四万十川の沈下橋だって走る…四国一周1000kmチャレンジ

四国一周1000km。走り慣れたサイクリストでも1週間かけないと走破できない距離だが、これを7回に分けて実施する自転車ツアーがある。スポット参加も可なので、今回は第5回の高知・四万十川沿い、100km超のコースに挑戦。愛媛県松山市の伊予鉄トラベルが企画する「チャレンジ! 四国一周サイクリングバスツアー」に参加した。

増水すると水面下になる沈下橋。通行するときは落ちないように

チャレンジ1000kmプロジェクトは愛媛県が先導役

チャレンジ1000kmプロジェクト』と題して、自転車で四国一周に挑戦する企画がある。参加料8000円で申し込むと、オリジナルジャージとスタンプラリーシートなどが送られてくる。参加者それぞれがやりくりできる日程のなかで、3年以内に四国一周を達成すると完走証とメダルがもらえるというものだ。今回はバスツアーにすることで遠隔地区間の挑戦を容易にしたもの。

松山空港の到着ゲートからロビーに出るとまずあるのがこれ

海外からも走りに来るほどの人気サイクリングコース「しまなみ海道」を持つ愛媛県は自転車を使った観光に積極的だ。同県は四国域内サイクリング推進において他3県をリードしつつ「四国一周サイクリング」を県の事業として推進している。その事業を鉄道・バス会社の伊予鉄グループが県から受託。「四国一周サイクリングバスツアー」を伊予鉄グループで企画実施している。

まずはツアーの発着点となる松山市の伊予鉄バス営業所へ。この日参加したサイクリスト19人はクルマに自転車を積載するなどで現地集合。バスのトランクルームに自転車を収納し、3時間ほどかけてコース出発地の高知県須崎市へ。ここからスタートしたのだ。

ツアーの発着となる伊予鉄バスの車庫に集合
バスのトランクルームにスポーツバイクを収納する

四国一周1000kmの推奨ルートはほぼ海岸線を走るが、この区間だけ内陸に入る。四万十川のほぼ源流から絶景の中を走るためだ。序盤の20kmほどは上り。とはいっても標高250mほどの峠である。序盤なのでスタミナもあり、無難にクリアでき、ここから交通量の少ないルートを下り基調で約80km走る。トンネルは多いが、序盤は平行して無料高速道路が走るので、交通量は少ない。しかもおよそ20kmごとに道の駅があって、休憩ポイントとなる。

四万十川沿いの快適ルートをのんびりと走る

バスで一緒になった参加者は、いつの間にか同じ実力レベルの人たちがグループになり、集団となってゴールを目指す。四万十川の象徴である沈下橋で写真を撮り合い、そして100km超のコースを全員が無事完走。ゴールに待機していたバスに乗り込み、みんなが幸せな気分で帰路に着く。

四国一周コースのサインが路面にあり、次の道の駅までの距離も表示される

普段は1人で走っていて、なかなか集団で走ることのない人にこそうってつけのツアーだ。その日限りの仲間ではあるが、先頭を引っ張ってくれる人がいたり、途中でそれを交代する人がいたりで、ツール・ド・フランスを頂点としたプロレースと同じような集団走行の醍醐味も味わえる。

「2020年はさらに魅力のあるツアーにしようとアイデアを練っています」と伊予鉄バスの竹中由紀夫専務。

路面もきれいで景色もきれい!

●チャレンジ! 四国一周サイクリングバスツアー

四国一周を9区間に分けて全7回で開催する自転車ツアー(第4回と第6回が1泊2日の行程で2区間を走行)。現在募集中は第6回の四万十市〜八幡浜市(1日目89km、2日目100km=2020年2月22〜23日、3月7〜8日の2回実施)と、第7回の八幡浜市〜松山市(65km=3月14日、同28日の2回実施)。今後も首都圏から空路で松山入りすれば参加できるサイクリングバスツアーを検討中という。
詳細は伊予鉄トラベルのホームページで。

チャレンジ1000kmプロジェクト(愛媛県自転車新文化推進協会)

