室屋義秀がフィナーレとなるレッドブル・エアレース優勝

レッドブル・エアレース最後の大会となる2019年シーズン最終戦、レッドブル・エアレース千葉大会は9月8日(日)にマスタークラスの競技が千葉県立幕張海浜公園で行われ、室屋義秀が優勝。千葉大会の優勝は3回目。総合優勝はこの日3位に入ったオーストラリアのマット・ホール。

2日間で10万人の観衆が室屋義秀のフライトに声援を送った ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

台風の接近でスケジュールが大幅に前倒しになったファイナルレース。94戦目のエアレースは14年の歴史に幕を下ろすという最後の大会だった。奇しくもこの日、9月8日はエアレース黎明期の第一人者、オーストリアのハンネス・アルヒが墜落死した命日でもあった。

会場となった千葉県立幕張海浜公園は季節外れの猛暑にもかかわらず、7日(土)に約4万人、8日(日)に約6万人、2日間でのべ10万人が集まった。日本のファンが大声援を送る室屋は1回戦となるラウンド・オブ・14でまさかの敗退を喫した。

レッドブル・エアレース千葉大会を飛ぶ室屋義秀 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool
レッドブル・エアレース千葉大会 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

14人のエリートパイロットが出場する最高峰のマスタークラスは、1対1の対戦でタイムの速かった7選手がラウンド・オブ・8に進出。唯一残された1枠は敗者の中で最もタイムが速かったパイロットが救済される。室屋はこの最後の1枠に滑り込むことができた。それがファイナルにふさわしいドラマチックなフィナーレにつながっていく。

ションカはラウンド・オブ14で敗退し、ワールドチャンピオンを逃した ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

ラウンド・オブ・8を勝ち上がった室屋は決勝レースであるファイナル4へ。最後の戦いはここまで勝ち残った4選手が順番に飛び、最速ラップを記録したパイロットが千葉大会の優勝者となる。さらにはシリーズ総合のワールドチャンピオンも決定する。室屋が2年ぶりにワールドチャンピオンとなれる条件は室屋自身が優勝すること、そしてホールが4人の中で4位になることだった。

2番手で登場した室屋は冷静でスムーズなフライトを披露し、58.636秒をマーク。最終パイロットのホールを前にトップに立っていた。ここでホールは離陸前にチームスタッフと戦略を検討。あえてリスクを犯さず、確実に3位までにまとめて総合優勝をつかみにいく判断をしてテイクオフ。その作戦通りにうまくまとめて3位になり、千葉大会の優勝は同期である室屋に譲ったが、わずか1ポイント差で悲願のワールドタイトルを手中にした。

ファンの後押しで敗者最速から勝ち上がれた(室屋)

最後のレッドブル・エアレース、千葉大会を制した室屋義秀 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

「レースに勝ち、ベストパフォーマンスが発揮できたので、結果に満足しています」と室屋。
「これが今年の自分の実力です。マット・ホールにはわずか1ポイント届きませんでした。長年一緒に戦ってきましたし、彼のことをうれしく思っています。ホームファンの前で優勝するのはこれで3回目です。フィニッシュラインを越える前に初めてファンの皆さんの姿を確認したのですが、皆さんからのエナジーを感じました。皆さんのおかげで敗者最速から優勝できました」

レッドブル・エアレース千葉大会の結果
1.Yoshihide Muroya (JPN)
2. Kirby Chambliss (USA)
3. Matt Hall (AUS)
4. Pete McLeod (CAN)
5. Nicolas Ivanoff (FRA)
6. Mika Brageot (FRA)
7. François Le Vot (FRA)
8. Ben Murphy (GBR)
9. Michael Goulian (USA)
10. Juan Velarde (ESP)
11. Cristian Bolton (CHI)
12. Matthias Dolderer (GER)
13. Martin Šonka (CZE)
14. Petr Kopfstein (CZE)

ラストチャンスでプレッシャーを感じた(ホール)

マット・ホールが悲願の、そして最後のワールドチャンピオンに ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

