おおいたアーバンクラシックにキナンは主力5選手…真価が問われる国内UCIワンデーレースへ

おおいたアーバンクラシックが10月14日に大分県大分市で開催され、キナンサイクリングは主力となる5選手を出場させる。10月以降は、日本国内で開催されるUCI(国際自転車競技連合)公認のワンデーレースをメインにレースプログラムを進めていく。

おおいたアーバンクラシックに出場するキナンサイクリングの5選手

おおいた アーバンクラシックは2017年まで国内リーグ「Jプロツアー」のおおいたサイクルロードレースとして行われてきたものが国際レースへと昇格。UCI公認大会としては2018年が初開催となる。

大分スポーツ公園周辺を周回する1周10kmのコースはこれまでと同様ながら、今回から時計回りに巡ることになり、より上りの比重が高くなっている。下り基調の周回序盤を経て、中盤は長い上りが続いたのち、終盤では一度下ってからコントロールラインへ向けて約1km上っていくレイアウト。特に最終周回は激しい優勝争いが見ものに。15周回・150kmの全行程は平坦がなく、アップダウンに富んだ中でのサバイバルレースとなることが予想される。

国内外から20チームが出場する今大会。1チーム5選手で編成され、キナンは山本元喜、山本大喜、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大を招集。9月に出場したステージレース、インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン(インドネシア、UCIアジアツアー2.2)で個人総合3位となったルバ、同5位の山本元を中心に、インドネシア遠征で好アシストを見せた新城、国内で調整を進めてきた中島、そしてUCIロード世界選手権帰りの山本大と、いずれも好調な主力選手たちをセレクト。上りでレースを動くとなればルバや山本元が、人数が絞られた中でのスピード勝負となれば中島や新城が勝負に出ることになる。また、山本大はオープン参加した2017年のおおいたサイクルロードレースで6位相当の走りをしていて、コースとの相性はいい。

同大会はサイクルイベント「OITAサイクルフェス!!!2018」内で開催される。前日13日には大分市中心部で「おおいた いこいの道クリテリウム」が行われ、おおいたアーバンクラシック出場チーム・選手が参戦。キナンも前述の5選手が挑む。

おおいた いこいの道クリテリウム
10月13日 30km(1km×30周) 午後0時5分スタート
会場:大分いこいの道周辺(大分県大分市)

おおいた アーバンクラシック(UCIアジアツアー1.2)
10月14日 150km(10km×15周) 午前9時スタート
会場:大分スポーツ公園周辺(大分県大分市)

「個人的にはキッテル」山本元喜ツール・ド・フランスさいたま発表会へ

さいたま新都心駅周辺コースで11月4日に開催される「J:COM presents 2018ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」。期待と注目が集まるビッグイベントまで1カ月を切った10月5日、さいたま新都心で出場選手発表会が行われ、ロード日本チャンピオンの山本元喜が登壇。あわせてキナンサイクリングから山本ら3選手の出場が発表された。

左からASOのエリック・ペレスデアレナザ、鈴木優華、山本元喜、藤田涼平、清水勇人さいたま市長 ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

■キナンサイクリングから山本、雨乞竜己、中西健児

イベントではまず開催地さいたま市の清水勇人市長や、主催のアモリスポルオルガニザシオン(A.S.O.)イベントディレクターのエリック・ペレスデアレナザ氏のあいさつがあり、続いてクリテリウムメインレース出場チームと選手の発表、そしてスプリントレースの組み合わせ抽選会が行われた。

山本、雨乞竜己、中西健児の出場が発表されたキナン。当日はクリテリウムメインレースのほかに、各チーム1名が出場するスプリントレース、チームタイムトライアルに出走。スプリントレースは抽選の結果、ミッチェルトン・スコット、「ツール・ド・フランスジャパンチーム」として参戦する別府史手、宇都宮ブリッツェンと対戦するA組に入ることが決まった。

出場チームと選手の発表、スプリントレースの組み合わせが決まったところで、満を持してこの日のイベントゲストが登場。大きな盛り上がりの中、日本チャンピオンジャージをまとう山本と、9月15日に行われた「Road to さいたまクリテリウム2018」を勝ち、個人タイムトライアルレース出場権を得た藤田涼平(サイタマサイクルプロジェクト)が紹介された。