画像をクリックするとチャレンジ1000kmプロジェクトの公式サイトに飛びます

四万十川サイクリングの実測データ

ガーミンのGPSデバイスで実測したデータです。connect.garmin.comに公開していますのでだれでもデータ取得でき、デバイスに転送すればナビ機能が使えます。
●ナビ機能の使い方コラム

クリックするとGPSで取得したデータページに飛びます

●全国サイクリングコース(まとめページ)

蕎麦ライド…茨城のサイクリングルートは霞ヶ浦だけじゃない

サイクリング途中にお昼ご飯を食べるなら、胃の負担が少なく復路もしっかりとペダルをこぐことができるから蕎麦(そば)がいい。通称蕎麦ライド。そこで今回は都内からクルマで100kmほど移動し、茨城県常陸太田市にある「そば街道」を訪ねた。適度なアップダウンのあるルートを走ってから、おいしい蕎麦や温泉を堪能。毎年11月には紅葉も楽しめる。

茨城県は意外にも蕎麦処だという

ライド途中で昼食を取るなら栄養価の高い蕎麦がいい

サイクリングをするときの補給は背中のポケットに入る程度の携行食でこと足りることが多い。よほどの山間部でなければコース途中にコンビニもあるはずで、パンやおにぎりを購入することもたやすい。ところが強度の高いコースや距離100kmを超えるロングライドになると、中間地点あたりできちんと席に座って1時間ほどの休憩をしながら栄養を補充したほうがいい。

常陸太田の主要道を外れてのどかなルートを選んで走る

そんな時、焼肉定食やどんぶりメシは胃もたれしそうで敬遠される。だからサイクリストは蕎麦。意外と栄養価が高く、消化がそれほどいいというわけではないので腹持ちがする。復路に50kmを残すときときはベストの食事だ。埼玉県東松山市にある週末ライドツアー拠点「シクロパビリオン」でも、奥武蔵の蕎麦屋を目指す定番コースがあり、レベルの高い参加者ばかりが集まっているという。

常陸秋そば

今回の目的地は茨城県北。茨城県に蕎麦のイメージを持つ人は少ないと思うが、全国生産量の半分を占める北海道に続き、茨城は長野や栃木と常に2位を争っている。「常陸秋そば」というブランド銘柄で、十割蕎麦や二八蕎麦で食べると独特の香りとのどごしが格別だという。しかも11月は新蕎麦の時期。紅葉狩りも合わせて、ここにサイクリングに行くしかない。(取材日は2019年11月13日)

竜神峡にかかる大吊り橋ではバンジージャンプもできるという

茨城県北エリアの中でも常陸太田市はサイクルツーリズムの推進に意欲的だという。常磐自動車道を降りた際の玄関口となる「道の駅ひたちおおた」には、自転車ラックやサイクリストにうれしいカフェテリアを整備した。県の南部にある霞ヶ浦湖岸道路や廃線跡にできた「りんりんロード」は定番サイクリングコースとなったが、北部にも目を向けてほしいという施策を打ち出している。霞ヶ浦エリアよりも適度なアップダウンがあり、竜神峡などの観光スポットもある。県南部は初級者や海外サイクリスト向きだが、北部は走り屋にお勧めだと感じた。

道の駅ひたちおおたは朝から地元の人たちが野菜を買いに来る
道の駅ひたちおおたにはイートインスペースがあってサイクリストも利用しやすい

県南部より起伏があって練習にいい

実際に走ってみると、コースそのものに全国サイクリストを引き寄せる特別なものがあるわけではない。幹線は意外と交通量がある。それでも太平洋岸に近いことから栃木や群馬の山間部より冷え込みが少ないようで、冬場にトレーニングするならここもありだ。

路地の奥にある古民家風の「そば処かねさん」

実走日は水曜だったが、蕎麦店に意外と水曜定休が多く、ちょっと焦った。人気店の中には月〜木曜定休なんてところも。それでも「常陸秋そば店」と検索すれば、常陸太田市観光物産協会の店舗リストが表示され、スマホの飲食店サイトを頼りに評価を特定することができる。今回は水曜営業店の中から、路地の奥にある古民家風の「そば処かねさん」ののれんをくぐってお目当ての蕎麦をいただいた。サイクリング途中で食べるランチとしては最高の味わい。値段はざる蕎麦なら1000円以下だ。