「大きな安堵感を得ている。史上最高の脇役になってしまう可能性を心配していたので、チャンピオンになることができてほっとしている」とホール。
「非常にフラストレーションがたまる展開だったが、ふさわしい結果が得られた。今日はプレッシャーを感じていた。過去にタイトル決定戦を4回経験してきたが、今回はラストチャンスだったので、プレッシャーはこれまで以上に高かった。カメラの前では冷静で順調そうに振る舞っていたが、内心はずっとツラかった。今日は感情面で難しい1日だった。自分にはチャンピオンがふさしいと言うつもりはないが、参戦を続け、上位陣にプレッシャーをかけ続けてきた。年間総合トップ3に5回も入ったのに一度もチャンピオンを獲れなかったら、一生悔いが残っただろう。ようやく自分はワールドチャンピオンだと言えるようになった」

2019レッドブル・エアレース ワールドチャンピオンシップ最終順位
1. Matt Hall (AUS) 81 pts
2. Yoshihide Muroya (JPN) 80 points
3. Martin Šonka (CZE) 68 points
4. Ben Murphy (GBR) 48 pts
5. Kirby Chambliss (USA) 48 pts
6. Pete McLeod (CAN) 48 pts
7. Nicolas Ivanoff (FRA) 47 pts
8. Mika Brageot (FRA) 44 pts
9. Michael Goulian (USA) 42 pts
10. Juan Velarde (ESP) 39 pts
11. François Le Vot (FRA) 34 pts
12. Cristian Bolton (CHI) 27 pts
13. Petr Kopfstein (CZE) 10 pts
14. Matthias Dolderer (GER) 6 pts

室屋義秀がレッドブル・エアレースで開幕から2連勝

レッドブル・エアレース2019シーズン第2戦カザン大会が6月15、16日にロシアの同地で開催され、日本の室屋義秀が開幕戦に続いて2連勝を飾り、総合首位を守った。週末を通じて8万人のファンが集まった。

室屋義秀がレッドブル・エアレース第2戦カザン大会で優勝 ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

室屋に続く2位に入ったのは優勝候補のひとりに常に数えられているマット・ホール(オーストラリア)で、3位には室屋のライバル、現ワールドチャンピオンのマーティン・ションカ(チェコ)が入り、ともにライバルとタイトルを射程にとどめることに成功した。

92レース目となったカザンでのレッドブル・エアレースは、ときおりの雨と頻繁に変化する風向きが難しいコンディションを作り出していたが、ファイナル4は日光が差し込む中で行われた。その中で誰よりも強く輝いたのが、2017シーズンワールドチャンピオンの室屋義秀だった。

室屋義秀の優勝を喜ぶチームファルケン ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

ラウンド・オブ8でミカ・ブラジョー(フランス)を下してファイナル4に進出していた室屋は1番手でフライトして1分3秒496の好タイムをマーク。2番手に登場したションカは1分4秒234に終わり、2016シーズン以来のファイナル進出を果たした3番手のフランソワ・ルボット(フランス)はペナルティに泣いた。この結果、室屋が優勝するかどうかは過去3回総合2位を経験しているベテラン、マット・ホールのフライト次第となった。 

ホールは会場の盛り上がりにふさしいフライトを披露した。最初のスプリットで室屋に迫ったホールはその後0.5秒ほど遅れを取ってしまうが、最後のハイGターンで猛追してフィニッシュ。あわやかと思われたが、最後は0.185秒差で室屋が勝利した。

レッドブル・エアレース第2戦カザン大会のションカ ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

今回の勝利で室屋は英国のレジェンドパイロット、ポール・ボノムと並び「シーズン開幕2連勝を記録したパイロット」となった。

2019シーズンは全4戦となったため、第2戦カザンはシーズン折り返しとなった。カザン終了後の総合順位は室屋が53ポイントで首位を守り、2位には室屋から9ポイント差でションカが立っている。また、3位には36ポイントのホールが新たに入った。しかし、優勝で25ポイント、予選トップ3にもポイントが与えられるため、タイトルの行方はまだ分からない。室屋、ションカ、ホールは油断することなく1カ月後にハンガリーで開催される第3戦バラトン湖へ向かい、他のパイロットたちと全力フライトに挑むはずだ。

