観光大国フランスがサイクルツーリズム環境整備を拡充

世界有数の観光大国フランス。国内総生産の7.5%、人口6600万人のうち200万人が観光産業に従事しているが、コロナ禍で最も深刻な影響を受けた業種でもある。フランス国家は観光業を復興させる決め手は「自転車」であるとした。

国土のいたるところに世界遺産があるフランス。最寄りの駅や宿泊施設からは、サイクリングで行こうというのが、今回の復興策の目玉だ。

アフターコロナに向けて再スタートしたフランスの観光事業者だが、フランス国家は現在の社会の諸問題を認識させる機会とも捉え、これまでにない戦略を創成している。

とりわけ持続可能性や責任といった問題に配慮することは、ますます人気の高まる観光目的地としてのフランスを、まさにこうした問題に取り組む観光地として位置づけることにつながるチャンスだとしている。

カルカッソンヌの旧市街

具体的には、環境負荷の低い交通手段を優先することを中心とする観光インフラの整備を挙げている。距離の短い国内航空路線を2022年3月までに廃止し、鉄道に切り替える。

最寄り駅から観光ポイントまでは二酸化炭素排出量がほとんどない自転車利用をうながす。そのための整備はすでに国を挙げて行ってきたが、今後はさらに加速化させるという。

長距離サイクリングルートの整備もさらに進めていく。古城が点在するフランス中部のロワール川周辺には、総延長900kmのサイクリングコースがあるが、今後はさらに延伸。

簡単にレンタルできる自転車を置き、サイクリストフレンドリーなホテルや飲食店、商業施設などがサポート。これらをアプリで連携して、海外からの旅行者が旅のツールとして自転車を気軽に利用できるようにする。

一般意見の「列車持ち込み」もすぐに採用、実現へ

フランスの観光事業者はヨーロッパ・外務省の支援を受けて、「フランスにおける責任ある観光」について、一般市民からの意見を募った。

持続可能な交通手段の開発と運用について、「普通自転車、電動自転車、カーゴバイク、荷台付き自転車などあらゆる種類の自転車を簡単に列車に持ち込めるようにする」というサンドリーヌさんからの意見を採用。早急にそれを実現するようなルール整備を行っていくという。

ツール・ド・フランスの最終日はパリ!

そして首都パリ。2026年までに自転車にやさしいまちづくりを目指し、巨額のインフラ投資を行うと発表。自転車専用レーンの追加、駐輪場の拡充などを掲げる。

アンヌ・イダルゴ市長はこれまでもパリ市内で自動車を使わない日の導入、ツール・ド・フランス主催者と協同したサイクリングシティ格付け制度などの企画をリードした。

パリ五輪は一般サイクリストが参加できる初の大会になる

第33回オリンピック競技大会はフランスのパリで2024年7月26日から8月11日まで開催される。パリで夏季五輪が開催されるのは3回目、前回から100年ぶりの大会となるが、マラソンと自転車ロードレースでは五輪史上で初めて一般参加が可能となる。

マラソン、競歩、トライアスロン、マラソンスイミング、自転車ロードレースの会場となるイエナ橋 ©Paris 2024

地域社会とのつながりを取り戻し、より多くの人たちと大会を共有するという精神のもと、マラソンと自転車ロードレースに一般参加が導入される。一般ランナーやサイクリストがメダルレースと同じ日、同じコース上でオリンピアンが激闘するコースを体験できるというもの。

その企画力と実行力。さすが自転車をこよなく愛するフランスだと脱帽するしかない。日本においても自転車を利用した新たな観光スタイルは各地の観光担当者が注目するもので、フランスのサイクルツーリズム施策は日本でも興味深くその推移が見守られそうだ。

●フランス観光開発機構のホームページ

フランス観光局がLINEアカウント…開設記念プレゼントも

フランス観光開発機構がLINEに公式アカウントを開設した。同機構はこれまで日本語で運用しているTwitter、FacebookのSNSアカウントに加え、日本国内における全世代での利用率が最も高いSNSプラットフォームであるLINEにアカウントを開設することで、より多くのユーザーにフランス情報を届け、フランスへの関心と親しみを醸成しつつ、将来の旅行需要の拡大に繋げることを期待する。