そば処かねさんの天ぷら蕎麦。1800円。ボリューミーなので800円のざる蕎麦と天ぷら単品注文がいいかも

エリア最大の観光スポットである竜神峡にかかる大吊橋までは短い激坂を上ってすぐ。平日にもかかわらず地元サイクリストが汗を流していた。吊橋から見下ろせるダム湖周辺の歩行者・自転車道は台風被災により通行止め。この周辺の無料駐車場は紅葉時期になると混雑するので、道の駅ひたちおおたなどを発着点とするといい。

横川温泉の巴屋旅館も日帰り入浴ができる
横川温泉の中野屋旅館で入浴。日帰り利用で500円

竜神峡から東に向かい小さな峠を越えた先には道の駅さとみがあるが、駐車スペースが少なくここにクルマをデポして走りに行くのは不向き。近くには日帰り入浴ができる横川温泉があるので、汗を流して帰路につきたい。また1泊サイクリングなら里美地区にあるプラトーさとみがいい。

常陸太田市の里美地区にあるプラトーさとみ。プラトーはフランス語で高原という意味

サイクリング途中に立ち寄ったスポット
●常陸秋そば店
●道の駅ひたちおおた
●竜神峡
●横川温泉中野屋旅館
●プラトーさとみ

全国オススメのサイクリングコース

●しまなみ海道 ●大弛峠 ●伊豆大島 ●2020東京五輪ロード ●上野村 ●霞ヶ浦 ●関ケ原 ●西美濃 ●水郷佐原 ●碓氷峠 ●常陸太田
画像をクリックすると「サイクリングコース」まとめページに飛びます。

岐阜県・西美濃はまだだれも知らないビチパラダイス

自然に恵まれた岐阜県の西美濃エリアは、走りやすい道路があって、初級者から上級者まで楽しめる次世代サイクリング聖地だ。サイクルトレインや道の駅、沿道店舗の工具類貸し出しなど、「ビチ」いわゆる自転車を応援する環境作りも積極的。ロードバイク女子の成田美織さんがのびのびとした景色を楽しみながらサイクリングをした。

大野町の野古墳群を走る

6市町がおすすめコース設定…備品環境も充実

揖斐郡の揖斐川町・大野町・池田町、本巣市、神戸町(ごうどちょう)、大垣市からなる西美濃夢源回廊協議会が推進するのが「西美濃サイクルツーリズム」。安心してサイクリングを楽しめる環境を整備しようというものだ。公式ガイドブックやホームページが作成され、見どころや休憩地点、自転車整備備品があるコンビニなどの商店を網羅したルート地図を収録している。今回はその中から、大垣駅を発着とした「池田山いび茶ルート」を選択。距離62.8km、所要4時間ほどの中級者向けだ。

ロードバイク女子の成田さんは、ミスツーリズム日本代表時代に環境問題を勉強。旅行手段として自転車を取り入れ、知らない地方のいいところを巡ってみたいという意欲を持ったという。すぐにロードバイクを購入し、未経験の輪行や整備にとまどいながらも全国を訪れている。

大垣城へはロードバイクなら大垣駅から数分だ
大垣駅から広神戸駅まで養老鉄道を利用。指定列車なら無料で自転車を持ち込むことができる

「岐阜県は初めてなのでドキドキ!」という成田さんは、まず観光スポットとして外せない大垣城を朝イチ訪問。そして養老鉄道のサイクルトレインを利用して、次の目的地である神戸町へと移動した。このルートはそんなこともできるのがいい。また揖斐駅と池野駅、道の駅「池田温泉」には電動アシスト付きレンタサイクルもあって、一般車1日900円、スポーツタイプ同1000円で借りることもできる。

