

総合成績ではユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)が首位を守った。

ステージ優勝も宿敵ビビアーニの降格に納得せず笑顔を見せなかったガビリア ©LaPresse
ログリッチェがマリアローザを守った ©Marco Alpozzi/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEエミレーツ)
マリアアッズーラ(山岳賞) ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
□マリアビアンカ(新人賞) ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

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初山翔と西村大輝がジロ・デ・イタリア初参戦…日本勢として3年ぶり8、9人目

イタリアが世界に誇る世界三大ツールの一つ、ジロ・デ・イタリア(2. UCIワールドツアー)に、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネが、2016年以来3年ぶりに主催者招待枠(ワイルドカード)を獲得して出場する。

ジロ・デ・イタリアに参戦するNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネの8選手

ワイルドカードでの出場となるNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネは、区間優勝を目標とした布陣で挑む。チームの軸となるのは2014年のジロ・デ・イタリアで区間優勝の経歴をもつマルコ・カノラと、長年トップチームで活躍してきたフアンホセ・ロバト。勝負勘に優れる2人のオールラウンダーがエースとして貪欲に勝利を目指す。また急成長を遂げる若手ニコラ・バジョーリの活躍にも期待が高まる。

そしてベテランクライマーのイバン・サンタロミータ、今季アジアで2勝している若手スプリンターのジョバンニ・ロナルディ、アシストの要としてダミアーノ・チーマが選考された。

西村大輝

日本人選手はチーム史上最多となる2選手、西村大輝と初山翔がメンバー入り。チーム加入2年目、24歳の西村は、チームに所属する日本人選手のうち最年少。今後のキャリアを見すえ、アシストとして一つでも多くの経験を積み上げることがミッション。現在30歳、2016年の全日本チャンピオンである初山は、2018年のチーム加入以後、ヨーロッパのハイレベルなレースで経験を積み、今季もシーズン序盤よりジロ・デ・イタリアのメンバー候補として、エース選手のかたわらでレースを重ねてきた。

また今季よりチームに加入した水谷壮宏監督が第二監督として、日本人監督初となる3週間フル参戦し、ベテラン監督のマンゾーニとともに、選手を率いて長く厳しい戦いに挑む。他に、メカニック研修生の南野求とマッサージャー研修生の森井章人も3週間帯同し、スタッフとしても数えられるほどの日本人しか経験していないグランツールで本場の仕事を学ぶ。

2019年のジロ・デ・イタリアはおもにイタリア国内を巡るコースレイアウトで、5月11日(土曜日)にイタリア中部ボローニャでの個人タイムトライアルで開幕し、トスカーナ地方を通過しながら南下。その後、チームスポンサーのファルネーゼヴィーニ社が本社を構えるアブルッツォ州に立ち寄ったのち、アドリア海側を北上。そして2週目からはフランス国境に近いアルプス山脈や北部のドロミテ山塊で山岳決戦が繰り広げられ、6月2日(日曜日)に美しいベローナでの個人タイムトライアルでフィナーレを迎える。

3週間、全21ステージでの総走行距離は3518.5km、総獲得標高は4万6500mに達し、山岳ステージは世界屈指の厳しさを誇る。

初山翔

ジロ・デ・イタリア出場選手
初山翔
西村大輝
マルコ・カノラ(イタリア)
フアンホセ・ロバト(スペイン)
イバン・サンタロミータ(イタリア)
ニコラ・バジョーリ(イタリア)
ダミアーノ・チーマ(イタリア)
ジョバンニ・ロナルディ(イタリア)
監督 マリオ・マンゾーニ、水谷壮宏、アレッサンドロ・ドナーティ

ツアー・オブ・ジャパン出場予定選手
5月19日(日曜日)〜26日(日曜日)※メンバー変更の可能性もあり
伊藤雅和
吉田隼人
中根英登
イメリオ・チーマ(イタリア)
フィリッポ・ザッカンティ(イタリア)
ジョアン・ボウ(スペイン)
(リザーブ)ルーベンダリオ・アコスタ(コロンビア)
監督 バレリオ・テバルディ