アカウント名は「フランス観光局」

アカウントでは、LINE VOOM (旧タイムライン)で毎日フランスの観光情報を発信するほか、「友だち」を対象に各種キャンペーンのメッセージを配信する。

公式LINE開設記念プレゼントキャンペーン

1月28日からアカウント開設を記念して、キャンペーン期間内の「友だち」登録者を対象に、2つのプレゼントキャンペーンを展開する。

フランス観光開発機構LINE公式アカウント友だち追加QRコード

プレゼントキャンペーン第一弾
2022年2月28日(月)までに「フランス観光局」(フランス観光開発機構の公式LINEアカウント)を友だちに追加し、トーク画面で『キャンペーン応募』と送信した人を対象に、抽選で10名にプレゼント。

賞品:
France eMotion – Le voyage animé (フランス・エモーション-アニメーションで楽しむ旅)」体験キット(4名)
トゥルーヴィル観光局特製メモセット(4名)
ミュールーズ観光局特製テーブルランナー(2名)
ビアリッツ観光局特製トートバッグ(1名)
ギャラリー・ラファイエット特製ノートブック(1名)

France eMotion – Le voyage animé(フランス・エモーション-アニメーションで楽しむ旅)体験キットを4人に
トゥルーヴィル観光局特製メモセットを4人に
ミュールーズ観光局特製テーブルランナーを2人に
ビアリッツ観光局特製トートバッグを1人に
ギャラリー・ラファイエット特製ノートブックを1人に

キャンペーン期間:2022年1月28日(金)~2022年2月28日(月)23時59分
応募資格:日本国内に在住で、賞品届け先が国内の方。応募規約に同意いただける方。
当選者への連絡:キャンペーン締め切り後、当選された方のみに、LINEトーク画面にてフランス観光局のアカウントから連絡。

プレゼントキャンペーン第二弾
「フランス観光局」(フランス観光開発機構の公式LINEアカウント)を友だちに追加し、トーク画面で『キャンペーン応募』と送信された方先着2 ,000名様を対象に、抽選で3名にプレゼント。

賞品:
シャトー・モリオン (CH. MORILLON) / 赤ワイン 750m(3名)

シャトー・モリオン (CH. MORILLON) 赤ワイン 750mを3人に

キャンペーン期間:友だちが2,000名に達し次第終了。
応募資格:日本国内に在住で、賞品届け先が国内の方。20歳以上。
応募規約に同意いただける方。
当選者への連絡:キャンペーン締め切り後、当選された方のみに、LINEトーク画面にてフランス観光局のアカウントから連絡。

●フランス観光開発機構LINE公式アカウント

ベレー帽はこうして作られる…バスク地方の伝統手法

2021ツール・ド・フランスの第18ステージ。18.7km地点にあるナイ村はバスクやベアルン地方のシンボルであるベレー帽の生産で有名。ベレー帽博物館が製造工程をガイドしてくれた。

細かいキズを表面につけることで手ざわりをよくする © Laulhère

Le béret(ベレー帽)の作り方

機械編みしたものを手作業で閉じる © Laulhère
染色工程の水質や温度はヒミツ © Laulhère
染色する時間もまたヒミツ © Laulhère
木型をはめて蒸気でしわを伸ばす © Laulhère
蒸気でウールのしっとり感がよみがえっていく © Laulhère
かつては手作業でひっかきキズを作ったという © Laulhère
剪断により均質な表面と、心地よく柔らかく、絹のような感触となる © Laulhère
加湿が終わったらいよいよ羽根飾りなどをつけながら成形へ © Laulhère
裏地をつける © Laulhère
裾の周りをクジラ革でステッチして成形 © Laulhère
不要な羊毛を取り除きながらトリートメントしてフィニッシュ © Laulhère
ナイ村の祭り。ベレー帽をかぶった村民が博物館入口に大集合 © Laulhère

●ベレー帽博物館のホームページ

プロバンスはオンもオフもサイクリングが満喫できるパラダイス

2021ツール・ド・フランス第11ステージは、いかにもプロバンスらしい風景が続くボークリューズ県。真っ白の単独峰モンバントゥーがある。

悪魔の棲む山モンバントゥー

このエリアは舗装路だけでなく、MTBコースが整備され、モンバントゥー、ダンテルドモンミライユなど、ボークリューズ山脈を行くコースがいくつもある。電動マウンテンバイクのレンタルショップも充実。家族連れの気楽なサイクリングから本格的なロードサイクル、MTBまで、タイプ別にいろいろなコースやレンタル業者を紹介するサイトもある。