2016シーズンのワールドチャンピオン、マティアス・ドルダラーは予選でパイロンヒットを記録した際にウイングレットを破損し、決勝レース日までに修理が間に合わないことが分かったため、ラウンド・オブ14を欠場した。

2019シーズン第3戦はハンガリーの観光地ザマールディ市に位置するバラトン湖で7月13日・14日に開催される。

室屋義秀のコメント
「カザンは最初から好感触を得ていました。今日は風が変わっていたので、正しいラインを見つけるのに苦労しましたが、タクティシャンのベン(フリーラブ)が助けてくれました。チームはうまくまとまっています。全員がハードワークをしてくれているので、リラックスできています。ロボットのように飛ぶだけです。機体は非常に速く仕上がっていますし、自分の仕事をするだけです。今日は接戦でしたし、ポイント差も詰まっているので、次のレースも気を抜けません。バラトン湖でも勝利を狙っていきます」

室屋義秀がレッドブル・エアレース第2戦カザン大会で優勝 ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

●チケットを含むRed Bull Air Raceの最新情報

2019シーズン第2戦カザン:マスタークラス 最終結
1位:室屋義秀(日本)
2位:マット・ホール(オーストラリア)
3位:マーティン・ションカ(チェコ)
4位:フランソワ・ルボット(フランス)
5位:ベン・マーフィー(英国)
6位:クリスチャン・ボルトン(チリ)
7位:ニコラス・イワノフ(フランス)
8位:ミカ・ブラジョー(フランス)
9位:ピート・マクロード(カナダ)
10位:マイケル・グーリアン(米国)
11位:フアン・ベラルデ(スペイン)
12位:カービー・チャンブリス(米国)
13位:ペトル・コプシュタイン(チェコ)
14位:マティアス・ドルダラー(ドイツ)

ワールドチャンピオンシップ総合順位(第2戦カザン終了後)
1位:室屋義秀(日本)53ポイント
2位:マーティン・ションカ(チェコ)44ポイン
3位:マット・ホール(オーストラリア)36ポイント
4位:ニコラス・イワノフ(フランス)30ポイント
5位:ミカ・ブラジョー(フランス)26ポイント
6位:マイケル・グーリアン(米国)25ポイント
7位:フランソワ・ルボット(フランス)21ポイント
8位:フアン・ベラルデ(スペイン)16ポイント
9位:ベン・マーフィー(英国)15ポイント
10位:クリスチャン・ボルトン(チリ)13ポイント
11位:カービー・チャンブリス(米国)13ポイント
12位:ピート・マクロード(カナダ)10ポイント
13位:ペトル・コプシュタイン(チェコ)5ポイント
14位:マティアス・ドルダラー(ドイツ)3ポイント

レッドブル・エアレース第2戦カザン大会、予選でトップタイムをマークしたブラジョー ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

Red Bull Air Race 2019シーズン レースカレンダー
6月15日・16日:カザン(ロシア)
7月13日・14日:バラトン湖(ハンガリー)
9月7日・8日:千葉(日本) 

Red Bull Air Raceについて 
Red Bull Air Race World Championshipは、スピード・精度・スキルのコンビネーションが求められる究極の3次元モータースポーツシリーズで、世界一速くて俊敏な高性能レース機体に乗り込むパイロットたちが、世界的に有名な景勝地の水上と地上に設置されるレーストラックの上で激しい戦いを繰り広げる。このスポーツに求められる高速低空飛行と操縦テクニックは、世界最高と評価されるひと握りのエースパイロットだけが手にできるものだ。

地面・水面からわずか数メートルの高さを飛ぶ14人のマスタークラスパイロットは、航空業界最高レベルの精度とスキルが求められる状況下で最高時速370kmを記録しながらタイムを競い合う。また、最大12Gを受けながら空気注入式パイロンが設置されているテクニカルなレーストラッを攻略しなければならない彼らには、フィジカルコンディションを常にピークに保つことも求められる。