■熱い応援を呼びかけ

プログラム後半はトークイベントが行われ、山本のほかレース実況でおなじみの永田実氏、解説者の栗村修氏、アレナザ氏、2018年のさいたまクリテリウム広報部長に就任した鈴木優華さんがステージへ。大会ツイッターにリアルタイムで寄せられた質問も交えながらトークが展開された。

出そろった出場選手の印象を問われた山本は「みなスゴい選手だが、個人的にはジロ・デ・イタリアで一緒に走ったキッテル選手」と注目選手をピックアップ。「勝手に後ろについて走っていた」とジロ・デ・イタリア出場時のエピソードを紹介しつつ、「また同じレースを走れることが楽しみ」とコメントした。また、「うれしい声援」について問われると、「ゲンキ!と、名前を呼んでもらえるとうれしいです! 自分を応援してくれているとダイレクトに伝わるので」と約100人の一般観覧者に向けて、当日の応援を呼びかけた。

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム本番への期待と驚きに満ちた発表イベント。最後には、一般観覧者向けのフォトセッションの時間も設けられ、選手と記念撮影を楽しむ姿も見られるなど、笑顔と喜びいっぱいの中で幕を閉じた。(Report: 清水翠、Edit: 福光俊介)

キナンのトマ・ルバがツール・ド・バニュワンギ・イジェンで個人総合3位

インドネシア東ジャワ州を舞台に開催されてきたインターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ(International Tour de Banyuwangi Ijen、UCIアジアツアー2.2)は、9月29日に4日間の戦いを終了。キナンサイクリングは最終の第4ステージでトマ・ルバがステージ3位に入り、個人総合でも3位フィニッシュ。個人総合5位でスタートした山本元喜が順位をキープしたほか、大会後半に猛追したサルバドール・グアルディオラも同9位。総合トップ10に3人を送り込み、チーム力をアピールした。

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン総合優勝のベンジャミン・ダイボールを中央に左が2位ジェシー・イワート、右が3位トマ・ルバ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

26日に開幕した総距離599kmのレースは、山頂フィニッシュだった第1ステージでルバが4位、山本が6位。続く第2ステージは、グアルディオラが8位に入り、いい流れで前半戦を終えた。前日の第3ステージでは、勝負どころと見られた激坂区間で5選手が次々とアタックを決める奇襲攻撃に成功。ルバと山本がそれぞれ個人総合順位を上げ、3位と5位につけた。

そしていよいよ大会はフィナーレを迎えた。最後を飾るのは、この地域のシンボルでもある秀峰イジェン山のヒルクライム。鋼青色の炎で知られるこの山の頂上にフィニッシュラインが敷かれ、選手たちの登坂力を試す。特に2018年は最終日にこの区間が設けられたこともあり、総合成績を決定づけるものと予想されてきた。

127.2kmのステージ全体では、スタート以降しばらくは平坦が続き、残り30kmを切ってから山岳区間へ。4級山岳ジャンベサリ(Jambesari)、3級山岳カリベンド(Kalibendo)を続けて越え、そのままイジェン山へと入る。登坂距離6.3kmで、平均勾配13%の上りは、登坂に入ってすぐに急坂が訪れる。中腹で最大の22%、その後も20%前後の激坂が立ちはだかるばかりか、路面が滑りやすいのも特徴。レース終盤に3つのカテゴリー山岳が連続するコースレイアウトだが、緩急さまざまな勾配がフィニッシュまで続いていくイメージだ。

キナンは、このステージに総合での逆転をかける。首位と3位のルバとの総合タイム差は2分58秒。難所のイジェン山での走り次第では、逆転は大いに可能だ。

レースはアクチュアルスタートとともにアタックがかかり、やがて7選手が逃げグループを形成。序盤はコース幅が狭いことを生かして、リーダーチームのセントジョージコンチネンタルが7人以上の逃げを封じ、プロトンのコントロールを開始。キナン勢5人はその背後につけ、終盤の勝負どころに備える。

