中西健児が100km逃げで存在をアピール…ツール・ド・コリア第4ステージ

キナンサイクリングが出場しているツール・ド・コリアは6月2日、第4ステージが旌善から忠州までの137.0kmで争われ、中西健児が100kmにわたって逃げ続け存在感をアピール。ジャイ・クロフォードはメイン集団でフィニッシュして総合順位を20位とした。キナンは翌日にソウルで開かれる最終第5ステージで、ステージ・総合でのUCIポイント獲得を目指す。

ツール・ド・コリア第4ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Naoi HIRASAWA

韓国の東部に位置する高原地帯、旌善から南西に進路を取り、内陸部の都市・忠州へ向かうステージ。周回コースを使用する最終ステージ(65.0km)を除けば、今大会で最も短いラインレースとなった。山間部を進むコースだが、長短のアップダウンが絶え間なく続いた第2、3ステージに比べると平坦区間の多いプロフィールだ。

レース開始直後はなかなか逃げが決まらない展開だったが、28.6km地点のスプリントポイントを通過した直後にアタックがあり、中西がこれに反応。前日のチームミーティングで、チャンスがあれば逃げにトライしたいと話していた中西が、ねらい通りの動きを見せた。

このアタックで抜け出した6人が徐々にリードを広げ、さらにブリッジをかけた選手が合流。総合リーダーのセルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア)を擁するユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチームがメイン集団のコントロールを始め、7人の逃げ集団が容認された。中西は終盤に向けて脚を貯め、クロフォードと雨乞竜己はメイン集団内でレースを展開。前日はグルぺットで上りを越えた雨乞も、この日はメイン集団内の前方をキープし上りをこなしていった。

順調に逃げ続けた中西らの集団は、残り37km地点から始まるこのステージ唯一のカテゴリー山岳に、約3分半のリードをもって突入。上りに入ると同時に遅れる選手もいたが、中西は登坂力を活かし先頭集団内で頂上を目指した。先頭をキープしたい中西だったが、KOMを前に引き離され4位で頂上を通過。下りで前後の選手と合流し、追走を試みた。単独先頭に立ったのはジョセフ・コッパー(ニュージーランド、ベネロング スイスウェルネス サイクリングチーム)。4人で追走する中西らを寄せ付けず、メイン集団との差を3分以上キープしながら独走を続けた。

コッパーは追走集団もメイン集団も寄せ付けず、逃げ切りをほぼ確定的に。逆に追走にはメイン集団が迫っていた。表彰台をねらっていた中西だったが、残り約1.5kmで集団に吸収され逃げ切りならず。コッパーは独走勝利、メイン集団は2位争いとなった。

クロフォードはトップから2分30秒差、2位争いのメイン集団内でフィニッシュ。総合順位を順位を1つ上げて20位とした。中西は集団に捕まってからはゆっくりとフィニッシュ地点に戻り、4分38秒遅れの82位に。沿道の観客にボトルをプレゼントするファンサービスで歓声を浴びながら、逃げ切り目前に迫った価値あるレースを終えた。雨乞は残り15kmほどの最後の上りで遅れてしまったが、8分55秒遅れの83位でフィニッシュ。上りに耐え、スプリンター向けの最終ステージへ駒を進めた。

翌日はオリンピックパークをスタート・フィニッシュ地点にソウル市内を駆ける最終ステージ。ほぼ平坦のレイアウトで、最後はオリンピックパーク外周約5kmの周回コースを4周してフィニッシュする。キナンはUCIポイント圏内のジャイの総合成績、スプリンターの雨乞の上位進出を目指してコリアでの最終日に挑む。(Text:平澤尚威)

ツール・ド・コリア第4ステージ結果(137.0km)
1 ジョセフ・クーパー(ニュージーランド、ベネロング スイスウェルネス サイクリングチーム) 3時間12分36秒
2 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) +2分30秒
3 パク・ソンベク(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) +2分30秒
4 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +2分30秒
5 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +2分30秒
6 キム・ジョソク(韓国、ガーピョン サイクリングチーム) +2分30秒
31 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +2分30秒
82 中西健児(KINAN Cycling Team) +4分38秒
83 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +8分55秒