西村大輝のコメント
「この上なく大きな舞台に立てることに対し、使命感や緊張などさまざまな感情があふれてくるが、まずは自分を起用してくれたチームへの感謝の気持ちを忘れず、ステージごとに与えられる役割に対し全力で取り組んで、少しでも多く役に立てる走りがしたい。 応援よろしくお願いします」
西村大輝
西村大輝(にしむらひろき) 略歴
1994年10月20日生まれ(24歳)
ジュニアカテゴリーで好成績を残し、将来の活躍が期待されていた2013年に腰を痛め、手術を繰り返し回復までに約2シーズンを費やす。しかし、現役復帰を諦めることなく長く苦しいリハビリを続け、2017年に完全復活。2018年より本チームに加入し、活動の場を世界へと移し、世界のトップレースで貴重な経験を積む。登りを得意とするオールラウンダー。

2012年 アジア選手権ロードレース ジュニアカテゴリー優勝
2013年 シマノレーシングチーム(日本、コンチネンタルチーム)加入
2017年 全日本選手権ロードレース エリートカテゴリー5位
              NIPPOヴィーニファンティーニ(イタリア、プロコンチネンタルチーム)へトレーニーとして加入
2018年 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ 正選手として加入
2019年 ツアー・オブ・タイランド(UCIアジアツアー2.1)個人総合成績9位
初山翔のコメント
去年からジロ・デ・イタリア出場の可能性があることを伝えられており、少なからず意識していた。このモンスター級にどデカイ規模のレースで3週間という長丁場。不安がないわけではないが、参加できることをありがたく思い、毎日しっかりと走りたい。 スマートでなくても泥臭くても、自分を選んでくれたチームに後悔されないような走りがしたい。
初山翔
初山翔(はつやましょう) 略歴
1988年8月17日生まれ(30歳)
アンダー23時代をイタリアのアマチュアチームで過ごし、2011年に宇都宮ブリッツェンでプロデビュー。逃げや山岳を得意とするオールラウンダーで積極的な走りも持ち味。2018年に初出場したクラシックレース・ミラノ〜サンレモでは250kmほど逃げ続けた。2016年全日本チャンピオン。今季はシーズンインよりヨーロッパツアーを転戦。

2011年 宇都宮ブリッツェン(日本、コンチネンタルチーム)加入
2013年 ブリヂストンアンカー(日本、コンチネンタルチーム)加入
      ツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)優勝
2016年 全日本選手権ロードレース エリートカテゴリー優勝
2017年 ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.1)山岳賞獲得
2018年 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニに加入
水谷壮宏監督のコメント
今回のジロ・デ・イタリア参戦について、本当に心の底から嬉しく思い、そしてここまで協力して下さった方々に対しての感謝の気持ちで一杯。 選手時代に目標だったツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアへの参戦、しかし夢への道のりは険しく達成できなかったことを悔やんでいたが、監督としてフル参戦する任務を頂けたことに感謝している。

監督としてジロ・デ・イタリアに参戦することは、多くのプレッシャーに耐え、各選手のパフォーマンスを最大限に引き出し、チームを目標とする区間優勝へと導くこと。言うのは簡単であるが、容易ではないことは確か。まず自分として21ステージあるこの大会でどのように対応を行うかが一番の課題で、疑問も数多くある。自分が経験した他のステージレース同様、単に期間が長く疲労が蓄積するだけなのか、それともフル参戦しないとわからない自分の想像を遥かに超える何かが待ち受けているのか? とても楽しみでありながら不安要素もある。しかし選手も同様に感じているので焦ることはなく、期間中は優秀なスタッフと選手でチームワークを活かし、目標に向かっていきたい。特に第一監督マリオの言うことをしっかりと聞き、サポート出来るように心務めるのが今回のキーポイント。

期間中はワールドツアー勢の動きをレース内側から見られるので、たとえば、いつどこで超級エース勢がアタックするか、どのあたりでグルペットが形成されるか、各選手のペース配分など、各チームの戦略やレース前後のチームスタッフの動きなどを、実戦を通して多く学び、今後に繋げたいと思う。