成田さんは広神戸駅までローカル電車の旅を楽しみ、ここからサイクリングを始めた。バラの産地でもある神戸町では、町の象徴でもある日吉神社を参拝。いきなり国の重要文化財に指定されている日吉神社三重塔を目撃。クルマを使ったドライブなら確実に通り過ぎてしまうだろうが、こうした寄り道もサイクリングの魅力。「だから自転車っていいですよね」と成田さん。

自転車を持ち込んでいい電車にはこのマークが掲示される
3両編成なら真ん中、2両なら後ろが自転車持ち込み可の車両だ
国重要文化財の日吉神社三重塔をパシャリ!
日吉神社には7の神様がまつられていて、それそぞれご利益も異なるという

コースは中盤に2つの上り坂が待ち受ける。そのアプローチに「パレットピアおおの」、下りきったところに「池田温泉」という2つの道の駅があり、ここにも自転車ラックが置かれるなどサイクリストフレンドリーな雰囲気。フードコートで地元の味覚をチェックするのにうってつけのポイントだ。

推奨コースからちょっと足を伸ばせば、「岐阜のマチュピチュ」と言われる天空の里上ヶ流茶畑も訪れることができる。インスタ映えする撮影スポットまでは細い未舗装路となるので、自転車を置いて徒歩で向かうことになる。

道の駅「パレットピアおおの」。バイクラックや自転車整備キットがある
道の駅「パレットピアおおの」のベーカリーカフェ&デリ。サイクリストにはちょうどいい
揖斐川の支流、根尾川沿いの土手を走る
かつての名鉄谷汲線の終着駅にはレトロな車両が保存されている

神戸町、大野町を駆け抜け、揖斐川町から池田町に広がる茶畑をながめながら池田町ふれあい街道を走る。ここからの景色はそう快だ。車種としては成田さんが持ち込んだようなロードバイクがベスト。サイクルトレインをうまく使えばクロスバイクや電動アシスト自転車でも楽しめる。

コース途中には自転車ラック、フロアポンプ、修理工具を備えたエイドステーションがあり、今回のコースには20カ所以上にも及ぶ。万一のトラブル時には役立つはずで、サイクリング女子でも安心だ。

緑の茶畑が美しい時期もあれば、富有柿の色彩に目を奪われるときもある。
「秋にはここでサイクリングイベントも開催されるので、また訪れてみたいです」と、成田さんもすっかりその魅力にハマった。

谷汲門前町から谷汲山華厳寺へ
谷汲山華厳寺は西国三十三所巡礼の最後の霊場だ
伊吹薬草を使った料理や飲み物が味わえるkitchen marcoでランチ
【西美濃サイクルツーリズム】

ねお・いびがわチャレンジルート
バラと柿と中山道ルート
池田山いび茶ルート!今回の実走コース!
お花見ルート
水の都おおがきルート
「岐阜のマチュピチュ」と言われる天空の里上ヶ流茶畑
池田町ふれあい街道では茶畑の間を走る。「とっても気持ちいい!」と実走した成田さん
道の駅「池田温泉」には自転車が空を飛ぶかのように設置できるラックがある
道の駅「池田温泉」では電動アシスト自転車も借りることができる
レンタサイクル利用料は9時から17時まで1日借りて普通車900円、スポーツタイプ1000円。他ステーションでの乗り捨て可
●成田美織の関ケ原サイクリング編

成田美織のサイクリング後記

ロードバイク女子の成田美織さん

自転車そのまま乗り込みOKの養老鉄道に乗り、西美濃へ。雨上がりの澄んだ青空の下、日本遺産に認定された谷汲山華厳寺や神戸町にある日吉神社の三重塔などを巡りながら揖斐郡池田町にある池田温泉を目指して走りました。

途中美しい茶畑や古墳を眺めたり、新緑の匂いや田んぼから流れる水の音を感じ、西美濃の大自然を味わいながらサイクリングを楽しむことができました。養老鉄道では、サイクルステーションも点在しているので、現地で借りるのも良さそうです。

