KINAN Cycling Teamが出場しているニュージーランド・サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は第3ステージを1月17日に行った。平坦基調のコースで争われたレースは、スプリントに挑んだ中島康晴が6位でフィニッシュ。レース中盤に大人数の逃げが生まれたが、KINAN勢が中心に立ってメイン集団をコントロール。追撃ムードを高めてライバルたちの逃げ切りを許さなかった。
大会は中盤戦へ。ここまでの2日間、積極的に前線でレースを展開。第2ステージでは山本元喜が逃げに加わったほか、中島がスプリントに挑んで10位となるなど好走。個人総合でもトップが見える位置に山本大喜、トマ・ルバらがつけ、この先のチャンスをうかがう。
第3ステージは、大会拠点となっているマスタートンからマーティンバラまでの127km。スタートからしばしワンウェイルートを進み、おおよそ中間地点から1周7kmの周回コースへ。これを9周回してフィニッシュを迎える。前半に唯一の山岳ポイントが控えるが、以降は平坦基調。定石通りのスプリント勝負となるか、要所でのアタックなどからレースに変化が生まれるのか、駆け引きが見どころともなった。
迎えたレースは、ここまでの2日間同様にリアルスタートから出入りの激しいものに。数人の飛び出しが決まるかに思われた場面もあったが、いずれも決定打とはならず、アタックと吸収を繰り返しながらレース前半が進行していった。
状勢が一変したのは、周回コースに入る直前でのこと。数人のアタックが容認され集団のペースが落ち着きかけたタイミングでさらに1人、また1人と飛び出しを図る。やがて先行するのは14人に膨らみ、そのまま逃げの態勢へ。KINAN勢もたびたびチェックに動いたが前方までは乗り切れず、メイン集団から先行する選手たちを追う流れとなった。
その状況下で、集団の追撃ムードを高めたのはKINAN勢6人だった。全員が集団前方へと上がってペーシングを開始。椿や新城に加え、終盤に入ってからは山本兄弟とトマも効果的なコントロールを見せ、サーキットコースに入った段階で約3分あったタイム差は、周回を経るごとに減っていく。しばらくして、逃げにメンバーを送り込まなかったチームもローテーションに加わり、着実に先頭グループを射程圏にとらえていった。
懸命の追走が実り、残り2周で逃げていた選手たちをキャッチすることに成功。その後もKINAN勢が集団先頭をキープしながら最終周回へと突入した。
スプリントに向けては、中島で勝負する態勢で他のメンバーがリードアウト。ライバルチームにも一歩も引くことなく、前方を固めながら最後の局面を迎える。そして前方から加速した中島は、トップまでは届かずも6位とまとめてのフィニッシュに。
劣勢になっても不思議ではなかった状況を一気のペースアップで打開し、中島でのスプリントまで持ち込んだKINAN勢。リザルトそのものはベストとはいかずも、プロトンに対してチーム力と存在感を示すには十分なレースであった。
総合成績では、ここまでを終えて山本大がチーム最上位の24位。同29位のトマとともにトップとは31秒差。山本元は同じく38秒差、新城も39秒差としており、上位陣が見える位置を保っている。
翌18日に行われる第4ステージは、今大会の最難関。今回最長のレース距離175.6kmもさることながら、次々とやってくるタフな上りが選手たちの脚を試す。スタートから3周回する51kmのコースでは登坂距離6.5km、平均勾配4.8%のテ・ワラウ・ヒルがそびえ、これを3回クリア。そのうえでアドミラル・ヒルの頂上フィニッシュを目指すことになる。フィニッシュまでの上りは距離4.1km、平均勾配6.2%。残り1.5kmでいったん緩斜面となり、フィニッシュ前数百メートルで再び急坂を駆け上がる。このステージの攻略こそが、総合争いに生き残る絶対条件。KINAN勢も上位進出にかけて、もっとも重要な局面に挑むこととなる。
ニュージーランド サイクルクラシック2020 第3ステージ(127km)結果
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 2時間39分51秒
2 ブレイク・クイック(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +0秒
3 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー
4 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)
5 ルーク・マッジウェイ(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー)
6 中島康晴(KINAN Cycling Team)
45 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
51 新城雄大(KINAN Cycling Team)
56 山本大喜(KINAN Cycling Team)
71 山本元喜(KINAN Cycling Team)
87 椿大志(KINAN Cycling Team) +18秒
個人総合
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 8時間5分27秒
2 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +6秒
3 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +11秒
4 エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +16秒
5 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)+17秒
6 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +21秒
24 山本大喜(KINAN Cycling Team) +31秒
29 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
34 山本元喜(KINAN Cycling Team) +38秒
47 新城雄大(KINAN Cycling Team) +39秒
76 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分21秒
85 椿大志(KINAN Cycling Team) +2分10秒
ポイント賞
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 24pts
15 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts
山岳賞
1 ボリス・クラーク(ニュージーランド、ユーロサイクリングトリップス・CMI) 10pts
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) 4pts
チーム総合
1 ブラックスポークプロサイクリングアカデミー 24時間17分29秒
9 KINAN Cycling Team +33秒
中島康晴のコメント
「スプリント勝負を予測しながら、危険な逃げには注意しながらスタートした。力のある選手のアタックにはトマや(山本)大喜がしっかり反応してくれて出足はよかった。ただ、逃げが決まったかに思ったところでさらにアタックがあって、自分たちがそこに乗ることができなかったのは反省点。何度か前への合流は試みたが上手くいかず、早めの判断で集団牽引をすることにした。
椿と(新城)雄大が素晴らしい働きで先頭とのタイム差を縮めてくれたことや、集団コントロールに協力してくれたチームもあったことで、前の選手たちを吸収できた。大きなミスこそあったが、ハイレベルのレースでこのような経験ができたことはポジティブに捉えたい。
今日は自分も集団牽引に加わったが、脚を使いながらでも最後のスプリントでは6位とまとめられた。集団内でのポジショニング1つ見ても、自分たちが他チームからリスペクトされていることを感じるし、スプリントだけに集中できればもっと結果を出せる手ごたえもつかめた。
(次のスプリントチャンスは第5ステージ)チーム力を示すことができているので、組織的な動きでスプリントに持ち込みたい。個人的な目標は表彰台に上がること。それを実現したい」
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