モンバントゥー周辺をサイクリング ©HOCQUEL A – VPA

自転車巡りにうってつけスポットを厳選

約1800km。これは自転車愛好家がボークリューズにある、すべての難易度を合わせて41の自転車ルートすべてを制覇した場合の走行距離だ。自転車ルート「ビアブネッシア(Via Venaissia)」からダンテルドモンミライユの山並みをめで、オリーブオイルの搾油所を見つけたり、のんびりとぶどう畑を横切ったり、自転車ルート「カバロン(Cavalon)」を通ってリュベロンを散策したり。

©HOCQUEL A – VPA

もっと激しく(やる気全開で)走りたいなら、マウンテンバイクでボークリューズを横断するレース「Grande Traversée de Vaucluse à VTT」に使われたルートにチャレンジしてみよう。のどかな景色のかぐわしい空気をめいっぱい吸い込んで全身に行き渡らせれば、心も満たされ、かつてこの地を治めていた教皇たちの気分になれる。

モンバントゥーの下山路。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回下る

フォンテーヌ・ド・ボークリューズからプティット・ブニーズへ(21km)


エメラルド色の急流、ソルグ川は、フォンテーヌ・ド・ボークリューズ(Fontaine de Vaucluse)で湧き出し「小ベニス」とも呼ばれるイルドラソルグ(Isle sur la Sorgue)へと流れている。川と運河の流れに沿って造られた街には、毎週末300人もの古物商・骨董商たちが集まり、日曜には大規模なプロバンスの朝市が開かれる。自転車周遊ルートは街から川を源泉までさかのぼり、大きな果樹園や野菜畑へと抜けていく。

ラベンダーと古城 ©Alain-MAIGRE/La Drôme Tourisme
モンバントゥーの東麓。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回上る

自転車で巡るオークルの小道(15km ~ 51km)

リュベロンのオークルの小道( les Ocres )は、ルシヨン(Roussillon)からリュストレル(Rustrel)まで続く。かつて黄土色顔料の原料となる土を採掘していた場所は、赤色、朱色、黄色、黄金色とこの土地ならではのカラフルな景観を見せてくれる。

村々を結ぶ絵画のように閑静な小道はループに結ばれ、自転車ルートをどちらの方向から巡ってもこの景色に出会うことができる。

モンバントゥーは健脚サイクリストでいっぱい

ベゾンラロメーヌ周辺を走る(42km)

ワイン好きならご存知、ケランヌ(Cairanne)とラストー(Rasteau のコート・デュ・ローヌのワイン畑を走る自転車散歩。古代・中世の遺跡が多く残るベゾンラロメーヌ(Vaison-laRomaine)を出発すると、自転車ルートはダンテルドモンミライユとモンバントゥーの山々を望む小道へと続き、ワインを作る村々を見つけることができる。

プロバンスの下界を臨む

ラベンダーの世界で(33km)

モンバントゥーの東、バルドソー(Val de Sault)は、石灰質の地層が昔ながらのたたずまいの村々を取り囲んでいる。村にはアーティストや職人たちが多く暮らしている。ラベンダー畑におおわわれたバルドソーは、澄んだ空気、景色の明度が並外れて高いことで知られている。

ボークリューズで採れるラベンダーとラバンディンの大半はソーが産地。道すがら、蒸留所、ヌガー工房、蜂蜜工房を訪ねてみよう。

モンバントゥー西麓からのアプローチ。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回下る

●プロバンスのサイクリング情報ページ
●レンタルサイクルの情報ページ

美しき南仏プロバンスには悪魔が棲むという山がある

ツール・ド・フランスで元世界チャンピオンが急死したストーリー

ツール・ド・フランスが訪れる7つの観光名所【ブルターニュ編】

世界屈指の観光大国フランスを一周する自転車ロードレース。ツール・ド・フランスはそれだけに現地の美しい観光スポットを数え切れないほど巡りながら一周する。そんなフランスの観光地を紹介。今回は開幕から4連続ステージが行われるブルターニュ半島編。

薔薇色花崗岩海岸、メアン・リュズ灯台 (第2ステージ) ©CRTB Thibault Poriel

🇫🇷第1ステージ ブレスト〜ランデルノー

第1ステージのスタート地点ブレスト、アトリエ・デ・キャプサンの展望台(第1ステージ) 
第1ステージの78km地点、カンペ―ル焼きの耳付きカフェオレボウル(ブルトンボウル) ©Atout France
くまモンが2019年にブルターニュを訪問した際に、ブルターニュ地方からプレゼントされた名入れカフェオレボウル ©Atout France