逃げグループとメイン集団とは、最大で約6分差まで拡大。この中に個人総合で上位に位置する選手が含まれ、集団はその差を慎重にコントロールする必要があった。

終盤の山岳区間に入った時点でタイム差は約4分。4級山岳ジャンベサリまではセントジョージコンチネンタルが牽引した集団は、3級山岳カリベンドから新城雄大がペースアップを担う。新城の強力な引きによって、集団の人数が絞り込まれていく。カリベンドを越え、イジェン山へ向かうタイミングでさらにキナン勢がレースを動かす。まずアタックを仕掛けたのはグアルディオラ。これはセントジョージコンチネンタル勢のチェックにあうが、有力選手たちの争いを活性化させるきっかけとなった。

いよいよ勝負は大会の華であるイジェン山へ。長く続く激坂に各選手の登坂力と消耗度の差がそのまま反映される。1人、また1人と遅れていき、クライマーによる本格勝負の様相になると、ここまで個人総合2位につけていたベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)が抜け出し、ルバと前日ステージ優勝したジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング)が追う形となる。序盤からの逃げメンバーも数人が先頭付近で粘っていたが、クライマーとの勢いの差は歴然。少しずつリードを広げていくダイボールがトップに立ち、ルバとイワートによる2位争いへと変わっていった。

イジェン山で独走に持ち込んだダイボールが後続に1分近いタイム差をつけて、今大会のクイーンステージを制覇。2位争いはフィニッシュを目前にイワートが抜け出し、ルバはダイボールから1分4秒差のステージ3位とした。

さらに後ろでも熾烈なステージ上位争い。山岳アシストを務めたマルコス・ガルシアが4位で走り切り、グアルディオラも6位。個人総合成績がかかる山本も9位に入り、キナン勢は4選手がトップ10圏内でステージを終えた。

このステージの結果によって、総合上位陣にシャッフルが発生。ルバは順位を保ち個人総合3位で表彰台の一角を確保。山本も同様にスタート時の個人総合5位をキープ。変動が起きた中で、ここ数ステージで好走を見せてきたグアルディオラが9位に浮上。キナン勢が総合トップ10に3人を送り込んだ。これにより、UCIポイント44点を加算することに成功している。個人総合優勝はダイボールだった。

このほかキナンは、各ステージのチーム内上位3選手のタイム合算で競うチーム総合で2位、山岳賞ではルバが3位となり、それぞれ総合表彰台へと上がった。

これらをもってアジア屈指の山岳ステージレースである大会が終了。キナンとしても、9月中旬から始まったインドネシア遠征が終了。今回のテーマであった、UCIポイントの獲得と総合上位進出は今大会で果たすことができ、一定の成果を残して遠征を終える。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第4ステージ(127.2km)結果
1 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 3時間49分44秒
2 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +47秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)+1分4秒
4 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +4分6秒
5 マルセロ・フェリペ(フィリピン、セブンイレブン・クリックロードバイクフィリピンズ)
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +4分9秒
9 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5分20秒
29 新城雄大(KINAN Cycling Team) +14分3秒

個人総合時間賞
1 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 15時間8分7秒
2 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +58秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分14秒
4 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +5分38秒
5 山本元喜(KINAN Cycling Team) +6分47秒
6 マリオ・フォイト(ドイツ、チームサプラサイクリング) +10分23秒
9 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +14分14秒
16 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +17分17秒
34 新城雄大(KINAN Cycling Team) +28分5秒

ポイント賞
1 ジャマリディン・ノウアルディアント(インドネシア、PGNロードサイクリング) 24pts
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 14pts
12 山本元喜(KINAN Cycling Team) 9pts
13 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts
24 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 33pts
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 22pts
5 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 12pts
10 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts
12 山本元喜(KINAN Cycling Team) 6pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 45時間40分13秒
2 KINAN Cycling Team +2分26秒

山本元喜

山本元喜のコメント
チームオーダー通りにレースを運ぶことができ、特に山岳に入ってからの(新城)雄大の素晴らしいアシストによって、自分が想定していた以上に重要な局面まで脚を温存して走ることができた。その甲斐あって、総合成績の維持ができた。順位アップこそならなかったが、結果としてUCIポイントの獲得につなげられたのはよかった。
インドネシア遠征を通して、スプリントにトライするといった新たな試みもできて、山岳での走りも含めて自らの可能性が広がっている実感がある。調子も上がっているので、残るシーズンもコンスタントにUCIポイントを獲得しながら、持ち味を生かしていきたい。