個人総合時間
1 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 17時間38分32秒
2 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +28秒
3 マッテオ・ブザート(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) +37秒
4 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌ サイクリングチーム) +43秒
5 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分42秒
6 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分50秒
20 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +2分0秒
47 中西健児(KINAN Cycling Team) +19分54秒
88 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +1時間2分52秒

ポイント賞
1 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 46pts
28 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 クォン・スンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) 20pts
20 中西健児(KINAN Cycling Team) 1pts

チーム総合
1 ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム 52時間59分50秒
14 KINAN Cycling Team +1時間20分32秒

中西健児

中西健児のコメント
逃げが決まった時は、スプリントポイントを越えたあたりでペースが緩んで、何人か逃げているのが見えたのでブリッジをかけた。タイム差が開いてからは、終盤に勝負がかかるところで遅れないように脚を貯めることを考えていた。終盤、勝った選手とは1分差開いたけれど、4人でゴールまで行って上位3人に入れればと粘りながら走っていた。ラスト1.5kmくらいで集団につかまってしまった。UCI1クラスで逃げに入れたことはこれまでなかったので、それはよかったのかなと思う。けっこう大きなチャンスだったと思うが、どうやったら逃げられるかが今日わかったので、次のチャンスを掴めるようにやっていきたい。

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
最終ステージに3人残ったし狙うしかない。また中西選手の逃げが見られると思います(笑)。昨年の最終ステージを走った印象は“クレイジー”。みんなが狙っていると思うが、去年走った経験やそこからの1年で培ったものをぶつけたい。

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ツール・ド・熊野は山岳決戦…グアルディオラが45秒差で最終日へ

和歌山県と三重県にまたがる熊野地域で開催されているステージレース、ツール・ド・熊野は6月2日に第2ステージが行われた。この日は三重県熊野市と御浜町を舞台に、熊野の山岳コースをめぐる大会最難関のステージ。3つの山越えで争われたレースは序盤からサバイバル化。キナンサイクリングはサルバドール・グアルディオラの5位がチーム最上位。ステージ優勝と個人総合上位浮上を懸けて攻撃を仕掛けたキナン勢だったが、あと一歩のところで勝利に届かず。残る1日で上位進出にトライすることとなった。

ツール・ド・熊野第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日、和歌山県新宮市で行われた第1ステージでは、レース途中の落車による影響でトンネル区間に立てられたフェンスが倒壊。復旧が不可能との判断から、レースは途中でキャンセルに。その後2周半のパレード走行を行って、地元の人たちや大会主催者に敬意を表した。総合成績についてはおおむね2日前のプロローグから引き継がれ、キナンでは中島康晴がトップから4秒差の個人総合25位につける。それ以外の選手も数秒差で続いており、チームが目指す個人総合優勝に向け、好ポジションにつけているといえる。なお、このトラブルにトマ・ルバが巻き込まれたが大きな影響はなく、残るステージも予定通り戦う。

着々と進行している大会は、いよいよ正念場を迎える。第2ステージは、109.3kmの本格山岳ステージ。大会の目玉でもある2級山岳「丸山千枚田」を通過後、一度下って、次に目指すは最大の難所である1級山岳・札立峠。その後の長い下りを経て、再び丸山千枚田へ。毎年2回目の丸山千枚田の上りで総合争いが最重要局面を迎えており、2018年も王座をねらう選手たちが激しく動くものと予想された。キナンとしても、クイーンステージに臨むにあたり、上位進出を果たすべくチーム力をフルに生かし戦うことを前夜のミーティングで確認した。

熊野市の中心部をパレード後に正式スタートが切られたレースは、早くからアタックの応酬。キナン勢は山本元喜がファーストアタックに反応するが、リードを奪うことはできない。その後も数人が前方をうかがっては集団が追いつく流れが繰り返されたが、5km地点を過ぎたあたりで9人の逃げグループが形成される。キナンからは中島が加わったほか、有力チームが確実に選手を送り込み、早くも各チームの思惑が見え隠れする。

この逃げグループに前回覇者のホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)が入ったこともあり、メイン集団は逃げグループをしばし射程圏内にとどめる。丸山千枚田の登坂1回目を目前に、キナン勢が集団前方を固め、ペーシングを開始した。