🇫🇷第2ステージ ペロギレック〜ミュールドブルターニュ

グラニット・ローズ(薔薇色花崗岩海岸)

カラフルな岩が詩情豊かな風景を見せてくれるグラニット・ローズ海岸。海岸線は思いがけない発見に満ち、まさに鳥たちとハイカーの天国だ。ここにはサメが、あそこにはウサギが、亀もいた。そして魔法使いも…と岩がさまざまなシルエットに見えるのがとても楽しい。

薔薇色花崗岩海岸、メアン・リュズ灯台 (第2ステージ) ©CRTB Thibault Poriel

岩の色はもちろんバラ色。日の光に輝く美しいサーモンピンクだ。松の木々の向こうには細かい砂の入江が見え隠れし、まるで数珠のように連なる小さな島々を正面に見つつ、グラニット・ローズ海岸はカーブを描きながらブレア島 île de Bréhat からトレブールデン Trébeurden まで続く。

ペロ・ギレック Perros-Guirec の沖合いにあるのは、海鳥の楽園であるセット・イル国立自然保護区 la réserve naturelle nationale des Sept-Îles。特にツノメドリやシロカツオドリ、ウがコロニーを形成している。

ブルターニュの海藻の恵み

水や海藻成分を使って治療や健康増進に役立てるというタラソテラピーは、ブルターニュ生まれ。海辺の気候がストレスや疲れをいやしてくれる。

🇫🇷第3ステージ ロリアン≫ポンタビー

ロリアンケルト民族フェスティバル Festival interceltique de Lorient

ブルターニュ半島の南側に位置するロリアン Lorient では1971年から毎年ケルト民族フェスティバルが開催されている。世界各地のケルト文化を伝承する国からアーティストが集まり、ともに音楽を奏でるイベントだ。

10日間にわたって行われるコンサートやイベントは他では見ることのできないものばかり。ガリシア地方からスコットランドまで、4500人ものミュージシャンやシンガー、ダンサーたちが集い、75万人もの観客を動員している。

中でも目玉となるイベントはグランド・パラード Grande Parade で、多くの人でにぎわう。津軽三味線デュオの吉田兄弟は2002年にフランス観光親善大使に就任し、このフェスティバルに参加した。

モルビアン湾

モルビアン湾 Le golfe du Morbihan。「Mor bihan」はブルターニュで話されるブルトン語で「小さな海」を意味する。海が陸地に入り込んできたのか、その逆なのか、判断がつきにくい場所。

まばゆい光、 無数の小さな島々、海沿いの美しい民家。それがモルビアン湾だ。ブルターニュ南部にある指定自然公園で、湾内には40ほどの小島が点在し、独特の風景を形成している。

モルビアン湾(第3ステージ) ©CRTB Loïc KERSUZAN – Morbihan Tourisme

船で簡単に渡れるモワンヌ島 île aux Moines やアルツ島 île d’Arz は特に有名。あらゆる曲がり角や、波をかぶるほど波打ち際にある花崗岩の家々が五感に響いてくる。刻々と移り変わる光は写真好きの人にとってはまさに天国。緑や青の色がこれほど多くのバリエーションで見られるところは他にない。

セネ湿地帯鳥類保護区 la réserve ornithologique des marais de Séné からリュイ半島 Presqu’île de Rhuy、ナバロ港 Port Navalo の先で蛇行しなが ら大西洋に注ぐオレー川 rivière d’Auray、ガブリニスの巨石 mégalithe de Gavrinis、ヨーロッパ最大級の潮流のあるジュマン島 La Jument など、この地方の魅力を存分に満喫しよう。

またカキ養殖の仕事ぶりを眺めたり、多くの船が停泊している小さな港や、モルビアン独特の漁船であるシナゴ Sinagot やゲパール Guépard といった船やヨットが踊るように揺れ動く様子を見るのも楽しい。

カルナックはシューズではなく巨岩(30km地点)

野原に4kmにわたって続くメンヒル(巨石)。 新石器時代に入念に並べられたメンヒルに、誰もが驚嘆の声をあげる。これらの石はなぜ並べられたのか? そのミステリーに興奮させられる。