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
今日の結果そのものには驚いていない。山岳で全力を尽くし、実力のある上位2選手とよい勝負ができたと思う。大会初日のミスが最終的な結果に直結したように感じている。ただ、その後もトライを続け、第3ステージでの攻撃や今日の山岳に挑むことができた。今後もレースが控えているので、コンディションを整えて本番を迎えたい。

激坂の奇襲攻撃でルバと山本が総合順位アップ…ツール・ド・バニュワンギ第3ステージ

インドネシア東ジャワ州で行われているインターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ(International Tour de Banyuwangi Ijen、UCIアジアツアー2.2)は、9月28日に第3ステージが行われた。ここまで2選手を個人総合上位に送り込んでいるキナンサイクリングは、レース後半の山岳区間での攻撃を決めて4選手が上位フィニッシュ。個人総合4位でこのステージをスタートしたトマ・ルバが3位に、同6位だった山本元喜が5位に浮上。

激坂での奇襲攻撃を決めたキナンチーム ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は後半戦へ。前半2ステージを終えた時点でキナンは、ルバと山本が個人総合上位につけるほか、第2ステージではサルバドール・グアルディオラが8位フィニッシュ。いい流れを継続している。

139.4kmに設定された第3ステージ。中盤に3級山岳スンベルブル(Sumberbuluh)、さらにフィニッシュ前約30kmのところで3級山岳パケル(Pakel)を上る。特にパケルは上り始めから10%前後の勾配が続き、頂上手前で最大勾配15%を迎える。舗装も粗く、この区間をいかにクリアするかがその後の総合成績にも関係すると見られる。

金曜日はイスラム圏の休日にあたる安息日であることから、レースは午後に実施。アクチュアルスタートともに飛び出した6人がそのまま逃げグループを形成。この動きを容認したメイン集団は、リーダーチームのセントジョージコンチネンタルがコントロール。その後ろにキナン勢5人がつけ、淡々と距離をこなしていく。そのまま中盤まで進行し、逃げと集団との差は約4分で1つ目のカテゴリー山岳のスンベルブルを通過した。

続く下り区間でメイン集団がペースアップ。先頭をゆく選手たちとのタイム差を着々と縮めていく。キナン勢5人はトラブルなく、集団内の好ポジションをキープしてレース終盤へと入っていった。

やがて迎えるはこの日2つ目のカテゴリー山岳にして、最大の勝負どころとなるパケル。距離3.6km、平均勾配7%にとどまらず、数km手前から上り基調となり、さらには道幅が狭くなることから、集団内のどの位置から急坂区間へと入っていくかもポイントとなった。

ここで満を持して動いたのはキナン。パケルの上りを迎えてすぐの激坂区間でまず新城雄大がアタック。これを数選手がチェックに動き、プロトン全体がスピードアップするとともに、各選手の登坂力の差が明確になってくる。セントジョージコンチネンタルのペースメイクによって新城は吸収されるが、上りの中腹で今度は山本とグアルディオラがアタック。さらにはルバとマルコス・ガルシアもカウンターアタック。最大勾配15%のポイントでルバとガルシアが、先に動いた2人に合流。

このキナン勢の奇襲攻撃に対応できたのは、個人総合3位につけるベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)ただ1人。5選手に絞られた精鋭グループは、これらの攻撃に先んじて飛び出した選手や逃げグループのキャッチを試みながら、フィニッシュまでのダウンヒルへと入った。

約25km続いた下りで、序盤から逃げていた選手たちを捕まえたキナン勢。パケルでアタックを決めたジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング)にステージ優勝こそ譲ったものの、第2グループでやってきたルバが4位、グアルディオラが6位、山本が7位。終盤のけん引役として貢献したガルシアも8位に続き、攻撃の起点となった新城もフィニッシュラインを通過。5選手全員が最終ステージへと駒を進めた。

この結果、キナン勢は個人総合でルバと山本がともに順位を1つ上げて3位と5位に浮上。また、チーム内ステージ上位3選手のタイム合算で争われるチーム総合でも2位に順位を上げている。