今回、ジロ・デ・イタリア出場が決まった初山選手と西村選手には全力でサポートし、この大会を走ることにより大きく成長してもらいたい。グランツールは特別であり、極限まで肉体と精神を追い込み完走さえも困難となるが、活躍して選ばれた日本人選手であることを世界に向けてアピールし、今後さらに強い選手になってほしい。そして彼らの熱い走りが日本の自転車競技界に刺激を与え、将来、さらに多くの日本人選手とスポンサーがグランツールで活躍できるように力になれれば最高です。
 
大門宏マネージャーのコメント
ジロ・デ・イタリアは、2015、16シーズンと2大会経験したが、当時と大きく違う点はスタート人数が各チーム9人から8人に減ったこと。レベルも明らかに上がっている。クネゴからも良く聞かされたが、近年のグランツールは以前のようにに中ダルミ(優勝候補選手にとっても息抜きのような)ステージはなく、毎日スタートから速い。誤解を恐れずに言うなら、完走ギリギリの選手(アシスト要員やピュアスプリンター)に対してのレギュレーションも以前と比べて厳しくなっている。

もちろん今回もツアー・オブ・ジャパンのメンバーと共に目標とバランスを考慮して選考したことは言うまでもない。オリンピックに向けてUCIポイント獲得を最優先させるために主要メンバーをツアー・オブ・ジャパンに選考するのでは? という見方もあるとは思うが、我々にとってポイント対象レースは11月まで多くプログラミングされている。そこまで傾倒することはチームのフィロソフィーにも反するし、チームの一番の目標ではない。それよりも最優先させなければならないのは、メインスポンサーをはじめ、日本のスポンサー、ファンの方々のお膝元で魅力溢れるレースを披露できるか否かに尽きる。

オリンピックの代表選考に関しては「欧米の強豪の中でどれだけ戦えるか」がナショナルチームから求められている焦点。アジアから離れると簡単なレースなど1レースも存在しない。エースとアシストが明確なハイレベルのレースにおいて、たとえ数ポイントでも獲得するのは決して簡単なミッションではないが、シーズンを通して正攻法で挑んでいきたい。

我々のような若いメンバーが主体のチームにとってグランツールは、まさに「当たって砕けろ」が参加するコンセプトとして最も相応しく、挑戦の修羅場だと捉えている。主催者からも連日エスケープにメンバーを送り込む積極的な姿勢がワイルドカードのチームに求められるが、チームの思惑としてはやはりステージ優勝が大きな目標となる。

チームの二本柱はカノラとロバト。もちろん当初はモゼールも当確メンバーであったが、体調不良からの回復が遅れ、メンバーから外すことを余儀なくされたのは、スポンサーを含むイタリアの首脳陣にとっては大きな誤算だった。

期待を担う3人目は若手の筆頭バジョーリ。決してステージレース向きの選手ではないが、チームの陣営から見て正直、イタリア国内でも実績のある彼をを外す理由はどこにも見当たらなかった。

アシストの要はチーマ兄弟の兄、ダミアーノ。当初から不可欠なメンバーとして監督陣営からも信頼され認識されていた。勝ってるとは言え、まだ弱冠20才のロナルディは、当初ジロ・デ・イタリアのメンバー構想には全く入ってなかったが、モゼールの欠場の穴を埋めるだけでなく、トルコでも見せ場を演出したようにロバトのアシストを期待してのメンバー入りとなった。

サンタロミータは、グランツールに6回出場するなど最も豊富なキャリアを有し、今回のメンバー構成にとって必要不可欠であったが、4月に3回クラッシュに巻き込まれ大ケガを負った。本人にとっても万全とは言えず、不安材料は多いと思うが、ワールドツアーチームに10年以上在籍した圧倒的な経験で今回のメンバーを支えてくれることを期待している。

西村大輝は昨年と比べて日本人の中でも最も成長したメンバー。だからといってジロ・デ・イタリアのメンバーとして相応しいか?と問われれば「NO」だが、たとえ21日間走り切れなくても、エースからの要求を果たしながらグランツールを経験することが彼の新たなモチベーションに繋がり、日本の同世代の若者や子どもに勇気と希望を与えるキャラクターに成長することを期待している。