丸山千枚田1回目の登坂が始まると、キナン勢がコントロールする集団と逃げグループとのタイム差が縮まっていく。その勢いのまま、集団は総合優勝候補が含まれる追走グループへと変化。しかし、一気に人数が絞られたことや、このグループに選手を送り込んだチームの意図がそれぞれに異なることもあり、協調体制とはならない。後方から加わった選手も含め、追走グループは11人。この中にキナンからはルバ、マルコス・ガルシア、グアルディオラが入る。やがて迎えた札立峠の上りではトマがこのグループを牽引し、頂上を前に先頭に合流する。一方で、上りを進むにつれて登坂力の差が明白となり、新たな先頭グループが形成されることとなる。

こうした展開から数的優位な状況を作り出したいキナン勢だったが、ルバにチェーントラブルが発生。スピードを上げようとした際にチェーンロックさせてしまい、足止めを余儀なくされる。レースに復帰し前方を目指したが、追いつくことはかなわなかった。

札立峠の上りで1人が飛び出したが、頂上通過後の下りでとらえ、代わって中島がペースアップ。これをきっかけに、中島が他チームの選手たちの消耗をねらったアタックを繰り返す。キナン勢はルバの脱落こそあったものの、グアルディオラとガルシアを主要な選手たちがそろうグループに待機させ、次なる展開へと備える。

波状攻撃を展開した中島は、単独先頭で2回目の丸山千枚田へ。上りに入ると後続の動きも活性化。1人が飛び出すと、そのまま中島をパス。役割を果たした中島に代わり、グアルディオラとガルシアが勝負に出たいところだが、他選手の厳しいマークもあり、思うように追走態勢に入ることができない。頂上通過後、下りでもタイム差を縮めることができず、約20秒差のままフィニッシュまで約10kmとなった。

グアルディオラとガルシアを含む追走グループから、2名が立て続けにアタックしたが、キナン勢2人は続くことができない。主にガルシアがグループを牽引し、最終局面はグアルディオラの勝負強さに賭ける姿勢を見せたが、結果的に先行した3選手までは届かず。そのままステージ上位争いとなり、上り基調の最終局面を前方でこなしたグアルディオラは、このグループで2番手でフィニッシュ。ステージトップからは33秒差の5位。ガルシアは少し遅れてフィニッシュラインを通過し、ステージ8位で終えた。

このステージで総合成績が大幅にシャッフル。キナン勢もトップ10に2人送り込み、グアルディオラが総合タイム差45秒で5位につける。ガルシアは同じく57秒差の8位。そのほか、中島、新城、山本、ルバもフィニッシュして、6人全員で最終ステージへと駒を進めている。また、チーム総合では37秒差の2位としている。

第20回の記念大会として行われているツール・ド・熊野も、残すはあと1ステージ。クジラで有名な太地半島での最後の戦いが待ち受ける。2018年から周回後半に、道の駅「たいじ」前の国道42号線を数百メートル通過する新ルートを採用。1周10.5kmを9周回、パレード区間をのぞいて104.3kmで争われる。昨年のこのステージでは逃げ切りが決まったが、スプリント勝負になることも多く、スピードマンが主役となるチャンスのステージでもある。

キナンは個人・チームともに総合成績アップをかけた最後の1日となる。どちらも上位陣が僅差とあり、各チームが総攻撃を繰り出すことは間違いない。そうしたなかで、ホームチームとして“地の利”を生かすことができるか。この大会のために尽力してくれた多くの関係者の、日頃から応援してくれる人の思いも乗せて、チームは戦いへと挑む。

ツール・ド・熊野 第2ステージ結果(104.3km)
1 入部正太朗(シマノレーシング) 2時間45分52秒
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) +1秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +15秒
4 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +33秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +35秒
8 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +44秒
17 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分51秒
23 新城雄大(KINAN Cycling Team) +5分29秒
27 山本元喜(KINAN Cycling Team) +7分23秒
49 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +15分28秒

個人総合時間賞
1 入部正太朗(シマノレーシング) 2時間46分35秒
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) +7秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +25秒
4 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +44秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +45秒
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
8 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +57秒
16 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4分2秒
23 新城雄大(KINAN Cycling Team) +5分59秒
26 山本元喜(KINAN Cycling Team) +7分35秒
63 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +15分41秒