大会は残すところあと1ステージ。最終日にして最大の見どころとなる、イジェン山の頂上フィニッシュでフィナーレを迎える。スタート以降しばらくは平坦が続くが、残り30kmを切ってから山岳区間へ。4級山岳ジャンベサリ(Jambesari)、3級山岳カリベンド(Kalibendo)と立て続けに越え、そのままイジェン山へ。登坂距離6.3kmで、平均勾配13%の上りは、登坂に入ってすぐに急坂となる厳しいものに。中腹で最大の22%、その後も20%前後の激坂が立ちはだかる。路面が滑りやすく、一度走りのリズムを崩すと勝負に加わるのが難しくなる。まさに、この山を制した選手が大会を制すると言ってもよさそうだ。レース距離は127.2kmに設定されている。

第3ステージで完全に勢いに乗ったキナン。チームが得意とする本格山岳で、総合での逆転を期する。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第3ステージ(139.4km)結果
1 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) 3時間22分26秒
2 ニールス・ファンデルプル(オランダ、チームプロサイクリングスタッツドットコム) +54秒
3 ヤコブ・ブリュク(オランダ、グローバルサイクリングチーム)
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
5 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +56秒
7 山本元喜(KINAN Cycling Team)
8 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分18秒
63 新城雄大(KINAN Cycling Team) +7分40秒

個人総合時間賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 11時間15分39秒
2 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +2分54秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +2分58秒
4 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +3分1秒
5 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4分11秒
6 ヤコブ・ブリュク(オランダ、グローバルサイクリングチーム) +4分19秒
19 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +12分49秒
43 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +15分55秒
44 新城雄大(KINAN Cycling Team) +16分46秒

ポイント賞
1 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) 21pts
7 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 14pts
13 山本元喜(KINAN Cycling Team) 9pts
15 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts
29 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 12pts
6 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 6pts
11 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 33時間51分54秒
2 KINAN Cycling Team +12分14秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
次々とアタックを決めることができて、チームワークでエキサイティングなレースにすることができた。明日(第4ステージ)はクライマーによる勝負になる。チーム一丸となって走り切りたい。

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第2ステージはスプリントに絡んだグアルディオラが8位

キナンサイクリングが出場中のインターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ(International Tour de Banyuwangi Ijen、UCIアジアツアー2.2)は9月27日、第2ステージが行われた。今大会最長の179.3kmで争われたレースは集団スプリントによる勝負となり、サルバドール・グアルディオラが8位でフィニッシュ。個人総合上位につけるトマ・ルバ、山本元喜も集団内でフィニッシュし、順位をキープしている。

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会初日にして最初の山頂フィニッシュが設けられた前日の第1ステージはアタックの応酬となり、キナンも応戦。新城雄大が逃げに乗り、中盤からの展開の変化にはルバと山本も対応。ルバをステージ4位に送り込み、山本も6位とまとめた。続く第2ステージは、スタート以降進行方向を数度変えながら、大会拠点都市のバニュワンギを目指す。山岳ポイントが設けられておらず、今大会唯一の平坦ステージとなる。

レースは、アクチュアルスタートからアタックが頻発する状況が続く。最初の1時間は時速50kmに迫ろうかというハイペースとなり、キナン勢もライバルチームの動きを見ながらチェックに動く。60km地点を過ぎて、ようやく3人がアタックを決め、さらに3人が追走を開始。メイン集団はリーダーチームのセントジョージコンチネンタルがコントロールし、キナン勢5人もその後ろにポジションを構えた。

先頭では追走メンバーが合流し6人の逃げへと変化。メイン集団に対し最大で3分30秒差とするが、レース全体を通して主導権を握った集団が着々とタイム差を縮めていき、やがて射程圏へととらえる。フィニッシュまで残り30kmで5人を吸収し、その後残った1人もキャッチ。その間にメイン集団では数人のアタックが発生したが、ここはキナン勢も山本やルバが前方に位置して冷静に対処。レースを揺るがすような動きとはならなかった。

1つになったプロトンは、そのままバニュワンギ市内へ。市街地に設けられたフィニッシュに向けてスプリントねらいのチームがポジション争い。鋭角コーナーが連続するテクニカルなルートをクリアして、最後の直線へと向かう。

