孫崎大樹がニュージーランド・サイクルクラシック第2Sで4位

ニュージーランド・サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は1月12日、マスタートン〜マーティンバラ間の127.3kmで第2ステージが行われ、キナンレーシングに加入して2レース目の孫崎大樹が4位。残りステージに手ごたえをつかんだ。

孫崎大樹らキナン勢が積極的に展開する ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

KINAN Racing Teamが出場中のニュージーランド・サイクルクラシック第2ステージ。大会最初の平坦ステージで、セオリー通りのスプリント勝負。ここに孫崎がトライして4位でフィニッシュ。ステージ表彰台まであと一歩に迫った。個人総合ではライアン・カバナが2位をキープし、次のステージへと進めている。

嵐に見舞われ距離短縮となった第1ステージに続き、この日も雨が残る中でのレーススタートに。悪天候の中で2位に入ったライアンが個人総合でも同位置につけ、この日は繰り上げでポイント賞のグリーンジャージを着用して走る。

第2ステージは前日と同じくマスタートンをスタートし、南西に位置するマーティンバラにフィニッシュする127.3km。70km過ぎでマーティンバラの中心部に入ると、そこから7.1kmの周回コースを9周。主だって目立つアップダウンがないことから、スプリントでのステージ優勝争いが予想された。

しばしのニュートラル区間を経てリアルスタートが切られると、散発的に飛び出す選手が現れるが、すぐにリーダーチームのボルトンエクイティース・ブラックスポークプロサイクリングが集団コントロールを開始し、前とのタイム差を調整しながら進行。ライアンを個人総合2位に据えるKINANメンバーもブラックスポーク勢の後ろを確保し、安全に残り距離を減らしていった。

ポイント賞のグリーンジャージを着用して走るカバナ ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

ワンウェイ区間を終えてマーティンバラの周回コースに入る頃には先頭は3人で、メイン集団が2分以内にタイム差をとどめてコントロール。周回を減らすごとにその差は縮小し、残り3周となったところでその差は数十秒。次の周回で逃げメンバーを吸収し、一団のまま最後の1周回を迎えた。

常に前方をキープしてきたKINANメンバーも、スプリントへ向けて位置取りを本格化。最終局面へ向けては新城雄大の牽引で前線へと押し上げて、最終コーナーを抜けたところで孫崎が6番手を確保。

フィニッシュへ向かう約700mの直線で集団が一気に加速すると、そのままスプリント勝負へ。好位置をキープした孫崎も優勝争いに加わり、上位陣が横並びでフィニッシュラインを通過。タイヤ1本分ほどの差でトップは獲れなかったものの、2位・3位選手と僅差の4位。前日2位のライアンに続き、今度はスプリント戦線でもKINAN勢が存在感を示した。

ニュージーランド・サイクルクラシック第2ステージ ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

他のメンバーもフィニッシュへと続き、ステージを完了。安全に走り切ったライアンは個人総合2位をキープしている。

13日に行われる第3ステージが大会で最重要な1日に。名物のアドミラル・ヒルの頂上に設けられるフィニッシュラインへ向けて、登坂力のある選手たちによる力比べ。この丘で個人総合成績の行方が見えてくる。ここまでの2日間快調にレースを進めてきたKINAN Racing Teamにとっても、上位進出に向けた大事なステージとなる。

●キナンレーシングのホームページ

ニュージーランド・サイクルクラシック第1Sでキナンのカバナ2位

ニュージーランド・サイクルクラシックが1月11日に開幕し、KINAN Racing Teamのライアン・カバナが第1ステージで2位になった。終盤の駆け引きから抜け出し、そのまま逃げ切ったメンバーでのステージ優勝争いだった。

ニュージーランド・サイクルクラシック第1ステージでライアン・カバナ2位 ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