今まで東北ばかりに赴いていましたが、今回のサイクリングをキッカケに、岐阜県をもっと知りたくなりました。

成田美織(なりたみおり)
2017ミスアース群馬代表・全国大会4位受賞 。2017Miss Tourism queen of the year世界大会へ日本代表として出場。各国の出場者たちの投票によって決まるミスフレンドシップ賞を受賞。国内・国外の大会経験で美や健康、コミュニケーション力などを学ぶ。現在はモデル・MCとして活躍
成田美織のアメブロ
成田美織のInstagram
成田美織のライドハンターズ上野村

歴女ポタなら関ケ原…目的や体力に応じて推奨5ルート

関ケ原の戦いは西暦1600年。社会科のテストに必ず出題されるが、実際に現地を訪れたことある? 点在する史跡をめぐるのは自転車がまさにピッタリで、地元岐阜県はおすすめのサイクリングコースを設定。随所に史跡案内看板を設置して国内外からサイクリストなどの誘致を図る。ロードバイク女子の成田美織さんが歴女ポタ、いわゆる散歩感覚で自転車を走らせるポタリングを楽しんだ。

電車アクセスの場合はJR東海道本線を利用。関ケ原駅前観光交流館(いざ!関ケ原)がベースとなる

点在する史跡を訪ねるなら自転車がベスト

天下分け目の関ケ原がサイクリングコースとして注目されている。岐阜県が史跡を網羅したコースを設定し、現地には、案内板やガイド地図、アプリなどサイクリングを楽しむコンテンツがそろっている。電動アシスト自転車などのレンタルもあって、新たなサイクリング訪問地として魅力をアップさせている。

最近ロードバイクにハマっているという成田さんはマイバイクを現地に持参。関ケ原町歴史民俗資料館でガイドマップを手に入れ、サイクリングに出発した。レイアウトされたおすすめコースは自転車のスピードにうってつけの道幅で、多少のアップダウンがあるものの、普段あまり自転車に乗っていない人でも楽しく走れるルート。27の史跡などをめぐるのでスタンプラリーのような楽しさもある。

関ケ原笹尾山交流館で戦国武将「島左近」の甲冑姿に変身。武将を選ぶこともでき、3時間5000円。子ども甲冑1000円、幼児甲冑500円、姫甲冑は3800円
決戦地を走る。悠久の歴史に身震いする思いさえする
関ケ原町歴史民俗資料館で史跡ガイドの古山政樹さんに歴史を教えてもらってからサイクリングへ
グループの場合は史跡ガイドをお願いすると詳しい歴史を解説しながら回ってくれる。1グループ1500円。昼食代別途
史跡解説板は東軍が赤色、西軍が青色で表示。写真は徳川家康最後陣地なので赤だ

この日の成田さんはビンディングシューズではなくスニーカー。自転車を降りて少し歩けば、古戦場を一望できる展望台などに脚を伸ばせるからだ。それでも拠点間の移動は徒歩よりも自転車がいい。クルマだと見落としてしまいそうな道標も簡単に見つけることができる。

それぞれの立ち寄りポイントはサイクリストが利用できる駐輪余地が十分にある。清潔なトイレも4カ所に新設されたという。外国人旅行者の訪問も想定し、多言語によるアプリ・ホームページ案内も充実。さらにおすすめコースはルートラボで公開されているので、手持ちのGPSデバイスに取り込めばコース案内もしてくれるので迷うことはない。

天下分け目の決戦当日は夜来の雨が上がったものの、霧が立ちこめていたというが、成田さんが実走したこの日はそれを再現するかのような雨上がりの天候。西の山麓に陣地を敷いた西軍が有利と言われた合戦は小早川秀秋らの寝返りによって敗北。現地で西軍石田三成陣跡に立ってみると、その小早川隊が不穏な動きを見せた松尾山が手に取るように望むことができる。

「事前に歴史を知っておけば興味は倍増ですね。各所に陣取った戦国武将それぞれの思いがちょっと感じられる雰囲気がありました」と成田さん。

岐阜県の関ケ原古戦場整備推進課が提案するおすすめサイクリングコースは5つ。成田さんが走ったのはこのうち最も短い距離11.5kmコースだが、絶対外せない古戦場をぐるり1周する。歴史に思いをはせながらゆっくりまわって2時間半ほど。これ以外に織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の史跡を周遊する100kmコースまで脚力に応じて選択できる。飲食店や自転車店も記載されているコースマップを入手するのがいい。