2003年に創設されたRed Bull Air Raceは国際航空連盟(FAI)公認のモータースポーツで、これまでに5大陸で90レース以上が開催されてきた。世界最先端の航空チャレンジとして知られるマスタークラス部門、Red Bull Air Race World Championshipへの参戦は、エリートパイロットの間で最高の栄誉として考えられている。2014シーズンには下位部門チャレンジャークラスが創設された。 

レッドブル・エアレース第2戦で室屋義秀が予選3位…1番はブラジョー

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップの第2戦が6月15日にカザン(ロシア)で開幕。フランスのミカ・ブラジョーが予選トップタイム。シリーズ首位に立つ室屋義秀は予選3位と好位置につけ、16日の決勝に臨むことになった。

レッドブル・エアレース第2戦ロシア・カザン大会 ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

レッドブル・エアレースは2019年を最後に打ち切られることが決定し、カザン大会後は7月13〜14日にバラトン湖(ハンガリー)、9月7〜8日に千葉大会を残すのみとなった。室屋は第1戦でシリーズ首位に立ち、2年ぶりの総合優勝をねらう。

ミカ・ブラジョーのフライトをロシアダンスで応援 ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool
レッドブル・エアレース第2戦はロシアのカザンが舞台 ©Armin Walcher / Red Bull Content Pool

室屋は現在28ポイント。24ポイントの総合2位につけるチェコのマーティン・ションカが予選2位のタイムを出している。

室屋義秀は第2戦カザン大会で予選3位 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool
ミカ・ブラジョーが予選でトップタイム ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

●室屋義秀のホームページ

「レースに集中して首位を守りたい」エアレース終了で室屋義秀コメント

レッドブルは、Red Bull Air Race World Championship(レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ)を2019年シーズン限りで終了することを決定。2017年ワールドチャンピオンで、現在シーズンランキング首位の室屋義秀がそれを受けてコメントを発表した。

室屋義秀 © Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

今後開催を予定しているレースは以下の3戦となる。
6月15日(土)、16(日) カザン(ロシア)
7月13日(土)、14(日) バラトン湖(ハンガリー)
9月7日(土)、8日(日) 千葉

2003年の初開催以来、レッドブル・エアレースはこれまで90以上のレースを開催し、世界最高の飛行技術を持つパイロットたちが低空の空中コースを高速で旋回しながら競い合う世界最高峰のスポーツ・エンタテイメントを世の中に提供してきました。しかし、残念ながらレッドブル・エアレースは、レッドブルが世界各地で開催している他のイベントと同じレベルで世間の興味関心を得ることができなかったという。

「記憶に残る素晴らしいレースの数々を作り上げてくれたパイロットたちとチームメンバー、大会パートナー、ホストシティと地域住⺠、そしてファンにこの場を借りて感謝を申し上げたい」と同社。

今回の発表を受けて、千葉大会を主催するレッドブル・エアレース・ジャパン実行委員会もコメントした。
「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップのなかでも千葉大会は最大規模の動員数を誇り、多くのモータースポーツファンの興味関心を惹きつける一大イベントです。千葉大会にはさらなる可能性があったため今回の発表は非常に残念です。レッドブル・エアレース最後のレースが有終の美を飾れるようにレッドブル・エアレース・ジャパン実行委員会は邁進して参ります。皆さま是非千葉大会にお越し下さい」

2018年のレッドブル・エアレース千葉大会 ©Samo Vidic/Red Bull Content Pool

現在シーズン首位の室屋は 「今シーズンは全4戦に変更となったので、チャンピオンシップの年間戦略を修正しながら、現在のリーディングポジションを維持できるよう全力を尽くしていきます」という。
「9月までの短期決戦となりましたので、他のことは考えず100%レースに集中していきます。スポーツ選手とは、設定されたルールや与えられた条件の中において、その能力の限界に挑戦する存在だと考えます。その挑戦の過程により、新たな未来が創造されていくと考えています」