ポイント賞
1 入部正太朗(シマノレーシング) 25pts
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 12pts
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts

山岳賞
1 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) 24pts
2 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 12pts
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 8時間24分51秒
2 KINAN Cycling Team +37秒

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
勝つことだけに集中して全力を尽くした。ツアー・オブ・ジャパンを経て、われわれはより強くなっているから、レースレベルが高いこの大会でも勝つチャンスは十分にあると感じていた。ただ、レースは勝つこともあれば負けてしまうことだってある。いまはとにかく、次の勝利に向かって気持ちを切り替えるしかない。明日は全員の力をそろえて勝ちにいく。私たちならできるし、成功すると信じている。

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
マルコスやサルバドールとともに逃げていた9人を追う状況となり、札立峠の途中でスピードを上げようというタイミングでチェーンロックさせてしまった。約30秒足止めとなってしまい、そのまま前に追いつくことができなかった。もちろん残念ではあったが、チームに貢献できるよう気持ちを切り替えて、明日のステージを意識しながらフィニッシュを目指した。今日は戦術的なミスがあったことを認めなくてはならない。明日に向けて切り替えて、再び全員でトライしていく。サルバドールやマルコスの総合成績アップのチャンスにかけて走りたい。

中島康晴

中島康晴のコメント
(トップで登坂を開始した丸山千枚田2回目の上りについて)強い向かい風の影響もあって、もう少し逃げてチームメートにつなぎたかったが、それができなかったことが悔しい。それでも、地元のレースで多くの応援を背に受けて走ることができたのはうれしかった。今日は悔しい結果に終わったが、明日はまたチャンスがやってくると思う。最後までチーム一丸となって戦いたい。

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クロフォードが上位浮上…最難関のツール・ド・コリア第3ステージ

キナンサイクリングが参戦中のツール・ド・コリア第3ステージが6月1日に栄州から旌善までの192.4kmで行われた。厳しい山岳が続く難関ステージで、ジャイ・クロフォードがトップから1分37秒差の13位でフィニッシュ。個人総合ではUCIポイント圏内の21位に浮上した。残り2ステージでさらなる総合順位アップやステージ上位などの好成績を残せるか注目される。

ツール・ド・コリア第3ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Naoi HIRASAWA

第3ステージはアップダウンが連続する山岳ステージ。2つのカテゴリー山岳を含む上りが後半に集中し、ピュアスプリンターが最後まで残るのは難しいレイアウトだ。キナンは大会のなかで最も総合順位を左右するステージとしてこの日に臨んだ。レース序盤に4選手が逃げ集団を形成。後半が厳しくなる山岳ステージのため、メイン集団は7分以上のリードを与えるほど余裕をもってコントロール。キナン勢は3人が集団内で重要な局面に備えることとなった。

スタートから100kmを過ぎいよいよ山岳が始まると、メイン集団からブリッジをねらう選手が現れたり、集団が分裂するなどレースの動きが活性化し始めた。有力スプリンターが脱落するとスプリンターを残した他チームは引き離しにかかり、総合をねらう選手はアタックを仕掛ける。そうすることでメイン集団はペースが上がりサバイバルレースの様相を呈してきた。キナン勢は雨乞がグルぺットでフィニッシュを目指すことになり、中西も最後の難関となる2つ目のカテゴリー山岳を前にメイン集団から遅れてしまったが、クロフォードが30名ほどの先頭集団に残り総合でのジャンプアップできる可能性が高まった。

メイン集団が2つ目のカテゴリー山岳の頂上を越え、下りに入ると5選手が集団から抜け出した。クロフォードはこの動きに反応できず集団内で追走を図ったが、有力選手を含む先頭集団はリードを広げていった。結局5選手が逃げ切り、クロフォードは1分37秒差の第2グループでフィニッシュした。

クロフォードは追走集団に残ったことで総合21位に浮上。総合リーダーとは2分差がついているが、10位の選手と同タイムで、総合成績を上げるチャンスはまだ残されている。中西は17分23秒遅れの51位。雨乞は40人近くの大人数となったグルペットで完走を果たした。第1、2ステージでは落車負傷によるリタイアが出てしまったが、この日は全員が無事に翌ステージに駒を進めた。