初山翔は、昨シーズン、的確で積極的な走りで春先のティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモ等のビックレースでチームに大きく貢献し、今年はシーズンインの頃からジロ・デ・イタリアのメンバーとして有力視されていた一人。昨年と比べてもパワーアップした自覚、自信が周りにも伝わっていたが、シーズンイン当初からクラッシュをはじめとする不運に見舞われ、幸先の悪いシーズンに苦しんでいた。4月に入りリズムを取り戻す兆しが出て来たところで、予定されてたツアー・オブ・クロアチアが直前にキャンセルになり、重要なプログラムを前に評価される対象レースを失ったことは、本人の気持ちを思えば思うほど残念な状況だった。それぞれのキャラクターを活かした8名のメンバー構成を考えると、同じ脚質タイプのサンタロミータとオゾリオのケガからの回復次第というある意味、本人にとっては困惑させられる立場だった。出場有力候補として見守って来ただけに、結果的に8人のメンバーに選ばれ、本人の気持ちを聞く前に今はホッとしている。本来のパフォーマンス的には実力さえ発揮できればエースからも信頼が厚く、若い西村より優れている点が多いのは間違いない。各ステージで監督から与えられたミッションに応えながら、エースの傍らで「初山の持ち味」を精一杯アピールし貢献してくれることを期待している。

初山翔がストラーデビアンケ出場…2013覇者のモレノ・モゼールもNIPPOから

未舗装路をゆく人気レース。イタリア・トスカーナ地方を舞台にしたストラーデビアンケにワイルドカードを獲得したNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ。初山翔が次々に未舗装路が現れる過酷なレースに挑む。

ストラーデビアンケに出場するNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネのメンバー

3月9日開催、トスカーナ地方の美しい丘陵地帯をゆく人気レース「ストラーデビアンケ(UCIワールドツアー)」にワイルドカードを獲得して出場する。イタリア語で “白い道” を意味するレース名のとおり、真っ白な砂埃舞い上がる未舗装路がコースに組み込まれるのが特徴で、その過酷さや特別さから、世界屈指の人気を誇るワンデーレースに。イタリアの昔ながらのレーススタイルを再現したレースで、2019年が13回目の開催となる。2013年大会では今季よりチームに加入したモレノ・モゼールが優勝している。

スタート、フィニッシュ地点となるのは旧市街が世界遺産に登録されるシエナ。フィニッシュラインは観光名所にもなっているカンポ広場に引かれ、そこへ駆け上がる最後の最大勾配16%、石畳に覆われた急坂もレースの見どころ。そして、2019年の未舗装路区間は全11区間、合計63kmに達する。距離が長いだけでなく、アップダウンも組み込まれていて、テクニックや運もレースに大きく影響する。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネにとって、この大会が今季初のワールドツアーレースになる。過去に優勝しているモゼール、そしてマルコ・カノラ、ニコラ・バジョーリのオールラウンダーが軸となり、格上のチームに挑む。また日本人選手は2018年に引き続き初山翔が出場。昨大会は雨に見舞われ、非常に厳しいコンディションのなかで開催され、初山はフィニッシュ地点まで走破したが、オーバータイムのため完走扱いにはならず。
「競技人生のなかでもっともハードだった」と振り返る特別なレースのスタートラインに再び立つ。

翌3月10日には、同じくトスカーナ地方で開催されるグランプレミオ・インドゥストリア・エ・アルティジャート(UCI1.HC/通称GPラルチアーノ)に出場。終盤に厳しい登坂区間を含む周回コースを4周回してフィニッシュを迎えるコースで、登坂力を強化するため、ダミアーノ・チーマに代わり、クライマーのイヴァン・サンタロミータがメンバー入りしている。

ストラーデビアンケ出場選手
初山翔 マルコ・カノラ(イタリア) モレノ・モゼール(イタリア) フアンホセ・ロバト(スペイン) ニコラ・バジョーリ(イタリア) ダミアーノ・チーマ(イタリア) ジョバンニ・ロナルディ(イタリア) 監督 マリオ・マンゾーニ

GPラルチアーノに出場するNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネのメンバー

GPラルチアーノ出場選手
初山翔 マルコ・カノラ(イタリア) モレノ・モゼール(イタリア) フアンホセ・ロバト(スペイン) イヴァン・サンタロミータ(イタリア) ニコラ・バジョーリ(イタリア) ジョバンニ・ロナルディ(イタリア) 監督 マリオ・マンゾーニ