チームにとって3年ぶりとなる南半球・ニュージーランドでのシーズンイン。通算3度目の出場となる。大会初日から大雨に見舞われ、レース距離が短縮された。

ニュージーランドでは唯一のUCI(国際自転車競技連合)公認の国際ステージレースで、これまで数々の名選手を輩出した登竜門的な位置づけのレースでもあるこの大会。KINAN Racing Teamは2019年の初出場以来シーズン開幕戦として臨んでいて、2023年は新型コロナ禍を乗り越えての3年ぶりの出場を果たしている。  

今回の舞台となるのは、大会前半が首都ウェリントンから北東へ100kmほど進んだ街・マスタートン。後半に入るとウェリントンへと移って、全5ステージで争われる。  

久々の参戦に大きな歓迎を受けているチームは、過去に出場経験のある山本元喜、トマ・ルバ、新城雄大の既存の主力組に、ライアン、孫崎大樹、ドリュー・モレのニューフェイスが合流。新たなメンバーとの融合も、今季初戦の重要なテーマに。直前まで行われていたオーストラリア選手権で好成績を挙げたドリューとライアンには、開催地のメディアも注目しており、KINANメンバーとして早くも真価を問われる場ともなる。  

ニュージーランド・サイクルクラシックのキナンレーシング ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

そうして迎えた第1ステージは、拠点のマスタートンを出発し北へ針路をとってアルフレッドトンとを往復するルート。アルフレッドトンでは35kmの大周回を2回めぐり、マスタートンへと戻る。  

例年ハイスピードで展開するのが大きな特徴の今大会にあって、この日選手たちを苦しめたのがスタート以降強まる一方の雨。次第に風も強くなっていったことから、レース進行中にアルフレッドトンの周回を1回に短縮。ステージ距離は123kmに変更された。  

プロトンでは悪天候をついてアタックする選手が出るものの、どれも脅威とはならず。KINANメンバーも危険を回避しながら集団内でのポジションを押さえて進行。膠着状態が続いたが、100km地点を過ぎて均衡が破られる。地元ニュージーランド選手の飛び出しをきっかけに、数人の追走グループが形成される。ライアンがこれに乗じ、やがて先頭までブリッジ。先頭が5人でまとまると、集団に対して少しずつリードを広げて優位な状況を作り出した。  

この状況にメイン集団は前を行く選手たちを追い切れず、ライアンたちの逃げ切りは濃厚に。フィニッシュへ向かう最後の1kmは急坂区間。好位置をキープして上ったライアン。最後はジェームス・オラム選手(ボルトンエクイティース・ブラックスポークプロサイクリング)との一騎打ちとなり、先着を許したものの、バッドコンディション下でのレースで2位と上々の走り。後続にタイム差をつけてのフィニッシュで、残りのステージを見据えても好スタートとなった。  

残る5人も終始メイン集団でレースを進め、ステージを完了。翌日へとつなげている。  

大会初日からイレギュラーな格好となったが、第2ステージからは一層激しいレースになることが予想される。次はマスタートンから南下し、マーティンバラを折り返す127.3km。中盤に登坂区間が控えるが、後半は下り基調で、フィニッシュはスプリントが予想されている。

●キナンレーシングのホームページ

コルナゴバイクをキナンレーシングが2023年シーズンから使用

KINAN Racing Teamが2023年から、アキボウのサポートを受けてコルナゴ社のバイクフレームを使用し、国内外のレースを走っていくことになった。

コルナゴバイク

タデイ・ポガチャルも愛用するイタリアブランド

「1954年の創業以来、勝つためのレースバイクを作り続けた創業者エルネスト・コルナゴは、常にレース現場に出向き、これまでに250のプロチーム、4000を超えるプロサイクリストの活躍を支えてきました」とアキボウ。

「数多くの世界選選手権、オリンピック、ワールドツアーレース、クラシックレースでの勝利を収めてきたことで、今やイタリアを代表するトップブランドとして君臨しています。