「岐阜県は初めての訪問でしたが、かつての日本の歴史にふれることができ有意義な1日でした。次はもっと郊外に出て中級や上級コースにチャレンジしてみたいです」

小早川秀秋の裏切りスナックを関ケ原笹尾山交流館で見つけた!
戦国武将のフィギュアは歴女垂涎のアイテム。コンプリートを目指せ!
西暦1600年、世界三大古戦場のひとつである関ケ原の戦いが始まった開戦地を訪ねる
西軍副大将の宇喜多秀家はイケメンだったという
大谷𠮷継陣跡は東海道本線を渡った先にある。悲運の武将でパワースポットとなっている
西軍を裏切った小早川秀秋が陣取った松尾山までは自転車を降りて40分ほどのトレイル。成田さんなら20分だ
藤堂高虎・京極高知陣跡は関ケ原中学校の敷地内にあるが、訪れることはOK
関ケ原駅のコインロッカーは武将の兵力によって利用料が異なる。徳川家康と石田三成は最高額の300円!
関ケ原駅前観光交流館(いざ!関ケ原)にはコンプリートしたくなるようなおみやげがいっぱい!

関ケ原サイクリングコースの情報をゲットする

関ケ原古戦場や西濃・岐阜地域を周遊する5つのサイクリングコースが設定された。それぞれのコースは、関ケ原の戦いにちなんだ内容がテーマで、距離などの難易度を選択すればサイクリング初級者から上級者まで幅広く楽しめる。

各コースのルートは「みる!しる!かわる!関ケ原」ホームページ物語で巡る古戦場 で公開され、電子マップをダウンロードして利用したり、初級者向けの2コースについては、持ち運びしやすい紙のガイドマップが用意されている。

【岐阜県の関ケ原サイクリングコース】

①決戦!関ケ原コース(11.5km)!今回の実走コース!
②策謀!垂井コース(20km)
③出陣!東西進軍コース(40km)
④チェスト!島津退き口コース(63km)
⑤天下一!美濃戦国コース(100km)

【ガイドマップ配布場所】
関ケ原駅前観光交流館、関ケ原町歴史民俗資料館、関ケ原町役場、垂井町観光案内所、垂井町役場、岐阜県庁関ケ原古戦場整備推進課など

岐阜県の古田肇知事も国内外のサイクリストを大歓迎

岐阜県の古田肇知事

誰もが知る「関ケ原の戦い」。その魅力を全国にPRするため、サイクリング・ウォーキングコースの設定をはじめ、史跡や案内サインの整備、関ケ原グッズの開発などのほか、合戦を再現した野外劇や武将に着目したイベントのシリーズ展開など、古戦場の魅力創出を進めてきました。さらには、アメリカのゲティスバーグ、ベルギーのワーテルローと姉妹協定を締結し、幅広い分野での交流を進めるとともに「世界三大古戦場」として世界に発信しています。

加えて、戦いから420年目となる2020年には、新たなシンボルとなる「岐阜関ケ原古戦場記念館」がオープンします。大型スクリーンやCGを使って合戦をリアルに再現するシアターや、古戦場を一望できる展望機能を備えた施設として整備を進めているところです。

2020年1月には、岐阜県とゆかりの深い明智光秀が主人公のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送がスタートします。 光秀やその主君である斎藤道三、織田信長ゆかりの地と、「関ケ原の戦い」で活躍した武将ゆかりの地を重ね合わせると、本県は戦国時代の黎明期からクライマックスに至るまでの多くの武将の魅力を満喫できる歴史観光エリアとなります。お気に入りの武将やご当地の武将に思いを馳せながら、本県の誇る自然や食、伝統文化などをお楽しみいただきたいと思います。