初山翔

初山翔のコメント
今年もこの偉大なレースのスタートラインに立てることをうれしく思う。去年のストラーデビアンケは自分の選手生活のなかでもっともハードなワンデーレースであったと記憶している。天候に関わらず今年も厳しいことに変わりないが、全力を尽くしたい。翌日のラルチアーノは10年前に生活していた街のすぐ近く。 思い出のある地でいい走りがしたい。

マリオ・マンゾーニ監督のコメント
格上選手だけでなく、厳しいコースにも挑むことになる土曜日のストラーデビアンケは、招待いただいた主催者に恥じぬよう、自分たちの最善を尽くしたい。具体的には初山、チーマ、ロナルディで逃げに乗り、エースクラスの選手は終盤の勝負どころまで温存していく。一方、日曜日のラルチアーノは、自分たちチームに適したコース設定であり、展開によって多くの選手がチームリーダーになり得る。正しい判断、正しい意識、そして勝利への強い気持ちがあれば、よい結果が期待できるだろう。

Strade Bianche ストラーデビアンケ
開催期間/2019年3月9日
カテゴリー/1.UCIワールドツアー
開催国/イタリア
ホームページ  http://www.strade-bianche.it/
ツイッター  https://twitter.com/StradeBianche
フェイスブック  https://www.facebook.com/stradebianche/
ハッシュタグ #StradeBianche

Gran Premio Industria & Artigianato グランプレミオ・インドゥストリア・エ・アルティジャナート
開催期間/2019年3月10日
カテゴリー/UCIヨーロッパツアー1.HC
開催国/イタリア
ホームページ  http://www.ciclismolarcianese.it
フェイスブック  https://www.facebook.com/GpLarciano/
ハッシュタグ #GPLarciano

初山翔と吉田隼人がダンケルクの4日間に初出場…実際は6日間のステージレース

フランス最北の都市ダンケルク周辺で開催されるステージレース「ダンケルク4日間レース(UCI2.HC)」が5月8日から13日まで6日間にわたって開催され、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニが2017年に引き続いて出場。初山翔と吉田隼人が初出場する。

ダンケルクの4日間に出場するNIPPO・ヴィーニファンティーニのメンバー

64回目の開催を迎える同大会は、伝統的なLES 4 JOURS DE DUNKERQUE(ダンケルクの4日間)というレース名称を残しながら、近年は開催期間を伸ばしていて、2018年は5月8日から13日まで、6日間・全6ステージのレースとして開催される。UCIプロチームが3チーム、プロコンチネンタルチームが14チーム出場する。

全ステージを通じて、厳しい山岳ステージは設定されておらず、難関ステージとなるのは美しい石畳が敷かれた街カッセルでの周回コースを9周回する第5ステージ。14kmの周回コースには2カ所の急坂区間が組み込まれていて、選手たちは上り下りをめまぐるしく繰り返す。また独特な丘陵地形を利用した逃げ切りの展開も大いに可能性がある。

NIPPO・ヴィーニファンティーニは、スプリンターのエドアルド・グロスとオールラウンダーのフアンホセ・ロバトを軸としたチーム編成で挑み、日本人選手は初山と吉田が出場。初山はコンディションを上げながら、逃げのチャンスも果敢に狙って走りる。吉田は好調さをアピールしたツアー・オブ・クロアチアに続いての出場。スプリントの場面では、クロアチアでの経験を活かしながら自らの成績を求めてチャレンジしていく。

初山翔

初山翔のコメント
厳しいレースになることは間違いないと思うが、日に日にいい感触をつかめるように頑張りたい。

吉田隼人

吉田隼人のコメント
クロアチアでのステージレースを終え、イタリアで過ごし順調に休息とトレーニングを行うことができた。ダンケルクはチームメートを含めだれもが口をそろえてキツいレースと言っているので、覚悟して走りたい。その中でも、チームの中で自分ができることをしっかり行いたい。引き続き応援よろしくお願いします。