しかしながら、ツール・ド・フランスだけはなかなか手中に収めることができませんでした。創業から66年の2020年にUAEチームエミレーツ所属のタディ・ポガチャル選手がコルナゴ V3-RS を駆って見事優勝し、翌2021年も優勝して2連覇を達成しました。ポガチャル選手にスーパーバイクと言わしめたコルナゴバイクは選手のパフォーマンスを最大限に発揮するためのレースバイクブランドです」

12月17日のキックオフ会でコルナゴバイクの使用を発表

ビッグレースでの活躍により世界規模で人気が高まっているコルナゴファミリーの一員となることは、KINAN Racing Teamにとってこのうえない喜びだという。サポートのアキボウ、さらにはコルナゴ社との連携を日々強化し、レースをはじめとするチーム活動が一層充実するよう努めていきたいという。

2023年のシーズンインから当面はV3-RSフレームを使用する。12月17日に行った「KINAN Racing Team Kickoff Meeting 2022-2023」でコルナゴ社バイクフレームの使用を発表し、会場内はファン・関係者からの驚きと喜びの声があがった。

「多方面へと広がる反響をモチベーションに、チームは“勝つためのバイク”とともに新たなシーズンへと向かっていきます」と同チーム。

●コルナゴの日本語ホームページ

キナンがオーストラリア2選手を獲得して2023シーズンの体制を明かす

キナンレーシングが2023シーズンの所属選手を発表した。ヴィクトワール広島からライアン・カバナ、ブリッジレーンからドリュー・モレの2人のオーストラリア選手を獲得。2022年シーズンと同人数の13選手で戦う。継続は7選手。

ライアン・カバナ/Ryan CAVANAGH ©Midori SHIMIZU

それ以外の新加入選手は、スパークルおおいたレーシングチームより孫崎大樹、シエルブルー鹿屋より白川幸希、宇都宮ブリッツェンより宮崎泰史、EFエデュケーションNIPPOデベロップメントチーム(米国)より津田悠義の6選手が合流。

ツアー・オブ・タイランド総合優勝のカバナが加入

2022年から日本のレースをメインに走っていたライアンは、ジュニア時代には自国のナショナルチームの一員として世界レベルを経験。その後、自国のチームに所属しUCIアジアツアーを中心に力を発揮してきた。

特筆すべきは、2019年のツアー・オブ・タイランド個人総合優勝。山岳で独走し、そのまま大会制覇につなげた。また、2022ツール・ド・熊野第3ステージで優勝。コースレイアウトを問わずオールラウンドに対応できる走りを武器とする。

ドリューもライアン同様にジュニア時代からナショナルチームに属し、近年はアジアに軸足を置いて走っている。日本のレースでは2019年におおいたアーバンクラシックで優勝、同年のツール・ド・熊野第2ステージで2位に入った際には、キナン所属のトマ・ルバとの大会史に残る激闘を繰り広げた。

ドリュー・モレ/Drew MOREY

今季は1月のオーストラリア選手権でワールドクラスの選手たちに混じり5位入賞。国内シリーズでも勝利を挙げ、得意の上りを生かして着実に好リザルトを重ねている。

各年代のトップを走ってきた孫崎も、ジュニア時代には国際大会での優勝を経験するなど、実績は豊富。ロードレースのほか、トラックでも世界への挑戦をし、2021年からはスパークルおおいたレーシングチームの一員としてスピードを武器とした走りで国内シリーズ戦「三菱地所JCLプロロードレースツアー」を席巻。9月に開催された高知県宿毛市ロードレースでは優勝を飾った。スプリント、上り、アタックとレース展開に沿った対応力に定評があり、即戦力として計算される。

孫崎大樹 ©Midori SHIMIZU

早くから国内プロシーンを駆けてきた白川も、近年は成長株として注目を集める存在。国内リーグ「Jプロツアー」では上位進出の常連で、9月には伝統の経済産業大臣旗ロードで2位入賞。要所でのアタックでレースの流れを一変させる力を有し、レース外でも明るいキャラクターを生かしたムードメーカーとしてファンからの高い人気を誇る選手。