スプリント勝負となった最終局面で意地を見せたのはグアルディオラ。好ポジションから加速し、その勢いのまま上位争いへ。ステージ優勝こそならなかったが、8位でのフィニッシュ。集団内で落車が発生した関係で山本とルバが数秒遅れてフィニッシュラインを通過したが、残り3km以内でのトラブルに対する救済措置が適用され、トップと同タイム扱いとなっている。

大会は半分を終了。キナンは、前日に引き続きルバが個人総合4位、山本が同6位をキープ。本格山岳となる残り2ステージで勝負をかける。

28日に行われる第3ステージは、RTHマロン(RTH Maron)からカンタール・ブパティ・バニュワンギまでの139.4km。中盤に3級山岳スンベルブル(Sumberbuluh)、さらにフィニッシュ前約30kmのところで3級山岳パケル(Pakel)を上る。特にパケルは頂上手前で最大勾配15%。舗装も粗く、これらの区間がレース展開に変化を与えるかが、大会全体の流れにも影響しそうだ。フィニッシュは第2ステージと同じ場所に設けられる。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第2ステージ(179.3km)結果
1 ノヴァルディアント・ジャマリディン(インドネシア、PGNロードサイクリングチーム) 4時間9分17秒
2 ゲオルギオス・ボウグラス(ギリシア、ニンシャスポーツロッテリー・リボールサイクリング) +0秒
3 ベルナルド・ヴァンアールト(インドネシア、ジャヴァ・パルティザンプロサイクリング)
4 アイマン・カヒャディ(インドネシア、チームサプラサイクリング)
5 ニック・ファンデルメール(オランダ、グローバルサイクリングチーム)
6 ジュン・ハジョン(韓国、ウジョンブサイクリングチーム)
8 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
23 山本元喜(KINAN Cycling Team)
24 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
38 新城雄大(KINAN Cycling Team)
80 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分35秒

個人総合時間賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 7時間51分27秒
2 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1分37秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分46秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +3分50秒
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +4分57秒
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5分1秒
20 新城雄大(KINAN Cycling Team) +10分52秒
71 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分39秒
77 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +16分23秒

ポイント賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 20pts
9 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 7pts
16 山本元喜(KINAN Cycling Team) 5pts
24 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 12pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 6pts
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 23時間40分10秒
3 KINAN Cycling Team +13分54秒

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
路面の変化やクラッシュに注意をする必要はあったが、終始落ち着いて走ることができた。ステージ8位はスプリントでは全力を尽くした結果だ。チームの状態はよいと感じている。明日は重要なステージだし、その次の第4ステージも激しいレースになると思う。総合優勝を目指してチーム一丸となって戦いたい。

トマ・ルバがツール・ド・バニュワンギ・イジェン第1ステージで4位

インドネシア・東ジャワ州を舞台とする4日間のステージレース、インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ(International Tour de Banyuwangi Ijen、UCIアジアツアー2.2)が9月26日に開幕。153.1kmで争われる第1ステージから山頂フィニッシュが設けられ、キナンサイクリングはトマ・ルバが4位でフィニッシュ。レースを通して激しいアタックの応酬となったが、総合上位進出に向けて足場を固めている。

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第1ステージはトマ・ルバ(後方)が4位 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

9月中旬から同国への遠征を行っているキナンは、この大会へは3年連続出場。2016年の個人総合優勝を筆頭に、確実に総合上位を押さえてきている。2018年はタイトル奪還と、UCIアジアツアーポイントの獲得をテーマに臨む。メンバーはルバのほか、山本元喜、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラ、新城雄大の5選手。

この大会の最大の特徴は、UCIアジアツアー屈指の山岳ステージレースであるところ。2018年は第1ステージと、最終日の第4ステージが山頂フィニッシュに設定されている。特に第4ステージは、鋼青色の炎で知られるイジェン山を上る。平均勾配13%、部分的に20%程度の急坂区間もあり、総合成績を左右する可能性が高い。また、第2、第3ステージもアップダウンに富み、大会を通して登坂力とスピードが試される。4日間の総距離は599km。

第1ステージは、大会の拠点都市であるバニュワンギを出発し、しばし南下。中盤から折り返すようにして北上すると、内陸の山岳地帯へと入っていく。最後は平均勾配6%の2級山岳ロウォ・バユの頂上にフィニッシュする。