バレリオ・テバルディ監督

バレリオ・テバルディ監督のコメント
グロスとロバト、二人をチームリーダーとしてダンケルク4日間レースを戦う準備をしてきた。2人のモチベーションはとても高く、コンディションもいい。吉田隼人はクロアチアを終えて、コンディションを終えての参戦となる。スプリントの場面では、彼にチャレンジをさせたい。上りの場面ではフィリッポ・ザッカンティの走りに期待している。ダミアーノ・チーマ、初山、アラン・マランゴーニはチーム全体を支える役割となるが、彼らには積極的に逃げに乗ることも期待している。


LES 4 JOURS DE DUNKERQUE
開催期間/2018年5月8日(火)〜13日(日)
カテゴリー/ヨーロッパツアー2. HC
開催国/フランス
5月8日 Stage 1 – Dunkerque › La Bassée (163.5k)
5月9日 Stage 2 – Le Quesnoy › Soissons (173.3k)
5月10日 Stage 3 – Fort Mahon Plage › Ecques (171.5k)
5月11日 Stage 4 – Dainville › Mont Saint-Eloi (172.5k)
5月12日 Stage 5 – Wormhout › Cassel (178.7k)
5月13日 Stage 6 – Coulogne › Dunkerque (169.8k)

ダンケルクの4日間の公式サイト
ダンケルクの4日間のフェイスブック
ダンケルクの4日間のツイッター
ダンケルクの4日間のハッシュタグ #4JDD

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エシュボルン〜フランクフルトにNIPPOの初山翔と小林海が初出場

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エシュボルン〜フランクフルトにNIPPOの初山翔と小林海が初出場

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニが5月1日にドイツ・フランクフルト近郊で開催されるUCIワールドツアーのワンデーレース「エシュボルン〜フランクフルト」に2年ぶりに出場する。同大会は2016年まではUCIヨーロッパツアー1クラスとして開催。2017年にUCIワールドツアーにランクアップした。

エシュボルン〜フランクフルトに出場するNIPPO・ヴィーニファンティーニのメンバー

2018年で57回目の開催を迎えるエシュボルン〜フランクフルト。ドイツの大都市フランクフルト近郊で開催されるワンデーレースにNIPPO・ヴィーニファンティーニがワイルドカードを獲得し、2016年以来の出場を果たした。2018年は212kmのコースに、多くの登坂区間が組み込まれている。最も長い登りとなるのは57km地点のフェルトベルクで、10.8kmにわたり登坂区間が続く。一番傾斜のある坂は、コース内に4回組み込まれているマンモルスハイナーベルクで最大勾配は23%。近年はゴールスプリントの展開となっているが、それまでに何度も登坂区間があるため、勝利をねらうスプリンターには登坂力が求められる。

NIPPO・ヴィーニファンティーニはマルコ・カノラを中心とした布陣で出走。ツアー・オブ・クロアチアでポイント賞を獲得したスプリンターのエドアルド・グロスも絶好調。高いモチベーションをもって格上チームに挑む。日本からは初山翔と小林海が初出走。初山はミラノ〜サンレモで逃げに乗るなど素晴らしい活躍をみせた春の連戦から休息・トレーニング期間を経て、約1カ月ぶりに欧州のトップレースに戻ってきた。小林も4月15日のアムステルゴールドレース以来となる2週間ぶりのレース。

初山翔

初山翔のコメント
およそ1カ月ぶりのレースになる。春先の連戦のあと、十分な休養とトレーニングを積んできたつもり。シーズン第2幕のいいスタートが切れるように頑張りたい。

小林海(まりの)

小林海のコメント
今回もレベルの高いワンデーレース。長く厳しいレースになるはずだが、しっかり目立つ働きをしたい。頑張ります!