カルナック(第3ステージ) ©CRTB Simon BOURCIER – Morbihan Tourisme

より詳しく知りたい人は、巨石会館 la maison des Mégalithes へどうぞ。展示のほか、フィルム上映、参加型のイベントなどが開催され ていて、さまざまな側面から巨石文化に光を当てている。ガイディングツアーに参加すれば複雑な遺跡の見学もスムーズに。子供たちは古代の日常生活を体験するコーナーがおすすめ。 日の出から日没まで、訪れる時間帯によって雰囲気が変化していくのも巨石遺跡の魅力。

カルナック(第3ステージ) ©CRTB Yvon BOELLE

ジョスラン城 Château de Josselin(180km地点)

重厚な塔をウスト Oust 川に映すジョスラン城は、ブルターニュの旧家であるロアン家 des Rohan が歴代の城主を務め、ジョスラン市のシンボル的な存在。現在も創健したロアン家の子孫が住んでいるこの城の歴史と街の歴史は密接に関わってきた。大公巡り街道 route des Ducs を行く際にも必ず訪れたい重要スポット。

ジョスラン城(第3ステージ) ©CRTB Emmanuel BERTHIER

フランボワイヤン・ゴシック建築で、封建時代そしてルネッサンス時代の様式をよく残しているのも非常に興味をひく。城の庭園も合わせてぜひ見学したい。ヴォー・ル・ヴィコント Vaux-le-Vicomte 城の庭も担った造園家アシル・デュシェーヌ Achille Duchesne による設計。

ジョスラン(第3ステージ) ©CRTB Rafa PEREZ

🇫🇷第4ステージ ルドン≫フジェール

ルドン、ドゥゲ・トルワン岸壁(第4ステージ) ©CRTB Teddy Verneuil
第4ステージでスプリントポイントが設定されたビトレ。写真はアン・バ通り ©CRTB Noé C. Photography

フジェール城 Château de Fougères

結晶片岩でできた岩山に建つフジェール城は12世紀から15世紀にかけて建てられた防御用の城塞で、その迫力には圧倒される。2ヘクタールもの広大な敷地には13もの塔があり、かつては水が張られた堀に囲まれていた。城は全て完全に修復され、観光を心ゆくまで楽しむことができる。

フジェール城の城壁(第4ステージ) ©CRTB Clara Ferrand Wild road & Vanessa Martin Cashpistache

城壁の上を行く巡視用の通路を、城壁や庭園などを眺めながら散策するのも楽しい。ビデオ上映やさわれる模型、子供のためのオーディオガイドなどの設備も充実。見学がより一層楽しいものとなるよう、歴史を感じさせる演出やさまざまなツールでの工夫がなされている。

●フランス観光開発機構のホームページ

辻仁成が2021年のフランス観光親善大使に就任

フランス在住の作家・ミュージシャンの辻仁成が2021年度フランス観光親善大使に任命された。フランス国家唯一の観光推進機関であるフランス観光開発機構(アトゥー・フランス、本部パリ)が2021年5月28日に任命した。

任命状を手にする辻仁成 ©Kô ODA

フランス観光親善大使のタイトルは2000年、フランス観光開発機構の前身であるフランス政府観光局が創設し、フランスに縁のある著名人の個人的な視点からフランスの魅力を発信してもらうことを目的にこれまで45人を任命している。

新しく就任される観光親善大使には、駐日フランス大使、フランス観光開発機構総裁の署名入りの任命状が渡される。2021年はフィリップ・セトン駐日フランス大使、フランス観光開発機構カロリーヌ・ルブシェ総裁による任命状が、機構パリ本部でカロリーヌ・ルブシェから手渡された。

任命状を手渡すカロリーヌ・ルブシェフランス観光開発機構総裁(左)、辻仁成 ©Kô ODA 

パリから常にポジティブな言葉を発信

辻は2000年度初頭よりパリ在住。ブログやSNS、自身が立ち上げたウェブマガジン Design Stories を通じ、フランスでの日常生活のほか、コロナ禍にある世界やフランス情勢についても、未来を見すえポジティブな視点から精力的に発信を続けている。その高い発信力を評価し、フランス観光開発機構は2021年度フランス観光親善大使の任を辻に依頼することを決定した。

任期中の活動
任期の間、辻はフランス観光開発機構やその協力先の各地方観光局と連携し、フランス各地の見どころについて発信していく。発信の場は主にウェブマガジンDesign Storiesで、フランス観光開発機構の公式サイト France.fr 内に設けるフランス観光親善大使特設サイトと連携。