レースは、アクチュアルスタートからアタックが散発。キナン勢もメイン集団前方に位置し、激しい出入りに対応する。そして、30km地点を目前としたタイミングで変化が生まれる。8人が集団から抜け出すと、ここにキナン勢からは新城が加わる。有力チームがいずれも選手を送り込んだ形となった強力な逃げグループは、スタートから60kmを過ぎるころにはメイン集団に対して5分以上のリードを得る。

一度は先頭の8人を見送ったメイン集団だったが、60km地点を過ぎたポイントに設けられたフィードゾーンをきっかけに数人がアタック。これにキナンからはルバがチェックに動く。さらに山本も続き、複数の追走グループが形成。ときを同じくして先頭でも2選手が飛び出し、新城は第2グループに位置して前を追うこととなる。

快調に飛ばす先頭の2人に対し、追走はめまぐるしく選手が入れ替わり、アタックと吸収とを繰り返す。キナン勢は新城らのグループにルバが合流。ともにローテーションに入り、ペースアップを試みながら進んでいく。さらにその後ろでは山本らのグループも追い上げ、ロウォ・バユの上りを前に新城とルバに合流した。

先頭とのタイム差を縮めたい追走グループは、新城と山本が懸命にペースメイク。上りに入って絞り込みが始まると、総合争いのライバルと見られる選手の動きをルバがチェックする。

結果的に、中盤から飛び出した選手がともに逃げていた選手を振り切って、独走勝利。単独追走した選手をはさんで、ルバたちのグループはステージ3位争いへ。ライバルの先着こそ許したものの、トップとは3分38秒差の4位でフィニッシュ。今後の厳しい山岳ステージで勝負することとなる選手をマークしながら、ステージを終えている。

アシストとしても貢献した山本も終盤まで追い込み、ステージ6位を確保。逃げでレースを構築した新城のほか、グアルディオラ、ガルシアもこのステージを走り切っている。

個人総合は、おおむねフィニッシュ順位が反映され、ルバが4位、山本が6位に位置。次のステージ以降は、チームとしてこの2人のポジションアップを意識していくこととなる。

27日に行われる第2ステージは、スタシウン・カリバル(Stasiun Kalibaru)からカンタール・ブパティ・バニュワンギまでの179.3km。今大会の最長ステージとなる。スタートから中盤までは長い下り基調となり、そこから山岳にカテゴライズされない登坂が約20km続く。終盤は細かなアップダウンを経て、バニュワンギ市街地でフィニッシュを迎える。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第1ステージ(153.1km)結果
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 3時間42分22秒
2 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1分35秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分38秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +4分45秒
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4分49秒
21 新城雄大(KINAN Cycling Team) +10分40秒
75 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分23秒
77 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分36秒

個人総合時間賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 3時間42分10秒
2 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1分37秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分46秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +3分50秒
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +4分57秒
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5分1秒
21 新城雄大(KINAN Cycling Team) +10分52秒
75 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分39秒
77 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分48秒

ポイント賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 19pts
5 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 7pts
7 山本元喜(KINAN Cycling Team) 5pts

山岳賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 12pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 6pts
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 11時間12分19秒
3 KINAN Cycling Team +13分54秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
(前戦の)ツール・ド・シアクで強さを見せたセントジョージコンチネンタルの選手たちが、今回もスマートな走りを見せていた。われわれは少しミスがあって、私ひとりが力のあるチームの数人に対応しないといけない時間帯もあった。この結果を受け止めて、次の戦術をみんなで話し合いたい。
まだレースは終わっていないし、総合で上位に入るという目標は続いている。第2ステージ以降もチャンスを見ながらアタックしていきたい・

新城雄大

新城雄大のコメント
序盤は大人数のアタックをチェックすることを心がけて走った。逃げが決まったのは、今後ライバルになるであろうチームの動きに合わせたことによるもの。中盤で2選手が飛び出したときは、他の選手をマークしていたときで、逆サイドから行かれてしまった形だった。
トマが後ろから合流して以降もアタックが多くて、飛び出そうとする選手に対応していたが、結果的にセントジョージコンチネンタルの選手を追いきれなかった。
今日は自分の読みの甘さもあって、逃げを許すことになってしまった。第2ステージも逃げをねらいながら、チームの総合成績につながる走りをしたい。