第4ステージは旌善から南西に進路を取り忠州を目指す137km。第2、3ステージに比べるとアップダウンが少なく、スプリンターが最後まで残れればチャンスのあるコースレイアウトといえる。難関ステージで全員が完走し、総合順位を上げたキナンは、さらなる結果を残したいところだ。(Text:平澤尚威)

ツール・ド・コリア第3ステージ結果(192.4km)
1 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 5時間5分51秒
2 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +18秒
3 マッテオ・ブザート(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) +18秒
4 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌ サイクリングチーム) +20秒
5 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +1分37秒
6 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +1分37秒
13 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +1分37秒
51 中西健児(KINAN Cycling Team) +17分23秒
85 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +35分22秒

個人総合時間
1 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 14時間23分26秒
2 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +28秒
3 マッテオ・ブザート(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) +37秒
4 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌ サイクリングチーム) +43秒
5 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分42秒
6 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分50秒
21 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +2分0秒
44 中西健児(KINAN Cycling Team) +17分46秒
87 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +56分27秒

ポイント賞
1 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) 34pts
23 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 クォン・スンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) 20pts

チーム総合
1 ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム 43時間14分32秒
14 KINAN Cycling Team +1時間11分59秒

ジャイ・クロフォードのコメント
自分たちはベストを尽くしたし、健児がよく助けてくれた。今日はとても暑く水がとても重要だったが、健児がボトルを届けてくれた。上りの調子はかなりよく感じたが、2つ目のKOM後の下りで5、6選手に小さな差をつけられてしまった。自分が残されたグループにはチームUKYOやNIPPO、ドラパックなどの選手が複数いたのでそれほど問題ないと思ったけれど、先頭グループが強くて追いつくことができなかった。アルテム・オヴェチキンはスペシャルだ。明日もベストを尽くして挑戦していく。トップコンディションではなく、スピーディーで大きな山岳のないコースは自分向きではないかもしれないが、今日休んでまた明日がんばりたい。

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ツール・ド・熊野第1ステージは選手の安全確保のためレース途中でキャンセルに

第20回記念大会のツール・ド・熊野は、6月1日の第1ステージからロードレースステージがスタート。この日は和歌山県新宮市の赤木川清流コースででの113.2kmのレースが実施された。スタート直後こそ順調に進行したレースだったが、中盤を前にコースのトンネル内に設置されたフェンスが倒壊。コミッセール、オーガナイザー、チームマネージャーのミーティングにより、選手の安全確保を第一としてステージがキャンセルとなった。

ツール・ド・熊野第1ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日のプロローグでは、0.7kmの個人タイムトライアルが行われ、キナンサイクリングでは中島康晴の25位がチーム最上位。落車に見舞われた新城雄大をのぞき、5選手がトップから5秒以内につけ、今後のステージへの期待をふくらませている。先のツアー・オブ・ジャパンからの連戦となるマルコス・ガルシアやトマ・ルバ、サルバドール・グアルディオラは好調を維持。この大会に合わせてきた山本元喜も調整が順調であることを証明している。

この日は、2017年3月に新庁舎となった新宮市役所前をパレードスタート。しばらくのニュートラル走行で同市熊野川町へ。実際のレースは赤木川沿いの16.3kmをおおよそ7周回する113.2kmで争われる予定だった。コースは細かなアップダウンこそあるものの、例年このステージはスピード感に満ちたレースとなり、スプリント勝負となることも多い。キナンとしては、この先に続く本格山岳ステージを視野に入れつつも、チャンスとあれば逃げやスプリントでの上位進出をねらってスタートを迎えた。

メインスポンサー「キナン」のお膝元とあり、新宮市役所からの出発ではプロトン(集団)の最前列に位置したキナンメンバー。晴れやかに出発し、レースが行われるサーキットコースまでを移動した。そして迎えた本番、1周目から山本らが果敢に先頭をうかがう動きを見せる。しばしの出入りが続いたのち、飛び出した1人を集団は積極的には追わず、単独逃げの状態となる。