白川幸希 ©Midori SHIMIZU

成長株として期待膨らむ宮崎は、次世代のトップクライマー候補。一気にその名が知られることとなったのが5月のツアー・オブ・ジャパン。最難関の富士山(第2ステージ)で7位に入り、最終的に個人総合9位。文句なしのヤングライダー賞に輝き、ステージレースへの適性も示した。

宮崎泰史 ©Syunsuke FUKUMITSU

チーム最年少20歳の津田は、ジュニア時代に国内タイトルを欲しいままにしてきたヤングスター。2021年からヨーロッパをベースにハイレベルのレースを転戦。その経験を、アジアをメインステージとするキナンの活動に生かしていく。また、チームの広域拠点の1つである愛知県出身で、“おらが街のトップサイクリスト”としての責務も担う。

津田悠義 ©Kensaku SAKAI/FABtroni+camera

13選手の内訳は、日本10人、オーストラリア2人、フランス1人で、平均年齢は28歳。アンダー23カテゴリーの若手有望株から実績十分のベテランまでがそろい、経験やこれまでに培ってきたスキルをビックレースでの結果に結び付けていきたいという。

これまで以上に選手個々のバックボーンが多彩であることから、選手の特性や専門性を生かしたレース出場やメンバー選考にも努める。ロードレースをメインに、トラックレースやJCLバンクリーグに主眼を置く荒井佑太や福田真平といった選手へのサポートにも引き続き注力。

アフターコロナの趣きが日増しに強まるロードレース界にあって、KINAN Racing Teamは2022年シーズン6勝、トップ3確保は31回を数え、近年をはるかにしのぐ成果を収めることができた。2023年シーズンも国内外の社会情勢に合わせながら、チーム活動に一層の充実を図っていきたいという。

なかでも、メインスポンサー「株式会社キナン」の本拠である熊野地域を舞台に開催されるツール・ド・熊野でのタイトル獲得が最大の目標。主戦場であるUCIアジアツアーはもとより、ジャパンサイクルリーグ(三菱地所JCLプロロードレースツアー)への継続参戦や各種活動への参加、サイクルイベントや地域貢献による自転車競技の普及など、日本の自転車界の活性化を目指した取り組みにも積極的に参画。

2023年シーズンの初戦として、ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2、1月11~15日)を予定。過去には数多くのトップライダーを輩出した同国伝統のステージレースへ、3年ぶりに参戦する。

●キナンレーシングのホームページ

キナンの仮屋和駿が男子U23の全日本チャンピオンに

ロードレース競技の全日本選手権は、大会2日目となる6月25日に男子アンダー23(23歳未満)のロードレースを実施。KINAN Racing Teamからただ1人出場の仮屋和駿が、フィニッシュ前3kmからのアタックで独走に持ち込み、この年代ナンバーワンを証明する鮮やかな勝利。チームに日本チャンピオンジャージをもたらした。

KINAN Racing Teamの仮屋和駿が後続に12秒差をつけてフィニッシュ

前日の個人タイムトライアル種目に続き、この日からはロードレース種目が開始。その皮切りとなったのが、アンダー23カテゴリーのレースだった。18歳から22歳までの選手が対象で、若手選手にとってはトップライダーへの登竜門。このカテゴリーでの活躍からプロ選手として大成した選手は数知らず。また、勝てば日の丸をあしらったナショナルチャンピオンジャージの着用が許可され、国内外各所のレースで一目置かれる存在となる。

そんな年間最大のレースの1つに、KINAN Racing Teamからはチーム最年少の仮屋がエントリー。いつもとは違い、チームメートがいない中での戦いとなるが、落ち着いたレース運びが求められた。

広島県三原市・広島県中央森林公園のサイクリングコース12.3kmを10周回する123kmで争われたレースには、119選手が出走。2周目で4人の逃げグループが形成されたが、仮屋はここに加わらず、有力選手が待機するメイン集団でレースを進める。この形成が5周目まで続く。