室屋義秀がレッドブル・エアレース開幕戦を0.003秒差で優勝

2019年レッドブル・エアレースの開幕戦、アブダビ大会がUAEで2月8、9日に開催され、2017年の総合優勝者である室屋義秀が優勝した。2位は2018年の総合優勝者マーティン・ションカ(チェコ)でその差は0.003秒。千葉大会は第5戦。9月7〜8日に開催される。

開幕戦のアブダビを制してガッツポーズの室屋義秀 ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

2003年に第1回大会、2005年に世界選手権となり、12シーズン目を迎えたレッドブル・エアレースは、2005年以来毎年アブダビで開幕戦を開催している。今大会は、8日(金)の予選、9日の決勝を合わせてのべ 5万人が会場で観戦。室屋がアブダビで優勝したのは初めて。

開幕戦のアブダビを飛ぶ室屋義秀 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

2009年の初参戦以来、2019年で参戦8シーズン目を迎えた室屋のアブダビでの戦績は、2009年13 位、2010年10位、2011年〜2013年の中断期間を経て再開した 2014年9位、2015年6位、2016年7位(オーバーG)、ワールドチャンピオンに輝いた2017年も13位(オーバーG)とあまり振るわず。しかし2018年に初の表彰台(2位)を獲得し、そして2019年に念願の開幕戦アブダビ大会での優勝を手に入れた。

今大会で室屋は終始安定し、3回のフリープラクティスのタイムは3位、1位、3位、そして予選は1位(自身4度目のポールポジション)。これにより2019年から導入された予選ポイントを獲得した。その後の決勝も危なげなく勝ち進み、決勝のファイナル4を1番手で飛んだ室屋は、 最終コーナーからゲート14に侵入する際に機体の体勢を崩しかけたが持ちこたえ、ペナルティを得ることなく53秒780のタイムでゴール。

残る3選手は、ニコラス・イワノフ(フランス)がエンジントラブルで離陸できず DNS(Did Not Start)で不戦敗に。2018年のアブダビ大会で優勝し、2018シーズンのワールドチャンピオン争いを繰り広げたマイケル・グーリアン(米国)が54秒009で終わると、最後に現ワールドチャンピオンのションカが登場。

第一セクター0.007秒、第二セクターでも0.005秒と室屋を先行し、2回目の VTM(Vertical Turn Manuva)中に0.212秒遅れたものの、最終コーナーで再び追い上げたものの、わずか0.003秒室屋に届かなかった。ゴール通過時のおおよその速度は時速300kmなので、その距離はわずか30cmという決勝戦まれにみる僅差で室屋が勝利した。

開幕戦のアブダビを飛ぶ室屋義秀 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

レース後に室屋は「FP1(フリープラクティス 1)からファイナルまで非常に安定して飛べていたので、それで予選も首位で3ポイントを取ることができましたし、ファイナルもギリギリでしたけど勝ち抜くことができ、最終的に最大28ポイントを獲得できたので非常にいいスタートを切れたと思います」と語った。

「2017年の(最終戦)インディアナポリスから今まで1年以上勝ちがなかった。1位は非常にハッピーなんですけど、2位だとどうしても『こうしたら勝てた』『ああしたら勝てたんじゃないか?』という思いが出てくるので、1位は別格ですね。今はこの1位を味わいたいと思います」と喜びをコメントしている。

●レッドブル・エアレース大会日程
第1戦 2月8〜9日 アブダビ(UAE)
第2戦 ヨーロッパ(未定)
第3戦 6月15〜16日 カザン(ロシア)
第4戦 7月13〜14日 ブダペスト(ハンガリー)
第5戦 9月7〜8日 千葉(日本)
第6戦 アジア(未定)
第7戦 10月19〜20日 インディアナポリス(米国)
第8戦 11月8〜9日 サウジアラビア