セーヌ川クルーズライブ中の就任報告
就任から2日後となる5月30日、辻はセーヌ河のクルーズ船からオンラインコンサートを配信するという初の試みに挑戦。演奏の合間にフランス観光親善大使への就任を報告し、エッフェル塔やオルセー美術館などパリの名所をガイドするなど、就任後初の自身のイベントを観光プロモーションにつなげ、観光親善大使としての存在感を十二分に発揮した。

就任の抱負を語る辻仁成 ©Kô ODA

辻仁成のコメント

大変光栄なことにフランスの親善大使に任命されました。
パリに暮らし始めて20年が経ち、僕の息子もここで生まれ、来年は大学生になろうとしています。フランスに育ててもらったというのもあり、なにかフランスに恩返しができたらと思っていました。最近パリと田舎を行き来する中で今まで知らなかったフランスのよさに気づき、それを日本の人に伝えたいと思っていた矢先の親善大使のお話でしたので、これはちょうどいい僕の仕事だと使命感に燃え、オファーを請けさせていただきました。日本の皆さんにフランスの素晴らしさ、この国が持っている文化と教養、そして心のやさしさをすべて僕なりに解釈してお伝えできればと思っています。

カロリーヌ・ルブシェ(フランス観光開発機構 総裁)コメント
フランス観光親善大使の任命状を辻様にお渡しできて非常に光栄です。彼は才能豊かで、その感性をフランスの国民と分かち合い、とくに日本とフランスを結ぶ分野である文化、歴史、食、フランス流の暮らしを敏感に感じ、日本の皆様に伝えておられます。このような方に親善大使をお願いできるのは大変嬉しく光栄なことで、我々にとり大きなチャンスであります。氏を通して日本の皆様がフランスの文化、歴史、史跡、食を知り、この国やその多様な風土と人への理解が深まること、氏の著作や取材によりフランスについて良き反響が起こることを願ってやみません。

任命状 ©Kô ODA

辻 仁成(つじ・ひとなり)
作家1989年『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞を受賞。97年『海峡の光』で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として唯一受賞。映画監督として、1999年、第三回ドーヴィル・アジア映画祭コンペティション部門で監督作品「ほとけ」が最優秀イマージュ賞受賞。同作品でベルリン映画祭。監督作品「千年旅人」でベネチア映画祭、監督作品「アカシア」で東京国際映画祭にノミネート。ミュージシャンとしては80年代にECHOESを結成、作詞作曲した「ZOO」がミリオンセラーに。さまざまな分野で活動を続ける。現在は拠点をフランスに置き、日仏を行き来しながら創作に取り組んいる。帝京大学・冲永総合研究所特任教授。Webマガジン「Design Stories」、 デザイン&アートの新世代賞を主宰。
●WebマガジンDesignStories

観光親善大使の就任を祝って乾杯する辻仁成(右) ©Kô ODA

●歴代のフランス観光親善大使・フランス広報大使
2017年:くまモン(熊本県キャラクター)、リカちゃん(着せ替え人形)
2016年:中村江里子(アナウンサー)、新城幸也(自転車選手)
2015年:大地真央(女優)、森田恭通(デザイナー)
2014年:高見沢俊彦(ミュージシャン)、池田理代子(劇画家)
2013年:川島なお美(女優)、鎧塚俊彦(パティシエ)
2012年:竹中直人(俳優)、蜷川実花(写真家)
2011年:寺島しのぶ(女優)、平野啓一郎(作家)
2010年:小山薫堂(放送作家)、諏訪敦彦(映画監督)、知花くらら(モデル)
2009年:市川團十郎・海老蔵(歌舞伎俳優)、夏木マリ(ディレクター)
2008年:滝川クリステル(キャスター)、假屋崎省吾(華道家)
2007年:城之内ミサ(音楽家)、佐藤陽一(ソムリエ)、櫻井寛(フォトジャーナリスト)
2006年:黒柳徹子(女優)
2005年:石坂浩二(俳優)
2004年:柴俊夫(俳優)、真野響子(女優)
2003年:貴乃花光司(元横綱)、野際陽子(女優)
2002年:阿川佐和子(エッセイスト)、檀ふみ(女優)、吉田兄弟(津軽三味線奏者)
2001年:東儀秀樹(雅楽師)、林真理子(作家)、藤野真紀子(料理研究家)
2000年:石川次郎(編集者)、市川染五郎(歌舞伎俳優)、岸惠子(女優)、高田万由子(女優)、藤本ひとみ(作家)、細川護煕(元首相)、山本容子(版画)

●フランス観光親善大使特設サイト