全日本選手権男子U23ロードレースの最終ラップ

変化が見えたのは6周目。逃げていた4選手がメイン集団へと戻り、新たに6人がリードを開始。優勝候補と目された選手も含まれたが、ここでも仮屋は状況を静観。やがて先頭は2選手が抜け出す形になり、メイン集団に対し最大で1分10秒ほどの差とした。

こうした流れから、8周目で大きな局面がやってくる。メイン集団から断続的にアタックがかかり、抜け出した6人が先頭2人を追走する態勢をつくる。これに仮屋が加わって、前の2人との差を一気に縮めていく。この周回を追える時点で、その差は30秒。そして、9周回目の前半で先頭へ合流した。

後続に50秒近いタイム差を得た仮屋たちの先頭グループは、最終周回の鐘を聴く頃には7人に絞り込まれ、そのまま優勝争いへと移っていく構え。逃げ切りにかけて協調体制を保った先頭メンバーは、残り1周となってもメイン集団に対してタイム差をキープし、徐々に勝ち逃げとなることが濃厚に。あとは、誰がアタックを決めるのか、またはスプリント勝負となるのかが焦点となった。

KINAN Racing Teamの仮屋和駿が全日本選手権男子U23ロードレースで優勝

先頭グループ内では再三強力なアタックがかかるが、これらを冷静に対処し続けた仮屋は仕掛けどころを探る。そして残り3km、最も勾配が厳しくなる上り区間で満を持してアタックすると、それまで一緒に逃げてきた選手たちを振り切ることに成功。しばし5秒ほどの差で追走メンバーが続いたが、フィニッシュへ近づくにつれてその差は拡大傾向に。単独で最後の直線へとやってきた。

この長い直線もトップで駆けた仮屋は、残り100mで勝利を確信。最後の最後はきっちり、「KINAN」アピールを忘れることなくフィニッシュラインへ。狙って獲ったアンダー23カテゴリーの頂点だ。

KINAN Racing Teamにとって、日本タイトルの獲得は2018年の山本元喜(エリートロードレース)、山本大喜(アンダー23個人タイムトライアル)以来。通算3枚目となる日本チャンピオンジャージに。今季チーム加入の仮屋にとっては、KINANメンバーとしての初勝利が日本タイトル。前日の個人タイムトライアルでは7位に終わり、リベンジを賭けて臨んだロードレースで結果を残した。

これにより、仮屋はアンダー23カテゴリーにおいて1年間の日本チャンピオンジャージの着用資格を獲得(2001年3月生まれにより、2023年シーズンいっぱいは同カテゴリーの対象)。当面は、在学する日本大学での活動と並行しながら、年代トップとして走っていく。

仮屋和駿を中央に左が2位岩田聖矢(弱虫ペダル)、右が3位香山飛龍(弱虫ペダル)

仮屋和駿のコメント
「終わったばかりで全然実感が湧いていない。最後の展開は冷静にイメージできていて、勝ちパターンに持ち込むことができた。我慢を続けて、ここぞという場面でアタックした。

最終周回でメイン集団と1分ほどの差だったので、逃げ切るのは難しいかなとも思ったが、終盤の上りに入ってもタイム差が変わっていないと知って逃げ切れると感じた。先頭グループは協調体制がとれていたので、一緒にいるメンバーで勝負できると思った。

独走には自信があったので、周りの動きを見ながら、絶対に行けるというところで勝負に出た。最後まで油断はできなかったが、フィニッシュ前100mでやっと優勝を確信できた。

これからは、日本大学の一員として走るインカレも勝ちたいし、KINANメンバーとしてJCLやUCIレースのメンバー入りも目指していきたい。アンダー23の日本チャンピオンに恥じない走りをして、将来的にはエリートでもこのチャンピオンジャージが獲れるような選手になっていきたい」