室屋義秀の使用するチームファルケンの機材 ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

2019シーズン マスタークラスパイロット
クリスチャン・ボルトン:Cristian Bolton Racing(チリ)
ミカ・ブラジョー:#11 RACING Team Eyetime(フランス)
カービー・チャンブリス:Team Chambliss(米国)
マティアス・ドルダラー:Mathias Dolderer Racing(ドイツ)
マイケル・グーリアン:Team Goulian(米国)
マット・ホール:Matt Hall Racing(オーストラリア)
ニコラス・イワノフ:Team Hamilton(フランス)
ペトル・コプシュタイン:Team Spielberg(チェコ)
フランソワ・ルボット:FLV Racing Team 12(フランス)
ピート・マクロード:Cashback World Racing Team(カナダ)
室屋義秀:Team Falken(日本)
ベン・マーフィー:Blades Racing Team(英国)
マーティン・ションカ:Red Bull Team Šonka(チェコ)
フアン・ベラルデ:Team Velarde(スペイン)

室屋ペナルティ、ラウンド・オブ14で敗退…レッドブル・エアレース第7戦

究極の三次元モータースポーツRed Bull Air Race World Championship(レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ)2018年シーズン第7戦の決勝が10月7日(日)に米国インディアナポリスで開催された。週末を通して約4万人の観客が来場したモータースポーツの聖地で、マイケル・グーリアンが米国選手として2008年以来10年ぶりにホームレースでの勝利をおさめ、再びシーズンランキング首位に返り咲いた。

インディ500の舞台として知られるインディアナポリスのモータースピードウェイ上空を飛ぶ室屋義秀 © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

室屋義秀はフリープラクティスから安定したタイムでフライトしていたが、ラウンド・オブ14でインコレクトレベルのペナルティを犯して敗退。シーズンランキング5位に後退した。

ホームレースでの優勝により、子供のころに憧れたインディ500のヒーロー同様、有名な赤レンガ(保存されている昔のスタート/ゴールライン)に接吻できることに喜びを露わにしたグーリアン。
「なんて素晴らしい日だ! ここでの勝利はシーズン優勝にもまさるとも劣らない。今大会がマットやマルティンにとってそうなったように、私にとって(12位の)前節ウィーナーノイシュタット戦は外れだったが、全てがうまく行く日があり、それが今日だった。ここでの勝利は最高だ。誰もがワールドチャンピオンに向けて最後まで戦い抜き、それぞれの結果を手に入れたのさ」とコメントした。

インディアナポリスのモータースピードウェイで有名な赤レンガにキスをするグーリアン © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

この日の結果を受け、グーリアンはポイントを70に伸ばして再び総合首位に。マルティン・ションカ(チェコ)が65ポイントで2位、マット・ホール(オーストラリア)が63ポイントで3位につけている。ワールドチャンピオンは11月17日(土)、18日(日)に開催される最終戦フォートワース大会で決まる。

ウィングレットを装着した室屋義秀機 © Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

室屋は、3回のフリープラクティスから予選までを4位、2位、4位、5位と安定したフライトを披露していたが、マットやマルティン同様にツキに見放され、ラウンド・オブ14の13ゲートを水平から10度以上翼が傾いた状態で通過したことでペナルティ2秒が課され、敗退した。

レース後、室屋は「フライト自体のクオリティとしては悪くなかったので、次のレースに向けてチームと目一杯準備を進めます。それが2019年の準備にもなるので、それをしっかりと行って1勝を取りたいと思います」とコメントした。ラウンド・オブ14での対戦相手ベン・マーフィーのタイムは1分7秒130と全体9位だったが、次のフライトでマーフィーはラウンド・オブ8ベストおよび自身の今大会ベストとなる1分5秒482のタイムを出し、初のファイナル4進出を果たした。

最終戦は11月17日(土)、18日(日)に米国テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで開催予定。決勝レースは日本時間の11月19日(月)早朝。

目をつむって精神統一をはかる室屋義秀 © Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

放送予定
■NHK
放送スケジュールを掲載したホームページ

■J SPORTS
10月23日(火)23:30~24:30 J SPORTS 3 第7戦インディアナポリス(米国)※初回放送
放送スケジュールを掲載したホームページ

■DAZN(ダ・ゾーン)
ライブ中継で放送。大会後1週間は『見逃し配信』でも観戦可能。月額1750円(税別)、ドコモユーザーは月額980円(税別)、英語実況のみ
視聴方法