●成田美織の西美濃サイクリング編

歴女美織のポタリング後記

関ケ原サイクリングでは、関ケ原町歴史民俗資料館だけでなく古戦場や陣跡など点在している史跡1つひとつに案内パネルが設置され、目的地までのルートもわかりやすく自転車で巡っていくのが楽しかったです。また最後に笹尾山から眺めた石田三成が見た景色は、それまで自転車で走ってきたルートを見下ろすことができ、達成感を得ることができました。また実際に足を運ぶと雨天ながらも教科書だけでは得られないような臨場感を感じました。

この日はあいにくのお天気でサイクリングコースの全てを周ることができなかったので、もう一度関ケ原サイクリングに行きたいです。

成田美織(なりたみおり)
2017ミスアース群馬代表・全国大会4位受賞 。2017Miss Tourism queen of the year世界大会へ日本代表として出場。各国の出場者たちの投票によって決まるミスフレンドシップ賞を受賞。国内・国外の大会経験で美や健康、コミュニケーション力などを学ぶ。現在はモデル・MCとして活躍
成田美織のアメブロ
成田美織のInstagram
成田美織のライドハンターズ上野村

しまなみ海道サイクリングバスツアー4月21日発…都心部から両夜行で定番コースに直行

観光バスのトランクルームにスポーツバイクを専用キャリアで搭載し、人気コースまで直行するサイクリングバスツアー。大好評だった「しまなみ海道ライナー」が復活し、4月19日(金)夜出発~20日(土)現地サイクリング~21日(日)午前中帰着の日程で開催される。

1月下旬に正式発表され、参加者募集を開始するというが、ツアー内容や参加料金はほぼ前回同様と想定される。

アジア最高のサイクリングコースとして人気のしまなみ海道。都内から大型観光バスを使って格安に楽しめるサイクリングバスツアーはアクセス手段、愛車の移送、しまなみ海道帰路の移動方法、交通費や滞在費といったコストを一気に解決したオススメツアーだ。

前回は30人が参加。ほとんどがしまなみ初体験で、車内2連泊の長距離旅行もゴール後に温泉施設で汗を流して、帰路はグッスリという人が多かった。

前回は金曜夜に東京駅から新宿駅を経由して出発。およそ2時間ごとの運転手交替とSAでの休憩を取りながら、土曜日朝に広島県尾道市のサイクリング拠点、Onomichi U2に到着した。

Onomichi U2でまずはしっかり腹ごしらえ。おいしいパンが豊富にあり、たまごの調理方法はお好みのものを指定できるのが魅力だ。同施設はサイクリスト向けホテルも備えるが、夜行バスツアーなら宿泊費が不要なこともポイント。

しまなみ海道をいく。サイクリング専用道ではなく、歩行者も利用するので、出会ったときは減速するなどゆとりを持って

サイクリング時は尾道観光協会の現地スタッフがアシスト。手作りマップが配布され、協会スタッフがサポートカーを運転して万全を期した。補給地点のはっさく屋で「はっさく大福」、ドルチェ本店でジェラートが提供されたが、今回も同様のサービスを予定しているという。

前回はすべての参加者がしまなみ海道約90kmを走って今治市にゴール。往復1600kmのツアーを安全に旅した観光バス乗務員は両夜行のため運転士2名体制のうえ、現地待機中にホテルで仮眠を取った。 ホテル宿泊のない両夜行の弾丸ツアーとなるため、ひとりで2席を占有できるゆったりシート(4万9800円)が人気。友だちなど2人組みなら隣同士のシートそれぞれ3万9800円で参加できた。

●最新情報はfacebook自転車ツアー情報「ぺだりえ」

●国際興業のサイクリングバスツアー

伊豆半島を走る…初・中・上級別のおすすめサイクリングコース

サイクリングパラダイス伊豆半島。海と山がこれほど近いところもなく、温泉や特産物も思う存分楽しめる。ただし半島を一周すると200km超なので、東西南北どこかのエリアに定めて走るのがいい。今回は「伊豆のへそ」と呼ばれるど真ん中。結構見落とされがちな穴場である修善寺や狩野川(かのがわ)をのんびり走ってみた。

狩野川沿いの道で1人ひとりファンと併走しながら会話を楽しむ新城幸也(前から4番目)