バレリオ・テバルディ監督

バレリオ・テバルディ監督のコメント
この重要なレースから招待されたことをうれしく思っている。チームはそのことを誇りに思い、ベストを尽くして戦いたい。コースや出場選手の顔ぶれをみても、このレースの難易度は高いが、カノラ、グロス、ロバトと好調な3選手をエースとして戦っていきたい。また彼らを支えるマランゴーニ、初山、ティッツァ、そして若手の小林にも期待している。



Eschborn-Frankfurt
開催期間/2018年5月1日(火曜日)
カテゴリー/1. UCIワールドツアー
開催国/ドイツ
コース/Eschborn › Frankfurt am Main 218.7km
エシュボルン〜フランクフルトの公式サイト
エシュボルン〜フランクフルトのフェイスブック
エシュボルン〜フランクフルトのツイッター
エシュボルン〜フランクフルトのハッシュタグ #Radklassiker

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NIPPOのグロスがツアー・オブ・クロアチア第2ステージ優勝…総合でも首位に

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石畳と坂のワンデーレース「デパンネの3日間」に日本人3選手出場

ベルギー・フランドル地方を舞台にしたデパンネの3日間レースが、2018年は「3日間」ではなく3月21日にワンデーレースとして開催され、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの内間康平、初山翔、西村大輝の日本人3選手が出場する。

「デパンネの3日間レース」はその名前のとおり、ベルギー・フランドル地方を舞台にした3日間のステージレースとして開催されていたが、2018年はワンデーレースにリニューアルされ、3月21日に開催される。そして翌日に女子のレースが組み込まれることになった。

自転車競技が国技とも言われるベルギー・フランドル地方は、4月上旬に開催されるロンド・ファン・フランデレンに向けて、2月のシーズンインから日々ロードレース競技熱が高まっている。デパンネ3日間レースの前後にも多くのビッグレースがあって、5つのUCIプロチームに加え、地元ベルギーやオランダ、フランスの強豪プロコンチネンタルチームが顔をそろえる。

202.4kmのコースは、美しい水の都ブルージュをスタートしたのち、中盤にフランドル地方西部、フランスにも近いエリアに5つの連続する急坂が組み込まれた。なかでも石畳が敷かれたケンメルベルクは、ゲント〜ウェベルヘムなど多くのクラシックレースに登場する名物坂で、登坂距離700m、最大勾配は17%。また石畳はケンメルベルクを含めて3カ所に設定されている。

ケンメルベルクを越えた後は海へ向けて北上。最後はビーチリゾートであるデパンネやコクサイデを回る周回コースを2周回してフィニッシュを迎える。最後は長く平坦が続くため、集団ゴールスプリントとなる可能性が高く、NIPPO・ヴィーニファンティーニは、スプリンターのエドアルド・グロスがエースを担い、兄弟そろって出走するダミアノとイメリオのチーマ兄弟も息の合ったプリントが期待されている。

日本人選手は、先週末のミラノ〜サンレモで初出場ながら250kmの距離を逃げ続けた初山、そして約1カ月ぶりのレース参戦となる内間と西村が出場。西村にとっては独特なベルギーのレースにプロとして初参戦。天候によっては非常に厳しいレースとなることが考えられるが、3選手には逃げに乗ることが期待されていて、それぞれにチームの勝利のために頑張る。

内間康平のコメント
春のベルギー、予想でしかないが、きっと当日は風が吹き、すごく厳しいレースになると思う。とにかく我慢して耐えながらペダルを踏み、チームで戦っていきたい!

初山翔のコメント
今シーズン、今まで走ってきたようなスペインやイタリアのレースとは全く異なったタイプのレースになると思う。 どんなタイプでもある程度は対応できるように努力していく。

西村大輝のコメント
約1カ月ぶりのレースとなり、今から楽しみだ。ベルギーのHCカテゴリーを走るのは初めてだが、風の吹く所や悪路の区間では、集団がとんでもない強度で踏んでいくことになるのは容易に想像できる。ハードなレースが予想されるが、チームのオーダーに応えられるように全力で走りたい。

バレリオ・テバルディ監督のコメント
チームにとって今季初めての“北の”レースとなる。グロスがチーマ兄弟と連携し、スプリントで勝利を目指すことになると思うが、何が起こるかわからないのが、北のレースの特徴でもある。なので、3人の日本選手を必ず逃げに乗せ、逃げ切りの展開にも備えたい。体調不良により、当初出場予定だったマランゴーニが不出場となってしまったが、若いメンバーでベストを尽くして戦っていきたい。

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NIPPO・ヴィーニファンティーニ初山翔がミラノ〜サンレモでエスケープ

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