キナン勢は2周目の前半に中島が集団から抜け出し、そのままの勢いでトップをいく選手に合流。逃げが決まったかに思えたが、集団ではこの周回に設けられた山岳賞をねらってスピードアップを図る選手が次々と現れる。こうした状況もあり、中島は集団へ戻ることを選択。山岳ポイントへの上りを前に集団は1つに戻った。

ふりだしに戻った3周目、集団から新城がアタック。もう1選手が加わり、2人逃げの態勢を築いていく。ところが、集団とのタイム差を広げようかというタイミングで、コースに含まれるトンネル内で落車が発生。複数の選手が巻き込まれるとともに、左右の車線を隔てていたフェンスが倒壊。これにより、選手とコース内の安全を確保するためレースがストップとなる。

選手たちはレース再開を待ったものの、倒壊したフェンスは修復不可能と関係者が判断。コミッセール、オーガナイザー、チームマネージャーによるミーティングが行われ、このステージがキャンセルされることが決定。認められたのはレースストップ前、2周回目に設けられた山岳賞のみとなり、その他の総合成績はプロローグから引き継がれることとなった。

この決定後、開催地の人たちや観戦に訪れたファンへのサービスとして、出走ライダーによる2周半のパレード走行が行われ、ホストチームであるキナンが途中まで先導役を務めた。

思わぬハプニングに見舞われた大会だが、仕切り直しの一戦が翌2日にやってくる。三重県熊野市が舞台となる第2ステージは、109.3kmの本格山岳ステージ。大会の目玉でもある激坂「丸山千枚田」を通過後、一度下って、次に目指すは最大の山岳ポイント札立峠。長い下りを経て、2回目の丸山千枚田へ。毎年ここで総合争いが最重要局面を迎えており、2018年も王座をねらう選手たちが激しい争いを繰り広げることが見込まれている。今大会のハイライトとなることは必至。

キナンとしてもこのステージでの戦いを見すえて準備を進めてきた。今大会の頂点に立つためには絶対に落とすことのできない1日。いかにして戦うのか、そして誰で勝負にいくのか、チームにこれまでにない注目と期待が寄せられる中でのレースとなる。

ツール・ド・熊野 第1ステージ結果(113.2km)
レースキャンセル

個人総合時間賞
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒
3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
4 秋田拓摩(シマノレーシング)
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2秒
6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4秒
36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5秒
45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒
63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6秒
66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +6秒
108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +23秒

ポイント賞
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 10pts

山岳賞
1 畑中勇介(チームUKYO) 2pts

チーム総合
1 宇都宮ブリッツェン 2分34秒
11 KINAN Cycling Team +10秒

新城雄大

新城雄大のコメント
スタートから(山本)元喜さんと自分とで動くことができていて、そうした中から自分が3周目に逃げを決められた。スプリントポイントがかかっていた周回でもあったので、そこまでしっかり逃げられれば、その後は集団が容認してくれるだろうという期待をしながら攻めていた。それだけに、レースが止まってしまったことは残念。一方で、疲労が残ることはないので、“本番”である明日に向けて準備を整えていきたい。前日の落車の影響はまったくない。第2ステージは、山岳でクライマーのケアをしながら、勝負どころに向けて活性化する動きを見定めていきたい。

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クロフォードと中西が残り10kmでアタック…ツール・ド・コリア第2ステージ

キナンサイクリングが出場しているツール・ド・コリア第2ステージが5月31日、天安から栄州までの202.6kmで争われた。キナンはメイン集団に2人が残り、集団スプリントでフィニッシュ。チーム最高位はトップと同タイムでフィニッシュしたジャイ・クロフォードの28位だった。椿大志はレース中盤で落車し、鎖骨の骨折などの負傷によりリタイアとなった。

ツール・ド・コリア第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Naoi HIRASAWA

高層ビルや巨大な施設が並ぶ都市から、山あいの小さな町を目指す200km超の大会最長ステージ。26.3km地点に登坂距離4.0km、平均勾配6.1%の山岳、108.6km地点には3.3kmで平均6.9%の上りが設定された。アップダウンはあるが、終盤は平坦が多く残り1kmはやや下り基調でゴールスプリントが予想されるコース。キナンとしては第1ステージでは連携してスプリントに臨めていただけに、よりよいリザルトにつなげたいところだ。

