2019年はアンボワーズでのレオナルド・ダ・ヴィンチの逝去、シャンボール城の着工、フィレンツェでのカトリーヌ・ド・メディシスの生誕から500年にあたる節目の年。フランスのサントル・バルドロワール地方では、フランスで花開いたルネッサンスの知と芸術と科学をテーマに「ルネサンス500年祭」を祝うお祭りが相次いで開催される。
かつてフランスの歴代の国王たちが住んでいたロワール渓谷。この地の庭園、ロワール川、そして古城が点在するその流域はフレンチ・ルネサンス揺籃の地として知られている。フランソワ1世、カトリーヌ・ド・メディシス、レオナルド・ダ・ヴィンチといった歴史上の人物たちがこの地方のルネサンス運動の興隆に貢献し、芸術、哲学、科学、文学などの創作と探究活動を大いに推進した。ロワール地方に数多く残る古城は、そうした歴史を今に伝えるもっとも美しい証と言える。ロワール渓谷とシャルトルおよびブールジュの大聖堂はその歴史遺産と自然が相まってUNESCOの世界遺産に登録されている。
ヴァロワ王家が愛し、住まいを置いた場所、サントル・バルドロワール地方は、その中心にあるトゥーレーヌ地域およびオルレアネ地域はもちろん、周辺部あるベリー、メーヌ、ポワトゥーの各地域においてもルネサンスの名残を色濃く宿している。ルネサンス運動が興盛したことで、シャンボール、クロ・リュセ、アンボワーズ、ブロワ、シュノンソー、アゼ・ル・リドー、ヴァランセ、ショーモン・シュル・ロワール、アネ、ロシュ、ヴィランドリーといった数々の城館が建てられたほか、ブールジュ、トゥール、ロモランタン・ラントネーといった町が発展した。
2019年、サントル・バルドロワール地方はルネサンス500年祭を開催し、この文化と精神の復興運動にふたたび光をあて、現代に蘇らせる。具体的には、オルレアンのFRAC(現代アート地方基金)、トゥールのCCCOD(オリヴィエ・ドゥブレ現代創作センター)、ブールジュのアートセンター「トランスパレット」のほか、ショーモン・シュル・ロワール城、芸術・自然センターなど現代アートを扱うメジャーな機関や施設と協力し、イノベーションや創造活動を推進していく。
芸術と科学の象徴であるレオナルド・ダ・ヴィンチは、「可能性」を体現する存在だ。芸術家でもあり知識人でもあった彼は、1516年、当時のフランス国王フランソワ1世の招きでローマからアンボワーズへ移り、クルー邸、つまり今日「クロ・リュセ城」と呼ばれている屋敷に居を構えた。そこからフランスが誇る3つの名画の物語が始まる。3つの名画、つまり「モナリザ」、「聖アンナと聖母子」、「洗礼者聖ヨハネ」は現在ルーヴル美術館に収められている。
2019年に開催されるルネサンス500年祭は単なる記念祭ではなく、一般の人もすでに知識のある人も楽しめる総合的なプログラムをそなえ、歴史、芸術、科学をテーマに多くの人が参加する全国規模の国際的なムーブメントとしての性格を帯びることになる。プログラムはルネサンスの主要テーマ、歴史遺産、芸術と文学、音楽、庭園、科学および科学技術の変革、建築、手工芸、美食のほか、より広い視野に立ち、暮らしにまつわるアート(アール・ド・ヴィーブル)も扱う予定。
500年祭は2019年を通じて開催され、現在策定中の文化プログラムでは、アートと音楽を融合したコンテンポラリー作品をデジタル技術で演出する壮大な巡回スペクタクル、国際建築コンペ、ガイド付き見学、コンテンポラリーアート、バンケット、多数の展覧会、国際シンポジウムなど多彩なイベントが予定されている。
ルネサンス500年祭は歴史的な節目を祝う機会であるのはもちろんのこと、それ以上にルネサンスというこの大きな変革の精神を追求するため歴史の新たなページをめくるという意味合いを持つ。昨今、地域の遺産を最先端のテクノロジーを駆使して紹介するのが主流となっており、サントル・バルドロワール地方もその種のプロジェクトを多く支援、推進している。
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