●初級者コース
狩野川沿いサイクリングコース
距離:往復16km
獲得標高:26m
所要時間:1時間(休憩除く)
発着地:道の駅「伊豆のへそ」 メリダXベース
ルート:伊豆のへそ〜狩野川〜道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」〜狩野川〜伊豆のへそ

ツール・ド・フランス7回完走の実績を持つ新城幸也(バーレーン・メリダ)がつかの間の日本滞在期間を使って、12月2日にファンとサイクリングするという企画があった。チームに自転車を提供するメリダが主催。熱狂的ファン8人の限定ライドで、メリダ製の最新モデルを貸してもらい、憧れのプロ選手と狩野川沿いをおしゃべりしながらのんびり走るというものだ。

発着は修善寺道路・大仁(おおひと)中央IC近くの道の駅「伊豆のへそ」。施設内に「メリダXベース」という巨大なサイクリング拠点があり、eバイクを含む最新モデルがレンタルでき、割引料金で温泉に入ることもできる。参加したファンは狩野川沿いの平たんなサイクリングコースを8kmほど北上し、伊豆縦貫自動車道近くの道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」まで走った。ここにもメリダが経営するサイクリングカフェがあって、店内でドリンクを飲みながら日本のスーパースターを囲んで話を聞く。

道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」で

狩野川は伊豆半島中央部の山々から駿河湾のある北に向かって流れる。川沿いのサイクリングコースは初級者向きで、安全なので家族連れやデートに最適。都内からのアクセスもよく、自動車道を降りたところにサイクリング拠点があることからとても便利。しかも飲食店や日帰り温泉も併設されているので至れり尽くせりだ。

●中級者コース
修善寺奥の院
距離:往復20km
獲得標高:283m
所要時間:1時間20分
発着地:修善寺・大仁
ルート:大仁〜狩野川〜下田街道〜修禅寺(温泉街)〜北又川〜奥の院〜北又川〜修禅寺(温泉街)〜下田街道〜狩野川〜大仁

中級コースは修善寺の温泉街から北又川という支流をさかのぼって奥の院を目指すルートがいい。弘法大師が見つけたという独鈷(とっこ)の湯が観光スポットの中心エリア。ここから西に進むルートは最初こそ勾配がキツいものの、すぐに美しい田園風景を楽しみながらのゆるやかな上りになる。奥の院まで10kmほど。さらに道は続くが、その先は急になり、舗装状態も悪くなるので無理しないほうがいい。帰路の下り坂もスピードはそれほど出ないので、ダウンヒルが苦手な人でも安心だ。

自転車愛好家にとって「修善寺」という地名は親近感がある。東京五輪MTB競技会場の日本サイクルスポーツセンターがあり、隣接する伊豆ベロドロームでは同トラック競技が開催される。ただし本来の「修善寺」である温泉街まで足を伸ばすサイクリストはそれほど多くはない。近いけれど意外と知らない存在なのだ。

道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」のサイクリングカフェで

●上級者コース
だるま山
距離:往復40km
獲得標高:800m
所要時間:3時間30分
発着地:道の駅「伊豆のへそ」 メリダXベース
ルート:伊豆のへそ〜狩野川〜下田街道〜修善寺虹の郷〜県道18号〜だるま山〜県道18号〜修善寺虹の郷〜下田街道〜狩野川〜伊豆のへそ

上級者は修善寺温泉街から県道を西に向かってだるま山を目指す。展望台からは駿河湾の向こうに富士山が望める。さらに健脚派は西伊豆スカイラインなどを使って周回コースを取ると50kmから80kmの山岳ルートを走ることができる。自動販売機などが少ないので携行品は十分に。またこれからの時期は路面凍結しやすく、天気が崩れれば冠雪に見舞われることも。海岸沿いの西伊豆ほど季節風は強くないが、日が傾くと気温も一気に低下する。日没時間や天気予報を確認しながら実施したい。

弘法大師が見つけたという独鈷(とっこ)の湯が観光スポットの中心エリア
新城幸也と一緒に走ったファンが道の駅「伊豆のへそ」で記念撮影