正式スタートが切られると椿がファーストアタックに反応し積極的な姿勢を見せる。5選手が抜け出しかけたが、交通規制が不十分な区間があるとしてフィニッシュまで198km地点でレースが一時中断。交通規制できていない区間があったため。逃げはリセットされ安全に走行できる区間まで速度を落とし、ニュートラル規制のもと走行。2kmほど進んだ地点からレースが再開した。

すると、再開と同時に椿がアタックを仕掛けた。これに続いた2選手とともに集団から抜け出し、逃げを試みる。1kmほどもがいた椿らだったが、残念ながら集団に吸収。そのカウンターで飛び出した3選手が集団からリードを奪い、逃げ集団を形成した。

逃げ集団は1つ目の山岳を問題なく越え、集団も約4分ほどのリードを与えながらペースをコントロールするシンプルなレース展開となった。しかし、この山岳で椿がメイン集団から遅れ、単独で追う形に。懸命の追い上げにより平坦区間で合流し、その後は補給などでアシストもこなしたが、2つ目の山岳へ向かう途中で落車。鎖骨骨折などの負傷により救急車で運ばれてリタイアとなった。椿は治療を受けレース後にチームに合流。大会期間中にチームを離脱し帰国する予定だ。

2つ目の山岳に入ると、逃げ集団ではメカトラブルにより1人が脱落。さらにポイントになったのはKOMから下った後に再び現れる厳しい上り。ここでメイン集団からかなりの人数が振るい落された。KOMまでで脚を使っていた雨乞もここで脱落。20人ほどの集団でフィニッシュを目指した。この厳しい上りを越え、メイン集団は逃げていた2人を吸収。先頭は60人強の集団となった。そのままゆるやかなアップダウンが続く高速道路を進み、残り約11kmの地点で、クロフォードがアタックし集団から飛び出した。

前日に落車したとは思えない力強い走りで約2kmにわたって独走。さらにブリッジを試みた選手の動きに中西が反応し、クロフォードに合流を果たした。キナンとして有利に運べる状況を作れたかに思えたが、そのまま逃がすことをメイン集団が許さず、強烈な追い上げを受けて吸収されてしまった。不発に終わったが、集団内に残った2人が効果的な連携を見せたシーンだった。

そのままメイン集団から抜け出せた選手はおらず、勝負は集団スプリントに委ねられた。キナン勢は優勝争いには絡めず、クロフォードが28位、中西が39位でフィニッシュした。雨乞は20分42秒遅れの98位で次のステージに駒を進めた。

翌日の第3ステージは栄州をスタートし北に位置する旌善にフィニッシュする192.4km。2つの山岳が設定され、中盤から終盤にかけて険しい上りが連続するため、今大会で最も厳しいコースといえそうだ。3人で挑むこととなったキナンだが、どこまでメイン集団に残って戦えるか、試練の1日となる。

ツール・ド・コリア第2ステージ結果(202.6km)
1 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 4時間58分47秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +0秒
3 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム)
4 セオ・ジュンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング)
5 パク・サンフン(韓国、LXサイクリングチーム)
6 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
28 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team)
39 中西健児(KINAN Cycling Team)
98 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +20分42秒
DNF 椿大志(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 チョウ・ヒョンミン(韓国、グンサン・インサム チーム) 9時間17分39秒
2 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1秒
3 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +6秒
4 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +9秒
5 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +12秒
6 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +13秒
34 中西健児(KINAN Cycling Team) +19秒
56 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team)
94 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +21分1秒

ポイント賞
1 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 24pts

山岳賞
1 クォン・スンヨン(韓国、KSPO ビアンキ アジアプロサイクリング) 20pts

チーム総合
1 イスラエル サイクリングアカデミー 27時間53分45秒
19 KINAN Cycling Team +20分51秒

中西健児

中西健児のコメント
2つ目の山岳はゆっくり上って最後にペースが上がり、そんなに激しい感じではなかった。KOMを越えた後の山がポイントかなと思っていて、動けるように前で展開した。そこで集団の人数が減り、ウィリエールのスプリンターが遅れたので、スプリンターのいる他のチームがペースを上げ終盤はすごく速くなった。椿さんが落車、雨乞さんが遅れて最後は2人だったが、残り15km、10kmあたりのアップダウンでジャイさんと2人で動けた。脚を残していたので、うまく“当たり”の逃げを引いてタイム差をつけてゴールできればと思っていたが最後はスプリントになって安全にゴールした。ジャイさんに合流した場面は他の選手についていくだけで追いつけた。3人だとまずいので集団につかまってしまったが、いい形がつくれたと思う。5時間走ったわりには脚を残せている。そこまで追い込んだわけではないので、明日以降も展開を見ながら強いチームの動きに合わせてチャレンジしたい。

