ジロ・デ・イタリア開催延期…開幕地ハンガリーでもコロナ蔓延で

イタリア最大の自転車レース、ジロ・デ・イタリアの主催者RCSスポルトが5月9日から31日まで開催予定だったジロ・デ・イタリアを延期することを発表した。

2020ジロ・デ・イタリアはハンガリーのブダペストで開幕する

新型コロナウイルスの蔓延を受けて、2020年のジロ・デ・イタリアがスタートするハンガリーでも政府が非常事態を宣言した。大規模なイベント開催を禁止したため、国際的なイベントを開催することが不可能になった。

それを受けて、ジロ・デ・イタリアのハンガリーステージ組織委員会は、2020年大会のスタートを当初の予定時刻にハンガリーで開催できないと判断した。すべての関係者は、ジロ・デ・イタリアが開催時期を遅らせることによりハンガリーから出発できるように協力する決意があることに合意しているという。

こういった状況からRCSスポルトは3月13日、国際的および国家的状況に留意し、2020年のジロ・デ・イタリアの日付が新型コロナウイルスの影響で延期されることを発表することになったという。

新しい日付は、2020年3月4日のD.P.C.M.(イタリア共和国閣僚理事会会長令)が終了する4月3日までに発表される。イタリア政府や地方、イタリア自転車競技連盟や国際的なスポーツ機関の代表者と協議して決定するという。

●ジロ・デ・イタリアのホームページ

ミラノ〜サンレモなど新型肺炎懸念で開催中止を協議

イタリア北部でのコロナウイルスの流行により、イタリアのミラノ〜サンレモティレーノ〜アドリアティコが中止される可能性がある。

ミラノ〜サンレモの終盤は紺碧の地中海リビエラ海岸を走る ©LaPresse/Fabio Ferrari

「3つの春の自転車レース、ストラーデビアンケ、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモのイベントの円滑な開催を実現するために懸命に調整している」と主催するRCSスポルトが2月24日に声明を発表した。

「開催に向けてRCSスポルトは当局と絶えず連絡を取っていて、彼らと協力してスポーツイベントを実施するための最も適切なすべての措置を講じていく」とした。

ラ・プリマヴェーラ(春のクラシック)と呼ばれるミラノ〜サンレモは3月21日(土)に開催予定だ。しかし、新型肺炎によりイタリア国内で4人が死亡し、150人以上の感染が確認された後、ロンバルディア州とヴェネト州の12以上の町や村が現在検疫中だという。

ミラノ〜サンレモ開催がキャンセルされた場合、世界大戦以来の事態となる。1907年に初開催された同大会は、第一次世界大戦途中の1916年、第二次世界大戦終わりの1944年と1945年のみ中止された。

ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

大会主催者はレースを行った場合のさまざまなリスクを懸念していて、「イタリアの状況は今のところ非常に複雑だ」と開催中止の可能性を示唆し、プランBとしての延期大会も念頭に置いていないという。3月11日から17日まで開催される予定のティレーノ〜アドリアティコについても中止を検討している。

イタリア政府がミラノ空港を閉鎖することになれば主催者はイベントを中止する義務があるという。ただし、5月9日から31日まで行われる予定のジロ・デ・イタリアは、流行のさらなる悪化が懸念される現状でも、中止を決定するには時期尚早であるとした。

●ミラノ〜サンレモのホームページ

ジロ・デ・イタリア第1ステージで鎖橋を渡るコース実現

ハンガリーのブダペストで開幕する2020ジロ・デ・イタリアは、同市と合意して第1ステージの個人タイムトライアルで、この首都のシンボルの一つである最も古い橋であるセーチェーニ鎖橋を通るコースに修正された。

セーチェーニ鎖橋をくぐる軽飛行機 © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

鎖橋は当初、計画されていた改装工事のためにコースから除外されていた。その工事が延期されることになり、橋を渡る個人タイムトライアルのコースに変更することできたという。

コースはすでに発表されていた英雄広場から城郭地区までは変更なし。コースは変わったものの距離8.6kmもそのまま。

2020ジロ・デ・イタリア第1ステージのコースマップ
2020ジロ・デ・イタリア第1ステージのプロフィールマップ

第103回ジロ・デ・イタリアは2020年5月9日にハンガリーのブダペストで開幕する。

●ジロ・デ・イタリアのtwitter

eバイクでジロ・デ・イタリアのコースを走るジロE

電動アシストロードバイクでジロ・デ・イタリアのコースを走るジロEの全容が発表された。大会は5月12日から31日まで。本当のジロ・デ・イタリアは5月9日にハンガリーのブダペストで開幕するが、ハンガリーで行われる3日間をのぞくイタリア国内区間で開催される。

©LaPresse/Jennifer Lorenzini

●2020ジロ・デ・イタリアのコースはこちら

ジロE

ジロEはジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトが企画して2018年に始まった。2020年で3年目の開催となる。ピナレロ社製の電動アシストロードバイクを使用してレースをする。コースはジロ・デ・イタリアの各区間を短縮したスタイルで、基本的には同じゴール地点を目指す。

元世界チャンピオン、ジャンニ・ブーニョ
2019ジロEを視察したマリオ・チポッリーニ(左)とマッシミリアーノ・レッリ ©LaPresse/Jennifer Lorenzini

全18ステージ、うちタイムトライアル2回
総距離1431km
1区間の平均距離は79.5km
獲得標高は2万3900m
1区間の平均獲得標高は1328m

冠スポンサーはイタリアの電力会社エネルで、総合成績のリーダージャージはマルアビオーラ(紫色)。オフィシャルカーはトヨタ。男性用下着のインティミッシミウオモがマルアブル(青色)のスポンサー。公式旅行会社はナビガーレ。ネームドスポーツが栄養補助食品協賛。