大会最終日・26日に控えるエリートカテゴリーのロードレースへ向けて、チームに勢いをもたらす最高の結果。仮屋の走りに続くべく、もう1つタイトルを狙っていく。なお、エリート部門には山本元喜、小出樹、花田聖誠、山本大喜、中島康晴、新城雄大、畑中勇介の7選手が出走する。

キナンのトマ・ルバがチャレンジロードで独走勝利

チャレンジサイクルロードレースが4月10日に静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンターで開催され、KINAN Racing Teamのトマ・ルバ(フランス)が優勝。チームに今季初勝利をもたらした。2位以下に30秒以上の大差をつける快勝で、翌週に控える「三菱地所JCLプロロードレースツアー」の開幕へ最高の脚試しとなった。

トマ・ルバがチャレンジロード優勝 ©Kensaku SAKAI/FABtroni+camera

1971年に初開催され、2022年で45回目を迎える国内ロードレースシーンにおける伝統のレース。この先本格化するシーズンへ向けて、調整具合の確認と総仕上げの意味合いを持つ貴重な機会ともなっている。

KINAN Racing Teamは今回、トマのほかに小出樹、花田聖誠、新城雄大、畑中勇介の5選手が参加。ここまで積んできたトレーニングの成果をレースを通じてチェックした。

2022チャレンジロード ©Kensaku SAKAI/FABtroni+camera

5kmのコースを14周回する、69kmのレース。序盤から出入りがあった中、大きな動きとなったのは8周目。トマのアタックをきっかけに5人の逃げグループが形成されると、メイン集団に対して1分以上のリードを確保。やがて先頭は4人となるが、トマらは快調に飛ばし続け、集団とのタイム差は拡大。先頭グループの逃げ切りムードが色濃くなる。

そして迎えた最終周回。鐘を合図にトマが再度のアタックを繰り出すと、それまで逃げてきたメンバーを全員振り切り独走態勢に。最後までペースを落とすことなく駆けると、2位以下に30秒以上の大差をつけて優勝のフィニッシュを切った。

トマにとっては、2020年の宇都宮ロードレース以来の勝利。同時に、チームとしても今季初勝利となり、翌週に控えるチームの主戦場「三菱地所 JCLプロロードレースツアー」の開幕、弾みとなる好レースだった。

なお、メイン集団でレースを進めた他のメンバーは、花田が5位、畑中が10位、小出が11位でそれぞれレースを終えている。

2022チャレンジロード ©Kensaku SAKAI/FABtroni+camera

「初出場だったが、ツアー・オブ・ジャパンの経験から伊豆のコースは把握していた。ハードなコースなので、とても楽しみにしていた。私のようなクライマー向けのレースはそう多くはないので、個人的に今日はチャンスがあると思っていた。狙い通り優勝できて本当にうれしい。勝ったのは2020年の宇都宮ロードレース以来」とルバ。

「JCLが開幕する来週もチームとしてベストを尽くしたい。2戦ともスプリンターにチャンスがあるコースなので、チームメートが上位進出できるようアシストしたいと考えている。ここまでいいトレーニングを続けられたし、チームスタッフが最高のコンディションを私たちに提供してくれた。そのおかげでチームの強さを感じられている。

個人的な今後の目標としては、ツアー・オブ・ジャパンとツール・ド・熊野。最高の状態に仕上げて、この2レースに臨むつもりだ」

2022チャレンジロード ©Kensaku SAKAI/FABtroni+camera

チャレンジサイクルロードレース(69km)結果 
1 トマ・ルバ(KINAN Racing Team)1時間51分46秒
2 宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)+31秒
3 渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム)+44秒
4 谷順成(那須ブラーゼン)+1分14秒
5 花田聖誠(KINAN Racing Team)+1分43秒
6 西尾勇人(那須ブラーゼン)+1分52秒
10 畑中勇介(KINAN Racing Team)+2分4秒
11 小出樹(KINAN Racing Team)+2分8秒
DNF 新城雄大(KINAN Racing Team)