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20回記念のツール・ド・熊野開幕…キナンが総合Vに向けてスタート

キナンサイクリングの本拠・熊野地域を舞台に開催されるUCI公認のステージレース、ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)が5月31日に開幕。ホストチームとしてシーズン最大目標の戦いをスタートさせた。大会初日はプロローグとして0.7km個人タイムトライアルを実施。チーム最上位は中島康晴の25位。悲願の個人総合優勝に向けて、6人の選手たちが一歩を踏み出した。

ツール・ド・熊野のプロローグを激走 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ツール・ド・熊野は2004年にユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる熊野地域を舞台に、プロローグを含む全4ステージで開催される。プロローグの個人タイムトライアル以降は、3つのロードレースステージを設定。UCI(国際自転車競技連合)公認の国内ツールの1つとして年々注目度が高まっていて、2018年は第20回の記念大会となった。

この節目の大会で、キナンは個人総合優勝者の輩出を至上命題として戦う。2017年はマルコス・ガルシアが個人総合3位、チーム総合1位、トマ・ルバが第2ステージ優勝と好成績を修めたが、2018年はそれ以上の結果を目標に、長きにわたって準備を進めてきた。なによりメインスポンサー「キナン」のお膝元でのレース。主催は同社内に設けられるNPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」。そしてキナン社が大会のオフィシャルスポンサーを務める。

多くの関係者の期待と夢を乗せたチームは、この大会に向けてガルシアとルバのほか、山本元喜、サルバドール・グアルディオラ、中島康晴、新城雄大の6人を選出。先のツアー・オブ・ジャパンで個人総合優勝を果たしたガルシアは2冠に向けた戦いに。山本以外はツアー・オブ・ジャパンに続くビッグレースへのメンバー入りとなっている。

オープニングのプロローグは、新宮市内の市田川沿いをおおむね「コ」の字に走るレイアウト。スタートからハイスピードで攻め、ほぼ中間地点に位置する2つの90度コーナーをいかにスムーズにクリアするかが勝負のポイント。例年、優勝争いは50秒前後で決まっている。キナン勢は、中島、ルバ、ガルシア、グアルディオラ、山本、新城の順で出走。チーム最上位は中島の25位。雨脚がたびたび変化する中、ステージ優勝タイムから大きく遅れることなく走り切った。なお、チーム最終走者の新城は濡れた路面でスリップし落車したが、大事には至らず翌日以降も予定通り出走する。

緒戦を終えた選手たちは夜のオープニングセレモニーに出席。チームからは、全選手を代表して新城が選手宣誓を務めている。

6月1日に行われる第1ステージは2017年3月に新庁舎となった新宮市役所前をパレードスタートしたのち、同市熊野川町の赤城川沿いの16.3kmをおおよそ7周回する113.2kmで争われる。細かなアップダウンこそあるものの、スピード感に満ちたレースになることが予想される。キナンとしては、この先に続く本格山岳ステージを視野に入れつつも、チャンスとあればこのステージでも果敢にトライをしていくことになる。

ツール・ド・熊野 プロローグ結果(0.7km個人タイムトライアル)
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒78
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒09
3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム) +1秒18
4 秋田拓摩(シマノレーシング) +1秒18
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1秒38
6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング) +1秒42
25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3秒84
36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4秒40
45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +4秒69
63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒77
66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +5秒84
108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +22秒66

個人総合時間賞
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒
3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
4 秋田拓摩(シマノレーシング)
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2秒
6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4秒
36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5秒
45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒
63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6秒
66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +6秒
108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +23秒

ポイント賞
阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 10pts

チーム総合
1 宇都宮ブリッツェン 2分34秒
11 KINAN Cycling Team +10秒

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