2020年ジロEのコース図

●ジロEのfacebook

ジロ・デ・イタリアまで100日…ステージ各地がピンク色に

2020年の第103回ジロ・デ・イタリア開幕まであと100日となった1月31日、全23日間でステージのスタートとゴールをホストする各都市が、そのランドマークとなる施設や景観をピンク色にライトアップするというイベントを展開した。

ブダペスト ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

第103回ジロ・デ・イタリアは5月9日にハンガリーの首都ブダペストで開幕する。ジロ・デ・イタリアが海外でスタートするのは14回目だが、東欧でスタートするのは史上初。大会は5月31日にミラノにゴールする。

2020ジロ・デ・イタリア日程

5月9日(土) 第1ステージ ブダペスト(ハンガリー)8.6km(個人タイムトライアル)★★

5月10日(日) 第2ステージ ブダペスト〜ジェール(ハンガリー) 195km

5月11日(月) 第3ステージ セーケシュフェヘールバール(ハンガリー)〜ナジカニジャ(ハンガリー) 204km

5月12日(火) 第4ステージ モンレアーレ〜アグリジェント 136km★★

アグリジェント ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月13日(水) 第5ステージ エンナ〜エトナ 150km★★★

5月14日(木) 第6ステージ カターニア〜ビラフランカティッレーナ 138km★

5月15日(金) 第7ステージ ミレート〜カミーリャテッロシラーノ 223km★★

5月16日(土) 第8ステージ カストロビッラーリ〜ブリンディージ 216km

5月17日(日) 第9ステージ ジョビナッツォ〜ビエステ 198km★★

ジョビナッツォ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月18日(月) 休養日

5月19日(火) 第10ステージ サンサルボ〜トルトレートリード 212km★★

トルトレート ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月20日(水) 第11ステージ ポルトサンテルピディオ〜リミーニ 181km★

5月21日(木) 第12ステージ チェゼナティーコ〜チェゼナティーコ 205km★★

チェゼナティーコ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月22日(金) 第13ステージ チェルビア〜モンセリーチェ 190km★

モンセリーチェ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月23日(土) 第14ステージ コネリャーノ〜バルドッビアデーネ 33.7km(個人タイムトライアル)★★

バルドッビアデーネ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月24日(日) 第15ステージ バセアエレアリボルト〜ピアンカバッロ 183km★★★

ピアンカバッロ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月25日(月) 休養日

5月26日(火) 第16ステージ ウディーネ〜サンダニエーレ・デル・フリウリ 228km★★

5月27日(水) 第17ステージ バッサーノデルグラッパ〜マドンナディカンピーリオ 202km★★★

5月28日(木) 第18ステージ ピンツォロ〜ラーギディカンカーノ 209km★★★

ステルビオ峠 ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月29日(金) 第19ステージ モルベーニョ〜アスティ 251km

5月30日(土) 第20ステージ アルバ〜セストリエーレ 200km★★★

セストリエーレ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

5月31日(日) 第21ステージ チェルニュスコスルナビーリオ〜ミラノ 16.5km(個人タイムトライアル)

ミラノ ©RCS Sport for concession of the Stage Cities

★は難易度

ジロ・デ・イタリアの名峰セストリエーレがスキー世界選手権に立候補

イタリアアルプスに位置するスキーリゾート、セストリエーレが2029年にアルペンスキー世界選手権の招致活動を始めた。同地は2020ジロ・デ・イタリアの最後の山岳区間となる第20ステージのゴール地点。サイクリングとスキーの大舞台として同地の魅力を打ち出していく。

アルペンスキー世界選手権のセストリエーレ招致を目指すメンバー ©Marco Alpozzi/LaPresse

アルペンスキーワールドカップ大会初日の1月18日、招致委員会が記者会見を行って表明した。

5月30日、セストリエーレは8回目となるジロ・デ・イタリアを迎える。翌日は最終日と成り、ミラノでタイムトライアルが行われるが、山岳ステージとしては最後の大舞台だ。アルペンスキー世界選手権招致委員会は世界中が注目するジロ・デ・イタリアの最後の山岳ステージをいいきっかけとして、ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトと協力しながら関係者にセストリエーレの魅力を発信していく計画だ。

2020ジロ・デ・イタリア第20ステージ。107.6km地点のアニェッロ峠でフランス入りし、イゾアール、モンジュネーブルを越えてセストリエーレへ。獲得標高は5000m

スキー産業はセストリエーレの歴史の中で間違いなく重要な部分だ。1934年に設立された自治体は、国際的なスキーリゾートになっていく。1997年にワールドカップとスキー世界選手権を開催。トリノ2006冬季オリンピックでもアルペンスキー会場となった。

セストリエーレの規模は年々拡大し、何百万人ものスキーヤーを集客するようになる。今日のセストリエーレは標高2000mの斜面のほとんどをゲレンデとして、世界で最も人気のある観光地の一つとなった。突然の地球規模の気候変動を考えると、その魅力はさらに増していくと分析する。

「8回目の訪問となるジロ・デ・イタリア。この町は多くのサイクリストにも愛されるようになった。アマチュアサイクリストのチャレンジレースであるグランフォンドもこの夏に開催する。そんな町の活気をぜひとも2029アルペンスキー世界選手権の開催につなげていきたい」とセストリエーレのジャンニ・ポンチェット市長。

国境となるアニェッロ峠。ジロ・デ・イタリアでは右手のイタリア側から左手のフランス側に走っていく
イゾアール峠。2019ツール・ド・フランス第18ステージ ©ASO Pauline BALLET

●ジロ・デ・イタリアの公式サイト